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2話<挿絵付き小説>一年後、オタクのオレ♂は爆乳(ビッチ)ギャル♀になっている

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♯2 

学校に行くと、思った以上に騒ぎになっていた。

オレの症状は倒れたその日には学校に通達されたらしく、人の口に戸は立てられぬということか、次の日には学校中の知るところとなる。

さらに一日経った今日、教室の外は他クラスや上級生でごった返して、騒然としていた。

誰もが件の「女の子」を一目見ようと詰め掛けていたのだ。

しかし、噂だけで誰がそうなのかは特定できていないようで、

オレが群衆をかき分けて教室に入った時も特にリアクションもなかった。見た目はなんも変わってないし当然か。

席に着くなりクラスメイトの数人から噂の広まりを聞かされたオレは、ひやりと背中を伝うものを感じた。

幸い、みんなオレが噂の人物だということは黙ってくれているらしく、

今は直接的な騒ぎにはなっていない。しかし、時間の問題だろう。オレはそれとなく周囲を見回す。

普段通りを装ってはいるが、やはり、クラスメイトの視線はオレに集まっていた。

なんとなく、中学の時ギャルグループから向けられていた視線を思い出し、肝が冷える。もし外部にバレたら、これからずっと、学園中からこの好奇の視線を向けられるのか。

予鈴が鳴り、体育会系の担任教諭ががなり立てたおかげで、とりあえず朝の騒ぎは収まった。ホームルームがはじまると、担任は言いよどみながらも、今一度クラスにオレの症状を告げた。半信半疑だった生徒もいたらしく、どよめきが起こる。

まぁ仕方ない。オレだってそうだったしな。

徐々に女の子になってしまう症状だということ、一定の時間がかかるということ。

時折気を失ってしまうことがあること、など、昨日病院で聞いたことの繰り返しだ。

何か伝えておくことはあるかと聞かれたが、そんなもんあるわけない。

が、クラスの視線が痛かったので、オレはなるべく空気が重くならないように、軽い調子で「ご迷惑かけます」と会釈し、その後通例どうりの連絡事項などが伝えられ、解散となった。

クラスメイトの大半は、相変わらずオレを遠巻きにチラチラ見ていたが、

一部は色々と気をつかってくれて、声をかけてくれた。

けれど、オレとしてはどうしたものか、苦笑いで答えるほかなかった。


授業がはじまっても、居心地の悪さは変わらなかった。

教師たちには当然オレのことは伝わっているらしく、座席表でこちらを確認しているのがわかる。

やはり、教師といえど物珍しさは捨てられないのだろう。

オレはなるべく視線を合わせないように、授業中はずっとうつむいていた。

授業の合間の休憩時間には、また人がごった返し、トイレに行くのもままならない。

中にはオレが件の「女の子」であることを指摘する声もあり、オレは机に突っ伏して

努めて聞こえないふりをした。


昼休み、ため息をつきながら教室で弁当を食べていると、担任に呼び出された。

両親もすぐに来るらしく、今後のことについて話すのだそうだ。

今後のこと、とは何か。すなわち、転校するかどうかである。

磐屋堂(いわやどう)男子高等学園は、その名の通り男子校だ。

オレは今、身体上も戸籍上も男だが、体が変化し終わったら、性別を変更することになるそうだ。改名も可能らしい。

当然、男子校に通うことはできない。そのため、共学への転校を希望するかどうか決めなくてはならなかった。

しかし漸転換型TS症はその名のとおり、少しずつ身体が変化していくというのがクセモノで、どのタイミングで女となったとするか判断が難しい。変化にかかる期間も人によりまちまちで、その間は当然男の扱いとなる。学校側もこんな事態ははじめてのことなので、転校問題をどうするか、とりあえずオレに判断がゆだねられたのだった。

ちなみに女子校に入ることはできないらしい。不公平な感じがするな。


生徒指導室は教室棟とは離れており、静かだった。話し合いは思ったより長引き、もう午後の授業がはじまっている。

自分で決めろと言われてもね。時間だけが無為に過ぎていった。

結局、一年近くの猶予があるわけで、今すぐに決めなくてもいいだろうということになった。

その日は授業を切り上げて、両親とともに帰宅。その後、検査のため病院へ行った。

道中聞いた感じ、両親は共学への入学を勧めているようだ。

制服が可愛いとかなんとか言っていたが、オレに女子の制服を着て学校通えってか?冗談じゃない。

そもそも、オレとしては転校するつもりは元からなかった。

この時点で、自分が女の子になるとかいう与太話をまったく信じていなかったし、せっかく仲良くなりつつある、気のいいクラスメイトたちと離れるのも躊躇われた。あと遠いし。

今は色々騒がれているけど、それは共学に行ったって同じことだろう。いや、余計にひどくなるかもしれないんだ。

なに、中学の三年間女子たちの視線に耐えれたんだ。なんてことはないさ。

今日も帰ってアニメを見よう。入院していた時の分を消化していないし、推しのVliverの配信だってチェックしていない。

スマホゲーのデイリーミッションもこなさないといけないし、SNSだって巡回しなきゃ。オレは忙しいんだ。転校なんて、そんなことしている暇も考えている余裕もない。


数日が経ち、学校での騒ぎは意外にも収まりを見せていた。

最初は物見遊山で冷やかしにきていた連中も、何の変化もしていないオレを見て、

すぐに飽きてしまったようだ。クラスメイトたちも、病気のことはしばらく忘れようということになった。

いいやつらだと思う。本当に女の子になったら、パンツくらい見せてやってもいいぞ。そんなことに本当になったらな、なんて冗談も言いつつ。

というわけでオレの日常は思ったよりもあっさりと戻ってきた。………表面上は。

だけどこの時すでに変化は水面下ではじまっていたのだ。

少しずつ、確実に。

つづく

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