何故、こんなことになってしまったのか。 いや、原因は分かっていた。悪いのは俺だ。 目の前、向かい合う栫井と志摩を見てただ胃がキリキリと痛くなる。 「なんでお前がいるわけ? てかどの面下げて齋藤会いに来てるの、お前」 「……はあ」 「ちょっとなにそのため息、ていうか今俺の顔見て吐かなかった? なに? ため息吐きたいのはこっちなんだけどなんでお前がそんなリアクションするの、おかしいでしょ」 「……おい、こいつどうにかしろ。さっきからうぜえんだけど」 ……やはりきてしまった、矛先が。 ――学生寮、自室。 元はといえば本当にただの偶然だった。朝起きてさあ登校するかと思えばなんだか部屋の前が騒々しいではないか。なにかと思って扉を開けば、人の部屋の前で顔を突き合わせた志摩と栫井がなにやら揉めていた。 というか一方的に志摩が栫井に噛み付いていたのだ。 取り敢えずこのままでは他の生徒たちの通行の邪魔になる、そう思って一旦志摩と栫井には部屋に上がってもらったが――そもそもこの選択自体が間違いだったようだ。 「え、えーと……その志摩、栫井も……どうしたの?こんな朝から……」 「どうしたの? って今更そんな言い方するのおかしいでしょ、俺は齋藤に会いに来てるんだよ。そこに理由求めてくるわけ?」 「本当に人の気持ちが汲み取るの下手だよね、齋藤」と嫌味たっぷりに返してくれる志摩。 栫井を追い返すどころか部屋に上げたことに対して相当御立腹のようだ。ここは下手に触れない方がいいだろう、と俺は栫井に目を向ける。 「それじゃあ、栫井は……」 毎朝約束したわけでもないのに迎えに来てくれる志摩はさておき、栫井はそういうタイプではない。 もしかしてなにか用事でもあったのだろうかと尋ねれば、一人がけの椅子に腰をかけたまま栫井はそっぽ向く。 「……別に、通りかかっただけだ」 正直、驚いた。 用事もなく栫井が俺の部屋まできてくれるなんて。それもこんな朝から。 「え、そうなの?」と目を丸くすれば、「嘘だよ齋藤。騙されないで」と横から志摩が強引に割り込んでくる。 「俺見てたけどこいつ齋藤の部屋の前でうろうろうろうろして待ち伏せしてたよ。通報しよ、通報。本当ストーカーって質悪いな」 「お前こそ適当なこと言ってんじゃねえよ」 「ふ、二人とも落ち着いて……」 また始まった。 この二人の相性が最悪なことは分かりきっていたことだが、それでもこのままでは埒が明かない。 取り敢えず志摩を宥めさせようと「志摩」とそっと声をかければ、志摩がこちらを向く。眉間に深い皺を刻み込んで。 「齋藤なに? もしかして俺よりもこいつを優先するつもり? ずっと傍で齋藤のことを支えてきた俺よりもこいつを?」 「そ、そこまで言ってないよ……」 「そこまでってことは少なからずはそう思ってるってことでしょ? 齋藤ってそういうところあるよね、本質を見ないでこいつのことばっか持ち上げて。本当に齋藤のことを思ってるのは誰かまだわかってないの?」 近い。圧が強い。 「目を逸らさないでちゃんとこっち向いて」と志摩に腕を掴まれ、引っ張られそうになったとき。 見兼ねたらしい栫井にその手を振り払われる。まさか栫井が止めるとは思ってなかったらしい、志摩の目は俺から背後の栫井へと向く。これは本気で怒ってる顔だ。 「なに、今の。なんでお前が俺と齋藤の邪魔するわけ?」 「ぐちぐちうぜーんだよお前、面倒くせえな」 「じゃ部屋から出てけよ。これは俺と齋藤の問題なんだから部外者は引っ込んでろよ」 「それともなに?まさか齋藤のこと本気で好きになったとかそんなこと言わないよね」再度栫井に噛み付き始める志摩。 栫井もわかっていたはずだ、志摩にとってその行動が火に油を注ぐ行為になると。普段の栫井ならば面倒だからといって傍観してるはずなのに、それでも仲裁に入ってきた栫井に驚いて思わず顔を上げれば、伸びた前髪の下、こちらを見下ろす栫井と視線がぶつかった。 「か、栫井……あの、ここは……」 頭に来るかもしれないが、穏便に済ませてくれないか。 志摩になにいっても無駄だと判断した俺は、そう栫井に視線で訴えかける。その意志を汲み取ったかどうかはわからないが、栫井は俺から視線を外した。そして「はあ」と面倒臭そうに溜息を吐いた。 「齋藤、そろそろハッキリさせない?」 「は、ハッキリ……?」 「そうだよ。勘違いして舞い上がってるこいつに教えてやるんだよ、俺と齋藤は両思いなんだからお前の出る幕はないんだって」 「……両思い?」 「なんでそこ疑問系なの?」 「勘違いして舞い上がってんのはお前だろ。……つか、こいつが誰と付き合ってようがどーでもいいし」 「そもそも、俺がなにしようが俺の勝手だろ」お前には関係ねえよ、と心底うんざりした様子で吐き捨てる栫井。 ごもっともだ。というか、本当に今回はまあ栫井もタイミングが悪かっただけだ。 が、志摩がそれで大人しく納得する人間ではないことも俺は知ってる。 「はあ〜? 出たよ出たよ、こういうやつが一番怖いんだよね。ほら見て、齋藤怖がってるでしょ」 「お前がキモいから引いてんだろ」 「そんなわけないでしょ。ね、齋藤」 そう肩を掴んでくる志摩。 その妙に圧のある笑顔に気圧されそうになりつつも、俺はそもそもの部分に戻ることにした。 「ま、待って……そもそも志摩と俺、付き合ってたの?」 