「んん…!B&Hジム…!」
憧れのジムを目の前にハーリーは大きく伸びをする。プロレススター、CoS軍。なんやかんやあったけど…
やっと俺…!ここのプロレスラーになれたんだな…!」
憧れのプロレスラー達と一緒にプロレスラーになれた。プロレスファンだった自分がついにプロレスラーになれた!…夢をかなえたハーリーに一人の男が立ちふさがった。
「おっと、ハーリー!喜ぶのは早いぜ!」
「虎太郎さん!?」
「ちっちっち…お前は新人だろ?だったら、虎太郎『先輩』だぜ?」
「あ、はいすみません、虎太郎先輩…で?」
「ふ。こういうのには定番のイベントがあるだろ?」
「定番…?」
「そう。即ち!———入団試験だ!」
「なんだか…緊張するな」
B&Hジムのリングの上。俺は虎太郎…先輩と向き合う。今まで、CoS軍の連中とは何度かプロレスのような戦いは繰り広げてきたけど、こうしたプロレス、しかも憧れの虎太郎先輩たちっていうのはさすがに緊張して———
「おーい、ハーリー!頑張れよー!」
「悠馬先輩!」
「虎太郎なんざぎったぎたにしちまえっての!俺等がついてる!」
「おっし、獅子!どっちが勝つか賭けっすよ!俺は虎太郎先輩が勝つに牛丼いっぱいっス!」
「あー!兎真ずるいー!俺も虎太郎先輩が勝つに豚丼いっぱい―!」
そんなちびっこ二人共に悠馬先輩がげんこつを振り下ろすと。
「…本当に応援してます?」
「ごほん。ちゃんと応援させるから。…きっちりぶっ倒して来いよ!」
「はい!」
俺は虎太郎先輩と向き合う!そして!
カーンッ!
ゴング!
「行きますよ、虎太郎先輩!」
「来いや!」
ガシィィッ!
俺達は手四つで組み合った!
「ぐっ…」
「へっ…!力で俺に勝てると思うかあ、ハーリー!」
ギリギリと押してくる虎太郎先輩!やはり、体格の差も筋肉の差も虎太郎先輩の方が有利———だったら!
「ふっ!」
「っ!」
俺はわざと力を抜き、虎太郎先輩のバランスを崩すと———
「このっ!」
「うおっ!?」
足払い!虎太郎先輩は足を取られリングにドタッと倒れこむと!
「くら…ええええええ!」
足四の字!俺は虎太郎先輩の足を決めにかかった!
「うお!良いぞハーリー!やれやれー!」
悠馬先輩の応援に、俺はさらに力を入れる!
「ふっ!」
ギィィィィィィッ!
「———ちっ!」
「うわー!虎太郎先輩ー!頑張ってー!オレ、牛丼かけてるんっスよー!?」
「虎太郎せんぱーい!オレは豚丼賭けてるから―!」
「…あのな」
妙に気合の抜ける応援に悠馬先輩が思わず声を出した———その瞬間!
「ふっ!」
ゲシィィッ!
「ぐっ!?」
虎太郎先輩の空いた足が俺の顔面を蹴りつける!———俺は思わず、足四の字を解いてしまうと。
「っしゃあ!次は…オレ様の番だな、ハーリー!」
がしぃぃぃっ!
「っ!しまった!」
今度は虎太郎先輩が俺を豪快に担ぎ上げる!そして!
「オラよ!」
ドサァァァァッ!
「ぐっ!」
力任せの体落とし!虎太郎先輩は俺をリングマットに強引に叩きつけると———
「オラオラ!」
「っ!」
マウントポジション!虎太郎先輩は俺に馬乗りになろうとして———
「させるか!」
ゲシッ!
俺は足を延ばし、馬乗りに乗ろうとする虎太郎先輩を跳ね返すと———すぐさま起き上がり、体勢を整えた。
「はあ…はあ…危なかった…!」
「なっかなかやるじゃねえか、ハーリー!伊達にCoSとやりあってねーな」
———俺達はギリギリとにらみ合い、互いに距離を測る。…そして!
「ふっ!」
ダンッ!
俺は虎太郎先輩との距離を一気に詰めると———
「シッ!」
ガシィィィッ!
「———ちっ!」
ローキック!虎太郎先輩の足に一撃を加えると、
「まだまだ!」
「ッ!」
バキィィィィィッ!
そのままローリングソバット!———虎太郎先輩の脇腹に強烈な一撃を叩き込む!
「ちぃっ…!」
そして、モロにそれを受け片膝をついた虎太郎先輩に———!
「もらったッ!」
俺は右足を大きく開きあげる!———かかと落とし!俺はそれを振り下ろそうとした、その瞬間!
「なめんな…よ!ハーリー!」
ガシッ!
「ッ!?」
虎太郎先輩の左手が、俺のかかと落としを受け止めた!
「嘘…だろ…!?」
必殺ともいえる一撃!威力もあるはずのかかと落とし!それを片手で受け止める虎太郎先輩に俺は思わず息を呑むと———
「ぼっとしてんじゃ…ねーぜ、ハーリー!」
「ッ!」
むっぎゅうううううっ!
「んぎゃああああああっ!?」
瞬間!虎太郎先輩の右手が俺の股間を鷲掴みにした!
むぎゅっ!むぎゅぎゅうっ!
「あ、ぐ…ぎゃ…ううううううううううっ!?」
「ははははははは!どうした、ハーリー!随分縮こまってるじゃねーか!え!?」
容赦のない股間の鷲掴み!
ドッタァァァァァンッ!
俺は耐えられない痛みに思わず悶絶、体のバランスを崩し、リングマットに転がり込むと———
「へっ!テメエも悠馬の野郎と一緒だな!」
ガシィッ!
「ッ!」
マウントポジション!虎太郎先輩は俺に完璧に馬乗りになり———その拳をぎゅっと固めると。
「ベビーがヒールに!勝てると思ってんじゃねえぞ!オラァァァァァッ!」
バッキィィィィィィィッ!
「ぐはっ!?」
「オラオラオラオラオラ!」
バシッ!バシッ!バシィッ!バッシィィィィィィィッ!
虎太郎先輩のマウントパンチ!その嵐が俺に襲い掛かり———
「ぐ…あぐっ!?もう…だ …めだ…!」
パンパンッ!パンッ!
俺は耐え切れず、ギブアップを宣言すると。
カンカンカンカーンッ!
「っしゃああああ!浅上虎太郎!ヒールレスラーは不滅だぜぇ!はーっはっはっはっはっはっはー!」
虎太郎先輩は俺を踏みつけ、ガッツポーズを見せるのであった…・
「…ったく、虎太郎のやつ、新人にも全然容赦ねえなあ…ハーリー、懲りなきゃいいけど…」
「いえーい!虎太郎先輩が勝った―!牛丼おごりっスよー!」
「わーい!オレ、豚丼ー!」
「っつか!お前たちちゃんと応援しろっつっただろ!ってか!誰におごらせるつもりだ!」