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性義見参

「速報です!A市に怪獣が出現した模様です。現在、周辺の町を蹂躙しながら北東方向へ進んでおり、約5分後にはB市に到達する見込みです!A市およびB市にお住まいの方は速やかに避難して下さい!繰り返します!A市に…」

早朝から緊急事態速報のサイレンが町に鳴り響く。テレビやラジオでも速報が発せられ、全国中が騒然とする。


10年前くらいから突如として出現し始めた巨大生物。何の前触れもなく海から上陸し、一頻り町を破壊してからまた海へと帰っていく彼らに対し、人類は未だ対抗策を見出せずにいた。


体長にして100m近くはある怪獣たちが一度町を襲えばその被害は甚大で、中には町一つ単位で壊滅した例も少なくない。


既に怪獣被害の総死者数は150万人を数え、人々の恐怖は限界に達していた。


サイレンが鳴り響くたび町は大混乱に陥り、我先にと逃げ出そうとする者で現場はすぐに収拾がつかなくなる。死の恐怖を前に秩序はなくなり、余計に避難は滞ってしまうのだ。


そして、今回の襲撃においても既に致命的な被害が出ることは明白だった。というのもB市はこの国で一番栄えている大都市であり、1000万人もの人口を抱えているからだ。


そんな巨大都市にあとたった5分で怪獣が到達するだなんて言われても到底避難が間に合うわけがなかった。


「どけー!俺が先だー!!」

「や、やめて…!子供が…」

「痛い…押さないで…」

「助けて…神様…!!」


人々は絶叫しながら各種公共交通機関に殺到し、また市内の主幹道路はどこも大渋滞に見舞われ、クラクションと怒号が鳴り響く。


そんな中、B市から数十キロ離れたC市のとあるアパートでニュース速報を見ていた一匹のエースバーンの青年がいた。


(ついにこの時がきた…!僕が…僕がみんなを守るんだ!)


「“おおきくなる”」


B市が蹂躙されるまで5分。一刻の猶予もない。エースバーンの青年は初めから覚悟していたのか、躊躇なく室内で“おおきくなる”の技を繰り出した。


途端に彼の身体がみるみるうちに巨大化していく。アパートの一室が一瞬で彼の身体で埋め尽くされたと思った時には、すぐに耐荷重を超えて床が抜ける。


ドスンと階下をぺちゃんこにしたと思った時には、今度は天井を突き破っており、上下階が一つに繋がった。当然、アパートの住人達も彼の巨体に押し潰されてミンチになる。


(大家さん・・・アパートのみんな・・・ごめんなさいッ!)


次の瞬間、アパートは中から破裂したように瓦解し、エースバーンの巨体が露わになった。


「な、なんだあれは!こっちにも怪獣が…!?」


突如、爆音と共に崩壊したアパートの周囲は騒然となる。しかし、エースバーンの巨大化はまだまだ止まることなく周囲の家屋まで巻き込み始めた。


“おおきくなる”は、エースバーンがこの日の為に編み出した巨大化技である。もともとポケモンには、弱ると小さくなって逃げる特性が備わっているが、“おおきくなる”はその現象を応用した技だ。


まだ彼がヒバニーだった頃、夢中になって見ていたヒーローアニメ。

「正義見参!」のセリフと共に颯爽と現れ、悪を薙ぎ倒していく主人公の姿にずっと憧れていた彼は、怪獣が出現し始めた10年前から、いつか自分もアニメのヒーローみたく強くなって怪獣を打ち滅ぼし、みんなを守ってあげたいとずっと考えていた。


怪獣を倒すためには、どうしたらいいか、と考え続けて漸く形になったのが、この“おおきくなる”という技だった。


ひと気のない森で日夜技の習得に明け暮れた日々。大きくなりすぎると騒動になるので、少し巨大化しては、縮小化して・・・を繰り返し、技の感覚を身体に沁み込ませてきた。


その努力の成果が今、発揮されているのだ。

(もっと…!もっと大きく!!あの怪獣を倒せるくらい…もっと!!)


