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詠里
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漫画 : Staring(後編)


漫画 : Staring (前編)

↑の漫画の高画質版です。 今回はページ数のわりにトピックは結構いろいろある感じです。 1話にしようと思ってたけど、ページ数がすごいことになりそうだったので分けさせてもらいます…。 真白と潮田のやりとりのシーンは自分の母からヒントを得ました。 私は生まれも育ちも関西なのですが、私の母は関西人ではありませ...

↑の続きです。間があきすぎてしまってすみません…!

前後編合わせて70ページの長編になりました。

















































もはや周知の事実ではありますが、現在の高校野球は全国大会(甲子園)出場が現実的に近づくほど、教育機関としての側面よりもビジネスの側面が強くなっていくスポーツです。ある意味では、その構造こそが日本において高校野球を春夏の風物詩に押し上げ、多くの人を巻き込んで発展してきたといえます。しかしその影でどれほどの数の罪なき生徒が不当な理由で心をへし折られ、口を塞がれてきたでしょうか?


高校野球を本格的に追い始めた時から、私が思いを巡らせるのは強い光の後ろで影になった部分のことでした。どんなにテレビや新聞や雑誌がさわやかな青春を演出しようとしても隠しきれない淀みがこの高校野球というスポーツにはあります。自分が高校球児を描くなら、そこに目をつぶるわけにはいかない、粉飾に加担するわけにはいかないと思ったのです。


この漫画の内容は完全に私が想像で作り上げたフィクションですが、類似の事例は過去に実際に何件もあったはずです。もうずいぶん昔、強豪校の特待生問題が取りざたされ始めた頃、目を覆いたくなるような告発が新聞に頻繁に載っていたことを覚えています。…もし、あの時誰も声を上げなかったら?今よりもっとひどい状況のままだったかもしれないと思うと、心が痛いです。時代が変わって、現在は…まあそれでもさすがに完全に様変わりしたとは言いがたいと思いますが、SNSの発達などで隠蔽も難しくなってきていますし競技人口自体が減ってきていることもあってか、選手を集めるタイプの学校もかつてよりは随分クリーンな運営に変わっているような印象を受けます。印象通りであることを願いたいです。


さて、そのようなことは聴者の野球人にとっては割とよく知られていることですが…真白はおもに母親の方針で中学生までろうコミュニティの中でしか野球をやってこなかったので、そういった事情はあまり詳しく知りません。そもそも、聴覚障がい者、しかも補聴器を使用しない聾者だということでまず聴こえる人の学校では審査対象から外される理由になってしまったりします。さすがに最近は条例などもありますから、どストレートに「キミは障がい者だからうちでは面倒見れないよ」とは言われないにしても、「うちは強豪校だから、特別な配慮はしないよ」と遠回しに言われる可能性は充分にあるのです。


個人的には「特別な配慮はしない」という言葉があたかも真っ当な対応であるかのように扱うのはちょっと腑に落ちない時がありますが…この国は「えこひいき」と「特別扱い」と「合理的配慮」の違いをはっきりさせると都合が悪いというか、合理的配慮だろうが何だろうがとにかく他人が自分よりいい思いをしているのが許せないみたいな意見が普通にまかり通るので、学校側としてはとにかく「平等に扱います!!!!」と言っておかないといけないんですよね。で、真白のような子は当然のようにその「平等」からは除外されてしまうのです。というか、最初からそんな子は存在しないことになっています。存在しないはずの子がいたら困るというわけです。…平等って何だろう????


