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メイド服女装探偵・原田悠斗の樹脂固め調査 前編

この作品は『女装少年探偵・原田悠人の事件簿』 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3514366 および『セーラー服女装探偵・原田悠斗の事件簿』 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23796943 の続編です。 Gumi11号さんのイラスト https://www.pixiv.net/artworks/131683525 がすごくよかったので、どうしても書きたくなりました。  なお、この作品はフィクションで、実在する人物や団体とは関係ないことはもちろん、そもそも架空の世界のお話であることは言うまでもない。  それでは、メイド服女装探偵・原田悠斗の健闘を祈る。 前編  閑静な住宅地に建つ、一軒の家がある。  玄関には『柚木』の表札。ドアに貼られた2枚のプレートには『柚木法律事務所』と『原田探偵事務所』の文字。  その柚木邸兼柚木法律事務所兼原田探偵事務所で――。 「はぁ……」  メイド服女装探偵、お手柄。窮地に陥りながらも事件を解決。  その見出しがつけられた地元新聞の記事から顔を上げ、メイド服姿の女装探偵・原田悠斗《はらだ ゆうと》がため息をついた。 「ほうほう、今回は、あたしの活躍もきちんと書かれてるね」  悠斗の肩に顎を乗せて紙面を覗き込み、上機嫌で声をかけたお揃いのメイド服を着た娘は柚木稟《ゆずき りん》。  メイド服女装探偵・原田悠斗の幼なじみにして、助手兼救出係。そして悠斗と秘密の関係――もっとも、ふたりの関係を隠しおおせていると思っているのは悠斗だけだが――にある、実戦空手の達人である。 「それにしても、すっかり『メイド服女装探偵』の肩書きが定着したねえ」  他人ごとのようにつぶやく稟だが、それは彼女のせいだ。  かつて『女装少年探偵』だった悠斗の肩書きは、悪の組織の女帝レディーX(悠斗命名)の事件を経て、『完堕ち色狂い淫乱変態露出マゾ奴隷女装少年探偵』になった。  それから恥ずかしい肩書きがひとつひとつ外れ、いったん『セーラー服女装探偵』に落ち着いた。  ところが、レディーXの後継者たるティーチャーY(本人自称)が登場したことをきっかけに、『セーラー服女装拘束公開射精マゾ探偵』になってしまった。 「その肩書きは、ちょっと嫌だ」 「あ、『ちょっと』なんだ」 「いや、かなり嫌だ」 「じゃあ、今日からコレ着る?」  そう言って稟が取り出してきたのが、悠斗が着ているメイド服だった。  それ以来、街の変態――いや有名探偵の肩書きは、メイド服女装探偵となっていた。 「ともあれ、気になるのは、このところティーチャーYが鳴りを潜めていることだ」 「そうねえ……でも、悠斗の新しい肩書きも定着したし、そろそろ動き出す気はするのよねえ」 「なんだって? 根拠は?」 「勘」 「勘かぁ……」  とはいえ、常に本能のおもむくまま行動する稟の勘は、あてにはできないが、馬鹿にもできない。 「勘、かぁ……」  もう一度つぶやいて、悠斗はきれいに新聞をたたんで立ち上がり、メイドらしく家事に取りかかるのだった。 「うーん……」  悠斗が探偵であることを忘れ、メイドらしく家事に没頭している頃、稟の姉にして新進の若手弁護士――もっとも、いまだレディーXに囚われたままという設定のせいで、弁護士業は休業状態だが――柚木藍《ゆずき らん》は、愛用のノートPCの画面を見ながら唸っていた。 