XaiJu
眼鏡2号
眼鏡2号

fanbox


MOTD 8話

「アンちゃんごめん、そっちのサイドミラー確認してくれる?」

「あいよ。って、パイちゃん結構運転してなかったっけ?」


 モールの地下駐車場。

 何階までか覚えていないが、結構な階層まで広がる地下の駐車場まで降りてしまった。

 今日は何か祝日であったか。いや、カレンダーを見る限り普通の平日であるはずだが、いつもの数倍は車が所狭しと羅列しているのだ。


「うぐぐ……角の壁側は苦手なんだよな。というか人多すぎない?」

「そりゃそうでしょ! 今日は第三シェルターのそこらかしこで入社式とか行ってるじゃない! 皆家族のお祝いとか買いに来てるんだよ」

「あ、そっか。お姉ちゃんやミカンさんだけじゃなかったんだね。そっかー」

「おっとパイちゃん、これじゃあ私が出られないよ。ほらもう一度前進して!」

「うぐぐ……」


 ともかく全力で駐車するのみである。


「おしおっけーっ! 運転お疲れ様!」

「はぁー……角じゃなければ」


ーー

ーー


 ショッピングモール。

 そこは夢と希望で溢れるエンターテイメントのオアシス。左を向けば肉屋が広がり、右を向けば魚屋が広がり、後ろを振り向けばなんともおしゃれなオムライス屋さん。正面には甘美の結晶ソフトクリーム。あぁ、私は一体どこに歩みを薦めればいいのだろう。


「食べ物ばっかじゃん」

「集会する?」

「そんなに食べるの!?」

「うそうそうーそっ! 夜食べられなくなっちゃうもんね! そういえばさ、アンちゃんキャンプグッズ探してなかったっけ? ナイフとかその他諸々」

「ナイフメインに探してる訳じゃないからね? ほら、この前行った河川キャンプ場で魚釣ったじゃん。あれ、捌けたらかっこいいかなって」

「ああ、結局ミカンさんが綺麗に捌いて焼いて食べたやつね」


 あれは確かアンが最初張り切って調理するとはしゃいでたな。

 結局鱗とか内蔵とかネットで見ても上手くいかなくて、最終的にミカンさんに泣きついてたんだっけ。

 ぷぷぷ、私は料理も出来ないんだって非常に落ち込んでいた姿が可愛かったのは内緒なのである。


「でもなんでいきなり魚捌いてみたいって言ったの? 年頃の女子の欲求じゃないよ?」

「わーっ分かってるよ!」


 何故か赤面してる。

 まさか我が姉の前で恰好付ける為か!? お姉ちゃんは渡さんぞ!!


「ほら……パイちゃん、休み前に言ってたじゃん。現地サバイバル出来るのかっこいいよねってさ。私も出来てかっこつけようと……思ってさっ!」


 なんと、彼女は私を狙いに来ていたということか。

 ふむ、この世界はパートナー制度が存在する。誰かを愛したり、好きになったりする気持ちを形にした制度だ。

 確か世界がこうなる前は「婚姻」という呼び名が存在していた。あなたと寄り添い、人生が終わるその時までずっと共に歩みますと誓いを立てるのだ。

 

「私と婚姻したいってことかね?」

「へ? 婚姻? なにそれ?」

「いや知らないならいいんだよっと。まぁ頑張って恰好を付けた前!」


 正直、アンちゃんだったらパートナーになるのは願っても無い展開だ。というか小さい頃からずっと一緒だったから最早家族同然。だからか正面切って気持ちを伝えるのは赤面もの。もう少し年を重ねてからでもよいとは思わないかね。


「まぁその言葉は分からないけど、とにかくキャンプグッズが欲しいの! 行こーよ」


















More Creators