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倍々世界7




8月9日



 この日、野球部員たちは、朝早くから体育館に集まっていた。というよりもう全員が気になって仕方ないのだ。昨日育人は寝る場所を食堂から体育館へと移した。このままじゃいつ食堂が破壊されてもおかしくない、というキャプテンの判断だった。 幸い体育館にはエアコンが設置されているし、育人から不満も出ることはなかった。全員が集まり体育館の重い金属製のドアを開ける。意外なことに既に照明はついていた。そして体育館の隅に敷かれたマットの上に、明らかに縮尺が異なる人間が一人。


「あっ、キャプテン、先輩、おはようございます。早いっすね」


 叫んだわけでもないのに、入り口にいるキャプテンたちのところまで届く大きな声。もう昨日まででさんざん驚いたはずなのに、それでも部員たちは口をぽかんと開けてしまう。マットの上に胡坐をかいている育人は、その隣に立っている誠二と、ほぼ同じぐらいの高さなのだ。キャプテンたちがおっかなびっくりながらも育人に近づいていくと、なんと身長180㎝あるキャプテンでも育人を見上げることになってしまった。


「うわ、座っててもキャプテン見下ろしちゃいますね」


 上機嫌な育人だが、その肉体はもうそこにあるだけで人を押し潰せるほどのプレッシャーを放っていた。部員が三人並んでも勝てなさそうな肩幅に、バスケットボールをそのまま詰め込んだような三角筋。そこから生える極太の腕は人間の胴体並みの太さを持ち、みっしりとついた筋肉は下手すると部員一人より重い。大胸筋はそれこそ樽のようで、その谷間に人間の前腕ぐらいなら飲み込めてしまいそうなほどむっちりと発達している。その下の腹筋もかなりのものだが、今はそれよりもギンギンに勃起しているチンコの方が目に入った。


(でっか……)


 もうそのチンコだけで子供の胴体ほどはありそうだった。うねうねとチューブのような太さの血管がまとわりつく巨大な陰茎。キノコの傘のような高いカリは、人間に突っ込めば精液どころか内臓をすべて掻きだしてしまいそうな迫力。もはや両掌でさえ覆いきれない亀頭からは、我慢汁がどぷどぷと溢れている。


「ちょっと背比べしてみますか」

「えっ、おい……」


 胡坐の状態からどすっ、っと50センチ以上ある巨大な足をマットに立て、ぐぐっと育人が体重をかけていく。そのすさまじい体重に体育館の床がメシメシと大きくきしんでいる。ぐぉおお、と周りの空気を巻き込みながら立ち上がる育人をキャプテンはあんぐりと口を開けながら見上げていく。


「キャプテン、ちっさくなりましたね……」


 昨日まで、たった昨日まで、キャプテンの背は、直立した育人の腹ぐらいまでは届いたのだ。それがたった一日で、もうキャプテンの頭はそこにも届かない。目の前にあるのは、むわっと臭気を振りまきながら垂れさがる、一つが握りこぶしほどにも巨大な睾丸だ。昨日まで目の前にあった巨大なチンコははるか頭上で天を衝くように勃ちあがっている。


「オレのチンコにも届いてないっすよ」


 育人のチンコが勃起したままブルンと揺れる。キャプテンも流石に限界で、その場で腰を抜かして座り込んでしまった。


「あ……ああ……」

「あれ、キャプテンどうしたんすか?」


 育人が身体をググっとまげてしゃがみ込む。座り込んだキャプテンからしたら二百キロ以上ある筋肉の塊が覆いかぶさってくるのだ。恐怖なんてものではない。育人は育人はその極太の腕を伸ばし、キャプテンの脇に常人の二倍近い手のひらを差し込む。そしてそのまま立ち上がった。


「えっ、うわっ、おいっ!」


 キャプテンはまるで赤子のように軽々と育人に持ち上げられてしまった。3mを超える高さにキャプテンは手足をバタバタとさせてもがくが、高校球児の脚より太い腕はびくともしない。


「キャプテン、軽いっすね~……」

「いくとっ、マジで……!!!」


 重さを確かめるように軽々とキャプテンを上下させる育人に、周りの部員はそれをぽかんと見上げているしかない。キャプテンはもちろん野球部のレギュラーであり、体重は80㎏を軽く超える。それが子供のように遊ばれているのだ。10回ほど上下させると育人は満足したのか、背中を曲げてキャプテンを床に降ろす。いまだ浮遊感の残るキャプテンはよたよたとふらつくも、先ほどのように持ち上げられるのは二度とごめんだというように踏みとどまった。


