それはある日の休日のことだった。 いつものように俺の部屋にはナハトがいて、『お目付け役』という名目でソファーをベッド代わりに寝転がっては携帯ゲームをしている。 『毎回持ち運ぶの面倒だから』というナハトにより段々と俺の部屋にはナハトのゲーム機やら本やらが持ち運ばれており、すっかりリビングのソファーはナハトの専用ソファーと化していた。 正直な話、迷惑だと思ったことはない。 一人でいるよりもナハトがいてくれた方が嬉しいし、ナハトがそこまでこの部屋を気に入ってくれるのだと思うと素直に嬉しくも感じた。 ソファーを取られてしまった俺は、床の上に正座してナハトと対戦したりたまに足蹴にされたり踏まれたり押しつぶされたりとしながらも比較的穏やかな時間を過ごしていた。 ――が、そんな穏やかな休日は一変することとなった。 全ては、ちょっとした疑問から始まった。 「ナハトさんって、休みの日ってなにしてるんですか?」 それは純粋な疑問だった。 小休憩挟んで、以前安生から貰った差し入れのケーキを二人で食べていたとき。 何気なくその質問を投げかけた瞬間、ケーキに齧りつこうとしていたナハトは「は?」と動きを止め、ぎょろりとこちらを見た。 俺はこの時点で『あ、やばい』と察した。先程までのケーキを頬張っていた年相応の少年らしい表情は何処、殺意に満ちた極悪ヴィランの顔をしている。 「あ、や、他意はないんですけど、いつもこんな風に部屋で一人ゲームしてるのかなって……いひゃひゃ」 言い終わるよりも先にナハトに羽交い締めされ、そのまま両手で頬を挟み込まれてしまった。 「……他意もなにも、それ普通に嫌味でしょ。なに、俺に喧嘩売ってる?」 「ち、ちがひましゅ! ……その、ナハトさんのことが気になって……」 それは嘘ではない。 誤解を解こうと身振り手振りで説明をすれば、一応はナハトには伝わったらしい。俺の頬を開放したナハトはそのままそっぽ向き、「企業秘密」とぽつりと呟く。 「え」 「それに、今は誰かさんのおもりで忙しくて休みなしの状態だし」 「え、え、そうなんですか?」 「なに? 知らなかったわけ? まあ、普通に考えれば思い付きそうなものだけど」 「俺も、あいつらも任務以外のときアンタにつきっきりなわけだし」あいつというのはノクシャスとモルグのことだろう。 確かに常誰かしら側にいてくれる状況を考えれば、そうならざるを得ないのか。 「それは……すみません……」 「別にアンタからの謝罪なんざどうでもいいけど? それに、ボスからの直々のご命令とならば別だからね」 やはりナハトはストイックな人だ。 言い切るナハトにかっこいいなと思ってると、「でも」とナハトはこちらへと目を向ける。 そして目が合えば、そのままナハトはこちらへと体を寄せてくるのだ。 「少しでも俺に申し訳ないって思ってるんだったら、少しくらい俺に付き合ってくれる?」 睫毛に縁取られた猫のような目は細められ、その目に見つめられた俺は蛇に睨まれたカエルみたいに動けなくなった。 「付き合うって……まさか」 いつの日かのあれやこれが物凄い勢いで駆け巡っていく。 ドッドッと脈打つ心臓を抑え、息を飲む俺。 今の俺にナハトの誘いを断る勇気も意思の強さもなかった。「分かりました」と震える喉から声を振り絞れば、ナハトは静かに笑った。 ◆ ◆ ◆ 「は、ぁ……っ」 普段部屋に籠もってばかりいるおかげか、体力は無に等しい。 少しの運動だけでも息が上がり、俺は虫の息のまま床の上に転がった。 そして、そんな俺の上。 「ねえ、何勝手にへばってんの」 「す、すみません……」 ソファーから立ち上がったナハトは、コントローラーをテーブルの上に置いたまま今度は床の上に打ち上げられた俺の前までやってきた。 そして座り込み、こちらを覗き込んでくるナハトはそのまま俺を仰向けに転がす。照明の明かりの下、ナハトの視線が痛い。 「本当お前体力なさすぎ。それでもボスの弟なの?」 「う゛」 「ほら、早く起きなよ。……それともなに? 降参する?」 いつものコントローラースティックとボタンだけではなく、全身の動きも絡んでくる対戦ゲームを始めたのが数十分前のことだった。 こんなに疲れるゲームってあったのか。最早ここまでくればスポーツのようなものだ。 「降参です」と手を上げれば、「はっや」とナハトは顔を顰めた。 「……はあ、本当張り合いなさすぎだし」 そりゃあ、現役の悪名高きヴィラン様に勝てるわけない。 ただでさえ運動は得意ではないのだ。 グサグサとナハトに刺されながらも、俺は「すみません」と項垂れる。 「いつまで寝てるの。起きろよ。……罰ゲームするよ」 「え、さっきは罰ゲームなんて話……」 「負け犬のくせにきゃんきゃん煩い。敗者に拒否権なんかあるわけないだろ」 「お分かり?」と転がされたまま俺はナハトに引き上げられ、そのままソファーに座らせられた。 うう、横暴だ。あんまりだ。