第一俺は志摩にちゃんと付き合おうと言われたことも、それを受け入れた記憶もない。 思い切って尋ねれば、その場の空気がぴしりと凍りつく。そして。 「…………………………はぁ」 「し、志摩。待って、落ち着いて……取り敢えず深呼吸して、ちゃんとお互い話し合おう……ね?」 「齋藤、俺はショックだよ。あんだけ俺のこと好き好き言ってたのになんで誤魔化そうとするの? もしかしてなんかこいつに隠そうとしてる?」 こいつ、と栫井を指差し睨みつける志摩。 今の妙な間からもしかしていきなり殴りかかったりしやしないだろうかと心配していたが、どうやら持ち前のポジティブ思考で持ち直してくれたようだ。 が、 「……言っとくけど、こいつ、俺にも言ってたぞ。昨夜だって――」 「か、栫井……っ! それは言わない約束だって……!」 さらりととんでもない爆弾投げ込んでくる栫井に慌てて俺は手で栫井の口を塞いだ。が、どうやらあと一歩及ばなかったようだ。 「昨夜?」とワントーン更に落ちる志摩の声。その声から滲む怒りに俺は恐怖のあまり志摩の方を振り返ることができなかった。 「ねえ今もしかして昨夜って言った? 昨夜俺が会えないかって聞いたら体調悪いからとか言ってたくせに、その裏でそこのくるくると会ってたってこと?」 「くるくるって言うんじゃねえよ。指差すのもやめろ」 「え、えーと……その、それについてはこれからのことについて話し合いも兼ねて……」 「話し合いも兼ねて寝た」 「か、かかか、栫井……っ!」 いくら志摩に好き勝手言われてムカつくからと言ってそれでは火に油のようなものだし、そのまま俺に火移りするレベルの着火をしないでくれ。 「…………なんか今、なに? 聞き間違いかな」 「志摩、その、確かに栫井とは寝たけど……その流れというか……」 ぴく、と志摩のこめかみが反応する。 やばい、まずい、志摩が怒ってる。さっきからずっと怒ってるが、これはまだいつものやつというか平常に近いものだ。けれど志摩が黙るときが一番まずいと俺は身を以て知っている。 「……へえ」 「し、志摩……あの、ご、ごめん」 「それはなんに対する謝罪? 浮気したこと? それとも俺に嘘吐いたこと? 俺よりもこいつを優先したこと?」 「ぜ、全部です……」 「なんだ、齋藤でも一応悪いと思ってるんだ」 「齋藤みたいな誰とでも寝るようなやつでも」と伸びてきた手に尻を抓られ、「ひッ」と声が漏れてしまう。痛い。 「う、し、志摩……」 「いいよこの際、齋藤は男とあらば誰とでも寝るようなやつだってのは俺だって知ってたし。けど、けどね?齋藤。……ラインってものがあるんじゃない?」 「本当にごめんなさい……」 「謝罪も言い慣れてきたね。日常会話では言葉に詰まるくせにこういうときはすらすら出てくるよ。……本当に悪いって思ってる?」 近い、狭い、怖い。 気が付けばソファーの上、志摩に際まで追い込まれるような形になっていた。 すぐ鼻先にある志摩の顔。目を逸らしたいのに、両頬をがっちりと掌で挟まれればもう逃れることはできなかった。 「ふぃ、ふぃま」と頬を潰されながらもその名前を口にすれば、志摩はにっこりと笑った。 「ねえ齋藤、いい加減けじめをつけるべきだと思わない?」 「へ、へじめ……?」 「そうだよ齋藤、そいつよりも俺の方が大事だって今この場で今すぐ証明してみせてよ」 志摩が突拍子もないことを言い出すのは今に始まったことではない。 けれど今は栫井もいるのだ。二人だけの時とはわけが違う。 固まる俺。そして巻き込まれた当の栫井は心底面倒くさそうに溜息を吐くのだ。 「……アホらし、つうか人を巻き込むんじゃねえよ」 「言っておくけど、俺たちに首突っ込んできたのは栫井、お前だからね。どさくさに紛れて齋藤に相手してもらえたからってなに余裕ぶっこいてるわけ? 言っとくけど、齋藤がお前に好きだって言ってるのはリップサービスだから、リップサービス。わかってる? わかってないでしょ? だから勘違いして浮かれて齋藤の部屋まで押し掛けたんでしょ。だっさ」 自分を棚に上げてここぞとばかりに栫井を煽り倒す志摩。絶好調である。 栫井には悪いが、志摩はこんな調子だしここは栫井に大人になってもらわなければ、と栫井に目配せをしようとしたときだった。 「……は?」 ――まずい、栫井までキレている。 そうだ、栫井も栫井であまり気が長い方ではない。志摩の煽りが頭に来たらしい、椅子から立ち上がる栫井にぎょっとする。 「ま、待って栫井、お、落ち着ひて……」 そう伸ばした手を栫井に引かれ、そのまま引っ張り上げられる。 「なにして」と志摩がこちらを睨むのとそれはほぼ同時だった。 「っ、ちょ、……栫井……っん、……ッ!」 栫井の行動に躊躇などなかった。そのまま噛みつくかのように薄く開いた口に唇ごと塞がれる。目の前にはこちらをじっと見つめる栫井、そして視界の端に凍り付く志摩の顔が映り血の気が引いた。 「ふ、ぅ……んん……っ」 「ちょ、お前何して……っ」 ぢゅる、とわざとリップ音を立てるように唇の薄皮を吸われる。ほんの一瞬のことだったが、俺には長い時間に感じた。 昨夜の栫井との行為が蘇り、すっかり全身に熱が回っていた。ぜえぜえと息切れする俺から顔を離した栫井は固まる志摩を横目に見る。 「けじめが……なんつった? ああ、誰が勘違いして舞い上がってんのかちゃんと教えろって話だったか?」 