「お、どうしたそんなところで」
暇潰しに遊びに来た人間の街。筋肉を見せつける競パンだけのスタイルで一時間ほど暴れまわって、次はどうすっかなあ、と片道二車線の狭い道路を乗り捨てられた車を踏みつぶしながら歩いていた。ふと足元を見たときにちょうどあったのが人間用の歩道橋だ。その真ん中辺りに人間が二人ほどうずくまっている。歩道橋の前で立ち止まると、その高さは俺の踝をようやく超えるぐらい。気付かなきゃそのまま蹴り飛ばしてしまう小さな橋だ。小さすぎて、俺の影が歩道橋をまるごと覆ってしまっている。
「っと……」
車をゴミみたいに足でどけ、ゆっくりとしゃがみ込む。突き出た両ひざが歩道橋の真上を通り越し、脚の間から人間二人を見下ろす体勢になる。俺の指より小さい人間の姿はこのぐらい近づかないとわからない。両方とも男だが、どっちも子供だ。一人は多分高校生で、もう一人は小学生ぐらいのガキじゃないか?
「逃げ遅れか?」
聞いてみたものの、どっちもへたり込んで俺を見上げるだけだ。両側には飛行船のようなぶっとい太もも、その間からは大きく膨らんでいる蛍光イエローの競パン、こぶの一つ一つが車よりでかいぼっこぼこの腹筋と丘のような大胸筋が見え、電車より太い首の上からは戯れに街を破壊しつくした巨人の顔が見下ろしているのだ。怯えるのも無理はない。しばらく見下ろしていると、高校生の方がふらふらと立ち上がり、小学生の手を取って左の方へと歩き出した。
(まさか、逃げようってか?)
思わず顔がにやけてしまう。俺が見下ろしてる、俺の両脚に挟まれてるこの近さで、人間のこのトロさで逃げようというのだ。そのひたむきさにちょっとからかってやりたくなって、俺はゆっくりと左手を動かし、人間の数倍でかい人差し指を逃げる二人の前に置く。柔い歩道橋はそれだけでグラグラと揺れ、二人はその場に尻もちをついた。
「どこ行くんだよ?」
めげない高校生は小学生を引っ張って今度は右へと逃げていく。無理だってのに。今度は右側の通路の壁をバキバキと摘まみ潰してやる。もう逃げ場はない。最初からなかったけどな。観念したのか、高校生の方がへたり込みながら俺を見上げた。腕の中には小学生男子をぎゅっと抱き込んでいる。その姿を見てピンときた。
(ああ、兄貴なのか)
震えながらも年の離れた弟を守ろうとする兄の姿を見て、不覚にもそれをいとおしく思ってしまった。俺にも弟がいる。今でこそクソ生意気になってしまったが、小さい頃は確かに可愛くて、俺が世話してやんなきゃと意気込んでいた覚えがある。少し考えて、歩道橋の兄弟が座り込んでいるところに下から手を当て、掬い取るように通路ごと持ち上げる。はみ出た部分は指でちぎり取って、そのまま顔の前に持ってくる。これだけ近づければ表情もわかる。二人ともボロボロ涙を流して泣いていて、弟の方は泣きわめていていたが、やっぱり顔がそっくりだ。
「……そうだ」
ちょっとこいつらで遊んでみよう。歩道橋ごと兄弟を手に持ったままゆっくりと腰を上げて立ち上がる。残った歩道橋の残骸をぐしゃりと踏み潰し、膝にも届かないビルを蹴り飛ばした。車やバスをめちゃくちゃに踏み潰しながら少し歩き、ちょうどよい建物がないか探す。
「お」
他より少し高い、それでもようやく俺の太ももの半分程度の高さのビルを見つけ、その前に立つ。屋上を囲うフェンスを摘まんでちぎり捨て、屈んで歩道橋を屋上に乗せ転がすように兄弟を屋上に降ろしてやる。そしてそのまま道路に座り込む。車もアスファルトもいっしょくたにして俺のケツの下でペチャンコになる。ビルを挟むようにして足を伸ばす。他のビルや建物は軒並み蹴り崩してしまったが、まあいいだろ。そのままビルを囲むように胡坐をかいて少し下を向くとちょうど胸元にあるのがビルの屋上だ。
「こっちの方が話しやすいだろ?」
邪魔な歩道橋の通路を片手で紙屑のように丸め、ピンと指で弾き飛ばす。放物線を描いた金属の塊はどこかのビルにぶつかって小さな音を立てた。屋上の二人はなんとか立ち上がったところで、ビル内に続く階段室の方によろよろと歩いていこうとする。まだ逃げられると思ってんのか。兄弟越しに右手を伸ばして、階段室をかるーく手で押し潰す。それでビルも揺れて兄弟はそろってしりもちをついた。ようやく諦めたのか兄の方が俺の方に顔を向けた。ははっ、絶望って顔してる。
「ん?」
兄の方が弟を後ろにかばいながら座り込んで頭を下げた。いわゆる土下座の体勢だ。そのままぼそぼそと何か言っているみたいだが流石に小さくて聞こえない。背中を曲げて顔が屋上にひっつくぐらいまでに近づく。すると見上げた兄の悲鳴が聞こえる聞こえる。このまま鼻先で二人まとめて押し潰せそうだもんな。
「ひっ、あ」
「何だ? もっかい言え」
小さくつぶやいたつもりだったが人間には轟音だったみたいだ。耳をふさいで崩れ落ち……そうになったが、なんとか耐えている。そうして涙目で真上を向いて、俺を見上げている。つってもこの近さじゃ目しか見えないだろうけど。
「お……」
(?)