そう俺は心で泣いた。 でも楽しそうに意地の悪い笑顔を浮かべるナハトは、正直可愛いと思ってしまう。俺も俺なのかもしれない。 「それで、罰ゲームというのは……」 「正直、善家はなにさせても喜ぶから罰にならないんだよね」 「そ、そんなことはないですよ……っ!」 「本当に?」 「ほ、本当です……俺だって、恥ずかしいこととかは流石に……」 ナハトの視線に耐えられず、思わず白状してしまってからそこでハッとした。ナハトがめちゃくちゃ意地の悪い顔してる。先程の可愛らしさもない強悪な顔に、思わずひゅっと息を飲んだ。 「ふーーん、恥ずかしのが一番嫌なんだ」 「な、ナハトさん……」 「罰にならなきゃ意味ないだろ、こういうのは」 なにを企んでるのだ。 ナハトの前、産まれたての子鹿のように震えることしかできない俺。そんな俺を見て、どう調理するかと企てるナハトの構図はまさに弱肉強食の世界の縮図だっただろう。 ◆ ◆ ◆ 「な、ナハトさん……これって……」 「罰ゲームって言っただろ。早くしなよ」 「う、うう」 何故こんなことになっているのかと言われれば、それはもう俺がゲームが下手だって理由に尽きるのだが、それでもだ。 目の前に転がった猫耳カチューシャと猫のしっぽを模した玩具を前に、俺は思わずナハトを見た。 「な、ナハトさん……こういうのがお好きなんですか……?」 「そんなわけないでしょ」 「じゃ、じゃあなんで……」 「お前が付けたら面白そうだったから貰ってきてやったんだよ、開発部から」 どっからどう見ても戦闘には関係ないやつではないのか、開発部はなんの開発をしているんだ。 思わず突っ込みそうになりながらも、恐る恐るしっぽの部分に触れた。瞬間いきなりウネウネと動き出すしっぽ、そして先端のプラグが震動始めて驚きのあまり落としそうになる。 「っ、な、ナハトさん……っ! これ、動いてますって……!」 「そりゃそうでしょ、そういうもんだし」 「……、……」 そういうものなのか……。 ブブブ、と手のひらで震えるそれを握り締めたままナハトをちらっと見ると「なにやってんの?」と冷めた目で見下される。 「あ、いえ、その……これ……」 「もしかして、嵌め方わからない?」 「は、嵌め……ってことは、やっぱり……」 「アンタの緩い尻の穴に嵌めるには丁度いいだろ」 やっぱりそういう玩具じゃないか。 ナハトに限ってまさかそんなと思い、別の用途を必死に考えていたがその淡い希望もあっさりと捨てられた。 「って、ゆ、緩くないです……!」 「本当に?」 「ほ、本当です……」 「ま、どっちでもいいから早くしなよ」 「う、うう……」 話を逸らせばなんとか回避できないかと思ったが、見逃してもらえなかった。 「ああ、それと。こっち先につけなよ」とナハトに猫耳を頭に被せられた。どういう仕組みになってるのか、俺の意思や感情を読み取るかのごとくその耳は垂れ下がる。 そんな俺を見て、「ふふ」とナハトは小さく笑った。 「怯えすぎでしょ、耳丸まってるし」 「っ、な、ナハトさん……」 「一人でできないなら俺が手伝ってあげてもいいけど?」 「う、うう……っ、そっちの方が恥ずかしいです」 「だろうな、俺だって好きで善家の尻見たいとは思わないし」 ならもっとせめて挿れなくてもいいやつとか用意してほしかったが、今更言ったところで変わらないのは目に見えている。 俺は観念し、「分かりました」と項垂れた。 「そ、その代わり、恥ずかしいので隣の部屋行ってきていいですか……?」 「は?」 「な、なんで怒るんですか……っ?!」 「アンタさぁ、罰ゲームの意味分かってる? 恥ずかしくなきゃ意味ないだろ」 鬼だ、鬼がいる。 「さっさとしなよ」とナハトに急かされるようにぺしんと尻を叩かれ、「は、はひ!」と声が震えた。 恥ずかしくないわけがない。猫耳だって、俺よりもナハトさんの方が絶対に似合うはずなのに。 ……でもまあ、ナハトさんが楽しいのならと思ってしまう俺も大概なのかもしれない。 流石にナハトと向かい合いながらは恥ずかしくて、ナハトに背中を向けたまま俺は恐る恐る下に履いていたスウェットを下ろす。下着もそっとずらし、裾を引っ張って尻を隠しながらプラグを手に取る。 表面が緩やかな曲線を描く棒状のそれを尻に当てる。けれど、無論準備なんかしていないそこは上手く広がるわけでもない。 ぐりぐりと押し当てるだけ押し当てれば震動だけが伝わってきて、震えるそれに驚きながらも「ナハトさん、入りませんっ」とナハトに泣きつけば、ナハトは呆れたような顔をした。 「下手くそ、もたつきすぎだろこれくらいで」 「っ、ぁ、ナハトさん」 「ほら、貸して」 「え」 「え、じゃない。貸せって言ってんの」 「このままじゃ、いつまで経っても終わらなさそうだし」なんて言うナハトに猫のしっぽ付きアナルプラグを取り上げられる。そして、「腰、こっち突き出して」とナハトに耳元で囁かれてぎょっとする。