「か、栫井……っ、う、あ」 言いながら、どさくさに紛れて腰に回される栫井の手にそのままぐっと体を抱き寄せられる。そして、耳元で「教えてやれよ、齋藤。どっちが良いって」と囁いてくる栫井に息を飲んだ。 こんな時ばかり、こういう時に限って名前を呼んでくるのだ、こいつは。 志摩への仕返しのつもりだろうが、あまりにもたちが悪い。 ある程度は揉めるだろうなという予測はできていた。 けれど、まさか栫井がこんな乗り方をしてくると思わなかった。 「ま……」 待ってくれ、と腰に回される栫井の腕を掴み、慌てて離そうとした矢先のことだった。 「……ねえ、何やってんの?」 栫井から引き離すよう、隣に腰をかけた志摩にぐいっと肩を抱き寄せられる。 助けてくれるのだろうか。「志摩」と隣に腰を掛けた志摩を見上げた時、視界が陰るのと唇を塞がれるのはほぼ同時だった。 「っ、し、っ、んぅ……ぅ……っ!」 なんでそうなるのだ。 まるで上書きするが如く深く唇を重ねられる。しかも長い。 必死に鼻で呼吸しながら俺は志摩の胸を叩く。が、志摩はそんな俺の細やかな抵抗すらもムカついたようだ。首筋、喉仏を撫で上げるように這わされた志摩の掌はそのまま俺の顎下を捉える。 「ん、ぅ……っ!」 一度ならず二度までも、先ほどよりもしつこい口付けに背筋が震えた。舌で唇を舐められ、吸われる。響くリップ音。 栫井の目の前だということをほんの一瞬忘れそうになった矢先、ちゅぽ、とその唇は離れた。 「……っ、志摩……」 「本当にさあ、なにしてんの? 男だったらなんでもアリなの? 齋藤は」 「今更アリもナシもねえだろ、そいつに」 栫井の言葉に、俺を挟んだまま志摩は栫井を睨んだ。掴まれたままの顎に志摩の指がぐっと食い込んで痛い。 「お前人前とかそういうのわかんないかな? 人としてどうかと思うんだけど? 齋藤も嫌がってるじゃん、人に気持ちとか考えたら?」 「し、しま……」 お前が言うのか、とつい喉のところまで出てきたが、栫井を睨んでいた志摩の目がこちらをじろりと睨んできたので慌てて口を紡ぐ。 「齋藤も齋藤だよ。なにぼけっとしてんの、元はといえば齋藤がぼやぼやしてるから付け込まれるんでしょ」 「っ、ん、ご……めんなさい……」 「本当に悪いと思ってる?」 「……う、うん」 「じゃあ俺とこいつ、どっちがいい?」 「……………………」 「ねえなんでそこで黙り込むの? 今の流れからしておかしいよね、なんで迷うわけ?」 そんなの、今後に大きく響いてくるからじゃないか。特に志摩の場合は。 とにかく二人と揉めたくない。おまけにこんなことでだ。身から出た錆と言われればそこまでだが、俺としてもこの流れはあまり喜ばしいものではなかった。 ましてや、どちらかだけを選ぶなどと。普段ならば志摩の希望に沿う答えを出しておけば栫井もある程度納得、というかさして興味はなさそうにしてるのだが……。 腰に触れる栫井の手に意識が逸れそうになる。尻の肉を摘むよう、食い込んでくる指につい腰が揺れた。俺の顔ばかりを見てる志摩は、俺の尻に回された栫井の手に気付いていない。 「ぅ、ま、待って……ごめん、志摩……っ、ぉ、怒らないで……」 「嫌だ」 嫌だってなんだ。 そう突っ込みそうになったとき、いたずらに人の下半身を弄んでいた栫井の指が下着の中にまで入ってくる。一瞬ぎょっとしそうになるのを必死に堪え、俺は後ろ手に栫井の腕を掴んだ。 「……っ、ん、ご、ごめん……志摩」 「じゃあ俺の方が好き?」 両頬に手を添えられ、覗き込まれる。腰を浮かせ、栫井の指から逃れようとするがそれが悪手だったらしい。そのまま腰を突き出すような姿勢になってしまい、開かれた谷間の奥、昨夜の熱が未だ残った肛門を撫でられる。 ――栫井のやつ。 必死に栫井を止めようとするが、栫井は躊躇することなく人の肛門に指を挿入させてきた。 「っ、す……すき……ッ、だよ」 散々抱かれたお陰で柔らかくなった内壁を揉むように中を摩擦される。それだけで喉が、声までも震えそうになるのを必死に耐えた。 その言葉に志摩は「本当?」と目を僅かに開く。心なしか嬉しそうに「もう一回言って、俺のこと好きだって」と強請ってくる志摩に汗が滲む。 「す、き……っ、しまのこと……っ」 「ふーん、そっかあ。……ところで栫井、お前なにやってんの?」 「触ってほしそうにしてたから触ってやってんだよ、見てわかんねえのか?」 「……………………」 まずい。バレてしまった。隠し通し続けれるとは最初から毛頭も思っていなかったが。 前立腺を指の腹で強めに揉まれるだけで押さえた口元、その奥から「んっ」と上ずった声が漏れてしまう。止めてほしいのに、止まるどころか開き直ったように中をかき回されるだけであっという間にせり上がってきた熱は全身へと回る。シャツの裾を押し上げるように勃起した性器。それを見た志摩は「あのさあ、齋藤」と苛ついたように俺の性器、その根本を掴むのだ。 「っ、は、ぅ゛……ッ!」 「節操なしにも程があるでしょ。それに、今俺のこと好きだって言ったばかりなのになんで栫井相手に勃起してんの? それ浮気じゃん」 「っ、ぅ、ご、めんなさ……ッ」 人差し指と親指で輪っかを作り、それを根本から竿、亀頭までゆるく扱き始める志摩。