XaiJu
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あの夏の悶絶は思い出の中に(13日目#2)

2. おまじない (F/M) 昼食は親戚から貰ったものだというちょっとお高い素麺を食べた。この家ではもう数え切れないほど素麺を食べた。しかし今日は様子が違った。いつも山盛り茹でてあるのに、今日の量はなんだか控えめだった。 聞けば、レイナ姉ちゃんが一人でこっそりこのお高い素麺を大量に食べてしまったのだという。 「はーあ。こういうのレイナからは隠しておかないといけないのに忘れてた」 奈水は無念そうな顔をして麺をつゆに浸す。 ユウ「姉ちゃん、ほんと子供みたいだよね」 「この前も高いオレンジジュース全部飲んじゃうし」 奈水「ほんと。大人になったのか子供のままなのかよく分かんないね」 確かにレイナ姉ちゃんは、子供みたいだと子供のハクも思う。 食べ物への執着心や、お風呂の順番にうるさいところや、自由奔放なところ、負けず嫌いな所なんかはハクたちガキンチョとそう変わらない。 でも、迷いなく勇敢に弟を助けにいく姿や、ハクたちガキンチョに接する態度を見ているとやっぱり大人なんだとも思う。 だから、レイナ姉ちゃんという人は、多分きっと大人と子供の良いとこどりをしているような人なんだと、ハクはそう自分の中でぼんやりと結論づけていた。 ハクはそんなことを考えながらレイナ姉ちゃんの空いている席を見つめ、それからつゆを啜る。 ほんの少し甘め。しょっぱ過ぎないので飲み干そうと思えば飲み干すこともできる。 家で食べるのとはほんの少し違うつゆを味わうのもこれで最後なのだと思うとなんだか妙に、味わい慣れたそのつゆが良い物に思えてハクは丁寧に味わうようにそれを啜った。 素麺を食べ終えるとユウはハクに「やりたいことがあるから先に行ってて」と言って公園の方へ走って行った。 ハクは仕方なく一人で山に向かうことにした。 空野家の二階部の裏にある林──ハクはこれがいまだにイチバン山の一部なのか単なる傾斜になっている林なのか分からない──の方へ進む。 そこでちょうど、しずかとばったり出会した。 ハクはその時、身体の芯──いや、胸がちょっと熱くなるのを感じた。 ハク「あれ?なんでここに」 しずか「近道だから。私があんたに教えたじゃん」 しずかはつまらなそうに言った。 それから態度を改めるように小さく咳払いをした。 しずか「ユウと一緒じゃないの?」 ハク「なんか先にやることがあるってさ」 ハクは心拍数がどんどん上がっている自分の心臓の音がしずかに聞こえてはしないかと不安に思って、おっきな声で返事した。 しずか「へぇ。仲間はずれにされてんじゃないの」 しずかは片眉を上げて意地悪に言った。 ハク「厭な言い方すんなよ。そっちも一人だろ」 しずか「はあ?私は家の周りに誰も住んでないんだから一人で当たり前でしょ」 それを言われるとなにも言い返せない。 黙ってしまうと、また、高鳴る胸の音がやけに大きく聞こえてハクは恥ずかしくなった。 ハク「山。行くんだろ。さっさと行こうぜ」 黙っていては心臓の音が聞こえてしまうかもしれない。 ハクは沈黙を破るべく歩き出した。 しずかは、うん、と小さく言って頷き、ハクに並ぶ。 林の中は薄暗い。至る所に落ちている木漏れ日がやけに明るく見える。 少し前ならこの林はうるさいくらい蝉が鳴いていたのだが、いまは遠くから元気のない声が少し聞こえるくらいだった。 おかげでハクは余計に心臓の音が外に漏れ聞こえているような不安に駆られた。 さて何を話すか。宿題の進捗か。今日これからのことか。お昼ご飯のことか。 ハクはかなり逡巡した。皆といる時ならこうはならないのに、しずかと二人でいるとやはりこうなる。 それはだからつまりヒカリの言うところの恋なのだろうとそう思う。 でも、そう思ったところで余計に実感が湧かない。訳がわからない。自分がどうしてしずかにそんな気持ちを抱くことになったのかまるで分からない。 しずか「ユウ。なにしてるんだろうね」 例の如く沈黙を破ってくれたのはしずかの方だった。彼女は至っていつも通りで、機嫌が良いのか悪いのか分からない顔と口調だ。 ハク「さぁなあ」 せっかくしずかが話題を提供してくれたというのに、ハクは生返事のような返事をした。 気の利く男ならここで話を広げたりできるのだろう。