顔が熱くなる。まさかナハトの手で挿れてもらうなんて思っていなかったから余計戸惑って「あの、でも、その」と口籠ってると「早くしろ」と尻を叩かれた。 「あうっ、……な、ナハトさんお尻叩かないで下さい……っ!」 「叩きやすそうな尻してる方が悪い。……ほら、早くしろ。言っとくけど俺は気は長くないから」 それはよく知っている。 シクシクと泣きながらも俺は羞恥心を押し殺し、そのまま目の前のソファーの背もたれ部分に手を置き、腰を突き出すような格好になった。 ナハトの視点を考えると恥ずかしくて気が気でなかったけど、そんな俺の気持ちなんていざ知らず、ナハトは容赦なく服の裾を捲り上げるのだ。 「ぁ、ナハトさん……っ」 「じっとしろ」 「う、うぅ……っ、恥ずかしい……」 「恥ずかしくなかったら罰にならないでしょ」 そんなことはないはずだ。ナハトの趣味じゃないのかやっぱり、と思いつつも口に出したらまたお尻を叩かれるに違いない。俺は泣き寝入りする。 尻に這わされたナハトの手に臀部を丸く撫でられ、「ん……っ」とつい声が漏れる。 「……っ、ナハトさん」 「なに」 「は、早く……」 この恥ずかしい格好を終わらせたかったのに、ナハトは感触を楽しむように尻の肉を揉むのだ。 「負け犬の善家に急かされる筋合いないと思うけど。……ああ、今は負け猫か」 「っ、う、うぅ……ナハトさん、楽しんでますよね……?」 「当たり前。俺が勝ったんだから楽しませてもらうに決まってるでしょ」 意地の悪い顔をしたナハトにお尻の肉を柔らかく抓られ、堪らず腰が震えた。 ――ナハトが楽しんでいるのならまあいい……のか? ふわふわと熱で浮かされるような意識の中、ナハトの指が谷間に這わされ、堪らず息を飲んだ。 「……っ、ぁ……」 「それに、こんな玩具みたいなサイズのプラグも入らないなんて鍛え方が足りないんじゃない?」 「そ、そんな……っ、ぅ、ん、……ッ!」 そもそも鍛えるってなんなのだ、と言いかけたところでナハトの指に肛門を撫でられる。ひくりと喉が震え、堪らず腰を引っ込めそうになったが、それよりも先にナハトに腰を掴まれたまま更に突き出すような格好にされるのだ。 「っ、ん、ぅ……っ、ぁ、ナハトさん……っ」 「……本当、手のかかるやつ」 「ご、めんなさ……っ、ひぅ……っ!」 華奢な指にきゅっと口を閉じた肛門を割り開かれたと思った瞬間だった、中に指が挿入される。ジェルのようなものを纏った指はそれを丹念に塗り込むように入口の浅い部分からじっくりと内側の粘膜を隈なく触れていくのだ。 「ま、にゃ、な、なにっ、ナハトさ……っ」 「なにって、こうやって慣らしてやってんの。お前のケツの穴ちっさすぎるから」 「そ、そこまでしなくてい゛……ッ、ぅ゛……っ!」 良いです、と言いかけた矢先、体内の熱に溶けたジェルが体内で更に大きな音を立てる。ぐちゃぐちゃと品のない音ともに浅いところから奥までナハトの指で執拗に中を掻き回され、塗りこまれていくそのジェルに次第に内側は焼けるように熱く痺れてくるのだ。 「そこはありがとうございます、だろ?」と背後のナハトに耳元で囁かれ、息を飲む。臍の裏側、膀胱の辺りを指の腹で圧迫されると頭の奥がじんと痺れ、舌先まで痺れるようだった。 回らない舌で「ありがとうございます」と答えれば、背後でナハトが鼻で笑う気配がした。そしてすぐ、先ほどよりも更に大胆に中を刺激されるのだ。 「っ、は、ぁ……っ、んん……っ、う、ふ……っ!」 「本当狭すぎ。これ、本当は自分でやらなきゃいけないんだからね」 「は、はい……っ、ごめ、んなさ……っ、ぁ、……ッ!」 「なに勝手に気持ちよくなってんの?」 「ご、ごめんなさ……っ、ぅ゛……ッ! ふ、ぅ゛、」 前立腺を撫でられ、揉まれ、複数の指に中を掻き回され、中を広げられる。空気が混ざったようにぐぷ、ぐぢ、と品のない音を立て肛門を丹念に愛撫され、呼吸も浅くなった。 こんなことするつもりではなかったのに。 コリコリと前立腺を執拗に指で揉まれ、解されるだけで力が抜け落ちそうになる。せめて気持ちよくなってると思われたくなくて、必死に口を抑えて我慢しようとすればするほどナハトの指の動きは激しくなるのだ。 我慢など、できるわけがない。 「ん゛、ぅ゛……っ、ふ、……ッ!!」 一度足りとも性器に触れられていないにも関わらず、ナハトの前戯に堪えられずに勃起してしまった性器の先端からはとめどなく先走りが滴り落ちていく。じんじんと痺れるような快感は何層にも重なっていき、気付けば幾重にも重なった快感に俺はソファーにしがみつくのが精一杯だった。 痙攣する内腿を掴んだまま、ナハトは「何イッてるの?」と冷ややかに吐き捨てる。 「ご、めんなしゃ……」 「言ったよね、これは罰だって。……それにまだ『これ』も挿れてないのにこの体たらく、だらしなさすぎじゃない?」 