「お、俺はどうなってもいいので……弟は……弟だけは助けてください……」
そう言ってもう一度その兄は土下座した。俺はその小さな声を聞き取るのに集中してたから内容を理解するのにちょっと時間がかかった。そしてそれを理解して思わず吹き出しそうになった。が、こらえる。このまま吹き出したら二人ともどっかに吹っ飛んでしまう。
(マジかよ……)
ゆっくりと体を起こしてにやけるのを抑える。自分を犠牲にする健気さと、自分が犠牲になればどうにかなると思っているところがすげー可愛い。巨人である俺がこんなチビのいうことを聞いてやる必要なんてないのだ。歩道橋ごと蹴飛ばしてもよかったし、何だったら今すぐ指一本で二人まとめてすり潰してやれる。
(どうしてやろっかな……)
このまま二人とも指ですり潰してやろうか。それとも、兄貴の懇願を無視して弟をつまみ上げ、ペロッと食ってやろうか。兄貴どんな顔するんだろうな。色々と考えていると、胡坐で囲んでいるビルの近くに今時珍しい電話ボックスを見つけた。奇跡的に無傷なそれをそっと摘まみ上げて屋上に持って来て兄貴の隣に置く。そっと摘まんだつもりだけど透明な壁はひび割れてもう真っ白だ。
「見てろよ」
不安そうな顔の兄貴の目の前で、電話ボックスのてっぺんに人差し指を乗せ、ゆっくりと下に下げていく。特に抵抗もなくバキバキと電話ボックスはひしゃげていき、あっという間に指が床についた。指を上げると電話ボックスは中の電話機ごと潰れてペチャンコだ。それを見ている兄貴は顔面蒼白。ぴっと指で電話ボックスの残骸を払うと、俺の指で凹んだ屋上の床が見える。俺はそこを指で示した。
「おら、そこ立てよ」
兄貴がビクッと体を震わせて俺を見上げる。
「お前も同じよーに潰してやるから。ああ、どっちでもいいぜ? 残った方を助けてやるよ」
さあてどうすんのかな、と屋上を見下ろす。流石に自分が電話ボックスのように潰されるのを想像したのか兄貴はしばらく動かなかった。が、振り返って弟に近づくと、しゃがみ込んでその体を抱きしめる。最期の別れみたいだな。いや最期の別れか。そのあとゆっくりと立ち上がると、さっき俺が凹ませた床のとこまで歩いてくる。ぐいっと袖で顔をぬぐって俺を見上げている。
「へえ、お前でいいんだ」
美しい兄弟愛ってとこか。弟は兄の方を向いて泣いているが、腰を抜かしているのか立ち上がることすらできていない。まあガキだしな。兄貴の上に人差し指を掲げてやる。すっぽりと指の影に人間が隠れてしまう。
「覚悟は決まったな?」
指先だけで車を潰せるようなでけえ指が落ちてくるのはどんな気分だろうか。押し返そうという気すら起きないかもな。抵抗しようがしまいが、人間一人なんてくちゅっと潰れてしまいだ。指先が人間の頭に触れる感触がする。このまま指を下ろせばこの男は一瞬で肉塊になるだろう。が、俺はそこで指を下ろすのをやめる。そしてほんの少しだけ横に揺らして、頭をなでるようにしてやった。首を折らねえように本当にほんの少しだ。そして指を上げると、髪をぼさぼさにして訳が分からない、といった様子の兄貴がふらふらになりながら俺を見上げている。俺はひょい、と指先で兄貴を摘まみ上げた。
「ひっ、うわっ……!!!」
「お前みたいな健気な奴、俺結構好きなんだわ」
潰してしまってもよかったが、弟を守ろうとする兄貴って構図にちょっとばかし感情移入してしまった。ま、たまにはこういうのもいいだろ。ぽかんとしている兄貴を股の方に持って行ってやる。元からキツめだった競パンは小さな兄弟愛を見た興奮でムクムクとデカくなった俺のチンコの形がくっきりと浮き出ている。もう片方の手を競パンに添えようとしたとき、高い叫び声が耳に入る。
