「なるほど、何があっても口を開く気はない、と。」 敵のネズミを拘束して数刻経つが、生意気な眼差しはそのままだ。 舌を噛まれないよう、口の中に大量に詰め物をして、テープで塞いだ。 まともに暴れられないよう、首と胴体、足を鉄柱に括りつけてある。 小癪な真似が出来ないよう、両手をレザーで出来たカバーで覆っている。 ―本当に生意気な目だ。殺してはならないという特命ではあるが、流石にはらわたが熱くなる。 「逆にこちらはどんな手を使っても、口を開いてもらわねばならないのでな。覚悟はしてるよな?」 俺は問うた。黒目が半分しか見えないくらい目に力を入れて、俺に視線を突き刺す。 テープを手に取り、千切る。顔の半分が隠れるくらいの長さだ。 一瞬、女の片眉が動いた。予想と違う行動だったのだろう。当然だ。 情報によれば、痛みに強くなるような特別な訓練を受けたそうだ。また、数多の薬品に耐性がある特異体質とも聞いた。 であれば、それらとは異なる刺激を与えれば良いだけ。覚悟とは違う思いをさせれば良いだけ。 俺は女に歩み寄り、見下すようにしてその眼を見た。相変わらず可愛げのない眼だ。 だが、動揺を隠しきれないのか、汗が一筋頬を伝っている。 フッ 俺は一瞬笑い、両手でテープを顔面に押し付けた。隙間が出来ぬよう、入念にそれを撫でた。 女は俺を睨む。だがその顔には、敵意ではなく焦りがはっきりと浮かんでいた。 「さぁ・・あとは根比べだ。」 (続く)