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【6.5】淫魔に支配された女子高にTS潜入調査

「はぁ、はぁ、こんなのもう限界だ……」  水泳の授業があった日の夜。  俺は寮の外に出て周囲に誰もいないのを確認するとため息をつく。そして重要な情報が分かった時以外、普段は極力使ってはいけないと言われている端末を取り出した。  入学してからこのかた、授業内容はひどくなることはあってもましになることはない。大体は二人一組になって悠里に身体のあちこちをイかされ、時々先生(という名の淫魔)や先輩、風紀委員にもイかされる。そんな暮らしを続けるうちに身体が少しずつ変わっていくことを痛いほど実感させられている。これでは“魅了”にかからなくても近いうちにどうにかなってしまいそうだ。  それに頼みの綱である魅了対策の薬も残りわずかとなっている。そうなってしまえばもう正気をたもったままの潜入は続けられない。  俺は近くの茂みに身を隠し、もう一度周囲を確認すると主任に電話をかけた。 『もしもし』  明らかに勤務時間外だというのに、主任はすぐに電話に出る。 「お疲れ様です。こちらから連絡してしまってすみません。ですが、聖泉女子への大規模捜査はいつごろになりそうでしょうか?」 『申し訳ないわ』  普段は冷静な主任には珍しく、少し弱々しい返事だった。 『もちろん私たちも進めようとはしているんだけど、最近急に“超査”専門案件が増えて。で、調べていくとその裏にはいずれも聖泉の卒業生が絡んでいそうなのよ』 「えぇ!? 卒業生が!?」  おそらくは淫魔に魅了されたまま卒業した卒業生たちは、今のところ”超査”ではどうすることも出来ず、そのまま社会に溶け込んでいた。 『そう。恐らくだけど、敵は私たちが聖泉を調べようとしていることを掴んでいる。それで妨害しようとしているとしか思えないのよ』 「そんな……」  やはり卒業生もしっかり淫魔のために行動させられているというのか。  俺が潜入している間にそんなことが起こっていたなんて。 『あなたは正体がバレたり、監視が強くなったりした様子はない?』 「いえ、特にないですけど」  もう一度周囲を確認してみるが、人の気配はない。  それに授業でさせられる数々の性的な行為も、“怪しまれないために”頑張って行ってきた甲斐あって教室でも浮いている感じはない。まあその辺は主任には報告しづらいが。 『そう、良かったわ』 「ですが主任、例の魅了対策の薬が残り少なくなってしまって……」 『そ、そう言えばそうだった。申し訳ないわ、大事なことを忘れていて。いざとなったら一人で学校を抜け出して……』 「そ、それはだめです! ただでさえ“超査”が警戒されてるのに生徒が一人逃げ出したら、相手はさらに警戒を強めるでしょう! 最悪生徒が人質にでもとられたら……」  この学校の生徒はみな強く魅了されている。向こうはそう思っているのに急に学園を脱走するなんて、かなり怪しまれてしまうだろう。  人質作戦を避けるにはよほどうまく不意を突く必要があるはずだ。 『それもそうね。となれば最速で捜査を行った方がいいけど、準備する時間も考慮して……〇日後に行うわ』 「あ、ありがとうございます!」  向こうも様々な妨害を受けているのにこんなに迅速に動いてくださるなんて、さすが主任。 『とはいえ相手の妨害もあって万全の体制で臨める訳ではないわ。だからあなたにも手を貸して欲しいの。具体的には当日の×時ごろ……』  俺は主任の指示を懸命に記憶する。  よし、その日まで堪えれば俺はこの任務から解放されるし、この学園全員と卒業生を救うことが出来る。目標となる日時が決まったことで俺は改めて決意が固まった。 『危険だけど、淫魔さえ全員捕えてしまえば問題ないはずよ』 「分かりました。よろしくお願いします」  そう言って俺は電話を切る。  ふぅ、ついに長きに渡った潜入作戦も終わりを迎える。本当にこの期間、色々なことがあった。俺はつい、そんな感慨に浸ってしまう。  そしてそれはそのまま油断に繋がってしまった。 「止まりなさい、そこの生徒」 「っ!?」  振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。  いや、この濃厚な淫気、女性じゃなくて淫魔だ。襟元を広く開けた白いシャツからはブラが透け、黒いタイトスカートからは生足の付け根がちらちらと覗いている。名前は確か、女川だったか。 「こんな深夜に何をしていた? 門限は何時間前だと思っている」  淫魔にしては低くて少し格好いい声。学園の生徒たちには姫原や妹背とは違った人気があるらしい。  くそ、一体どうする?  普段なら捕まっても性的な懲罰を受けるだけ(もはや最近感覚が麻痺してきてしまった)で済むが、今は連絡用の端末を持っている。もし怪しまれて持ち物をあさられでもしたら大変なことになってしまう。せっかく大規模捜査が行われるというのにその直前に潜入がばれれば、最悪罠を張って一網打尽にされる可能性すらある。  そんなことには絶対させない。そのためには一番怪しまれない言い訳を考えなければならない。この学校の生徒が夜出歩いていても一番自然な理由。それは……   俺はある一つの答えを思いつく。  だが本当にこんなことを言うのか? 「ほら、早く答えろ」  くそ、他にもっといい言い訳が思いつければ良かったが、仕方ない。  今思いつく最善の言い訳はこれしかない! 「も、申し訳ありませんっ! どうしても外でオナニーしたくなってしまいまして……」  まさかこんなことを自分の口から言う日が来るなんて。  この学校に来て様々な恥ずかしいことをさせられたが、こんなことを言うのは別種の恥ずかしさがある。  が、そんな我慢の甲斐があってか、女川は納得したように、そして呆れたようにため息をつく。 「はぁ、なるほど。別に君がどんな性癖でも自由だが、門限はちゃんと守ってもらわないと」 「はい、すみません……」 「ではそんな露出好きの君への罰は、明日一日これをつけて過ごすことだ」 「えっ……」  そう言って女川が俺に渡したのはローターとそのリモコンだった。ピンク色のファンシーな外見をしているが、どう見ても立派な淫具である。 「当然リモコンは自分ではなく同室の娘に持ってもらうこと。そして絶頂は我慢するように」 「え?」  こんな淫気に満たされた学校で、すでに何度もイかされて感じやすくなったあそこが我慢出来る訳がない。  でもこれを操作するのが淫魔ではなく悠里だったら頼めば手心をくわえてくれるだろうか? 「言っておくが、反省してるとはみなさなければ罰は延長する。心しておくように」 「……はい」  こんなものを着けて一日過ごさなければならないなんて。  考えるだけで恥ずかしさで死んでしまいそうになるが、今は怪しまれないことが第一。仕方なく俺は反省している振りをしてローターを受け取るのだった。


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