いや、いつものハクならばそんなことは考えるまでもなく出来ることなのだ。 だが、こう言う時に限ってハクはそれが出来なくなる。 しずか「また危ないことしてたら今度こそ処刑だな」 ハクの情けない返事などきいていなかったのかしずかは特に何する様子もなく恐ろしい事を言った。 ハク「それっていつものことだろ」 しずか「なんで?処刑はしてないでしょ」 ハク「え?いっつもしてるだろ」 しずか「してない」 しずかが横目でハクを睨む。 ハク「してる」 ハクはそれを睨み返す。 なんだか安心してきた。 こうやって言い合っていると、やっぱり落ち着く気がするのだ。 しずか「してないって」 しずかは語気を強めて言うと、人差し指でハクの横っ腹を突っついた。 ハクは飛び上がって思わず木の根に躓きそうになった。 しずか「あのさ、処刑ってどんなものか分かってる?」 しずかが立ち止まって腰に当て首を捻った。 ハクも立ち止まってしずかを見た。 ハク「そりゃあ…ギロチンでずばって首斬ったり、あとはなんだ…電気椅子?でビリビリやったりするやつだろ。つまり、相手を死なせるやつ」 地元の友人の一人がそういうのが詳しく載っている怖い本を学校に持ってきて読ませてくれたことがあるのでハクは処刑について少しだけ知っていた。 しずか「でしょ?私ユウを死なせてないじゃん」 ハク「それはそうだろ。でも、いっつも処刑だ処刑だって言ってユウを虐めてるだろ」 しずか「虐めてはない」 「あれは、うん、教育してるだけ」 しずかは堂々と胸を張ってそう言った。 ハク「それ言い訳だろ」 ハクが鋭く言い返すとしずかは顔を顰めた。細い眉が眉間に寄り、切長の目はハクを獲物として捉えている。 しずか「この間さぁ、先生が言ってたんだよね」 「何事も経験だって」 しずかは普段と違う妙に高い声で言ってゆっくりハクに近づいてきた。その足取りがなんだか妙に威圧的でハクは半歩後ろに下がった。 しずか「だからハクも経験してみれば分かると思うよ」 「処刑ってどういうことなのか」 ハク「うわっ」 しずかが詰め寄ってきて、ハクは大きく後ろに下がった。後ろには大きな木が聳えており、ハクはその幹に背中をぶつけた。 しずかの両手がハクの両腋の下を、下から掬い上げるようにずくりと掴まえる。 グイと指の関節が折り曲げられ、指先が腋の下の神経を絡めとる。 ハク「はぁっ!!?」 背筋が硬直したように伸び、ハクの全身からひやりと冷たい汗が吹き出す。 しずか「処刑されたい?」 ハクを見上げる体勢のまましずかは言った。その口調はまるで脅すようだった。 ハク「されたいわけっっないっっだろっっ!?」 しずか「そっかそっか」 「だったらさぁ」 「誰が好きなのか教えてよ」 ハク「はっ!?」 突拍子もない。なんの脈絡もないしずかの言葉にハクは思わず驚愕した。その一瞬だけ、腋の下に差し込まれた両手の感触が吹き飛んだ。 しずか「午前中にさぁ、ヒカリに会ったんだよね」 「その時にヒカリが言ってたの」 「ハクが誰かに恋してるって」 ハク「な、なんのことだよっ!」 ハクは身を捩って逃げようとする。だが、しずかは腋に差し込んでいる指をモニッと動かして軽く腋を刺激し、ハクをのけぞらせた。 しずか「その反応は本当っぽいね」 「ほら。さっさと白状しなよ」 しずかはもう一度、指関節をぐいと動かして指先で捉えている腋の下の神経をイジる。 ハク「くひゃっ!!?」 「し、知らないって!」 ハクは、半分ほど本心で、でも本ほどはとぼけて言った。 しずか「あっそ」 「じゃあ処刑だね」 しずかはなぜか嬉しそうに笑みを見せ、腋に差し込んでいる両手の指をズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズク!!っと食い込ませるように動かした。 ハク「ほあああああああああああああ!!?あっ!!?やめっ!!?ひひひひはははははははははははははははははははははははははははははははは!!!結局それかよっ!!?っっひははははははははははははははははははははははははははははは!!」 しずかの指先はしっかりと確実に腋の下にあるくすぐったぁい神経の塊をズクズク刺激してくる。指関節が折り曲げられるたび、神経がずくりと刺激され、猛烈なくすぐったさが爆発する。 しずか「早く白状する方が良いよ?」 ズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズク!!! ハク「あっ!?