さぁ何を描くかもはっきりしましたし、画面の組み立て方もわかりました。今度こそ実際にネームを組み立てていきましょう!まずは改めて文字起こししたネームを確認しましょう。
とにかく最初は深く考えず、この書き出した内容の通りに画面を組み立てていきます。それでは最初にネーム台紙を用意しましょう。私はこんな風なものを使っています。
今はデジタルですが、紙に描いていた時はB5を4つ折りにして描いていました。デジタルでのサイズもそれに合わせています。こうしている理由は「見開き」と「前後関係」を把握するためです。中には8つぐらいに区切ってやっている方もいらっしゃいますので、この辺も人それぞれですね。それでも最低見開きで確認できるようにしておいた方がいいと思います。それでは絵の配置を決めていきましょう。
最初のページは左側から始まるので右上は空白です。書き起こしたネームに合わせて配置をざっくりとイメージしていきます。ここで改めて画面を組み立てする上での基本を確認しておきましょう。
・ページのメインは「見せゴマ」
・その他のコマはメインを引き立てる「補足ゴマ」
・視線の動きとグループ
加えてもう一つ注意しておくべき点が、なるべく「見せゴマをノド側に持ってこない」ことです。ノドというのは本になった時の内側に入っちゃう部分です。上の画像でいうと中心の線の部分になります。せっかく大きく見せたい絵を内側にもっていくのは単純にもったいないという意味合いが強いです。まぁ最近は電子書籍も一般的になってきて、今描いている漫画も電子のみでの公開になるので、正直最近ではあまり気にしなくてもいいような気がしてます。様式美程度に思ってください。
以上の点を踏まえ絵を入れていったのがこちらになります。
この時点でセリフもなんとなくイメージしながら絵をいれています。どうでしょう?なんとなく描きたいものは伝わっているでしょうか?作家さんによっては下書きレベルの絵を入れる方もいらっしゃるようですが、リテイクを喰らった時の精神的キツさを回避するために私の場合はこのくらい雑に描きます。最悪自分さえわかればいいという感じです。こんな感じですべてに絵を入れたのがこちらです。
かなり見にくいですが、見せゴマと視線イメージを描きこませていただきました。大体基本ルールには沿っていると思います。1ページずつ解説できればいいのですが、それをやるととんでもないことになりそうですので、今回はさらに一歩踏み込んだ部分を二つほど解説していきます。
先ほど挙げたのはあくまで基本ルールです。上記のルールを守れば読みやすいページ構成は作れると思います。しかし漫画は複数ページで構成されています。今度はページ間の繋がり、ギミックのようなものを解説します。それが「引き」と「めくり」です。
引きは、言ってしまえばテレビでいう「答えはCMの後」というやつです。漫画はめくれば答えがあるのでテレビほどイライラしないと思いますが、やりすぎるとテレビ同様読者が離れていきます。
めくりは、ページをめくった先のことです。これ自体はギミックというより、常に起こる動作なので、それを活かすテクニックを説明する感じになります。ただ基本としてページをめくると頭がリセットされるので、大きなシーン転換などはこの「めくり」を挟むことで読みやすい構成にしやすいです。それ以外にもめくってすぐ目に飛び込んでくるような見せゴマをセッティングすることで、より大きな驚きなどの効果を与えることができます。
それでは実際に画像を見ながらどんなものか見ていきましょう。
ネームだと少しわかりにくいので、媚酒の方を引用してます。ついでに100円プラン以上の方はいつでも読めますので最後にリンクを貼っておきます。
上の画像は漫画の導入部分です。酔った女の子がふらついて足がもつれて、それに驚いた男の顔でページが終わっています。ちょっとしたことですが、たとえ次の展開がわかっていたとしても、確認せずにはいられないのが人間の性です。もしかしたら次の瞬間トラックが突っ込んできて異世界転生するかもしれません。めくってみるまで分からない以上確認せずにはいられないでしょう。
そしてめくった次の見開きの最後も明確な引きがあります。自分に自信のない女の子が酔いとちょっとしたアクシデントに当てられて誘ってきます。どう考えてもめくった先はスケベ展開です。ですがまだこのムード抜群の二人にトラックが突っ込んできて異世界転生する可能性は残っています。それならページをめくらざるを得ないでしょう。
これらが「引き」というギミックです。描く時は次のシーンを常に意識して期待感を持たせることが大事です。今度は「めくり」を説明していきましょう。
先ほどのページの続きです。前ページでスケベ感を出しながらシーンを終え、場面が大きく変わっています。こうした大きな場面転換を違和感なく実行できるのが「めくり」の効果です。さらに見せゴマではないですが、いきなりディープキスで始めることで前ページの引きで興奮した男のガチさを演出するための効果も狙っています。こうしてめくった先でちょっと衝撃的なシーンをいれることで、展開にもメリハリがつけられるので、ページをめくった先「めくり」というのも常に意識するといいでしょう。
でもよくみると、見せゴマがノド側で、肝心のディープキスのコマが小さすぎるのでガチのディープキスを大ゴマで見せる方がよかったような気もします。ただあまりにもガチで誘いはしたけど戸惑ってる雰囲気を出したかったというのもあるので、これはこれでよかったのかと思います。結局のところ何が正解だったかわからないというのも漫画の難しいところではあります。
次は描いたネームを見ながら「引き」と「めくり」をどのように意識しているか説明していこうと思ったのですが一度ここで区切り、次回の「セリフ入れと調整」で合わせて説明していこうと思います。
一度ネームも描き切ってから後追いで思考しているのですが、改めてというかネーム作業は思った以上に考える事が多いです。正直全然解説しきれていない部分が多い上に、どんどんわかりにくくなっていくかも知れませんが、まだまだお付き合いいただけると嬉しいです。
ついでにこの漫画かなり引きとめくりでの場面転換が丁寧です。といっても単ページであげてしまったので、せっかくなので見開きで上げ直してみます。是非見開き単位でご覧ください。