それでも紆余曲折を経て聴こえる世界の学校に聴こえない人として存在することになった真白は、どのように行動するだろう?ということを考えたとき…聾者としてのアイデンティティをしっかりと持っている真白なら、相手が手話が全くできない人でもあきらめずに向かっていくだろうと思いました。聾者にとって、対人関係においての「知る」という行為は受動的なものではありません。今、自分から知ろうとしなければ、その先一生知ることができないかもしれないという瞬間が聴こえる人よりもたくさんあるのではと思います。聴こえない世界には「自分の意図に関係なく聴こえてくる、聴こえてしまう」という偶発的な伝達が発生しにくいからです。


聴こえる世界ではよく「そのうちわかるよ」と言いますが、それは聴こえているからであって、聴こえる世界が偶発的な伝達に満ちているからであって、決して当然のことではないと思います。少なくとも真白にとっては…。


今回の真白の行動は、聴こえる人の立場から見れば「無遠慮だ」「ぶしつけだ」と感じられるかもしれません。でも、日常的に限られた情報から推測することを強いられている真白にとってはこれが「知る」ということなのです。いつかそのあたりを荒牧君が何らかの形で心から理解できる日がきたらもしかしたら和解できる時がくるかもしれません。はたまた、一生こないかもしれません。それもまた人生…


本当に前編から間が空いてしまってすみませんでした。

でも、描きたいことが描けたのでほっとしています。

これからもコツコツいろんな話を描いていきたいです。

読んで下さってありがとうございました!


詠里

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Comments

ありがとうございます✨お忙しいなかこんなに長い漫画を丁寧に読んで下さって本当に感謝しかないです。一般的に見て聴者と聾者の間にある決定的な価値観の相違のひとつが、情報が相手と正しく伝達しあえているか?ということに対する意識だと私も感じることがよくあります。たとえ真白が真剣にその意識を持って聴者に向かっていっても、聴者はむしろ正しく情報が伝達されることを一番恐れている、避けたいと思っている場合がある。「知りたい」という純粋な欲求が聴者から見れば凶器にもなりうるという理不尽さを、そのような衝突から極力遠ざけられ大切に育てられてきた聾コミュニティを出て初めて真白は経験しているところなのでしょう。 美しい曲を教えて下さってありがとうございます!チェロの音はいいですね、淡々としていて、しかし芯の通った旋律にいろんな登場人物の心情が重なるようだと思いました…私はもともと、必要以上に人の感情を無理やり揺さぶるようなおおげさな起伏は作りたくないと思っているのですが、音楽にしてみるとまさにこういう感じが近いのかもしれません😊

詠里

今回は長いですね!!日本語が下手なので、まだ完全に理解できない部分がありますが、やはり感慨深いです… 他の人を観察するのも、私自身の経験にしても、一つの問題に困惑しています。「聴者は、健全な聴覚を持っていますが、よく聞きたくないで、健全な口語を持っていますが、ちゃんと伝えたくないです。」私たちはいつも「話したくないのに、相手に分かってもらいたい」という状態の中で、大人は特にそうです。 聾者はかえってそうではない。手話通訳をしている先輩から、聾者はいつも「欲しい…知りたい…」のように直接感情を表現し、直接言うとのことでした。 中国語には「有恃无恐」という成語がある。「頼れるものがあるから、慌てない」という意味です。もしかしたら、聴者は、健全な聴力と口語があるだけに、「情報が正確に伝わらないかもしれない」という危機感が欠けています。もしかしたら、他人が自分が「健全」なツールを過剰に利用していると感じるのを恐れて、「体面を保つ」ために抑制して後退しなければなりませんでした。 聾者の純粋な交流欲は、今の人と人との間に曖昧さと虚構の時代を満たしすぎて、貴重なものです。私はそう思います。 しかし、真白はまた少し違っています。彼は探査の境界がどこにあるかを知っています。積極的だが、がむしゃらではない。真白とノナは相手に一番似合うでしょう。真白はノナが分かります。ノナは真白に優しいです。これよりいいのはないです。 最近は忙しくて、イライラしていますが、先生の漫画を見て、癒されました。ありがとうございます。読んでいる間、バッハのBWV 1056 Mvt 2を聞いています。人生には多くの残念があります。しかし、人生に悔いがなければ、これも残念でしょう。聞いて、見ている時、私はこのように思います。できれば先生にも聞いてもらいたいです😊 https://www.youtube.com/watch?v=rVZtkvpm6bg