「最近の作品のなかでは、最高の売り上げを達成したけれど……」  それは、どことなく藍に似ているティーチャーYがセーラー服女装探偵を捕らえて拘束し、淫らにいやらしく責め抜き、セーラー服女装拘束公開射精マゾ探偵に堕とす光景を撮影した動画のことである。  その行為を複数のカメラで詳細に記録した動画は、レディーXの組織が撤退して以降では、最高のダウンロード数を稼いだ。  それで、昨年度の収入に基づき算出された税金や社会保険料、柚木邸兼柚木法律事務所兼原田探偵事務所の住宅ローンを支払ってもなお、藍の手元には多額の資金が残った。  とはいえ、かつてレディーXがプロデュースし、自ら出演した伝説の動画には及んでいない。 「その理由は、きっと……」  ホンモノの悪の組織の女帝だったレディーXと違い、ティーチャーYの正体が柚木藍――もとい、謎の一般女性だからである。  それゆえ、レディーXがいた頃のような、大がかりでハイテクな拘束装置が用意できなかった。人目を引く奇想天外な演出も不可能だった。 「でも……だけれども……」  高額な航空便で海外から送られてきた荷物を見て、藍は唇の端を吊り上げた。 「これがあれば、かつてのようなド派手な動画が撮れる」  そう言ってほくそ笑み、藍はレディーXからティーチャーY宛てに送られてきた、それの梱包を解いた。  メイド服姿の悠斗が、カリカリに焼いたベーコンとサニーサイドアップの卵、トーストにサラダを食卓に並べ終わったところで、稟がダイニングルームに駆け込んできた。 「ゆ、ゆ、ゆ、悠斗ぉおッ!」 「な、なんだよ?」 「み、み、み、見てぇえッ!」  珍しく――いや、珍しくもないか――取り乱した稟が、手にしたスマホの画面を見せる。  するとそこには、コンクリート打ちっぱなしの壁を背景に、後手に縛りあげられ、ストラップで時限爆弾を身体に固定された柚木藍の姿が映し出されていた。  そして、画像が添付されて送られてきたメールの本文は。 『柚木藍の命が惜しくば、別に送るメイド服を原田悠斗に着させて、指示されたとおりにひとりで行動させろ。彼がクエストの前半を達成できれば、自動的に時限爆弾のタイマーは停止する。すべてのクエストを終えれば、柚木藍は解放される。ティーチャーYより』  その文章を2回読んで悠斗が顔を上げると、稟と目が合った。 「悠斗、これは……」 「ああ、レディーXの後継者にして、新たなる敵・ティーチャーYからの挑戦状だ」  そして、ふたりが言い合った直後、柚木邸兼柚木法律事務所兼原田探偵事務所のインターホンが、呑気な電子音で来客を告げた。 「まさか送り主、ティーチャーYの住所まで書いてあるとは……これは罠か、はたまた俺たちを舐めているのか……」  宅配業者によって届けられた箱に貼られた送り状を見て、悠斗がつぶやく。  そこで、稟が箱から中身を取り出した。 「うわー、見て見て」  稟が両手でつまみあげたそれは、ラバーともPVCともとれない謎の素材で作られた、スカートと全頭マスクつきの、グローブおよびソックス一体のキャットスーツ。  顔と手のひらの部分は透明。メイドの頭飾り、ホワイトブリムつき頭のフードは白。脚はタイツを履いたような黒。膝から下のブーツ部分と、胴体の白いエプロンを装着したワンピースのような部分は緑がかった青に色分けされて、ワンピースの胸元とブーツ、背中に赤いリボンの飾りがついている。  見ようと思えばメイド服に見えなくもないそれを受け取ると、樹脂製ファスナーの開口部があるそれのうなじ部分に、小さな押しボタン式のスイッチが設えられていた。 「説明書も入ってたよ。なになに……有名な世界的化学メーカーが開発した新素材で、服や下着を全部脱いでから着て、そのスイッチを押せばいいだけみたい」 「いや、待て、なんか怪しいぞ。股間と胸、それに口や耳にあたる部分に、変な装着が取りつけられている。レディーXの後継者たるティーチャーYが送りつけてきたものだ。