ひゃっ!!うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっっ!!はっっはははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!きついっっ!!いっははははははは!!知らないもんはっっ!!答えようがないだろっっ!?っっははははははははははははははははははは!!」 ハクは崩れ落ちぬよう必死になって暴れた。 崩れ落ちて地面に倒れてしまえばさらに、酷い目に遭わされるのは目に見えている。 そんな必死なハクを嘲るように、しずかは妙なリズムで腋の下をズクズクしてくる。ハクがギリギリ立っていられるくすぐったさを送り込んでいるのだ。 しずか「ねえ誰なの?未悠?ヒカリ?それともイチコ?まさかレイナ姉ちゃんってことないよね」 しずかは顔を真っ赤にして悶えているハクの顔に自分の顔を近づけて囁くように問いかけ、腋の下に差し込んでいる指をズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズク蠢かす。 ハク「かっっ!!?はっ!?はっ!!はっっはははははははははははははははははははははははははははははははは!!誰でもっっ!!ないっってっっ!!っっはははははははははははははははははははははは!!ひはははははははははははははははははははは!!」 ハクは気にもたれながら身体を激しくくねらせる。 しずか「じゃあ…前に言ってた地元の子?」 しずかは首を傾げ、さらに激しく深く腋の下の神経をグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュとほじくり回した。 ハク「はぎゃぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!?違う!違うって!なんであんなやつっっ!!っっひはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!もういいからっっ!!いいからっっやめろっってぇぇ!!っっははははははははははははははははは!!」 ハクはしずかの両手から逃れようと首を伸ばしたり、足をばたつかせたりして必死に抵抗するが、どれも無駄に終わる。 それどころか、暴れれば暴れるほど、しずかは腋の下コチョコチョを激化させてきた。 しずか「私が諦めると思ってんの?」 「いつまでも黙っていられると思うなよ」 しずかは声を低くしてそう言うと、腋に差し込んでいた指を抜き、そのまますぅと肋骨の辺りに両手を移動させた。 そして、両手の指の指先を肋骨の隙間にガッと食い込ませて指先で肋骨の隙間にあるくすぐったい神経をゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!っとほぐしくすぐった。 ハク「ぎゃっ!!?うぎゃぁぁぁぁああああああああああああああああああはははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?うわははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 身体から無理やり力を吸い取るようなくすぐったさが走り、ハクはふにゃふにゃとその場に崩れ落ちた。 当然、しずかは崩れ落ちたハクを仰向けに倒し、そして馬乗りになった。凄まじいスピードだった。まるで、捕食だ。 しずかは仰向けになっているハクの腰あたりに思い切り体重をかけ、そしてハクのTシャツの裾を捲り上げ、両手を中に突っ込んだ。 ハク「うがっ!?」 しずかの両手は、ハクの素肌に触れた状態でぴたりと止まった。 しずかはニタリと笑っている。 しずか「どうする?」 「このままだとお肌直接コチョコチョの刑に処すけど」 「話すことがあるなら今のうちだよ」 ハク「はぁはぁはぁ…ヒカリに何言われたか知らないけど…」 「話すことなんてないって!」 ハクはいつもよりも強く言い返した。 この気持ちを、本人に白状するなんてそんなことはとても想像もできない。 伝えたらそれこそ、死んでしまう気さえした。 しずか「へぇ?本当にいいの?」 しずかは目を細め、触れているお腹を直接さわりと撫でる。 ハク「はひゃあっっ!!?」 