既に先走りが滲んでいたそれを全体へと塗り込むようにちゅこちゅこと音を立てて指先で責め立てられる。 体内と性器。両方を刺激され、思考が乱れ始めた。 「ふ、ぅ……っ」 「ほらまた固くなってる、怒ってるんだけど? 俺。何勝手に興奮してんの、変態?」 「下手くそ相手だと気持ちよくなれねえから余計溜まってたんだろ、性欲しかねえ猿だと余計に」 「はあ? 猿はお前だろ、なに齋藤で勃起してんだよ。金払えよ、金」 「それを言うならお前だろ。一人じゃ満足させられてねえからこいつが他の野郎にも股開くんだろ」 「っぅ、ふ、二人とも……っ、そこで話さないで……ッ!」 ついでに言うなら、俺を挟んで喧嘩しないでほしい。 喋るたびに粘膜越しに伝わってくる振動だとか、感情の起伏によって荒くなる愛撫に息も絶え絶えだった。懇願すれば、二人の視線がこちらを向く。その視線が異様に怖かった。 「元はと言えば……ねえ、齋藤。そんなにエッチしたかったんだったら俺に言ってくれればいいのにさ」 「っ、ぅ、あ……し、志摩……っ」 「俺ならいつだって齋藤の期待に応えられるのに」 「……っ、ん、ぅ……ッ」 ちゅぷ、と押し付ける唇。覗く舌先に強請るように唇を舐められ、つい俺は口を開いた。そのまま志摩に扱かれながら、空いた手を志摩に掴まれる。誘導されるように志摩の下腹部まで手を持っていかれ、そのまま指先に触れる志摩のものの感触に息を飲んだ。 「っ、は、……っ」 「ほら、分かる? 齋藤のせいでこうなったんだよ」 「……っ、そ、んな……」 衣類越しにでも分かるくらい大きくなったそこをに触れれば、まるでその脈すらも感じてしまいそうなほどの硬さに喉が震えた。耐えられずに慌てて手を離そうとすれば、逆に指を絡め取られ更に掌全体を押し当てるように志摩の性器を触らせられる。 「俺のこと、好きだって言ったよね。……なら、責任取るべきじゃない?」 「っ、……」 「手でするのと口でするの、どっちがいい?」 俺の指を握り込んだままファスナーを下げていく志摩。現れた下着越し、形が分かるほど浮き出たそれに思わず目をそらした。 「……手、がいい」 消去法ではあったが、どちらにせよ後からくる心的ダメージは軽い方がいい。「そ」と笑った志摩はそのまま俺の手から手を離した。 「じゃ、よろしくね。齋藤」 断るという選択肢は最初からなかったようだ。 代わりにぽんぽんと頭を撫でられ、俺は軽く後悔した。やはり、こうなる前に逃げ出しておくべきだったと。 「……っ、は、ん……ッ」 「“いつも”よりもぎこちないね、齋藤。二人きりじゃないから緊張してるのかな? “いつも”だったらもっと積極的なのにね」 ソファーの上、座る志摩の上。四つん這いになって目の前の志摩の性器にとろりと唾液を垂らし、それを塗り込むように愛撫していく。 その間も栫井の指が引き抜かれるどころか増えていき、腹の裏側、膀胱を柔らかく圧迫されるだけで意識は溶けそうになっていく。 「は……っ、ぅ、んん……ッ!」 栫井は志摩の言葉に少し苛ついたようだ。先程よりも強い力で前立腺を潰され、逃げようとした腰を掴まれたまま更に擦り上げられただけでびくんと下半身が跳ね上がる。 「ふ、ぅ、く……ッ、ひ……ッ!」 「……またイッたな、外野がいるから興奮してんのか?」 コリコリと前立腺のしこりを執拗に撫でられ、腫れ上がったそこを更に強弱つけて追い打ちをかけられれば、その快楽から逃れることはできなかった。目の前の志摩の腰にしがみつきながらも、反り勃つ性器を愛撫していく。技巧もクソもない、性器を掴むのが精一杯な俺に苛立ったらしい志摩は「もういい」と俺の手を払いのけた。 「っ、ま、ぁ……っ、待って、志摩……ッ」 「そんなんじゃ困るんだけど? ちゃんとしてくれなきゃさ」 怒ってる。謝らなければ。 そう思った矢先、後頭部に伸びた手に後ろ髪を撫でつけるように絡み取られる。そのまま犬のように『伏せ』の体勢を強要されれば、目の前にやってきた性器にぎょっとした。 「は、……っ、し、ま……っ」 「口でしてよ、齋藤。男のしゃぶるの慣れてるんでしょ?」 拒否権はなさそうだ。 視界いっぱいに映り込む肉の色が生々しくて俺は必死に目を反らしながら、鼻先、頬へと押し付けられるその性器に舌を伸ばす。そのまま唇を寄せ、浮き上がった裏筋の凹凸を辿るようにそのまま亀頭まで舐め上げた。 「……っ、本当に慣れてきたね。あー本当最悪だよ」 「っ、ん、……ッ、ぅ、んん……っ」 いつの日か、栫井にフェラ下手すぎるのをどうにかしろとキレられ連日栫井相手にフェラの練習をさせられた記憶が蘇る。志摩の皮肉に対し、あえて栫井は何も言わない。その代わり、中に入っていた指を引き抜かれ、「んっ」と小さく声が漏れた。 「そのまましてろ」と小さく耳打ちをされ、きゅっと下腹部に力が入った。そのまま栫井に腰を持ち上げられる。咥えた亀頭を口の中で愛撫しながらも、背後の栫井の動きが気になって下半身が疼く。続けてジッパーを下ろすような音が背後から聞こえてきた。 ――まさか。 「……っ、ふ、ぅ……!」 「ねえ、ちょっと」 「お前は口でいいんだろ?」 「なら、こっち借りるぞ」そう、柔らかく解れた肛門にべちんと押し当てられる性器の感触に思わず口の中の志摩のものを喉の奥で締め付けてしまう。「齋藤」と眉根を寄せる志摩は苛ついたように息を吐き、「覚えとけよ」と舌打ちする。 