ろくでもないシロモノに違いない」  そう言って尻込みする悠斗。 「でも、悠斗には着ないという選択肢はないんだよ?」  しかし稟に言われると、着用を拒むことはできなかった。  この奇妙《ビザール》なメイド服を着て、言われたとおりにクエストを達成しなければ、藍の命はない。  的外れな推理が得意な女装Mの悠斗だが、探偵としての正義感だけは持ち合わせている。 「くッ……」  口惜しげに唇を噛み、それでいて、なにかに期待しているように頬を朱に染め、着ているメイド服に手をかける。  すると、稟が悠斗の手を止めさせた。 「ティーチャーYのクエストは、きっとつらくて長いものになるわ。開始する前に、朝食を摂っておこうよ」  そして、そう言った直後、稟のお腹がグーと鳴った。  稟とふたりで朝食を摂り、片づけもそこそこに、稟の手を借りて特殊素材のメイド服的キャットスーツを身につける。  するとそれは、背中の樹脂製ファスナーを閉じられてもブカブカだった。 「なんか、内側がヌルヌルして気持ち悪いし、わりと重い。それに、あまりカッコよくないなぁ……」  着心地や重さはともかく、この際カッコいいかどうかは関係ない気がするが、セーラー服を着ていた頃も、現在のメイド服でも、着こなしは大切にしている悠斗である。 「スイッチを押すと、ピッタリのピッチリになるって書いてるよ」 「ああ、そういう技術、実用化されたんだ」 「有名な世界的化学メーカーの新素材だからねー」  言い合いながら全頭マスク部分も被らされ、ファスナーを閉じられる。 「ええとね……まず顔の部分の位置調整ね。口の装置を咥えて、鼻の短いチューブを鼻孔に挿入する。コレ、呼吸の確保に大事みたいよ。それから、耳の装着も位置を合わせてね」  説明書を読みあげた言葉に従うと、稟がそれをテーブルの上に置いた。 「身体の装置の位置調整は、あたしに任せて」  そう言うと、まず胸のふたつの装置を、乳首の位置に合わされた。 「次はお股ね」  しゃがみ込んだ稟の手で、ペニスに筒を被され、後ろの窄まりに細い棒を挿入された。  細いとはいえ、悠斗の肛門が棒をあっさり受け入れたのは、彼のそこが挿入に馴らされているから。加えて、稟が悠斗への挿入に慣れているから。 「ん、ぅん……」  あまくうめいて悠斗がお尻に棒を受け入れると、立ち上がった稟が声をかける。 「姿勢を正して、お屋敷のメイドさんがするように、お腹のあたりに手を置いて」  その言葉にも従うと、稟がうなじのスイッチを押した。 「ぉうお(ちょっと)、あっえ(待って)……)  口の装置を咥えたまま声をあげかけたところで、スーツ全体が収縮した。 「んっうッ!?」  新素材がピチッと肌に張りつき、軽く締めつけてきたことに驚くと、また稟の声。 「姿勢を崩さないで。そのまま固まっちゃうよ」 「ぅえ(えっ)?」  固まるとはどういうことなのか。  そう言い終える前に、スーツが硬化しながら厚みを増していく。  メイド服のような胴体。  股間を覆うショーツのような箇所を含めて、ガッチリ固めながら厚みが2センチほどに。同じくらいの厚みになりながら、半透明のスカート部分がパニエを穿いたように膨らむ。  胸元とブーツ、背中のリボンも、カチカチになる。 「うわっ、すごい! 樹脂製ファスナーがスーツ本体と一体化して、まったく見えなくなったよ。コレ、もう脱げないんじゃないかなぁ」  呑気に恐ろしいことを言う稟の声を聞きながら、肩から腕。  手のひらの部分がスカートに接着されると同時に、肩がパフスリープの形に。  首と頭、顔。  厚みは胴体部分よりほんの少し薄そうだが、硬化とともにまったく動かせなくなる。  ハイヒールのロングブーツ。  胴体部分並みにぶ厚くなりながら、やはりカチカチに硬化。  