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ビザール・ボンデージ・トレーニング

「ねえ、BBTしない?」  明日から春の大型連休の後半という日の夜、私、依田菜月《いだ なつき》に、卯野布由美《うの ふゆみ》さんが突然告げた。  布由美さんは、私が就職した会社で、指導係を務めてくれている先輩社員である。 「バーベキューをやるんですか?」 「それは、BBQだね」 「ベーコン・レタス・トマト……」 「それは、BLTサンド」 「じゃあ、大昔に使われていた殺虫剤?」 「それは、DDT。だんだん離れていくね。てか、ずいぶん古いものを知ってるね?」  新人の私が指導係の先輩社員とそんな軽口を言い合えるのは、布由美さんがもともと、学生時代からの先輩だったからである。  いや、布由美さんはただの先輩などではない。  彼女は私にとって初めての、そしてたぶん、いやきっと最後の恋人なのだ。今の会社に就職したのも、布由美さんがいたからにほかならない。  そんな布由美さんが、瞳を妖しく輝かせ、あらためて口を開く。 「BBTは、ビザール・ボンデージ・トレーニングの略だよ」 「ビ、ビザ……?」 「直訳すると、奇妙な・拘束・調教」 「ああ……」  言われて、私は蕩けた。  それは私がすでに、布由美さんの調教を受けているから。  今も、私は彼女が用意した装具を身につけている。  それは、布由美さんに対する従順の証たるコルセットと、貞節をあきらかにするための貞操帯。さらに、身も心も永遠に彼女のものであるとの誓い、乳首ピアス。 「うふふ……もちろん、嫌とは言わないわね?」  布由美さんの言葉に、貞操帯で封印されたオンナの場所を熱くしながら、私はコクンとうなずいた。

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