『これ』と振動するプラグで肛門から睾丸の裏側を撫でられただけで頭は真っ白になり、喉の奥から声が漏れ出る。 先程まではそこまで意識していなかったのに、ナハトの手で直々に高められた神経は想像以上に過敏になっているらしい。そのままゆっくりと丸みを帯びた先端部を再び肛門へと押し付けられれば、「ん、ぅ」っと喉の奥から声が漏れ出た。 「は、っ、ぁ、……ッ」 「善家、まさか俺になにからなにまでさせるつもり?」 「……へ、」 「自分で拡げろよ、俺に挿れてもらう気があるなら」 「……っ、な、ナハトさん……」 「ま、自分でやりたいってんならこのままパスしてやってもいいけどね」 中に入っていた指が引き抜かれ、口を開いた肛門付近をプラグで撫でられる。それだけでまたイキそうになりながらも、俺は恐る恐る自分の下腹部に手を伸ばす。 考える余地もなかった。 そのまま濡れそぼった肛門に両手を回し、ナハトに見えるようにゆっくりと左右に広げる。先程よりも明らかに柔らかくなった肛門、広がった穴から熱を帯びた粘膜で外気を直に感じ、その温度差にまた腰が震えた。 「ぉ、お願い……します」 背後のナハトがどんな顔をしてるのか、なんて俺には振り返って確認する勇気などなかった。 ナハトに罰ゲームと称してあれこれ要求されることは多々あったが、今回の恥ずかしさだったりはまた別枠だ。 「善家、力入れすぎ」 「っ、だって……ぁ、んう……っ」 「これくらい、あんたなら平気だろ」 「そ、んなこと……ッ、ぉ、……ッ」 ぺちん、と尻を叩かれ、ソファーの上、うつ伏せになっていた俺は思わず仰け反る。 背後に立つナハトの手には、あの猫のしっぽがついたなんとも卑猥な形の玩具だ。 それで肛門をぐり、と圧されるだけでひくりと喉が震え、息が詰まりそうになる。 「力抜いて」と、背後から覆いかぶさってくるナハトに囁かれれば、従うほかないのだ。はい、と小さく頷き返し、俺は自分の尻を広げたままナハトの動きを待つ。 ――そして。 「ん、う……っ」 柔らかくなった肛門、そこを押し広げるように頭の部分がずぷ、と沈んでくるのが分かった。 そのままゆっくりと、それでも容赦なく体内の粘膜を摩擦しながら異物は入ってくる。 どこまで入ったのかわからない、それでも、『まだいくのか?』と思うほどのところまでやってくる玩具に目の前がじんわりと熱くなり、お腹が苦しくなる。呼吸をし、全身の筋肉を弛緩させることに意識しながらそれを受け入れようとしているときだ。玩具の部分を全て中に納めたらしいナハトは俺から手を離した。 「……ほら、よゆーじゃん」 「は……っ、ナハトさん……ッんん!」 確かに、これなら変な動きをしなければただ永遠にじりじりと内側から弱いところを圧し上げられてるだけだ。 と思った矢先、体内に埋め込まれたその異物がいきなり振動し始め、堪らず俺は自分の下半身に手を伸ばす。が、すぐにナハトに払われた。 「なに抜こうとしてんの」 「っ、ぁ、な、ナハトさっ、これ……っ、うご、うごいて」 「当たり前だろ。そういう玩具だし」 そう笑うナハト。心底楽しそうな顔をしている。 ただでさえみっちりと詰まって違和感が大きかったのに、丁度弱いところに当たり、絶妙な力加減で小刻みに刺激され続ければ流石に慄く。 喋ろうとするたびに振動で変な声出そうになるし、たかが玩具だし恥ずかしいのを我慢すればなんとかいけるだろうと思っていた俺が甘かった。 ソファーの上、抜くこともどうすることもできずに固まる俺の横、座ってきたナハトはそのまま俺の尻から生えたしっぽに触れるのだ。 「しっぽ丸まってる。……ビビってんの?」 「だ、だって、ナハトさん……っ」 「俺がなに?」 「こ、こわ……っんん……っ!」 怖いです、と言いかけた瞬間、先程よりも体内の異物の動きは激しくなる。 思わず飛び上がりそうになる俺に、ナハトはそのままぐりぐりとしっぽを押さえつけ、抜けないように更にしっかりと栓をしてくるのだ。 「っ、は、うう……っ」 「いいじゃん、それ。今日はこのままね」 「っ、え?!」 「当たり前だろ。負けたんだから、あんた」 「っ、うう、でも」 これじゃなにもできません、と言いかけた矢先だった。 「っ、は、ぁ……っうう……ッ!」 立ち上がった拍子に、強弱つけて揉み解され続けていた前立腺を大きく刺激してしまい、自爆した。そのまま再びソファーに倒れ込む俺を捕まえたまま、ナハトは笑うのだ。 「負け犬は負け犬らしく“ワン”だろ? ……あ、猫か」 「にゃ、ニャン……」 「なにその適応力、やっぱ善家好きじゃん」 はっ!……つい。 「それじゃ、取り敢えずそのまま飲み物用意してきて」 「う、うう……ナハトさん楽しそう……」 「まあまあね」 「ほら、わかったらさっさと服着なよ」と強引に下着をずりあげられ、また「はうっ」となってしまいそうになる。 最初はともかくだ、慣れればなんとかなるかもしれない。 そうだ、何事も慣れなのだ。 