Lan

ありがとうございます✨ 真白が育ってきた聾コミュニティ、その中での野球というのは、いい意味でも悪い意味でも利害関係から完全に隔絶された場所だったのではないかと思っています。そういう意味でも、ノナの心をえぐった出来事は真白には想像の及ばないところで起きたことだったのです。ただ単に高校野球の暗い部分を描くだけでなく、自らも球児でありながら聴こえないという理由だけでそういった世界からは疎外されてきた真白の複雑な立ち位置を織り込みたかったので、ちょっと不思議な書き味になった気がします。描ききってみてやっぱりノナには真白が必要だなと思いましたし、この2人には幸せな野球生活を送ってほしい!!と私も感じました😊😊

詠里

後編読めるのを待っていたので、ノナの過去が知れて良かったです。 とてもリアルな…いや大人や社会のドロっとしたぶぶんすぎて よくある2人の問題ではないところとかぐぅっと苦い顔になりました。 スカウトやらどんどんビジネスの面が強くなる それを分かっているのにそれでもキラキラしたものとして眩しくて綺麗なものだから見えないよね?みたいに思うし、いいなとそんなこも忘れて楽しんでもいます 楽しむのは、応援するのも当たり前ですけど やはりちらつくドロっとしたとことか そんなこと知らないで、関係なくやりたい野球をしてほしいです。 真白は(読者も)ついに知ることになりましたがノナがそれを語る語らないは別として、ゆっくりと2人で過去も関係なく消化していって欲しいです。

まさとし

はじめまして、ありがとうございます!✨ 高校野球そのものについての印象も、近いものがあるとのことで、私としても描いてみてよかったなと思いました! もともと、漫画家を目指し始めた頃は単純に高校野球の闇の部分を無視せずに描こうという程度の気概でしたが、それだけだとすでに多くのベテラン作家さんが名作をたくさん生み出しておりますね。(最たるもので言うと、『砂の栄冠』とか…)しかし、聴者だけでなく、聴者の野球と密接に関わりながらも問題の当事者になれない場面が多くある聾者という存在を無視せずに描いた作品はほとんどありません。実際には真白のように聾学校から高校野球をやりたいために聴者の学校に進学した人、チームの一員になった人はすでにたくさんいます。フィクションよりも現実のほうが先を行っているのです。 巨大なエピソードがようやく仕上がったので、fanboxのほうでは固まり次第ノナと真白の馴れ初めについて徐々に触れていきたいなと考えております!よかったらまた読んでいただけると嬉しいです😊

詠里

もともとツイッターを読んでて、最近支援を始めさせていただきました。 そして支援者限定コンテンツを見たら…あらあらあら、まぁまぁまぁ…えっ、そうなの!?な展開にちょっと驚きましたが、2人ともお互いを大切に思っているのがすごく伝わってきて、2人の関係が明瞭になり、より素晴らしいものだと感じるようになったのもあって、こういうシリアスよりな展開がより刺さりますね。 障害のある人への観点では恥ずかしながら見たことがなかったのですが、(健常者の)球児を取り巻く高校球界の現状に対しては、作者さんが感じているようなところを私も感じていて、そのもやもやを感じながら読んでいました。荒牧くんだって何も悪くないのに…。多分ノナもそんなことはわかっていて、でもどうしようもなく悔しいんだろうなぁ、と思うと寂しいすれ違いですね…。 今作ではそこにさらに真白の話が出てきて、より複雑なものにとらわれているノナと真白…。 もちろん難しい話ではあるんだけど、やはり大人の事情に振り回されずに球児たちがのびのびと楽しく上を目指すのは難しいのかなぁ、無理なのかなぁ、とも思いましたが、ノナと真白なら、そんなものにはくじけることなく、2人だけのペースでしっかり前に、上に向かっていけると思っています。 それにしても2人の関係はいつから?どっちから?どういう流れで?みたいなのが気になって気になって…!(馴れ初め話大好き人間) いつか詠里さんの「書きたい」がそこに向かった日には、ドキドキしながら読ませていただきますね。 こんなに素敵な作品をありがとうございます。 今後も詠里さんの中にあるノナと真白にまた出会うことができれば幸せです。 こんなご時世なのでお体にはお気をつけて、健康第一でおすごしいただければと思います。

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