少し冷たい指の腹が敏感なお腹を撫で、ハクはびくんと腰を浮かせる。 しずか「本当に?」 しずかはお腹に添えた指をコチョコチョと動かし、指先で腹部の神経を弄ぶ。 ハク「ふひひひひひ!!?ほ、本当もなにもっっ!話すことがっっそもそもないんだって!」 ハクが必死に言うと、しずかはため息をついた。それから少しだけ困ったように眉を顰めた。 しずか「分かった」 「じゃあ処刑執行ね」 「矢内ハクを…お肌直接コチョコチョ地獄の刑で処刑する!」 しずかは指の関節を折り曲げてお腹に爪の先と指の先っちょを立てた。 ハク「くあっっ!!?」 ハクの顔が引き攣り、ぞわわっと全身に鳥肌が立つ。 しずか「言い残す言葉は?」 しずかの指先に僅かに力がこもる。 ハク「うるさっっ───」 ハクは、自分がしずかに抱く気持ちを決してしずかに悟られぬようわざと怖い顔をしてしずかを睨む。 だが、ハクの強がりは最後まで言葉として結ばれることはなかった。 しずか「処刑執行」 しずかはぼそりとそう宣言し、お腹に添えた指を器用に操ってコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!っと素早く滑らかに腹部を直接くすぐり出した。 ハクぎっっ!!?ぎぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?あひゃっ!?ひゃっ!!?ひゃっ!!?やっぱ無理っ!!無理っっ!!無理ぃぃぃ!!やめっっ!!やめぇぇぇぇへへへははははははははは!!!」 ハクは壊れたように叫び、暴れ、笑い狂う。 しずかの生指が、ハクの生のお腹の表面をコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ蹂躙するたび、ハクはまるで身体に気持ちの悪い蟲が這っているような不快感を顔いっぱいに表現しながら悶えた。 しずか「もう分かってると思うけどさぁ、お腹のコチョコチョってほんと息できなくなるよね」 「でも止めないよ。これ処刑だから」 「ハクが笑い死ぬまでやるから」 処刑執行人しずかは冷徹に言い放って残酷に、惨たらしく指を操り、ハクの細身のお腹を味わうように指を滑らせる。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!! ハク「うはっ!!?はっ!!はっっ!!はっっははははははははははははははははははははははははははははは!!かっっはははははは!!!?いきっっ!!いきがっっ!!っっ!!っっははははははははははははははははははははは!!ほんとに死ぬっ!!しぬっっ!!」 薄い腹筋部はツルッとした爪の先でゴショゴショ引っ掻かれるのがたまらない。 腹筋の周りの比較的柔らかな部位は滑らかな指先でコチョコチョくすぐられるのが堪らない。 酸欠と、頭がおかしくなりそうな刺激の連続にハクは本当に、死にそうになっていた。 しずか「当たり前じゃん。処刑なんだから」 「でもいま白状するなら…止めてあげるかも」 しずかはニタリと笑ってハクを見る。 そして脅しのように脇腹を揉んだ。 グニュッ!!! グニグニグニグニグニグニ!! グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ!!! ハク「うあああああああああああっ!!?あっっひゃひゃひゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?ばかっ!!そごはっ!!揉むなっっ!!揉むなぁぁっ!!っっははははははははははははははははははははははは!!!なにされでもっ!!知らないって言ってんだろぉっ!!っっははははは!!」 しずか「じゃあ処刑ぞっこーね」 しずかは冷たくそう言うと、両手を腋の下にずるりと滑らせ、容赦なくその腋の下をゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョっと掻き回す。 ハク「ぐぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ"っ!!?あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!かはっ!?はっっ!!まじでっっ!!やめ"っっひひひひひひははははははははは!!!」 