「ん?」
顔を上げると、さっきまで座り込んで泣きじゃくっていた弟が、ビルの端から乗り出して俺に向かって叫んでいた。耳を澄ますとどうも「兄ちゃんを返せ」と言っているようだ。おいおい弟まで勇敢かよ。嬉しくなって摘まんだ兄貴を股間から引き揚げてその様子を見せてやる。
「ほ~ら見てみろよ兄の方、弟まで健気だぜ?」
「トウタ、危ない、落ちるぞ! 俺はいいから!!」
どうやら弟の方はトウタというらしい。まあ兄の言い分はもっともで、俺が胡坐で囲んでいるビルはちょっとした体重移動でグラグラと揺れ、フェンスを引きちぎったから端も脆くなっている。と思っているうちに踵がビルに当たってしまいビルが揺れ、そのトウタが転がり落ちた。
「トウターーー!!!」
この高さから人間が落ちれば普通に助からない。が、地面に落下する前にトウタは俺が差し出した手のひらの上にぽすっと落ちた。勢いあまってビルに手が突っ込んだが、まあいいだろ。その手のひらの上にぽいっと兄貴も載せてやる。兄貴は不安定な足元で弟に近づくと、砂埃まみれの弟をぎゅっと抱きしめる。
「お、死ななくてよかったな?」
兄弟の周りの瓦礫を指でピンピンと払い、二人をぐっと顔に近づける。細かい砂埃は俺の鼻息で飛んでった。ちょっと興奮しすぎたせいか、荒い鼻息で兄弟まで飛んでいきそうだった。兄も弟も瓦礫や涙でぐちゃぐちゃに汚れている。
「ははっ、きったね」
俺を見て抱き合い震える姿を見ていると、もう限界だった。手のひらを固定したまま膝をついて立ち上がり、胡坐で囲んでいたビルを軽く蹴飛ばす。さっきまで兄弟二人が乗っていたビルはあっさり崩れ去った。そしてゆっくりと手のひらを股間へと持っていく。小さな競パンはもう中から引き延ばされまくってぎっちぎちだった。反対の手でゆっくり腰ゴムの部分を引っ張ると人間の電車よりでかい俺のチンコがどどん、と居座っている。ビタンと跳ね上がってもおかしくないぐらいには膨張しているのだが、いかんせんデカすぎて亀頭が端に引っかかっているようだ。まあ、今はそれでいい。戻すのも大変だしな。
「お前ら、これが何かわかるよな?」
手のひらを斜めにして二人を俺のチンコに近づけてやる。人間だと熱気や臭いもわかんのかな。俺にはわかんねーけど。そのまま手のひらを傾けると、兄弟はなすすべもなく手のひらを転がり俺の競パンの中へと落ちていく。でっぷりとした竿の根元とチン毛のあたりに転がり落ちて止まった。
「帰ったらまた遊んでやるよ。兄貴はその間、弟が潰れないよう守ってやれよ?」
パンツの中の兄弟を見下ろしたまま、裾にかけていた指を外してパンツを閉じる。生きてられっかな、こいつら。俺が触んなくてもどっかに挟まったりしたら一瞬で肉塊だからなあ。
「ま、なるようになるだろ」
家に帰ったら何してやろっかな。そんなことを考えていると俺の息子はまたむくりと鎌首をもたげようと競パンの中でうごめいた。
END
ichiya
2023-08-29 12:27:40 +0000 UTCかぷりちお
2023-08-29 06:41:43 +0000 UTCichiya
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2023-08-27 09:14:06 +0000 UTCichiya
2023-08-27 06:00:18 +0000 UTCMibusaki
2023-08-27 00:40:03 +0000 UTC