その一方で、太ももから膝にかけては硬化せず、厚みはかえって薄くなり、光沢剤を塗り込めたラバーのような質感に。  そして、メイド服形スーツの変化は、それで終わりではなかった。  まずは顔。  耳の部分の装置から、耳穴に樹脂の突起が侵入してくる。音が聞こえなくなったのは、耳栓をされたことに加え、装置全体が防音イヤーマフになっているのだろう。  透明樹脂がぶ厚いせいで少し歪んだ視界のなかで稟の口が動いていたが、なにを言っているのかは聞き取れなかった。  口。咥えた装置が口中に伸びてきて、口腔を占拠するのみならず、喉奥を通過してさらに奥に入り込んでくる。  鼻孔に入り込んで固まったチューブ状の樹脂が呼吸を確保しているように、もしかしたら水分補給の役割を担っているのかもしれない。  ともあれ、樹脂の突起に口中を占拠され、喋れなくされたところで、胴体部分でも変化が始まった。  胸のふたつの装置が、乳首を捕らえて吸いつく。  ウィン。  かすかなモーターの振動とともに、シリコーンゴムのような柔らかいブラシが回転。乳首をいやらしく撫でた。  とはいえ、それは動作確認だったのだろう。一瞬ゾクリと妖しい感覚が駆け抜けると、すぐ回転は止まった。  それから、股間。  外側は硬化しながらも、内部は軟質なままだったペニスの筒が、ブルブルと振動。同時に睾丸を包む部分が、サワサワと撫でるように蠢く。  その刺激で否応なく勃起させられたペニスの先端、亀頭の部分を優しく撫でられ。 「……ッ!?」  ぶ厚い透明樹脂の奥で目を剥き、音にならない艶声をあげたところで、ペニスの装置が動作確認を終えた。  そこで、肛門に侵入した細い棒が、膨張していることにも気づく。  太く、長く。中に入ったところ数センチの位置にある前立腺に当たるように、途中で凸凹を成形しながら、周囲より太く。  それもブルッと震えて動作確認をしたところで、耳の中で電気的に合成されたような音声が聞こえた。 「樹脂固めメイド服の硬化が終了しました。このメイド服に使用された特殊樹脂は、きわめて高い硬度と衝撃吸収性が確保されており、不測の事態が訪れても、着用者の身体は保護されます」  耳穴に侵入してきた耳栓が、イヤホンを兼ねていたのだと察するあいだも、音声は続く。 「また、脈拍や呼吸数をはじめ、被装着者の身体データは常にモニターされており、そのときの状態に応じて対応が変化する場合があります。それでは、クエストを開始する前に、ティーチャーYからの指示の方法を説明します」  そう告げられた直後、屹立したペニスを包む筒の竿の部分が、ブルブルと振動した。 「これが、前に進めの合図です」  次に、肛門にをこじ開けて占拠する棒――膨張し、いやらしい形状になったそれは、アナルディルドと表現すべきだろう――が振動する。 「これが、止まれの合図」  さらに、乳首の装置。 「右が動いたら、右に曲がれ。左が起動すれば、左に曲がれ。乳首の装置が、向かう方向を指示します。そして……」 「……ッ!?!?」  音声の途中で、すべての装置がいっせいに起動した。  ウィン、ウィン……。  軟質のブラシが、乳首をいやらしく擦る。  ヴヴヴヴヴ……。  ペニスの竿の部分が、激しく振動する。  ズッ、ズッ……。  睾丸が優しく揉まれる。  キュル、キュル……。  亀頭が艶めかしく擦られる。  ヴィイイイ……。  アナルディルドが振動し、開発済みの肛門と前立腺が刺激される。  とはいえ、すべての装置が強く動いたのは一瞬。 「……ッ! ……ッッ!」  悠斗が音にならない声で絶叫すると、すべての装置が止まり、音声が再開された。 「クエストに失敗したり、指示に従わない場合は、ペナルティとして、このようにすべての装置がいっせいに最強で起動します。それでは、クエストの開始です。