「はは、みんなちっちぇ……」


 育人の目が後方にいる部員たちに向く。その中でもひときわ背の低い、ほんの数日前までチビチビと育人を罵っていた宮田を見つけるとゆっくりと目を細めた。その宮田はまるで蛇に睨まれた蛙のようにビシッと硬直してしまう。育人がその人の身長ほどもある長い脚を踏み出し、体育館の床が抜けそうなほどにきしむ。その歩幅は宮田までの距離をたった散歩でゼロにしてしまっていた。


「あ……おい……」

「うっわ、宮田先輩もちっちゃ……これなら……」


 キャプテンより10センチも低い宮田の目の前は、睾丸どころか空間だった。宮田の身長ではもはや育人の股下すら超えられない。育人の右足が宮田の横に踏み下ろされ、人間以上の質量をもつ大木のような左足が大きく振り上げられる。鉄でできたサンドバックがブンブンと振り回されるような状況に宮田は一ミリも動けない。その左足が踏み下ろされると、宮田は巨大な二本の脚に挟まれる形になってしまう。


「ははっ、宮田先輩跨げちゃいましたよ~」

「んぎ……ぐ……」


 笑う育人と対照的に宮田は息すらもろくにできない。宮田がすっぽり収まる高さの股下とはいえ、育人の脚は筋肉がパンッパンに詰まった極太サイズであり、太さはその辺の男の胸囲を軽く超えるのだ。脚の間は想像以上に狭く、そこに無理やり挟み込まれた宮田は上半身をぎっちりと固定されてしまう。


「い……ぎ……!」


 宮田は必死に脚を押し返そうとするが、鎧と化した育人の筋肉はろくに凹みすらしない。それどころか育人が戯れに脚に力を入れるため、大腿筋がモコモコと盛り上がって硬くなり、押し返される始末。頭蓋骨がメシメシと音を立てはじめ、宮田の脳に死がよぎったとき、一気に脚からの圧力が消える。その場に崩れ落ちそうになった宮田の腕を育人が掴み、脚の間から引っ張り上げる。仮にも野球部の腕を親指と人差し指がくっつくほどがっちりとつかみ切る育人の大きな手。育人はプラプラと目の前で宮田を揺らした。


「あ~んなチビチビ言ってたのに、今じゃ宮田先輩俺の半分以下のチビじゃないっすか」


 その後すぐ育人は乱暴に宮田を床に降ろす。キャプテンと違い宮田は勢い余って床に崩れ落ちた。それを助けに行くものはいない。どの部員も遠巻きにその光景を見つめている。育人がまるで次はどうしようかとでも言うようににやにやとしていると、不意に外が騒がしくなってくる。


「ん……?」

「なんだ……?」


 部員たちがざわざわと話し出す。学校に残された人間は皆ここにいるはずだ。だが外の騒音も大きくなり、車の音や人の足音のようなものも聞こえてきて、部員たちは一つの可能性に気づいた。


「もしかして……!」

「助けじゃないか……!?」


 期待に沸く部員たちの目の前で、外につながる扉が開く。


「っ! いました! 野球部員と思われる生徒を発っけ……なんだあれ」


 体育館に飛び込んできたレスキュー隊員が見つけたのは、連絡が取れず安否がわからなかった野球部員数十名。それと、部員たちが遠巻きにしている、身長が他の部員の倍ほどもあり、恐ろしく発達筋肉を搭載した、かつ、人間サイズだろうと疑いたくなる大きさの逸物をギンギンに勃起させている――巨人、だった。


倍々世界7

Comments

コメントありがとうございます! 昨日まではギリギリ人間の範囲の身長でしたが、もう無理がある……! 態度もどんどんでっかくなってますね~w 身体がでっかくなって周りのものがみんな小さく見えるのが面白いんだと思います。先輩だろうと怒られたってもうどうってことないですからね! 断絶は解消されて、いよいよ育人の姿が世界に知られていきます……

ichiya

とうとう3m台に…! ちょっと発育が良い…というには無理のある規模になってきましたねぇ^q^ そして身体に合わせて行動や態度もデカくなってきていますねw 普段チームメイトからチビチビとからかわれてた分、反動も大きいのでしょうね(*´Д`) 先輩であろうとお構いなしな感じ萌えますね^q^ さてさてレスキュー隊員には既に巨人認定されちゃいましたが、どうなることやら…!

曹達(ソーダ)


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