無事双子の娘を出産し、産後の身体もだいぶ癒えた灯織は夫との散歩を楽しんでした。島で子供は村の子供という位置づけの共有財産なので、基本的に皆で世話する慣習だった。族長より産後の妻は夫と共に暫く休むよう言われ、灯織は授乳以外殆ど娘たちの世話をしていない。 なんとも行き届いた育児システムだなと灯織は感心したが、愛娘たちと触れ合う時間が少ない事に幾何かさみしさを感じた。 「ねえあなた、子供の名前はどうする?」 散歩の道中、灯織が愛する夫の腕を抱きながら問うた。 すると夫はきょとんとした顔で「貴方」という呼び方に戸惑っているらしい。灯織ははっとなり慌てて夫に説明した。日本では妻が愛する夫をそう呼称する文化なのだという事。妻から夫へだけで、夫から妻への呼称としては使われない事。夫は合点がいったようで安堵した表情を見せた。突然妻から他人行儀な「YOU」を意味する単語で呼ばれたのだから無理もない。そういえばこの呼び方は初めてだった。灯織は反省しつつ苦笑しながら改めて文化の差を感じ取り、失われた己の日常に想いを馳せた。 日本のみんなはどうしているだろう。 飛行機の乗客は無事に助かっただろうか。 プロデューサーやスタッフは無事だっただろうか。 大切な二人の友人は。 真乃、めぐる・・。 そんな想いがぐるぐると頭を駆け抜けた。 ずっと抑え込んでいた感情がどんどんこみ上げる。 最後に握りしめた二人の友人の手の感触が今でも思い起こされる。 灯織は夫の腕をぎゅっと抱きしめうつむいた。 すると夫が不安そうな声で灯織の名を呼んだ。 その声に灯織が顔を上げると、夫は優しく灯織の濡れた頬を撫でた。 「あれ・・わたし・・泣いてる・・?」 郷愁の念からなのか、喪失感によるものなのか、灯織は無意識に泣いていた。そう認識すると、流れ出る涙と複雑に入り混じった感情が溢れ出た。 灯織は優しく抱きしめてくれる夫の胸で号泣した。 ひとしきり泣いて落ち着いた後、夫は灯織を軽々と抱き上げてそのまま歩き始めた。夫の逞しい腕で厚い胸元へと抱き寄せられ、灯織はすっかりたまらなくなり自身の秘所と夫の腕を濡らしてしまっていた。そのことに灯織が気付き慌てて恥ずかしそうに夫を見上げると、夫は気にすることも無い樣子で優しく微笑んだ。灯織はすっかりその気になってしまい、目的地であるいつもの泉に着くと夫に囁いた。 「・・しよ」 灯織は行為の後、夫に優しく抱かれながら寝転がっていた。 しかし灯織の顔は真っ赤で、ずっと黙り込んだままだった。 夫は先刻からずっと謝罪の言葉を連ねている。 行為の最中、夫は子供が出てきた穴にいたく執心していたらしく、かなり念入りに前を触ってきた。後ろから夫自身を迎え入れた時もずっと後ろの穴を触っていた。穴を同時に愛される行為は灯織にとって未知の感覚であり快感であった。行為の最中はずっとその快楽に身を委ねていたが、終わってしまってからは死にたいほど恥ずかしくなっていた。なんともはしたない自分。彼女たちが見たらどういうだろうか。不意に大切な友人二人の顔が思い起こされる。 「ねえ、子供の名前、私が決めてもいい?」 自分の偏った行為ですっかり灯織が臍を曲げているものと思っていた夫は、灯織のその言葉にぱっと明るい表情でもちろんだと頷いた。 娘二人の名前はぼんやりと思い浮かんではいたが、部族に於いて産まれた子供の名前は部族の話し合いで決め、次に執り行われる祭りで正式に命名される。そんな空気なので灯織は言い出せないでいた。だが今でははっきりと言い出せる。夫婦で申し出ればその意見を十分加味されるという夫の言葉も後押しした。 「まの、めぐる・・これからもいっしょだよ・・ずっと」 灯織は空を見上げながらそうつぶやいた。 witterで「次に見たい作品は何ですか?」というアンケートを取ったらトライバル灯織さんをという結果に落ち着いたので描いてみました。今回は色々描いた事のない要素マシマシで挑戦してみましたが、いかがでしょうか?一度こういう角度から描いてみたかったんですよ。しんどかったです(苦笑) シチュエーションとしては産後の身体が癒えた後も暇を見つけては愛し合う仲睦まじい夫婦といった感じですかね。 色々と描画に疲れ果てたので、今回は誰得長文説明無しです(笑) 追記 誰得長文無しは自分の中で腑に落ちなかったので、 後付けで思いの丈を書き綴りました。 いつもの駄文ですが、宜しかったら御覽下さい。