まずは、玄関から家を出てください」  そして、カウントダウンが始まった。 (これは……)  カウントダウンが終わるまでに家を出ないと、クエスト失敗、あるいは指示に背いたとみなされるのだろう。 (くッ……)  樹脂固めメイド服の着用前、稟と打ち合わせしなかったことを悔いてもあとの祭り。 (でも……)  稟ならば、適切に動いてくれる。  自らの迂闊さを棚に上げ、稟が自分より呑気かつ行動が的外れであることも忘れ、迂闊にも助手兼救出係を信じて、悠斗は玄関に向かって動き始めた。 「うーん、どうしよっかなぁ……」  ヨチヨチと歩きながら玄関に向かっていく悠斗の背中を見ながら、稟は呑気につぶやいた。 「ホントは、ついていって見守りたいところだけれど……」  いや、ほんとうは見守りたいだけではない。 『樹脂固めメイド服の硬化が終了しました。このメイド服に使用された特殊樹脂は、きわめて高い硬度と衝撃吸収性が確保されており、不測の事態が訪れても、着用者の身体は保護されます』 『また、脈拍や呼吸数をはじめ、被装着者の身体データは常にモニターされており、そのときの状態に応じて対応が変化する場合があります』  悠斗の耳栓兼イヤホンから流れた音声と同じ内容の一文は、稟が目を通した説明書にも書かれていた。 「あの樹脂固めメイド服、クルマに轢かれても大丈夫そうなくらい硬そうだし……」  たぶん、見守る必要はない。  とはいえ、ティーチャーYが悠斗に課すクエストは、ろくでもないものに違いない。  クエストの名を借り、悠斗が淫らに責め苛まれるさまは、つぶさに見たい。 「でも……」  ティーチャーYはきっと、クエストに挑む悠斗を監視している。 「もし……」  あとを尾《つ》ける稟の姿を見られたら、彼にひとりで行動させろという指示に背いたとして、クエストが強制終了になるかもしれない。 「だとしたら、せめて……」  悠斗がクエストの前半を達成し、時限爆弾のタイマーが停止するまでは、彼に接近しないほうがいい。 「じゃあ、あたしはどうすれば……」  いいのかと考えたとき、送り主の住所が書かれた送り状が目に止まった。 「とりあえず、この近くに行って見張ってみるか」  馬鹿にはできないが、あてにもできない自らの勘を頼りにそう決めて、悠斗に続いて稟も家を出た。  柚木邸兼柚木法律事務所兼原田探偵事務所の玄関を出る。  カッ、カッ……。  カチカチに硬化した特殊樹脂製ロングブーツの高い踵が、玄関ポーチの安物のタイルを叩く。  歩きにくい。  セーラー服女装探偵と呼ばれていた頃に履いていたローファーも、メイド服女装探偵になってからのストラップシューズも、ローヒールのラバーソールだった。  対して今のロングブーツは10センチ以上のハイヒールで、しかも靴底も硬い樹脂製で滑りやすい。  おまけに上半身は姿勢を正した状態でガッチリ固められ、顔を下に向けて足元を確認することすら不可能。  そんな状態で慎重にポーチを下り、家の前の道に出たところで、亀頭部分を除いたすべての装置が起動した。 「……ッ!?」  驚き、音にならない声をあげるが、装置の動きは弱い。  乳首も、ペニスの竿部分も、アナルも、ユルユルと刺激されているだけ。 (で、でも……)  緩い刺激でも、レディーXとティーチャーYの陰謀で、また稟による日々の調教により、開発されつくした肉体は反応してしまう。  生まれる快感に、ペニスをいっそう硬くさせてしまう。  もちろん、ペニスは樹脂の筒の中。ディルドを挿入固定された肛門は、ショーツ部分の奥。責められるそこを、直接見られる心配はない。  ただし、パニエを穿いたように膨らんだスカートは半透明。ペニスを包む筒も、ショーツから突き出たアナルディルドの底部も、近づけばスカートごしに確認できる。  