エースバーンの巨大化は止まらない。急激な肉体の変化によろめいて、身体を支える為に手を付いたのが20階建てのビル。既にその背丈は怪獣の身長に並ぶ程まできていた。


勿論、その巨大化に巻き込まれて犠牲になる命も決して少なくはなく、彼が住んでいたアパートだけでなく、周囲の建物もいくつかが磨り潰され、既に数十名から数百名の死傷者が出ている。


エースバーンもそれは分かっていたし、心を痛めてはいた。しかし、それも含めて彼は覚悟を決めていたのだ。


現実は非情でヒーローアニメのように綺麗事だけでは済まされない。怪獣と戦えば、それに巻き込まれて沢山の人が亡くなるだろうし、ヒーローである自分自身が直接踏みつぶしてしまう尊い命も少なくはない筈だ。


でも、それでも怪獣を野放しにはできない。この10年で既に150万人もの犠牲が出ていて、そして今まさに1000万人もの命に危険が迫っている。


犠牲を払ってでも、より多くの命を救う。人々の命を天秤にかけるという重い判断を誰かがやらなければ人類の存続にすら関わる。


そう思ったからこそ、彼は問答無用でアパート内で巨大化した。いつも技の修行をしていた近所の森まで移動してから巨大化すれば、“おおきくなる”に巻き込まれて犠牲になる命はなかっただろうが、それでは到底怪獣のB市到達まで間に合わないだろうし、今まさにA市の人達が虐殺されていることを考えると、やはりこの選択しか思いつかなかった。


(ごめん・・・みんな、ごめん!!)


エースバーンの巨大化は止まらない。怪獣を倒すためには怪獣の背丈の何倍もの巨体で挑んだほうが、より確実と判断した為だ。

「あぁあああああああああああああああああああ!!!」


エースバーンは吼えた。かつて憧れたヒーローと同じコスチュームを身に纏い、ゆうに数㎞はあろうかという巨体を町に曝け出した。


結局、巨大化に巻き込まれる形でアパートを中心に2,3kmのエリアは壊滅し、数万人の死者を生んだ。


巨大化に際して、コスチュームが破けていないのは、彼が“ホロウェア”という、ホログラフィを活用した服を着用しているからだ。


衣服の着用を嫌がるポケモン達でも、ストレスを与えることなく着せることができ、ファッションを楽しめるツールとして近年注目されていた技術で、エースバーンの“おおきくなる”とは非常に相性が良い。


彼もポケモンではあるし、裸のままでも別段おかしくはないのだが、敢えてホロウェアを着たのには、エースバーン種特有のある特徴が関係していた。


“絶倫淫乱ウサギ”。


エースバーン種はしばしば裏でそう呼ばれていた。種全体的に非常に陰茎が発達しており、性欲も強く、1日に何度も性交する彼らは、時に性の象徴としてシンボルマークに採用されることもあるくらいだ。


彼はそのエースバーン種の中でも特に立派なイチモツを持っていた為、巨大化に際して、その巨根が世界中に晒されることや、戦闘中にぶるんぶるんとちんちんが暴れる様子を見られるのはあまりにも恥ずかしいと考え、ホロウェアの着用を決めたのだ。


しかし、本物さながらに再現されたヒーローコスチュームは、彼の股間の窮屈なピチピチ感まで再現されてしまっており、カリの形までくっきりと浮かんでいた。


しかし、緊急時とあって今はそんなこと気にしていられない。


(みんな!今行くぞ!・・・僕がみんな救ってやる!!)


巨大ヒーローは膝を曲げると、グッと力を溜め、思い切り地を蹴った!