栫井は聞こえなかったフリをしたまま、そのままずるりと勃起した先端を窄みに押し当てた。 本気か、と脳の奥が痺れていく。少し力を入れるだけで頭が埋まり、そのままゆっくりと腰を進められた。 「ん、んん、ぅ……ッ!」 「は……ッ、齋藤……っ」 「ぅ、……ッ、んぐ……ッ! っ、ふ」 本当になんでこんなことになってるのか。二人に挟まれ、おまけに犯されて、二人きりのときでも未だ慣れないというのにこんなの。こんなのってあるのか。 とにかく息苦しさを緩和しようと必死に呼吸器官を確保しながら、喉ではなく舌での愛撫に切り替えようとする。それを邪魔するみたいに、先走りを塗り込むように腰を動かしてくる栫井。 「ん、ぅ……っ! ふ、ぐ……ぅ……ッ!」 弱いところに当たるように腰を持ち上げられ、更に深く奥を押し上げられる。その度に口の中のものに歯を立てそうになるのを堪えながら、唾液を絡めて亀頭を責める。 「……っ、齋藤……」 志摩に横髪をかき上げられ、そのまま耳にかけられる。視線を上げれば、なんという顔をしてるのだ。ムカつくのと気持ちいいのが混ざったようなそんな顔をして見下ろしてくる志摩に少しだけ心臓がきゅっと反応した、ような気がした。 射精が近くなると普段饒舌な志摩の舌も回らなくなる。 ドクドクと粘膜越しに伝わってくる志摩の熱、鼓動に溺れながらも、俺は背後の栫井からの抽挿に耐えるように志摩の性器をしゃぶった。 「ん゛、んんぅ゛……っ」 そろそろイキそうだな、と朦朧としかけた頭の中で志摩の鼓動の間隔が短くなるのを感じながら、俺は尿道口に舌を這わせる。窪みから溢れる先走りを舐め取り、そのままキスするみたいに軽く吸い上げるのがいい……らしい。よくわからないが、栫井にお手本としてされたみたいにすれば志摩が小さく喘ぐ。 「はッ、本当、いい趣味……っ、ねえ、齋藤」 「ん……っ、ふ、ぅ……ッ」 耳朶を柔らかく揉まれ、耳の凹凸を撫でられる。 そろそろか、と思いながら俺は亀頭だけを咥えたまま唾液で濡れた竿の部分を掴み、手コキをしながら先端の部分を唇を使って愛撫した。 「っ、齋藤、それ……ッ」 「ふー……ッ、ぅ、ん……っ!」 「……ッ、は……」 びく、と舌の上で亀頭が跳ねたと思えば、そのまま後頭部に回された手に思いっきり喉の奥まで性器を挿入された。ずりゅっと上顎を摩擦し、その刺激に堪らず嗚咽が漏れる。その締め付けが良かったようだ、志摩は小さく息を漏らし、そのまま人の喉の奥に直接精液を吐き出した。 「ぅ、ん゛んん……ッ! っげぼ、ん゛ぅ゛ッ!」 うまく受け止めることができず、喉仏に絡むそれに堪らず志摩のものから口を離そうとするが、後頭部の志摩の手は俺の頭を更に自分へと寄せる。「駄目だよ、ちゃんと飲んで」と囁いてくる志摩に俺は逆らう術もなかった。早く口の中に新鮮な空気を取り入れたくて、俺は取り敢えず口に残ったものを唾液と一緒に喉の奥へと流し込んだ。粘膜に絡みつく独特な匂いが鼻と口の中にこびりついているようだ、俺の喉がなるのを見て、志摩はそのままずりゅっと性器を引き抜いたのだ。 「けほ……ッ!」 「お掃除フェラは教えてもらった?」 ずい、と精液と唾液でどろどろに濡れた肉を鼻先に突きつけられる。志摩の言わんとしていることは嫌でもわかった。俺は眉間を寄せ、呼吸を整えながらも目の前の亀頭に吸い付く。尿道口に残った精液を吸い出せば、志摩は小さく笑った。 「……っ、ぅ、んむ……ッ」 「本当、こういうことだけはしっかりと学習するんだね。齋藤って」 「ぅ、ん゛……ッ」 ぢゅる、と精液も全部まとめて喉の奥へと流し込む。腹の中が熱くなって、口の中を早く濯ぎたくて仕方なかったがまだ解放されないらしい。「終わったか」と栫井に上半身を抱き抱えられ、ぎょっとした。 「あ、お前なにして……っ」 「出したんだったらもういいだろ」 「っ、か、こい……ッ、ぅ゛、ひ……ッ!」 さっきまで配慮はしてくれてたのか、先程よりも遠慮なく一気に奥まで突き上げられる。自重も加わり、腰を浮かすこともできず栫井と向かい合うように座らせられた俺は「待って」と慌てて栫井の服を掴んだ。 「っ、ぅ゛……っ、まっ、だ、め、今は……ッ!」 「ずっと待っててやっただろ、どっかの誰かさんが邪魔するからな」 「っ、ひ、ぅ゛」 どさくさに紛れてシャツ越しに胸を抓られ、引っ張られる。その痛みすら甘く、ジンジンと痺れるような痛みが広がった。 「邪魔ってなんだよ、てか、お前もさっさとイケよ」 「チッ……うるせえな、早漏のくせに」 「はあ?!」 「っ、ん、ひ……っ!」 また始まる二人の言い合いだが、今はそんな場合ではなかった。腰を掴まれ、そのまま下から突き上げられる度に下半身が震え、内腿がガクガクと痙攣する。 「っ、か、こい……っ、や、まっ、ぅ゛……ッ!」 「……精子くっせえな」 「っ、ご、め、んん……っ!」 「じゃあキスしなきゃいいじゃん、ね、齋藤」 「っ、ん、ふ……」 「ちょっと、キスし過ぎじゃない、ねえ!」 ぢゅ、と唇を重ねられ、そのまま唇を吸われる。何度も角度を変え、つられて舌を招き入れれば栫井は更に腰を動かすのだ。突き上げられる度に奥の入り口をねちねちと押し上げられ、声が漏れてしまう。 「ぁ゛、く、ひ……ッ! ぐ、ぅう……っ!」 