乳首を捉える装置もドーム状に膨らんでいるから、見る者が見れば、なにをされているかわかってしまうだろう。  そう察した悠斗が動けずにいると、ペニスの装置が振動を強めた。  前進の合図だ。  指示に従わないでいると、ペナルティとしてすべての装置が最強で動きだす。  そうなると、もう歩くことはできないだろう。歩行はおろか、立っていることすら不可能に違いない。  ほんの一瞬、すべての装置がいっせいに最強で動いただけで、目を剥いて叫んでしまった悠斗にはわかる。  そう考えてヨチヨチと歩きだすと、ペニスに与えられる振動は、元の緩いものに戻った。  ウィン……ウィン……。  間欠的に、軟らかいブラシが乳首を擦る。  ヴヴヴヴヴ……。  弱い振動が、ペニスの竿を緩く刺激する。  ズッ……ズッ……。  睾丸は揉まれるというより、撫でられる程度。  亀頭を責められないのは、そこだけは軽い責めでも刺激が強すぎるからだろう。  ヴィィィィ……。  アナルディルドの振動も、妖しい感覚を生む程度。  とはいえ、ペニスが硬度を失わない程度の刺激は、常に与えられる。  悠斗を蕩けさせようと、緩い快感がさざ波のようにずっと続く。 (こ、こんな状態で、表を歩かせるなんて……)  ティーチャーY、なんと非情な敵なのだろう。  そもそも、樹脂固めメイド服姿で外に出ること自体が、恥辱以外の何者でもないのに。  絶えず快感に襲われながら、快楽責めを課されていると知られながら、悠斗は住宅街の道を進む。  カッ、カッ……。  できるだけ目立ちたくないのに、ロングブーツの硬い踵が、音をたててアスファルトを叩く。  通勤通学時間のピークが過ぎ、人通りが少なくなっているのが、せめてもの救い――。  そこで、道沿いの家から、ひとりの婦人が出てきた。  ふだん、顔を合わせたら、お互い笑顔で挨拶を交わす女性が、樹脂固めメイド服姿の悠斗を見て、表情をこわばらせて固まった。  つまり今の悠斗は、彼女がそんな反応を示してしまうほどの、醜態を晒している。  そうと自覚させられながらも、立ち止まるわけにはいかない。  硬い樹脂のメイド服に閉じ込められ――いや、ほんとうは『服』ではない。  厚みを増しながら硬化、着脱用ファスナーを飲み込んで一体化して脱げないそれは、上半身をガチガチに固めて自由を奪う拘束具だ。  その頭部は、言葉を奪う箝口具であり、鼻孔に挿入された樹脂製チューブ経由でしか空気を取り込めなくする呼吸制限具であり、聴覚を支配する感覚遮断具だ。  そして同時に、悠斗の乳首とペニス、睾丸とアナルを、絶えず苛め続ける責め具でもある。  カッ、カッ……。  樹脂固めメイド服という名の、拘束具にして箝口具、呼吸制限具や感覚遮断具、責め具でもある個人牢獄に囚われたまま、悠斗は踵を鳴らしてヨチヨチと歩く。いや、歩かされる。  クルマや人通りの多い表通りとの交差点まで来たところで、左側の乳首が、装置で強く擦られた。  左に曲がれの合図だ。  その先は繁華街で、向かえばよりいっそうの恥を晒すことになる。 (で、でも……)  指示に従わないという選択肢は、悠斗にはなかった。  そうしないと、すべての装置が出力MAXで起動してしまうから。  加えて、クエストの前半をクリアしないと、藍の身体に取りつけられた時限爆弾のタイマーは止まらない。すべてのクエストを終えないと、藍は解放されない。  カッ、カッ……。  ロングブーツの踵を鳴らし、悠斗は歩き続ける。  そこで、聴覚が回復した。、  表通りに出たことで、聴覚を遮断したままだと危険だと判断されたのか。それで、装置に仕込まれたマイクが拾った音を、耳栓兼用イヤホンを介して聞かされているのかもしれない。  悠斗がそう考えるあいだも、淫らな装置は緩く動き続けていた。  ウィン……ウィン……。  ヴヴヴヴヴ……。  