そう自分に言い聞かせながら、俺はナハトに命じられるがまま立ち上がる。 腰から下に力が入らない。そもそもどんな風に歩いていたのか分からなくなるほどだ。 さながら生まれたての子鹿の気分で、ナハトに言われるがままナハトのお気に入りのジュースを取りにキッチンスペースの冷蔵庫まで向かう。 その間も俺の腹の中ではあの無機物が永遠に性感帯をねちねちねちねちと刺激し続けていて、永続的に襲いかかってくる性的刺激に頭がぼんやりとしたまま俺はなんとかグラスとトレーを用意した。 「……っ、ふ、ぅ……」 パンツの中からはみ出たしっぽが俺の意識と同期してはもぞもぞと動いている。 頭の方はもはやなにも気にならない。寧ろまだ飾りな分可愛い方だとすら思えた。 「……は……っ」 ナハトさんが楽しいならそれでいいと思っていたけど、これは。 気持ちはいいが、直接的に射精に繋がるほどまでの刺激ではない分物足りなさがどうしても大きくなってくる。下着の中、パンパンに勃起した自分のものが動く度に先走りでぬるぬると汚れて気持ち悪かった。 そんな中、ナハトに命じられた通りしっかりと飲み物を用意することに成功した。 ――よし、あとはこれをナハトさんに届ければおしまいだ。 そうなるべく下半身を意識しないように呼吸を整えながら、俺はリビングルームのナハトのもとへと向かった。 手足が震え、ぷるぷるとグラスの中身を何度もこぼしそうになりながらもようやく俺はナハトの元まで帰ってきた。 「ナハトさ――……あ、うっ!」 持ってきました、と続けようとした矢先だった。ぐりん、と腹の中で急に暴れ出した玩具に前立腺をごりゅ、と圧され、俺はテーブルの上に置こうとしていたグラスをそのまま零してしまった。空中、放射線状にぶちまけられるジュース。ナハトはそれを手で受け止め、ジュースを頭からかぶることはなかったが。 「はあ……お前さあ……」 「ご、ご、ごめ、ごめんなさいっ!」 ぽたりぽたりと、ナハトの掌から落ちていくオレンジ色の液体。 その指の隙間からこちらを見る冷たい目に、俺は慌てて頭を下げた。 ナハトは深く溜息を吐き、それから俺からそっぽ向くのだ。 「……あーあ、汚れちゃった」 「う、すぐにタオルを……」 「舐めて」 「え」 「だから舐めてって」 一瞬耳を疑った。 けど、間違いなくナハトはそういった。俺に汚れた手を差し出したまま。 ぽたり、と、また一滴ナハトの指先から雫が落ちる。火照った頬。俺は恐る恐るそのナハトの掌に顔を寄せ、下を伸ばそうとしたときだった。 「――なんてね」 ナハトの手が離れる。 思わずその指先を目で負いかければ、ナハトは口元にあの意地の悪い笑みを浮かべていた。 「鼻息荒すぎてキモ。……てかベタベタするからタオル持ってきてよ」 「あ、は、はい……っ」 なんだ、冗談だったのか。 ナハトさんらしいといえばナハトさんらしいが、あまりにも冗談に聞こえなかったせいで未だ心臓がドキドキしている。 「なんでちょっとがっかりしてんの?」 「え……し、してないです!」 「嘘吐き、しっぽの元気がなくなってる」 そう、汚れてない方の手でパンツからはみ出ていたしっぽの先っぽを握られれば、「んんっ!」と思わず飛び上がりそうになった。 流石evilの開発部だ。玩具と言えど、しっかりと感覚神経も同接されている。お陰で心臓止まるかと思った。 「変態」 「う、ちが、ぁっ、ごめんなさ、ッ、んん……っ!」 そこは、駄目だ。 猫のしっぽはただでさえ敏感なのに、そんな触り方されたら。 くるくると指に絡めて弄ぶナハト。そのまま先っぽに軽くキスをされた瞬間、ぞくりと全身が粟立った。 「っ、あ……ッ! ぁ、……っ、ナハトさ……っ」 「また丸まってる。……嫌なの?」 「い、や、じゃ……っ、な……っ、ん、ぅ……ッ!」 「ふーん……まあどっちでもいいけどさ、あんたのしっぽ、あんたに似てて忙しないの面白い」 「……っ、ふ、ぅ……」 べろ、としっぽの毛を舐められれば、堪らずへたり込みそうになった。床の上、腰を抜かす俺を捕まえたままナハトはぴんと伸びたしっぽの付け根まで撫でるように愛撫していく。 そして下着をずらされ、埋め込まれたままのそこを指で軽く撫でられた瞬間、下半身がぶるりと震えた。 「っ、は、あ……っ」 「うわ、前どろっどろ。……なに? そんなに気持ちよかった?」 「……っ、ぁ、な、ナハト、さ……っ」 「本当に、どうしようもないね。お前」 「っ、ふ、う……ッ!」 とろりと性器の先端から溢れるそれを見て、ナハトはそのまま俺の性器を覗き込むのだ。 「興奮しすぎ」 「ご、めんなしゃ……ッ、ぁ゛……っ?!」 しっぽの根本を擦られ、堪らず仰け反る。まるで性器を握られてるような強い刺激に耐えられず、腰を持ち上げたまま床の上、うつ伏せに倒れる俺に構わずナハトはそのまま扱く手を止めなかった。 「っ、ぁ゛、や……っ、それ、ナハトさ……ッ!」 「嫌なの?」 