今度は性器をずっぽりと根本まで挿入されたまま下半身を揺さぶられ、密着したまま奥をねちねちと押し上げられるだけで情けない声が漏れてしまう。流れる汗を舐め取る栫井。志摩がなんか言っていた気もするが頭に入ってこなかった。 「……っ、は、」 「ひ、ぅ゛……っ、く、栫井……っ!」 速くなるピストンに耐えきれず、俺は目の前の栫井にしがみついた。ピストンに合わせて、限界まで勃起していた性器がふるふると揺れる。恥ずかしさは最早薄れ、今は気を保つことで精一杯だった。 「……ムカつく」 そんな矢先だった。 背後で志摩がなんか呟いたと思った矢先、ぐに、と既に栫井のものを飲み込んだ肛門に志摩の指が触れる。「え」と俺も、そして栫井も驚いた。俺の背後に立った志摩はそのまま空気が漏れるその穴を更に引き伸ばし、亀頭を押し当ててくるのだ。 「おいっ、お前……何、して」 「何だと思う? ねえ、齋藤……俺とこいつ、どっちか選ばなかった齋藤が悪いんだよ」 「っ、ま、っぅ゛、待って、志摩……っ、ぅ゛ひ……ッ!!」 昔に比べれば男性器の挿入には以前ほどの痛みを覚えることはなくなっていたが、それは一本のときの話であって二本となると話は別だ。 流石に栫井も志摩の行動は予想しなかったらしくて、「正気かよ」と吐き捨てる栫井に「正気ならこんなことしないよ」なんて志摩は笑った。 「っ、は……やば、狭すぎだって……ッ」 「ぁ゛、や゛……ッ! むり、ぃ゛、むり、だから……っ!」 「でも齋藤ならいけるよね」 「っ、ひ、ぐ……ッ!!」 そう志摩はぐぐっと亀頭を押し進めてくる。既にパンパンになっていた括約筋は乱暴に押し開かれ、受け入れることしかできない。捲れ上がる内壁、腹の中にねじ込まれる二本の性器から流れ込んでくる二人分の鼓動に頭の中は最早なにも考えることができなかった。少しでも動いてしまえば腹の中で爆発しそうなほどの熱と質量に、口を開けたまま胸で息をするのが精一杯で。 「……っ、ぁ……ッ、あぁ゛……ッ」 「栫井、動ける?」 「お前……っ、本当にそいつのこと好きなのかよ」 「好きに決まってるでしょ。……じゃなきゃ、こんなことしないよ」 二人が喋る度に結合部から伝わってくる震動にすらもイキそうになる。苦しくて、熱くて、それなのに柔らかく押し広げられた体内はなんとか二人分のそれを受け入れようと更に形を変えさせられるのだ。 「……齋藤、なに? 泣くほどよかった?」 「ふ、ぅ゛……ッ」 「大丈夫だよ、苦しいのは最初だけだよ」 「段々ワケ分からなくなってくるから」――だから大丈夫。そう背後、ぴったりとくっつくように抱き締めてくる志摩。項に吹きかかる吐息に震えながら、俺はその言葉の意味を嫌というほど理解させられるハメになった。 ――その内、ワケわからなくなる。 そう志摩は言っていたが、その言葉は間違ってはいないだろう。 「っ、ぉ゛……ッ、ぐ、ぅ゛……ッ!」 「齋藤、キツすぎ……っ、ねじ切れるって、そんなに締め付けられたら……ッ!」 「は、……おい、抜けって……っ」 「元々俺たちの関係に割り込んできたのはそっちでしょ、嫌ならそっちが抜けばいいじゃん」 最早二人が何を言ってるのかすらもわからなかったが、頼むからそこで離さないでほしい。 結合部、粘膜越しに震動が伝わってきて、微弱な刺激だけでも内側を限界まで圧迫された腹の中では耐え難いものだった。 「ねえ、齋藤」と笑いながら胸を撫でられ、更にゆっくりと腰を進めてくる志摩に堪らず「志摩っ」と声が漏れる。 「ぬ゛、いて、おねが……ぁ゛……っ!」 「だから言ってるでしょ? ……それ、言うなら栫井のやつに頼みなってさ……っ」 「ひ、ぅ゛……っ!」 腹の中で二本の性器が擦れるだけであまりの息苦しさ、圧迫感に呼吸の仕方すらもわからなくなっていた。 全身の力を抜き、少しでも苦痛を和らげようとするが、二人の動きがそれを阻害する。 「ぁ、う゛……ッ、ひ、おね、が……っ、ぁ゛……っ!」 「……無理、お前の中狭すぎて動けねえ」 半ばやけくそに目の前の栫井にしがみつこうとしたときだ。深く息を吐いた栫井はそう、二本の性器がみっちりと詰まった俺の腹を撫でる。歪に膨らんだ腹部を手のひらで上から押さえつけるように圧迫されるだけでより快感は鋭利になり、開いた喉の奥からはうめき声が漏れた。 「だ、……っ、お、おさえ、ないで……っ! ぉ、おなか、くるし……っ、ぃ゛……ッ!」 「ねえ、齋藤が苦しんでるでしょ。やめなよそれ、あとお前のちんこ当たって最悪なんだけど」 「……お前がやり始めたことだろ、嫌なら抜けよ」 「だからっ、け、喧嘩ぁ……しないで……っ!」 せめて抜いてからしてくれ、という俺の心の叫びはいきなり中で大きく動いた志摩によって掻き消される。削るように内壁を亀頭で擦り上げられ、そのまま無理矢理引き伸ばされた粘膜を嬲るように奥までゆっくりと挿入される性器に堪らず「ぁ、あ」と腰が浮く。逃げようとするが、前後を二人に挟まれた現状、無理だった。 「ぉ、お゛く、だめ、しま……ッ」 「へえ、奥がいいんだ」 「っ、ぢ、が……ぁ……ッ! ぐ、ぅ……っ!」 「大丈夫だよ、俺も、痛がる齋藤に興奮するような異常性癖じゃないからね。……っ、気持ちなるようにしてあげるから……っ」 「ひ、ぃ゛……ッ!!」 無茶苦茶なことを言いながら、必死に浮こうとする腰を掴まれたまま結腸の入口を柔らかく突き上げられ、汚い悲鳴が喉から溢れた。