腋の下をツルツルした指先と爪の先で容赦無くコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ掻き回される。指先も、爪の先も神経をしっかりと刺激してくるためハクは目から涙をダクダク流しながら笑い声を周囲にぶちまけた。 しずかは心の無い機械みたいに、苦しむハクを無視したまま指を操り、腋の下をめちゃくちゃにくすぐり尽くしていく。 ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!! ハク「あへへへへへへへへははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?あっっっへへへへへへ!!?へっっへははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!もぅっっ!!もぅっっ!!もぅ無理っっ!!ぃっ!!!いっっひははははははははははははははははははははははは!!!」 顔の筋肉が引き攣って、今自分が本当に笑顔を浮かべているのかどうかさえ分からなくなってきた。 それでも腋の下を生指でコチョコチョ刺激されれば腹は震えて笑い声が溢れ出す。 頭がクラクラしてきた。 酸素が足りない。暴れすぎてもう四肢を思うように動かせない。 それでも。それでもしずかはコチョコチョを止めない。 もうすっかり弱りきっている腋の下を、これでもかと言うほどにくすぐり続ける。 その指の動きは巧みなもので、ハクに決してくすぐったさに慣れさせないテクニックを有している。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!! ハク「あっっっっははははははははははははははははははははははは!!かはっ!!はへっ!?はへっ!!はっっ!!!はっっっはははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 笑い声に張りがなくなり、ハクが乾いた声を発し始めた頃、しずかはようやくその悍ましい指を止めたのだった。 ハク「うへぇっ!!はっ!!はぁはぁはぁはぁはぁ」 解放されたハクは恐れ慄くようにしてしずかから逃げようとするが、身体は思っている以上に疲弊しており、結局、地面に倒れたまま動けなかった。 腋の下。お腹。その二つにまだしずかの少し冷たい手と指の感触と硬い爪の感触が残っている。 しずか「はーあ。ハクをこちょこちょ出来るのもこれで最後か」 処刑を終え、地面に座り込んでいたしずかは残念そうに言って空を見上げた。林の中だ。枝や葉っぱが邪魔をして空はほとんど見えはしない。 しずかは邪魔な枝や葉を鬱陶しそうに睨んでいた。 ハク「はぁはぁはぁ…明日からこんな目に遭わずにすむって思うと、せいせいするぜ」 ハクは言って半身を起こし、シャツの襟を引っ張って仰いだ。 しずか「とか言って、本当は寂しいんじゃないの」 しずかはハクを見て意地悪に微笑んだ。 ハク「馬鹿言うなよ。そんなの…」 しずか「じゃあ、楽しみなの?明日帰れるのが」 しずかは途端に真面目な口調で聞いた。その目は笑っていない。 ハク「いや、それはな…」 もちろん、地元の友人達と再会する日は待ち遠しい。だが、今は、帰ったところで毎日皆と会えるわけでもないから、ここにいた方が楽しいのは事実だ。 だが、そう言ってしまうと、なんだか地元の友人達に申し訳がない気がした。 ハク「まぁちょっとは、寂しいさ」 ハクは恥ずかしそうに言って、しずかから目を逸らした。 しずか「ほんと?あんたどうせ、向こうに帰ったら私たちのことなんて忘れてんでしょ」 ハク「そんなことねぇよ」 ハクはすぐに否定して、しずかに視線を戻した。しずかはなぜかハクから目を逸らしていた。 そのせいでいま口にした自分の本心が本当にしずかに伝わっているのかどうか不安になった。 ここでのことを、忘れる訳がない。 皆のこと──しずかやシンやイチコやヒカリやユウや未悠のこと、レイナ姉ちゃんたちのことを忘れられる訳がない。 しずか「あんたの住んでる都会には楽しいこといっぱいあるんじゃないの」 「もっと楽しい人とかいろいろ」 「都会ってそういうイメージなんだけど」 ハク「なんだその変なイメージは」 「そんなことないし、そもそも俺は別に都会に住んでないし」 ハクが住んでいる街は特段栄えているわけでも、栄えていないわけでもない。