「っ、い、や、れす、ッ、なは……ッ、」 ナハトさん、と言いかけた声は、その先発することはできなかった。 どぷ、と限界まで勃起していた性器の先端から勢いよく吹き出す白濁液はそのまま床を汚していくのだ。ぴんとしっぽは伸びたまま、それでもびゅる、びゅく、と止まらない精液に俺はそのまま床の上にうつ伏せで倒れる。 しなりとへたり込むしっぽを握ったまま、ナハトは最早虫の息となっていた俺を覗き込むのだ。 「……あーあ、汚れものが増えたし。なにやってんの?」 「は、……っ、ふ、ご、めんなさ……」 「……取り敢えず、タオル。すぐね」 床のタイルのひんやりとした感触が気持ちよくすらあった。落ちてくるナハトの声に、「はひ」と堪えるのが精一杯だった。 ◆ ◆ ◆ 汚れた床の掃除をしろ。 そうナハトに命じられたのはいいが、 「……っ、ぅ……っ」 とうとう下着も剥ぎ取られ、下半身に身につけるものがなくなった状態のまま俺は床の掃除をさせられていた。 下着を汚してしまった俺が悪いのだが、それだとしてもだ。ナハトにこれ以上恥ずかしい姿を見せたくなくて、服の裾を引っ張って必死に隠しつつ、なんとか床を磨いていく。 先程射精したせいか、先程よりも幾分過敏になった体にとって玩具の震動は毒でしかなかった。 脳を直に掻き回されるようなそんな持続的な快感に犯されたまま、震える手で床のタイルを磨いていたときだ。 いきなりぺちんと尻を叩かれ、飛び上がる。 「っ、ぁ……ッ?!」 「なに手止めてんの、続けなよ」 「は、い……っ」 ナハトさんが叩くから、なんて言い訳も聞いてくれないだろう。 ナハトさん、楽しそうだな。なんて思いながらも磨き終えた床から離れようとしたときだ。 軽くしっぽを引っ張られ、ずぶ、と中の異物を抜き差しされる。いきなりのことに驚き、びくんと体が震えた。慌てて振り返ろうとしたとき、更に奥まで玩具をねじ込まれ、「ひう」と情けない声が溢れてしまった。 「っな、ナハトさ……っ、ぁ……ッ!」 「……それ、わざと?」 「っ、え……んんっ、ぁ……っナハトさ、ん」 なんのことを言ってるのかまるで分からない。 それでも、ナハトに抱き寄せられたまま唇をなめられて驚いた。それもほんの一瞬のことで、ちゅぷ、と何度も押し付けるようにキスを繰り返される内に頭の奥は熱くなっていく。 「っ、ん、う……っ」 「……本当、堪え性なさすぎ。罰ゲームだって言ってんのに、なに発情してんの?」 「っご、めんなさい……ナハトさん……っ」 そんなつもりはなかった、と言いたいが、開かされた下半身、既にぴったりとお腹に当たりそうなほど勃ち上がったそこをナハトに見られるとなにも言えなくなる。必死に性器を隠そうと股の間から伸びるしっぽを握ったナハト。 「駄目、許さない」 そう、耳元で囁かれる声に脳の奥まで熱くなる。 加虐的なナハトの目に見つめられ、胸の奥が一層ざわつくのだ。 自分にそんな性癖があるのだと知らなかったし、知らなくていいと思っていた。けれど、ナハトの手に握られたしっぽは歓喜に打ち震えていた。 場所は変わらずナハトの部屋の中。 ナハトに命じられるままテーブルの上に座らせられる。その前に立ったナハトは「ほら、足開けよ」と命じてくるのだ。 恥ずかしくないわけがない。けれど逆らうこともできず、言われるがまま恐る恐る足を開けば剥き出しになった下半身、震える尻尾が所在なさげに揺れる。 そこにナハトの手が伸びてきた。躊躇なく、ナハトは肛門に突き刺さった猫しっぽバイブを掴むのだ。 「ぁっ、な、ナハトさ……ッんん!」 待ってください、と言いかけた声は途切れる。 そのまま体内に埋まった玩具を引き抜いたと思えば、再びその玩具をねじ込まれる。 「あ、くぅん……っ!」 「……っ、は、犬みたいな声だね、善家」 「っぁ、そ、……っ、それ、……ッ、ぅ、あ……っ! な、はとさ……ッ! んん……っ!」 柔らかく、ぷにぷにとした感触でありながらもしっかりと芯をもった材質の玩具はまさに性具である。 抽挿の度になだらかな凹凸が中を刺激し、出したくもない声が喉の奥から溢れ、腰が揺れてしまうのだ。 「っ、は、ぁ……っ! ん、う……っ!」 「これ、そんなに気に入った?」 「ぁ、そ、それは……っ! っ、く、ひ……っ!」 「言えよ、善家」 そうナハトにしっぽを掴まれたまま、臍の裏側をえぐるように玩具で体の中を引っ掻き回される。 前立腺を押し上げれた次の瞬間、目の前が真っ白になった。大きく跳ねる腰を捉えられたまま、ナハトは「ここ?」と再びその玩具の尻を押して前立腺に当たるように玩具を動かす。 「っ、う、あ、や……っ! あ、とめっ、とめて……ッ!」 「ここがいいんだ?」 「っぃ゛ッ、ぐ、う……ッ!!」 焼けるように熱くなる。逃げたいのに、前立腺に当たるような状態のまま固定される玩具から流れ込んでくる震動に耐えられず俺はナハトの手を掴んだ。 「に゛っ、ぅ゛……っ!!」 