エースストライカーの名を冠するエースバーンの脚力は凄まじく、5㎞を超える彼の巨体が大きく宙を舞い一気に怪獣の進撃しようとしているB市まで飛んでいく。


しかし、この時、彼は気付いていなかった。


超重量が人知を超えた力で地を蹴った反動が途轍もない大災害を引き起こしていたことを。


彼の足が地盤を何十mもめり込むくらいに陥没させ、地割れが周囲の建物を次々と倒壊させたと思ったと同時に、跳躍の反動で人や物が何メートルも宙に投げ出されるほどの衝撃が発生。一瞬でC市の町全体の建造物が滅茶苦茶に破壊し尽くされたのだ。


実に建物の99%が全壊、残り1%が半壊、全人口の8割にあたる200万人の命がたったこの一撃で儚く散った。


それはこの10年間、度重なる怪獣の襲撃で犠牲になった総死者数を軽く上回っていた。


そして・・・

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!


C市に続きB市にも人類史上最悪の災害が巻き起こった。


その災害を引き起こした張本人は、B市にド派手に着地し、ポーズを決めると、あろうことかこう言った。


「正義見参ッ!!」


身長にして5㎞。その巨体が思い切り着地した衝撃というのは、ちょっとした隕石の衝突に匹敵する。


彼を中心に半径約15㎞は町ごと地盤が崩壊し、あまりに大きい熱エネルギーに晒されたB市の人々は一瞬で蒸発した。


衝撃波と地震が周囲に波及し、B市だけでなくA市、D市にも甚大な被害が出る。


(やべ・・・)


流石にエースバーン自身も着地の衝撃がB市を壊滅させてしまっただろうことにはすぐに気付いた。


多少の犠牲が出ることは覚悟していたが、実際にここまで巨大化したのは初めてのことだったし、被害の想定も踏みつぶしによる死者くらいしかシミュレーションしていなかったのだ。それがまさか、衝撃だとか、熱エネルギーだとか別の災害要因がここまで甚大な被害を齎すなんて夢にも思っていなかった。


しかし、巨大化した彼の目線では、いくら町が壊滅したとはいっても、住人の何割を殺めてしまったのかまでは分からないし、実際彼自身、“思ってたより沢山殺してしまったかも”くらいにしか考えていなかった。


それよりはまず目標の排除、すなわち怪獣を速やかに殺して、人間達の被害を減らさねば、という方向に頭がいった。


雲を超えるような巨神と化したエースバーンの視界がすぐに、A市を歩いていた怪獣の姿を捉える。


「怪獣め!町を滅茶苦茶にしやがって!ヒーローであるこの僕が来たからには、もう好き勝手はさせないぞ!」


滅茶苦茶に破壊し尽くされたA市の様子を見て、憤慨した巨大ヒーローは勇み足で、怪獣のいるほうへと歩き出す。


実はA市の被害の大半もエースバーンの着地によって発生した地震によるものだったが、それにすら彼は気付いていない。


件の怪獣はというと、巨大地震に怯んで既に歩みを止めていた。自分より遥かに大きな存在を前に身体が竦んでいたのだ。


そして、巨大ヒーローがこちらに向かってきているのに気づくと、悲鳴ともとれるような甲高い鳴き声をあげながら、必死に逃げ出した。


その足元には、災害で傷付いた人々がまだ生き残っていたが、無慈悲にも踏み荒らされてしまう。


「きゃああああああああ!!!」

「助けて―!死にたくない!!」

「た、助けて・・・誰か・・・」


人々は絶叫する。


巨大ヒーローに追われ泣き叫びながら逃げる怪獣。そして、その怪獣に踏み荒らされ阿鼻叫喚の地獄に晒される避難の列。それは何とも言えない奇妙な構図だった。


今まさに踏みつぶされんとしている人間達の塊の中には、まだ幼い子供がいて、その手にはヒーローのぬいぐるみが握られていた。


きっと強くヒーローの登場を願ったことであろう。


しかし、目の前に現れたのはヒーローどころか、ヒーローの皮を被った史上最悪のヴィランだった。


「今更、逃げようだなんて許されないぞ」


ズシン!ズシン!と地面を揺らす巨神の歩み。怪獣が一歩当たり平均20人を殺傷していく中、エースバーンはその巨大なおみあしで怪獣の1000倍近く、約2万人の人間達をたった一歩で虐殺していく。

今までの10年で過去最悪と言われた怪獣の襲撃被害が1万5243人だったことを考えると、彼が今人類にとってどれだけ危険な存在かが良く分かるだろう。


…そして、ついに怪獣は巨大な影にすっぽりと覆われてしまう。


エースバーンの発達したおみあしを包み込むホロウェア製の巨大なヒーローシューズ。その靴裏は既に血と瓦礫で激しく汚れており、それを見ただけでも相当な数の人間が彼に踏みつぶされたことを物語っていた。

ズシーン!!!!