そもそも自分が住んでいる街が都会がどうかなんて考えたこともなかった。 しずか「なら、良しとしよう」 しずかは大きく頷いた。 しずか「でもさ」 息を吸い込み、吐き出すようにしずかは続ける。 しずか「何を言っても結局もう最後なんだよね」 そのしずかの声は、夏の賑やかさの消えかかった涼やかな林によく馴染む声だった。 ハク「なにが?」 しずか「ハクに、"また明日"って言うの」 しずかにしては珍しく、自信なさげにぽつりと言った。 そういえばしずかはよく、別れ際に"また明日"という言葉を使うことがあった。というより、きっとほとんどいつもその言葉を口にしている。 しずかのまた明日に対してハクが適当に返事をするとちゃんとまた明日と言えと訂正されたこともある。 しずかは随分、その言葉にこだわっている風だった。 しずか「また明日って良い言葉だと思わない?」 「またね、とか、じゃあまたね、でもいいんだけどさ」 「また明日、が一番良いの。私は一番それが好き」 ハク「なんで?」 聞いておきながら、ハクもその言葉が好きだった。 しずか「また明日って言えば、本当は明日会えなくても会えるような気になれるから」 「おまじないみたいなものだって思う」 しずかは三角座りをして地面に目を落とし、それから何か確認でもするようにハクを見た。 ハクはやっぱり、目を合わすのが怖くて一瞬だけ目を合わせてからすぐに目を逸らした。 ハク「へぇなるほどな」 ハクはカラッとした返事をしたが、実際、しずかの言うことはよく分かるような気がした。 しずか「何も分かってないでしょあんた」 しずかの切長の目がハクを睨みつけた。 ハク「分かってるって」 いい加減なことを言っていると思われたくなくて、ハクは今度はしっかりしずかを見た。 しずかなあの言葉にそんな意味を込めていたなんて思いもしなかった。 しずかがまさか、そんな思いを持っていたなんて知りもなかった。 しずか「だから私さ、ぜったい、うん、絶対また明日も会いたいなって人には、また明日って言うようにしてるんだ」 ハク「そうか…」 ハクはこれまで何度もしずかにまた明日と言われている。 嬉しかった。 しずかにとって自分がまた明日も会いたい人間の一人であることが。 でも、ありがとうと言うのも違うし、どんな返事をすれば良いのかやっぱりハクには分からない。 しばらく沈黙が続いた。 どこからか少しだけ蝉の声が聞こえた。 しずかがため息をつく。 しずか「だから、さ。ハク。あんたもそうしなよ」 ハク「え?」 しずか「あんたも、また会いたいって、思える人がいたら、たとえほんとはもう会えないかもしれなくても、また明日って言いなよ」 「例えば、その、好きな人とかに、さ」 諭すような言い方だった。 しずかにしては小さくボソリと消えそうな声。 ハクはただ頷いた。 しずかが言っていることの意味がよく分かったからこそ、ハクは余計なことは何も言えなかった。 シンやダイチやユウや、未悠やイチコやヒカリ。また会いたいと言うならば、皆に会いたい。だから皆にまた明日と言いたい。 でも、きっと違う。 しずかが言っているのはきっとそう言うことではない。 好きな人に言え。 しずかは小さい声で、確かにそう言っていた。 だったら─── ハクはしずかを見る。 三角座りの体勢で自分の膝を抱くようにしている手の、その指が絡み合っている様を見つめていたしずかはハクの視線に気がついて顔を上げた、 目があった。 ハクはしっかりと真っ直ぐにしずかの目を見ていた。 しずかは細い眉を上げ、キョトンとした顔をしていた。その顔はどこかわざとらしくて、彼女には似合わない惚けたような顔つきだった。 しずかは目を逸らして立ち上がった。 しずか「行こう。皆待ってるかも」 お尻についた泥を払い、しずかはゆっくりと歩き出す。 ハクも立ち上がった。 しずかの歩む速度はゆっくりで、本当にゆっくりで、ハクが横に並んで歩いても追い抜いてしまいそうなくらいゆっくりだった。 その歩き方はまるで、ハクに追い抜かれるのを待っているようだった。 ハクはしずかを少しだけ追い越した。 そうするとしずかの歩幅も大きくなった。 少しだけハクが前に出たまま、二人は並んで登山口へと進んだ。


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