「まだそんなに強くないんだけど? ……最大にしたらアンタ、死んじゃいそうだね」 「ゃ゛、あ゛……っ! ぁ、にゃは、な、はとしゃ、ごめんなざい゛ぃ゛……っ!」 「だから降参早すぎなんだって。雑魚すぎでしょ」 「っ、ひ、う゛……っ!」 片方の手で尖っていた胸の先っぽを摘まれ、背筋がぴんと伸びた。 前立腺に直接流し込まれる震動と柔らかく潰される乳首の感覚神経が繋がったようなそんなおかしな錯覚さえ覚えてしまうようだ。脳髄を溶かすほどの甘い痺れは、そのまま股間へと集中する。 「ッは、うあ、や、なはとさ、んんっ!」 「は……ッ、なにへこついてんの?」 「あ、ち、ちが……ッお、俺……ッんぅ!」 かくかくと震える下半身。恥ずかしいのに、玩具の先端部で更に前立腺を押し上げられた瞬間頭の中が真っ白に弾ける。 大きく腰が浮き上がり、天井に向かって噴き出す精液を見てナハトは笑った。「あ、あ」と喉奥から溢れる声を抑えることはできなかった。痙攣に合わせて震える性器を一瞥し、ナハトはそのまま俺の体内から玩具を引き抜いた。 「い、ひぎゅ……ッ!」 「あーあ、アンタさあ……本当動物じゃん」 「ま、ぁ゛ッ、にゃはとさ――い、くひ」 栓をしていた玩具を引き抜かれたと思えば、そのまま口を開いた肛門にナハトは指を這わせる。 散々玩具を抜き差しされたお陰で柔らかく盛り上がったそこを撫でられ「ナハトさん」と体が震えたとき、そのまま俺の顔を覗き込んできたナハトは「耳、震えてる」と楽し気に笑った。 そして、そのままはむ、と俺の頭についた猫耳を唇で挟むのだ。 「ッ、なはとさん、や、そこ……ッ、は……」 こそばゆいだとかよりも、思いのほか密着する体に心臓がどっどと脈打つ。 焦らすかのようにはわされるナハトの指に、思わずきゅう、と下腹部に力が籠ってしまった時だった。 頭部から生えた左耳を唇で、左耳の方を指でこしょこしょと擽られているうちに別のむらむらのようなものが込み上げてきて、じれったくて、お腹の奥がじんわりと熱くなるのだ。 ナハトさん、と目の前のナハトを見上げたときだった。目が合えば、何故かナハトはいつも以上にしかめっ面をしていた。 「……なんかムカついてきた」 「え」 「……アンタ、わざと? それ」 ――それって、どれだ。 あんまりな言いがかりに戸惑っていると、いきなり腿を掴まれ、更に足を開かされる。 そして、 「っ、ナハトさ、待って……っ、んん……ッ!」 勢いよくカリのところまで引き抜かれる尻尾に驚いて、そのままびくんと仰け反る身体。 待ってください、と止める暇もなく、ナハトは今度はそのまま一気に根本までねじ込むのだ。 なだらかではあるものの、内部に刺激を与えるには十分な異物だ。そのままぐちゃぐちゃと内壁の粘膜を引っ掻くように玩具を出し抜きされ、堪らず俺はナハトの腕にしがみつく。 「は、ぁ、ッ、や……ッナハトさ……ッ、ん……ッ、ひ、ぅ゛……ッ!」 「本当、だらしない顔。……恥ずかしくないの?」 「っ、ぁ、は、はずかし……っ、です……ッ」 堪らず声をあげれば、ナハトは笑う。 「……だろうね」 そして、そのまま前立腺を押し上げるように中を玩具で押し上げられた瞬間、限界まで競り上がっていた快感が弾けた。 「い゛……ッ、ふう゛……っ!」 びくんと大きく仰け反り、脳汁が溢れ出す。 熱くて指先の感覚まで痺れているようだ。そんな俺の意思と連動したように、イミテーションの尻尾はびんと針金のように伸びる。それを撫で、抜き挿しの手を止めたナハトは俺の顔を覗き込むのだ。艷やかな前髪の下、そのぞっとするほど整った顔に嗜虐的な笑みが浮かんでいた。 「っ、は……まさか、またイッた?」 言いながら、尻尾の付け根を掴むナハトの指に力が加わる。その手の構えから次のナハトの行動を予想してしまい、心臓が焼けるほど熱くなる。 ――抉られる、前立腺をこの玩具でまた。 そう脳の神経が震えたとき。 「ぁ、……ナハトさ、待って」 ください、と俺が言うのを遮るようにナハトの唇は孤を描いた。 「やだ」 「ひッ、ぃ゛……ッ!!」 そして再び前立腺をピンポイントで狙って亀頭、竿、玩具全体で引っ掻かれた瞬間、睾丸の中でふつふつと煮えたぎっていた体液がつぷりと溢れ出した。 言葉らしい言葉を発することも、余裕も、頭もなかった。ナハトの鋭利な愛撫に堪えられるほどの強靭な肉体も精神も持ち合わせていない俺は呆気なく何度目かの絶頂を迎える。 「ぉ゛、ぐ――ッ!」 机の上、ぴんと仰け反った身体を押し倒されたままナハトは仰け反る俺の胸元に顔を埋めるのだ。そのまま中を責め立てられながら、同時に胸の先端を唇と舌で刺激された瞬間、電流が走るように身体が大きく跳ね上がる。 「はーっ、ぁ゛……ッ、そ、こ……ッ」 「……このしっぽ、あんたに似合ってるよ」 「っひ、ぅ……っ、ナハトさ、ぁ゛……ッ」 「発情期の猫らしくていいじゃん、ね」 善家、と笑うナハトの舌が胸を這い、乳首に絡みついた。