天祥学園、ボクシング部。
「………」
「あっつーい…9月だよ…?」
「異様な暑さ…だな…真夏並みだ…」
狭い狭い部室。隣の更衣室と合わせてエアコン1つ。2部屋を1つのエアコンなんて、こんな暑さには効きやしない。
「…はあ…この状態で部活やるのは危険かなあ…」
「…だな…」
慧と翔、二人はだらだらと汗を流しながらため息をつくと———
「ちぃーっす!慧せんぱぁーい!」
「あ、翼?ごめんね、今日あまりに危険な暑さだから部活はやめようと思っ…て…ッ!?」
そこには!全裸に笑顔でボクシンググローブを肩からぶら下げた翼がいた!
「翼、お前…ッ!?」
「え?」
「ば、ばかぁぁぁぁぁぁっ!なんで裸なんだよおおおおぉぉぉっ!」
ぼぐしぃっ!
「あひぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「お疲れ様です、遅くなりました…って。翔先輩、これは?」
「あ、ああ、加藤…」
「ばかっ!ばかっ!」
「ちょっ!?慧先輩それ以上蹴ったら死んじゃう…死んじゃう…!」
「…なんで慧先輩、翼の馬鹿を涙目で蹴っ飛ばしてるんですか?」
「あー、いや、その…厚いから素っ裸で来たみたいでな、翼…」
「…え?」
「慧がキレる気持ちがわからんでもないが…」
「もー!もー!もーーー!」
げっしげっしげっし!
「ちょ、ごめ…慧せんぱ…死ぬ…」
「いやーーーーーー!」
「ふむ。そう言うことなら任せてください、翔先輩」
「え?」
「慧先輩!」
「はあっ!はあっ!?何!?って、加藤…?」
「大丈夫です、あとのことはこの加藤にお任せください」
「う、うん…」
「では…おい、翼」
「あ…加藤…?助けくれんの…いやー…あっはっは、慧先輩の蹴りはご褒美だけど流石に死ぬかと」
げごぼきぃぃぃっ!
「ふごああああああっ!?」
「汚い股間を見せつけるな。ミクニャンの目が穢れるであろう?…さあ、続きをしよう、こっちだ、来い!」
「ちょ、ちょっと待ってぇぇぇぇぇ!?冗談っ!冗談だからぁぁぁぁっ!」
「うっさい!ミクニャンに代わって成敗してくれるわ!」
ずるずるずる。
素っ裸の翼の首をひっつかんで部室をぴしゃん!と去っていく加藤。そして。
『あっぎゃああああああああっ!?』
『ふーはははははは!ミクニャンの裁きを受けるがいい!ふーはははは!ふーはははははははは!』
…更衣室から聞こえる素っ裸野郎の悲鳴と、中二病全開にも思える算段笑いに慧は思わず、翔に抱き着いた。
「……ぅぅ…」
「…慧…」
「もうやだあ…後輩は全裸に恋人フィギュアだしい…」
「ま、まあ…」
「こんなんだから部員増えないんだよお…」
「その…まあ、なんというか…ご愁傷様…」
☆イラスト:佐門真九郎さん