揺れる糸【第十一章】侵食する歪
Added 2020-03-15 14:43:07 +0000 UTC綾は羽奈の洋服を買いに街に訪れていた。 綾の服を着てもらっている状態ではあるものの、サイズが少し大きかった。 「とりあえずパジャマだけでいいかな」 当面は外に出ることはないし、たまになら自分の服でどうにかなるはず。 そんなことを考えながら歩いていると、下着コーナーが目に入った。 「はっ、そういえばハナちゃんって…」 綾は羽奈の下着を買う上で重要なことを忘れていた。 羽奈は紛れもない女の子であるのと同時に、股間に例のモノが生えている。 女性用のパンツでははみ出てしまうのだ。 「やっぱりダメかな…」 今朝に見た硬くなったソレが女性の下着の中に納まるとは思えない。 かといって、男性の下着を持ってレジに並ぶのもちょっと恥ずかしい。 「やっぱりお姉ちゃんと来ればよかったかな」 二人で並んで持ってれば、そこまで恥ずかしくない気がする。 とはいうものの、羽奈を一人にさせるわけにもいかないので無理のある考えだ。 「だめね、お姉ちゃんがいなくてもしっかりしなきゃ」 「由美さんの妹さん?」 「わっ、誰?」 突然後ろから声をかけられる。驚いて振り向くと高校生らしき女子が立っていた。 「こんにちは」 「こ、こんにちは。あの、どなたですか?」 「由美さんと同じ高校の後輩よ」 「そうだったんですか。でも失礼ですが、私たちお知り合いでしたっけ?どうして私が妹だと…」 「雰囲気が少し似てたから」 「凄いです。双子というほど似てるわけではないのに」 「まあね。人を見る目には自信があるの。ところで、由美さんは元気?」 「え、ええ。相変わらず元気ですよ」 「そうなんだ、良かった。由美さんが卒業してから全然連絡取れなくて少し心配してたのよ。あれ、由美さんって卒業式に参加してたかしら?」 「携帯の機種変をしていたので、原因はそれなのかもしれません。連絡先交換しましょうか?」 「ううん、様子が聞けたら満足しちゃった」 「そうですか。姉にも後で話しときますね」 「うん、よろしくね。あ、そうそう、由美さん達ってもしかして引っ越したの?」 「え、あの、どうしてそのことを聞くんですか?」 「そんな大した理由はないの。私の通学路って由美さんの家の前を通るんだけど、表札が変わってたから引っ越したのかなって。ごめんね、こういうのあまり聞かない方がよかったかしら」 「い、いえ。気にしてませんから」 「由美さんの家ってすごく立派な建物だったし、裕福な生活とかちょっと憧れてたんだよねー」 「憧れるほどではありませんよ」 「またまた、謙遜しちゃって」 「今暮らしてる部屋だってアパ…」 「どうしたの?」 「すみません、なんでもないです」 「そう?あ、お買い物の邪魔しちゃってごめんね。私そろそろ行くから」 「あ、はい。お気をつけて…」 「じゃあねー」 由美の後輩と名乗る女の人は人ごみの中へと消えていった。 初対面で由美の妹だと気づく、どこか不気味な人だった。 家庭の事情を詮索しているような会話の仕方をしていて、綾自身も口車に乗せられてうっかり口を滑らせそうになっていた。 「ダメね、もっとしっかりしなくちゃ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 由美と紗耶香はソファの上で身体を重ね合わせていた。 仰向けに横になっている紗耶香の上を覆いかぶさるようにして由美がうつ伏せになっていた。 紗耶香のたわわな乳房の顔を押し付け、乳首を頬張る。 舌のざらざらした表面で硬くなった乳首を擦り上げると、紗耶香は快感に耐えるようにして身体をよじる。 「由美、乳首ばっかり…」 紗耶香が物足りなそうに腰をくねらせる。股の間は触らなくてもわかるほど愛液で湿っていた。 「だって、紗耶香のおっぱい気持ちいいんだもん」 以前は、乳首を攻めつつ、股の間に手を差し込んでクリ〇リスを虐めていたが、両腕を持たない今では同時に刺激することが難しい。 紗耶香があまりのもどかしさに耐えられず手を出すと由美が不満そうにするので、なかなか疼きを満たすことができない。ほとんど焦らしプレイの状態になっていた。 「ごめんね、ホントはもっと紗耶香に気持ちよくなってほしいんだけど…」 「謝ることじゃないよ。私のことを想ってくれるだけでも嬉しい」 「ありがとう」 二人が見つめあっていると、スマホのバイブが鳴った。 画面を見ると、綾からのメッセージが表示されていた。 ―買い物が終わったから、今から帰ります― ―もうすぐ着きます― 最初のメッセージに気づかず、二つ目の一時間前に来ていたらしい。 「大変、綾がもうすぐこっちに着くって」 裸の状態で制止する二人、次の瞬間、慌てて床に散らばった服を拾い始める。 紗耶香が由美にブラジャーと洋服を着せたあと、自分の着替えに取り掛かる。 玄関の外から階段の上る乾いた音が響く。 乱れた髪を整え、平然とソファに腰を落とす。 「ただいまー」 「お、おかえりなさい」 綾がリビングに入ると、二人はぎこちない笑顔を浮かべた。 「あ、紗耶香さんこんにちは」 「お、お邪魔してます」 「ほら見て、さっき紗耶香が描いてくれたの」 綾に紗耶香が描いた油絵を見せる。 「わ、凄い。紗耶香さん絵が上手なんですね」 「ありがとう。今度綾ちゃんの絵も描いてみたいな」 「いいんですか?ぜひお願いします」 由美と紗耶香はこっそりウィンクを見せ合った。