そのまま噛み付くようにナハトは俺の乳首を口に含む。そして熱い咥内、勃起したその乳首の根本から先っぽまで撫でるように絡みついてくる細い舌に脳の奥まで甘く痺れるのだ。 直に吹きかかる吐息までもが熱い。 「っ、ぁ、あ、そこ……っ! 待って、ナハトさ……ッ! ふ、ぅ゛う……っ!」 乳首にしゃぶりつかれながら、太腿を踏まれる。その状態で固定された下半身、ごりごりに前立腺を押し上げられる。玩具の震動が直に流れ込んできて、持続的に与えられる刺激に耐え切れず頭の中がチカチカと点滅した。 「ぁ、んん……っ! む、ぅ゛……ッ」 先走りで濡れた亀頭からどぷりと垂れる先走り混じりの白濁。絶頂の余韻が抜けきれず小刻みに痙攣する下半身を抑えつけたまま、ナハトはぐりぐりと尻尾を掴む。 「……っ、本当、恥ずかしい格好。お前にぴったしだよ、善家」 「っ、ぁ゛ッ、ナハトしゃ、……ッう゛、く……ッ!」 瞬間、ぐぽ、と音を立てて異物が引き抜かれる。膨れていた腹の中が軽くなり、そのまま後ろに倒れ込む。俺から離れたお陰で尻尾は動かなくなったようだ、ぽいと床の上に捨てられる玩具を尻目に俺はそのまま脱力した。 「はーっ、……ぁ、……」 ――ようやく開放してもらえたのか。 開かれたままの足を閉じる気力もなく倒れていたときだ。そのままよいしょと俺の足を開かせたまま股の間に立つナハトに「ぇ」と声が漏れた。 そんな俺に、ナハトは片眉を持ち上げる。 「……は? なに休んでんの?」 「まっ、待ってくださ……な、なはとさ……」 「だから、待たないって言ってるんだけど」 ずりずりずりと腰を掴まれ、そのまま覆い被さってくるナハト。栓を失くし、口を開いたままのそこに宛てがわれる無機物ではない、生きた感触にひい、と喉が鳴った。 そして、その日解放されたときには既に尻の感触はなくなっていた。 何故自分がこんなことになっていたのかも思い出せないほどあやふやになるほどだ。 「っ、ぅ、うう……お尻が……まだむずむずする……」 「じゃあそれハメておけばいいじゃん。栓には丁度いいだろ」 ソファーの上で丸まっていると、隣に腰を下ろしていたナハトは言いながらカーペットの上で転がっていた尻尾付きバイブを爪先で蹴る。 あまりにもなナハトに「そ、そんなこと……っ!」と思わず言葉に詰まれば、ナハトはそのままずい、と顔を寄せてくるのだ。 「あんなに気に入ってたくせに?」 唇同士が触れ合いそうなほどの近い距離、薄い唇が意地悪な笑みを浮かべる。 ナハトのこういうところは本当にずるいと思う。ぼっと顔が熱くなり、俺はナハトの視線から逃げるように膝を抱えた。 「そ、それは……っ! だって、ナハトさんのくれたものですし……」 「ふうん、俺があげたから気に入ってるんだ?」 「う……」 ニヤニヤと厭な笑みを浮かべ、こちらを覗き込んでくるナハトに顔がさらにじわりと熱くなる。 顔を逸らそうとしても覗き込んでくるナハトに、「ナハトさんっ」と声をあげたとき、伸びてきた手が頭に触れる。 「……というか、しっぽは外すくせに頭のそれは外さないんだ」 ぴょこ、とナハトに触れられるのに反応するかのように頭の上の耳が動く。それが分かっただけに余計恥ずかしくなり、俺は慌てて頭の上の耳を外した。 「う、うう……っ」 「なんで外すの」 「も、もう日付代わりましたっ! 罰ゲーム終わりです……っ!」 「ふーん、つまんないの」 「つ、つまんな……」 「ちょっとは可愛かったのに」 え、と思わず口からアホみたいな声が出た。 ナハトを見つめたまま固まる俺に、ナハトはそのままそっぽ向く。 ……ナハトも自分で言って恥ずかしくなったようだ。視線を逸したまま、ナハトは黙り込んだ。 「……」 「……」 ……ナハトがかわいいって言ってくれた。 じわりじわりと胸が熱くなり、俺はそっと猫耳を頭に戻す。 「なに戻してんの」 「へ、へへ……」 「……馬鹿」 「ば、……ッ」 馬鹿は言い過ぎじゃないですか、と口を開いたとき、視界が暗くなる。目と鼻の先にナハトの顔があることに気付いた次の瞬間、唇同士がちゅっと小さな音を立ててぶつかった。 キスされた、と理解したとき、ナハトは微笑むのだ。 「……それ、なくても可愛いって意味」 「な……――」 ――この人は、なんでこんなにずるいんだろうか。 こんなの、心臓がいくつあっても足りないのではないか。 ぴこぴこぴこ、と頭の猫耳が震える。俺が何かを言いかけるよりも先に、ナハトは「あーもううるさい、静かにしろ」と口を手で塞いでくるのだ。 自分から言い出してなんで照れるのだ。無茶苦茶な、という俺の心の声は聞こえてるのか聞こえていないのか、塞がれた声はもごもごとかき消されていくのだ。 画して俺とナハトの仁義なき戦いは終わったのだが、後日またナハトに惨敗して猫耳猫尻尾をつけられる羽目になったのは言うまでもない。 おしまい