ズッ……ズッ……。  ヴィィィィ……。  身体各所に取りつけられた機械が、メイド服女装探偵の性感帯をユルユルと、だが休むことなく責め苛む。 「ひっ……」  前から歩いてきた学生ふうの若い女性が、悠斗の姿を見、おののいて短く悲鳴をあげた。 「ねえ、あれ……」 「うん、メイド服女装探偵の、ええと……」 「悠斗、原田悠斗だよ」  別の女子学生が、憐れでみじめな犠牲者の正体に気づいた。  そこで、悠斗はハッとした。  聴覚が回復したのは、危険を防ぐためではない。  そもそも、樹脂固めメイド服は高い硬度と衝撃吸収性を兼ね備え、装着者たる悠斗の防御力は上がっている。  表通りに出たところで聴覚が戻されたのは、メイド服女装探偵の醜態を揶揄する通行人の声を聞かせるためだ。  そうと察したところで、お腹の前で揃えて固められた手では、耳を塞ぐことはできない。  慣れないハイヒールブーツのせいで、早足で通り過ぎることも不可能。  道を逸れて逃げ出せば、指示に逆らったとみなされる。  どうすることもできず、ただ恥を晒して歩き続ける。  カッ、カッ……。  ハイヒールロングブーツの踵の音をたて。 「……ッ、……ッ」  鼻孔に挿入された樹脂製チューブの呼吸孔から、熱い吐息を漏らし。  カッ、カッ……。  通行人の視線を浴びながら、ヨチヨチと歩く。 「……ッ、……ッ」  緩くいやらしく責められる身体が熱い。 「……ッ……ッ……ッ」  責められながら歩かされることで、少しずつ呼吸が速くなる。  苦しい。  だが、喉奥よりさらに奥まで到達する樹脂塊のせいで、口呼吸はできない。  加えて、鼻の樹脂製チューブの内径は、悠斗の鼻孔よりずっと小さい。  苦しい、苦しい。  ユルユルと続く快感と息苦しさを抱えながら、繁華街に近づいていく。  人もクルマも多い交差点の手前で、アナルディルドの振動が強くなった。  止まれの合図だ。  それで立ち止まったところで、耳の装置から合成された声が流れた。 「クエスト前半の課題、『等身大メイドフィギュアを体験せよ』を行ないます」  つまり、それをクリアすれば、藍の身体にしかけられた時限爆弾のタイマーは止まる。  快感と息苦しさに苛まれながら悠斗がそう考えたとき、左の乳首の装置が回転を強め、左手の商業施設に入るよう指示された。  メイドフィギュア体験とは、いったい何なのか。  わからないまま、ペニスへの振動に誘《いざな》われ、建物に入る。  すると、ときどきイベントが行なわれているエスカレーター横のスペースに、大型の樹脂製のフィギュア用スタンドが設えられていた。  そして、そのスタンドの背後には、『メイド服女装探偵・原田悠斗の等身大フィギュア』と書かれた看板が立てられている。 (つ、つまり……)  メイドフィギュア体験とは、悠斗自身が等身大フィギュアとして展示されることだったのだ。  そう理解したところで、耳栓兼用イヤホンから音声。 「フィギュアスタンドの台座に立ち、ホルダーに背中を当ててください」  その指示に従うと、U字形のホルダーが樹脂固めメイド服に接続された。 「足の位置を、台座の印に合わせてください」  言われて脚を開いて靴底を印に合わせると、ロングブーツの踵が台座にホールドされた。  それでフィギュアスタンドに固定されたところで、再び耳の中に合成音声。 「それでは、メイドフィギュアとして展示されてください。規定の時間がくれば、クエスト達成です。あなたは自動的に解放され、クエストは後半に移行します」  その直後、これまでユルユルとしたものだった淫らな装置の動きが、1段階強くなった。

メイド服女装探偵・原田悠斗の樹脂固め調査 前編

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