「…やれやれ、おーい、加藤?」
「む、翔先輩。ご安心を、翼目は今折檻し終えたところでございます」
「あ…あぐ…ぐえ…」
「お前ね」
「して、慧先輩は?」
「ああ、ひどく混乱してたから帰らせた。加藤、あとは俺が話しするからお前も帰れ」
「御意。では、俺は今からミクニャンとの真心デート!聖地巡礼メイドカフェの度に行ってまいります!では、さらば!」
「…あいつ、本当にぶれねえな…で、翼?おーい」
「…ヘイ…」
「お前、なんで素っ裸で部室に来たんだよ…」
「いや…暑いし…慧先輩のちょっと恥ずかしがる顔見たいかなー…なんて…」
「でも、殴られた、と」
「…ヒン」
「慧はそう言う耐性ほとんどないんだから。ほどほどにするんだぞ?」
「う…うす…」
「…ま、お前がそんなんだから俺も警戒しなくて済むんだがな」
「え?なんて?」
「なんでもない。ほら、早く着替えろ。帰るぞ」
「うーい。あーあ、慧先輩とトレーニングできると思ったのにー」
「そう思うなら真面目に練習だけしてろ。あと渡す気はないからな」
「ちぇー。翔先輩積極的じゃないからいけると思ったんだけどなー」
「お前、本人の前でそれを言うか」
「てへ☆」
「はあ…もっと加藤に折檻させるべきだったか」
「い!?それはマジ勘弁!ってか、あいつ遠慮なさすぎるんですよ!これって問題じゃないんですか!?」
「…お前の奇行のがよっぽど問題だよ、ド阿呆…」
「えー!?」
「ほら、帰るぞ。…帰りにアイスくらいおごってやる」
「お、マジっすかー!やっりぃー!俺!あれが良いっス!ダーゲンハッツ!」
「…ゴリゴリ君な」
「えー!?いいじゃないっすかー!っておいてかないで、翔せんぱーい!ねー!」
…騒がしい天祥学園ボクシング部。部員は変人ばかり。廃部危機なほどに少ない部員たち。でも、妙に居心地がいいそこは、部員の誰にとっても大切な、大切な場所であった…。
☆イラスト:藍路アヲムさん