「やぁ人間さんたち、あけましておめでとう!!」
新年早々突如現れた悪魔。巨神アネモネ。
正月にはあまりにも相応しくない災厄の使者が、人間達に今年一年も最悪の年になることを告げようとしていた。
「なんかさ~ここ最近人間のこと色々調べてたんだけど、この国では新年になると“おとしだま”ってのを配るみたいだね」
巨大な半魚人は愉快そうに、そして少々悪い顔を見せながら人間達に話しかける。
アネモネは地球とそこに住むすべての生物を愛している。特に人間は大好きで、その文化を独学で勉強するくらいである。
ただ残念ながらその“好き”の方向性は性的に喰う意味での好きという意味合いが強く、人間からしたら彼はただの虐殺者でしかなかった。
「せっかくだから僕もみんなに“おとしだま”をプレゼントしてあげようと思ってね。ほら見てよこのでかいきんのたま。これを今からこの町に落としちゃいまーす!」
町の上に晒された超巨大睾丸。その大きさは直径1㎞はある。そんなものが降り下ろされれば、いったいどれほどの被害がでるか想像もできない。
「今年もよろしくね!!!」
挨拶と同時に助走をつけ、思い切り腰を下ろす。地面に叩きつけられた巨大睾丸は一瞬で高層ビル群をまとめてスクラップにし、その下の地盤を砕き、極大の大地震を巻き起こした。
それは隕石が衝突したと言っても過言ではないほどの衝撃で、睾丸メテオ爆心地を中心に半径数十㎞以内にあるすべての物を粉々に破壊するほどの威力があった。
「あぁ~おとしだまめっちゃ楽しい~!!新年早々スッキリするなぁ~ クッソ興奮したし、破壊し尽くされた大地を肴に“抜き初め”でもするか~」
生命を作る器官によって、全生命が死滅し、静かになった大地。その中でアネモネは思い切り性器を扱き出した。
ぐちゅぐちゅという尿道内を我慢汁が行き来する嫌らしい音だけが鳴り響くその光景はなんとも異様で、まるでこの世界そのものがアネモネ一人が住まう個人部屋のように錯覚するほどだ。
「射精(だ)すよ!!」
誰もいないのに声高らかに射精宣言するアネモネ。
いや、確かに“周囲には”誰もいないが、それは明確な殺害予告だった。
そう、ゆうに数㎞はあるアネモネの主砲の射程は100㎞を遥か超えている。
皆殺しにした半径数十キロのエリアより更に遠く―まだ生存者のいる地域に向けて死を振り撒く合図として、彼は射精宣言したのだ。
新年に相応しく縁起の良い“白”で世界が染まっていく…
今年も一年間、人類は存続できるのか、そう不安にさせる新年の出来事であった。
今回の“おとしだま”騒動による被害者は2025千人。死者数が年数と一致しているのはアネモネの粋な計らいだ。
自分がどのくらいのサイズに巨大化して、どこに“おとしだま”をすれば202.5万人の死者がでるのか、それを彼は無駄に時間を掛けて調査して計算し、実行したのである。
人間はどこまでいってもアネモネの暇つぶしの性玩具でしかないのだ。
おわり