そのままトントンと突き上げられる都度、喉から声が溢れ、「待って、無理だこれ」と必死に頭を振って止めようとするのを栫井に顎ごと掴まれる。 「っ、かこ、……ん゛……っ! ぅ゛ん゛……ッ!!」 まるで静かにしろとでも言うかのようにキスをされ、そのまま腹を撫でられる。全神経が下腹部に集中する中、より過敏になった状態で膀胱の裏側、前立腺を掠める性器に脳の奥が痺れが走った。 息苦しさにも慣れ、酸素がある程度確保された状態でゆっくりと拡張されてきた内部を摩擦されるだけで段々息苦しさとはまた違う感覚が込み上げてくる。 「ぅ゛、ぐ、うぅ……ッ!」 「齋藤の中、ビクビクしてる……っ、ねえ、俺のとこいつの、どっちがいい?」 「ッ、ぉ゛……ッわ゛、かんな、ぁ……ッ!」 「お前はただ邪魔してるだけだろ」 「はあ? ……そんなことないよね、齋藤」 言いながら、腰を撫でる志摩に堪らず頭を振る。そんなの、どちらを選んだところでなにを言われるか分かったもんじゃない。わからない、と何度も繰り返せば、「まだ足りないのかな」と言いながら志摩は再び腰を動かすのだ。 「っ、ん゛、うう゛……っ! ぅ、ぐひ……ッ!」 「齋藤、俺の方がいいよね? ほら、分かる? 俺がここぐりぐりしてあげるたび、齋藤の中痙攣してんの」 「っ……いいから、いちいち動くんじゃねえよ……ッ」 「まっ、ぁ゛っ、あ゛……ッ!」 そう栫井が身体を動かしたとき、腹の中で二本の性器が擦れ、より鮮明に伝わってくるその感触に脳の奥がぢり、と焼ききれるような熱とともに背筋がゾクゾクと震えた。 気持ちいいのかも自分でもわからない。許容オーバーの強い刺激に下半身からは力が抜け、二人に挟まれたまま脱力しそうになる身体を志摩に抱き締められる。 志摩、もう許してくれ。そう背後の男を見上げようとしたとき、目が合えば志摩はそのまま唇を塞いでくるのだ。 「っ、ん、ぅ、うう゛……ッ」 「っは、……齋藤っ、気持ちいい?」 「わ、かんな……っ、ぁ゛……っ、ぅ゛……っ!」 「嘘吐き、俺が動いた方が齋藤のも反応してるでしょ」 ほら、と人の性器に手を伸ばす志摩。 勃起した先端からは先走りをとろりと溢れ、志摩に腰を打ち付ける度にそこは震える。 「ねえ、ちゃんといいなよ、俺ののがイイって」 「ふ、ぅ゛……ッ!」 「齋藤……っ、ねえ」 どちらのものかもわからない体液で更に濡れた粘膜は、最初に比べて挿入がスムーズになっているようだ。それがどういうことなのか、俺の身体がどうなっているのか理解したくはない。それでも痛覚は薄れ、それ以上の刺激が上塗りしていく。濡れた音を立て、二本の性器が体内を出入りするだけで俺の意識は行ったり来たりしてなにも考えられなかった。「ねえ、齋藤」と何度も強請られ、閉じた口を無理矢理こじ開けるように奥までぐりぐりと挿入される性器に意識が飛びそうになった。 回る視界の中、呆れた顔をした栫井がこちらを見ていた。憐れんでるのか、それとも栫井も気持ちいいのかわからない。それでも先程よりも明らかに腹の中で大きくなり、硬さを増してはぬるぬると擦れる二本の性器からして二人も多少なりとも気持ちいいのだと分かるとまだ安心した。 次の瞬間、 「っ、は、ぁ゛、……っ、ぅ、あ゛……――ッ!」 身体を起こした栫井に腰を掴まれ、更に下から突き上げられる。二本の性器に交互に奥を抉る内に視界は白く染まっていき、脳髄から手足の末端まで電流が流れるような感覚が抜けていった。一瞬、自分が射精したということもわからなかった。体内、尿道口に残ったカスみたいな精液をピストンとともに押し出されるように吐き出し、栫井の腹部を汚す。拍子に体内の二人のものを締め付けてしまったようだ、それぞれの身体が僅かに固くなるのを感じるのもつかの間、更に興奮したように動き始める志摩に追い打ちをかけられるのだ。 「っ、待っ、ぁ゛、ぐ……っだめ、いま゛っ、まだ、ぅ゛……ッでる、から……っ!」 「……っ、いいよ、出しても、ほら……っ!」 「ぅ、や゛、やめ、ッ、だめ、今は……ぁ、……ッ!」 ジンジンと痺れる亀頭を揉まれ、そのまま射精したばかりの性器を志摩に扱かれる。ただでさえ刺激に弱くなっているそこを触れられるだけでもまずいのに、滴る体液を塗り込むように弄ばれ喉の奥から声が漏れた。内股が震え、下腹部が浮きそうになる。性器から逃れるように腰を上げようとするが、伸びてくる栫井の手に腿を掴まれ、更に落とされるのだ。 「うッ、く、ぁ……ッ!」 「……っ、ひでぇ声」 「ゃ、だめ、今、動いちゃ……ッ!」 ドクドクと流れ込んで混ざる三人分の鼓動が最早起爆装置のタイマー音にすら聞こえた。今にも破裂しそうなほどの熱量に飲まれそうになりながらも、射精が近いのか先程よりもより大胆になる二人の動きに下腹部は耐えきれることはできなかった。少しでも酸素を取り込もうと開いた喉の奥から、性器で中を擦られる度に「ぁ゛、あ……っ、ぁ゛……っ!」と汚い声が溢れてしまう。二人の上でびくびくと跳ねるように痙攣する下腹部を自制することなど最早不可能だった。 「齋藤」と背中にぴったりとくっついたまま、腰を押し付けてくる志摩に答えることもできない。拭うことも許されないまま、唾液と涙で濡れた顔を志摩に舐められ、打ち付けられる。脳の奥で無数の火花が飛び散り、点滅する視界の中。