瞬殺。


人類を震え上がらせた怪獣はエースバーンのたった一踏みで避難民の塊ごと簡単にぺちゃんこになってしまった。


(やった・・・!怪獣を倒したぞ!!)


エースバーンは勝ち誇ったようにガッツポーズを決める。足元では新たな超巨大怪獣の出現に悲鳴とサイレンとが鳴り響いていたが、彼にはそれが歓声にでも聞こえたのか、手を広げて応えた。


(これで平和になる・・・)


エースバーンはホッとした表情を見せたが、ふと足の指ほどしかないちっぽけな街並みと足元で拉げている煎餅のように平たくなった肉の塊を見て気付いた。


(・・・あれ?もしかして今僕って世界で一番強い?)


今まで人間を守ろうと必死で気付かなかった事実。


そう、今や巨大ヒーローである彼を止められるものも逆らえるものもこの世には存在しない。それどころか視界を遮る物すらこの星には存在しなかった。


支配しようとさえすれば全生命を奴隷化できるし、戯れに皆殺しにすることも造作もないだろう。


エースバーンはゴクリと唾を飲んだ。


もう誰者にも縛られることはないという精神的な解放感は存外心地よいものだ。


勿論だからといって正義感の強い彼がいきなり人間達を支配してやろうなどといった邪悪な発想には至らないし、この10年間、人々を守ってやろうと必死に努力してきた彼に限って、人類を根絶してやろうなどという悪意を持つことなんて有り得なかった。


問題はスケール差によるギャップ。


現に今こうして怪獣一匹倒すために1000万人もの人間を殺戮したにもかかわらず、肩を落とすわけでもなく、そもそも気付いてすらいない。


この致命的なギャップはもはや彼と人類の共存が絶望的であることを如実に示していた。


どうしてもこう物理的に全人類の生殺与奪の権を握ってしまうと、途端に自分が偉くなった気分になってしまうし、多少、傲慢になっても許される気がしてしまう。これはどんな生命にも共通して備わっている悪癖だ。


ドクン・・・


エースバーンはまるで全人類が手の平の上にでもいて、握り締めてさえしまえば、簡単に種を滅ぼせてしまうような…でも優しい自分だからこそ“生かしてやっている”というような圧倒的な優越感を感じ、胸が高鳴った。


その興奮からなのか、彼の股間は凄まじく隆起しており、もはやホロウェアが意味をなさない程にテントを張っていた。あろうことか彼は、自身の圧倒的な巨体を足元の人間達に見せつける快感と、人類を救った自身のヒーロー然とした姿に酔いしれ勃起していた。


“恥ずかしい”という感情が彼にホロウェアを着させた筈だったが、例えば人間が足元に蠢く蟻んこに裸を見られても恥ずかしいとは思わないように、彼も世界に自分の勃起ペニスを晒すことに何のためらいもなくなっていたのだ。


これこそがスケールギャップの魔力。彼は無意識のうちに人間達を蟻んこ以下の存在と認識するようになっているのである。


むしろ、ヒーローのこの俺様のちんこを拝めとでも言わんばかりに、彼は股間のチャックを下ろし、パンパンになった怒張陰茎を見せびらかす。

エースバーン種といえば、両手を広げて股間を突き出し空に向かって吼えるポーズが特徴的だが、これは自己顕示欲からくるもので、スポーツ競技などでも「俺だけを見てろ!」とでも言わんばかりにスタンドプレイに走ることがよくある。


