全力で引っ張っても、何も起きない。ただ何かが軋むだけ。 顔を床に擦り付けても、状況は何も変わらない。せめて、目のテープが取れれば― ―足音が近づいてくる。それは私の前で止まり、何かが顔に当てられた。 革と汗の入り混じった香りがする。それの正体を考える間もなく、帯状の何かが私の顔に巻かれていく。 『この感触・・え・・嘘でしょ!』 屈辱的だ。私の想像が当たっていれば、これは靴。そしてそれが、私の鼻を覆うように固定されている。 首を振って必死に外そうとするが、何も起こらない。遠くから誰かの嘲笑が聞こえる。 想像とは全く異なる、ある意味試練の時。 私は全てから逃れようと、無駄な抵抗を続けるのであった―。 完