虎太郎やハーリー達が「ザガン」と名づけられた怪人を倒していたころ。———近くの廃ジム、古ぼけたリングの上。
「へえ、悠馬一人かいな?てっきり、B&Hジムは群れることしかできない弱小プロレスラーの集団と思っていたんやがな」
「ふざけんなよ、豹。CoS軍なんかの味方になりやがって。テメエなんざ俺ひとりで十分なんだよ」
「はん、ようほざきよる。…おんどれは今のプロレスみててどうも思わんのか?血も涙も流さず、骨も折れず。血で血も洗うようなこともせん「ごっこ遊び」集団。…我らが組織の蛇我総統はそれを憂いておいでや」
「プロレスはプロレスだろ?殺し合いじゃねえんだ。それにな…俺がそんな面倒くせえ問答、すると思うか?」
「はっ!猿頭が」
「好きに言え。そういうむずかしーのはハーリーが担当だからいいんだよ…ヒールもベビーも関係ねえ。プロレスは楽しんでナンボだろ」
「ふん。どっちにしろ…そろそろケリ、つけようやないか!」
豹は自らの手の甲にキス。すると…!
「さあ、プロレススターの力でぶっ飛ばしたる!かかって来いや、できるもんなら、な!」
瞬間、ぐっと悠馬の力が抜けていく。
「ぐっ…!?」
圧倒的なまでの虚脱感。悠馬は膝がつきそうになる気持ちをぐっと抑えると、悠馬もまた、手の甲にキス!カット光輝くと———
「…テメエとの因縁もこれっきりにしてやる!」
悠馬もまた、プロレススターの姿に!途端、悠馬の全身に力がみなぎり———
「テメエの力、虚脱(ダウナー)は効かねえぜ、豹」
「はん、鼓舞(インスパイア)の力か。…俺と相反する能力やな」
「そういうこった。テメエは周りの力を抜いて、俺は周りの力を鼓舞する。…水と油ってこった」
「ふん、ちょうどええ。ならどっちが上か…教えたるわ!」
互いにヒーローとも呼べるプロレススターへと変わった悠馬と豹。豹はダンッ!とその腕を伸ばし———!
「っらぁぁぁぁぁぁっ!」
ガシィィィッ!
ラリアット!———悠馬はそれをブロックすると、すぐさまその腕に飛びつき、
「こんのっ!」
ぐぎぃぃぃぃぃっ!
腕ひしぎ十字固め!———が!
「なめ…んなやッ!」
バキィィィッ!
「うぶっ!?」
豹は余った手で悠馬を殴り飛ばし腕ひしぎ十字固めを外す!すぐさま、今度は悠馬の足へとクラッチすると———
「チビが…!調子に乗んなよ!」
両足を掴んでのジャイアントスイング!
「ぐっ!?くっ…!」
豹は悠馬をぐるぐると大回転、その体を振り回すと———
「うおらああっ!」
どさぁぁぁぁぁっ!
「うぐっ!?」
その小さな体を投げ飛ばし———悠馬は地面へと投げ飛ばされた!
「く…ぅ…!」
リングマットを転がされ、痛みにうめく悠馬。———瞬間!
「ふっ!」
タンッ!
豹はコーナーを一足飛びに駆け上がりその頂点から飛びあがり———
「———死ね」
身をひるがえすと、悠馬に向けて肘を突き出しながら効果!———ダイビングエルボー!
「ッ!」
悠馬は目を開く!そして、豹の肘が悠馬の腹へと迫り…悠真の悲鳴が上がる、そう思われたその瞬間!
ドスゥゥゥゥッ!
「———がっ!?」
小さく悲鳴を上げたのは———豹!ダイビングエルボーが突き刺さる寸前、悠馬は足を延ばし豹を迎撃!その腹を逆に蹴り返す!
「ちぃっ!」
腹を蹴られた豹はゴロゴロとリングマットを転がり、慌てて膝立ちになり体制を整えようとするも———
「その隙は…逃さねえぜ!」
ダンッ!
立ち上がった悠馬が豹へと駆ける!そして!
「喰らいやがれッ!俺の必殺!ユニコーン…ギャロップッ!」
バッキィィィィィィィィッ!
———悠馬のフィニッシングホールド!飛び膝蹴りの「ユニコーンギャロップ」が豹の顔面を貫くと!
「ぐはああっ!」
ドサァァァァッ!
「なめんなよ!」
リングマットに倒れた豹の片足を掴み、肩エビ固めで豹をフォール!
「1!2!…3!」
悠馬は豹を3カウントフォール!プロレスラーとして完全に勝者が誰であるか、わからせてやると———
「ぐっ…くっ…!」
瞬間、豹のプロレススターとしてのその力が抜けていく。
「———俺の勝ちだな、豹!」
「くっ…油断したわ…ッ!」
「ふん、何度でも着な。その度に正義の力ってやつを見せてやるよ!」
悠馬は豹を解放。…豹はふらふらしながらもリングから降りると。
「…覚えてやがれ!次は必ず!いてこましたる!」
「はっはー!ほざけほざけ!テメエじゃ俺には勝てねーんだよ、ばーか!」
逃げ去る豹を指さしながら、悠馬はケラケラと勝利の笑みを浮かべた。———瞬間!
ゴチィンッ!
「あいでっ!?」
「ばっかかてめーわ!」
悠馬の頭に降り注ぐげんこつ!その後ろには…
「こ、虎太郎!それにハーリー!?」
「あのですね、悠馬さん…じゃなくて先輩!なんで逃がしちゃったんですか!?」
「え?なんでって…俺、勝ったから…」
「バカか!捕まえて情報なりなんなり吐かせるターンだろうが!ったく、このチビ馬!」
「あ…え…あー……てへ」
「はあああ…せっかく豹を捉えるチャンスだったのに…やっぱ、悠馬先輩一人にする作戦は失敗でしたね…」
「だな。これからはそれを含めて、作戦を頼むぜ、頭脳担当」
「はい…」
こうして。B&HジムはCoD軍の急襲を退けた。だが、敵はまだまだ強大!ハーリー達はじめとする彼らの戦いは、まだまだこれからも続くのであった…!