彼に関してもその種特有の悪癖からこのような行動を取ったのだろう。


しかも、ヒーローを志したとは言っても、まだ彼は若い青年で、しかも“絶倫淫乱ウサギ”で知られるエースバーン種である。あらゆる感情より性欲が勝ってしまうのは、ある意味仕方のないことなのかもしれない。


怪獣と同じように先ほど自分も人間を殺してしまったという事実があるにも関わらず、その罪に苛まれることなく、性欲に心が上書きされてしまう狂気。


命は平等だとよく言われるが、人がどうしても虫の命を軽視してしまうのと同じように、エースバーンも無意識に人の命を軽視してしまっているからこそこんな滅茶苦茶なことが起きてしまう。


(僕が助けなかったら、いつか人間達は怪獣によって絶滅していたわけだし、ちょっとくらい僕も好きなことやっても許されるよね。)


エースバーンは何を思ったのか、徐に地面に座った。またもや彼の発達した巨大な尻の下敷きになって万単位の命が犠牲になったが、彼はもう気にも止めなかった。


そして、自分の周囲に広がるジオラマのようなちっぽけな町を見渡すと、改めて自身の存在の大きさに満足したのか、ビクンとペニスを震わせる。


そして次の瞬間、彼は白昼堂々自慢の巨根を上下に摩り始めた!


あろうことか彼は、半壊したA市を肴にオナニーを始めたのだ。彼自身、オナニーによってA市が完全に廃墟と化してしまうことは理解していただろうが、世界を救った自分なら町一つくらい犠牲にしても良い、と本気で思っているからこそ実行に移している。


それほどに“圧倒的な力”というものはいとも簡単に心を変貌させてしまったのだ。

・・・ゴシュ!・・・ゴシュ!


海綿体を包皮が滑る轟音が町に鳴り響く。


極度の興奮状態によってエースバーンの持つ第二の心臓とも呼ばれる“ほのおぶくろ”からほのおエネルギーが漏れ出しているのか、ピストンの摩擦に合わせて炎が巻き上がる。


そして、腕の上下によって発生する暴風が炎を周囲に波及させ、気付けば、その “ねっぷう”によって町は紅蓮地獄と化していた。


彼はただゴシゴシとペニスを扱いているだけだというのに、それだけで世界が炎の嵐に包まれてしまっている。今の彼の圧倒的なほのおエネルギー量を以てすれば、それこそ地球を“キョダイカキュウ”代わりに火の玉にして蹴り飛ばし、太陽を破壊することすらできるかもしれない。


それを考えれば、炎の自慰“ファイニー”などほんの些細な児戯に過ぎないだろう。


何処までも広がる瓦礫の山と大量の遺体、燃え上がる炎、そしてその中心で一心不乱に性器を扱く大怪獣。その姿にはもはやヒーローの影も形もない。あえて彼を言葉で表現するなら“破壊神”とでも言うべきだろうか。とても“ダークヒーロー”なんていう生温い肩書では済まされない。それほどに彼の存在は強大で脅威的だった。

報道用のヘリが数機、彼の周りを遠巻きに旋回している。


破壊神はその様子に気を良くしたのか、こう言った。


「人間ども!目に焼き付けろ!これがお前達人間を救ってやったヒーローのオナニーだ!!・・・安心しろ!これからは俺様が全員守ってやるからな!!」


心の変化からか口調も一人称も変わり、一層破壊神然とした様子のエースバーン。


激しいオナニーによって巻き起こる炎の嵐に巻き込まれて、ヘリが次々と墜落していく。彼特有の灼熱オナニーはこの地域一帯の気温を急激に上昇させ、まだ生き残りのいたC市やD市では60℃を記録。精神的にも肉体的にもボロボロになっていた彼らに追い打ちを掛け、次々と命を奪っていった。


数分後には緊急出動していた空軍の戦闘機100機あまりが漸く現場に到着したが、ファイニーが巻き起こす“ねっぷう”を前に近付くこともできずに一瞬で全滅してしまう。


ピストン運動の激しさが増し絶頂が近くなった頃には、彼を中心に周囲100㎞近くの範囲が高温サウナと化し、C市の気温はついに100℃に達した。人も動物も植物も何もかもがたった一回のオナニーによって死滅していく。


そして…

ビュルルルルルルルッルルッルルッル!!!!


イった。


しかし、残念ながら勢いよく噴き出た精液の雨はこの死の炎を消火してくれはしなかった。

代わりに世界に降り注いだのは、“ひのこ”だった。


しかし、“ひのこ”という表現はあくまでエースバーン目線のもの。人間目線で見ればその精液一滴一滴が通常のキョダイマックスエースバーンのキョダイカキュウに匹敵する。


膨大なほのおエネルギーを孕む恐るべきファイニーによってオーバーヒート寸前まで加熱されたペニスと睾丸。


“ちんちんになったちんちん”から繰り出された精液は、1000℃を超える高温となっていたのだ。


標高1㎞近い“山”から噴き出す大量のマグマ。その様はまさに“ふんか”だ。


世界中に降り注いだ雄臭いキョダイカキュウはたった一滴でも町に着弾すれば、死のミルククラウンを形成し、同時に何億何兆という“火の精子”が町を駆け巡ることによって、未曽有の大火災を引き起こす。

炎と汚染を併せ持つまるで核爆弾のようなこのキョダイセイエキカキュウの雨は、町だけでなく世界中の野や山にも降り注ぎ、射精爆心地を中心に星の半球を文字通り丸焼きにしたのだった。


“ふんか”の被害は凄まじく死者は推定15億人とも試算された。被害者のほとんどが灰も残らないほどに焼き尽くされた為、ほとんどが行方不明扱いとなっている。また、人間以外の生物への影響も甚大で、既知の生物の総種数の1/3にあたる約50万種がこの天災によって絶滅したのだった。



・・・地球史上最悪の大災害は世界中の人々を恐怖のどん底に突き落とすには十分だった。


怪獣が出現し始めてからの10年間。その被害者は150万人にも及ぶ。それだけでも人類は毎日不安の中過ごさざるを得ない程恐怖に怯えていたのだが、今回、たった一回の大怪獣の炎の自慰“ファイニー”によって、その1000倍の死者が出ている。


ファイニー一回=怪獣被害10000年分という絶望的な事実を目の当たりしてしまえば、今までの怪獣たちがいかにちっぽけで取るに足らない存在だったかがよくわかる。


残念ながら、100m級の怪獣達ですら撃退できなかった人類が、ちんこだけで1.5㎞はあろうかという巨神に抗う手段はない。そして同時に“淫乱絶倫うさぎ”がたった一回のオナニーで満足するとも到底思えなかった。


己の性欲の為に簡単に億単位の人間を巻き込んでしまうような彼にもはや慈悲はないだろう。


彼の“正義”は既に“性義”に置き換わってしまったのだ。


性欲を重んじ、性の為ならいかなる犠牲も厭わない精神 “性義”。


「性義見参」のセリフと共に繰り広げられる殺戮の嵐が世界中に吹き荒れ、人類の最後の一人が死に絶えるまで、おそらく二度と人類に夜明けは訪れないことであろう。


エースバーン巨大化~ファイニーまでの総被害報告

巨大化に巻き込まれ圧死:3万3864人

跳躍時に発生した大地震による死者:139万7577人

跳躍時に発生した火災による死者:155万3590人

跳躍時に発生した衝撃波による死者:1251万3728人

踏みつぶしによる圧死:45万8579人

巨尻による圧死:10万354人

ファイニーによって発生した熱風直撃死者:5万6021人

ファイニーによって発生した火災による死者:13万2958人

ファイニー時の気温上昇による熱中症死者:569万7431人

キョダイセイエキカキュウの着弾による死者:5億4583万6930人

キョダイセイエキカキュウによる火災死者:9億7200万37人

総死者:15億3969万1069人

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