今度は栫井に唇を塞がれる。最早中で擦れあってるのがどちらのものかすらもわからない、ドクドクと大きく脈打つと同時に無理矢理二本の性器に広げられた体内へと精液を注がれるのを感じながら、俺は意識が遠のくのを覚えた。 正直、俺は舐めていた。 流石に俺も身体を張ったのだ。一回二回出せば許してもらえるのではないかと、そんな淡い期待を抱いていた。 「っ、ひ、ぅ゛……ッ!!」 ばちゅん、と緩みきった体内を一気に奥まで貫かれた瞬間、微睡みかけていた脳は叩き起こされる。 ぐるりと回る視界。目の前には覆い被さってる志摩がいた。 「ぁ、っ、まっで、やすみ、……っ、ぉ、俺……ッ、も……ッ! ぉ゛……っ!」 「なに、休みって。いる? そんなの、さっきまでそいつとヤッてたんでしょ。じゃあ、次俺のもしてくれなきゃフェアじゃないよね、齋藤……っ」 「っ、ひ、ぅ゛……ッ! ぁ゛、ごめ、志摩……っ!」 「あーあ。もう何言ってんのかわかんないな、呂律とろとろだね、齋藤……っ」 「ふ、ぅ゛……っ!」 乳首を捏ねられながら、先程何度も中に出された体液を掻き出すようにねっとりと腰を動かされる。そのストロークの度に脳髄は甘く痺れ、疲弊しきっていた身体へ強制的に快感を呼び起こされるのだ。 ベッドの上、志摩に犯されている俺を眺めながら勝手に人の部屋の冷蔵庫から水の入ったボトルを持ち出した栫井はそれを呑みながら俺たちを傍観していた。 つい先程まで、散々栫井に嬲られ、捏ね繰り回されていた乳首は息を吹きかけられるだけでもじんじんと痺れ、痛みにも似た鋭利な快感を覚えるほどだった。その前にも志摩に潮を噴かされ、何度もイかされる羽目になる。 その結果、硬くなった性器で前立腺を摩擦されるだけで亀頭が痺れ、射精を催されるようになった身体はどこもかしこも性感帯になってしまったかの如く過敏になっていた。 いつから交代制になったのか、休憩を終えればまた片方が俺を抱き、気が向いたように混ざってフェラさせられたり胸で弄ばれる。 リビング、ベッド、浴室、トイレ、場所はどこも関係ない。休む暇もなく二人に連れ回され、叩き起こされ、朦朧と意識の中何度も絶頂を迎えた。 空っぽになった睾丸。愛撫されすぎて最早痛みすらも感じるほど過敏な性器と胸の先っぽだが、性器を挿入されれば勝手に勃つのだから自分でも自分の身体が恐ろしかった。 「は、ぁ、っ、しま……っ、ぁ、あ……っ!」 「齋藤そんな声も出せるんだ、ここにきて初めて知ったかも」 「お前が下手くそだったからだろ」 「はあ? 外野はすっこんでろよ……っ!」 「ぃ、ぐ……ッ!!」 ずるりと半身まで抜かれた性器をそのまま一気にずん、と腰を打ち付けられたと同時にぐるりと視界が回る。浮き上がりそうになる身体。勃起した性器からは最早なにもでることはなかった。際限のない快楽だけが幾重にも重なっていき、俺の意識を苛める。 気泡が混ざったような濡れた音が響く部屋の中、脱ぎ散らかされた服がそのままになったソファーに腰をかけた栫井はテレビをつける。 いつ誰が注文したのか、デリバリーで届いた飯を食べながら休憩してる栫井は最早こちらに意識すら向いてない。 腹が減った。トイレも……行きたい。 いつになったら解放されるのだ。朦朧とした意識の中、円を描くように腰を動かされねっとりと内側を愛撫されれば汚い声が喉の奥から漏れた。 びくびくと痙攣する下腹部。溜まった膀胱を腹の奥から亀頭で押しつぶされる瞬間、ゆるくなっ尿道口から呆気なくぴゅっと液体が漏れる。そしてそのまま咳止めるものもなく、自分の腹の上がじんわりと熱くなるのを感じた。ちょろちょろと溢れる液体は結合したままの俺たちの下腹部を汚し、そのままベッドシーツを汚した。 「はは、齋藤……っ、また漏らしたの? だめだね、イクとき漏らす癖ついちゃったかな……っ!」 「っ、ご、め……っ、ん゛ッ、ぅ゛……っ!」 「それとも、おしっこ出るほど俺とのセックス、気持ちいい?」 「ただ膀胱限界だっただけだろ」 「うるせえよ、外野はすっこんでろ」 「は、ぁ゛……っ、ぁ、っ、ん、う……っ!」 最早二人の口喧嘩にも慣れてきた。栫井と言い合うときは多少志摩の抽挿が荒々しくなるが、それでも今ではもう慣れてしまった。 冷たくなっていく身体を志摩に抱き締められながら、「このあと一緒にお風呂入ろうね、齋藤」とキスしてくる志摩を拒むこともできなかった。受け入れることを癖付けられ、ぼんやりと火照った脳で触れられるがまま志摩を受け入れる。ぢゅぷ、にゅぷ、と押し付けられ、絡められる舌に応えながら俺はこくりと頷いた。 どれほど時間が経ってるのか、俺にはもうなにもわからない。ただひたすら上塗りされていく快感に身を委ねることしかできなかった。 ああ、最初からどちらか一人を選んでおけばこんなことにならなかったのかもしれない。 ――いや、そうだろうか。どちらにせよ、志摩を選ばない限りこうなってた気もする。 ……なら、もう俺にはどうしようもないな。 二人の気が済むまで大人しくしておくのが一番だ。それまで身体が保つかどうかは判らないが。 そんなことを考えながら、また体内で出される熱に満たされ、小さく背筋が震えた。 ――まあ、痛いよりかはまだマシか。 そんなことを考えながら、俺はそっと志摩の腰に脚を回した。更に中で大きくなる性器を感じながら、俺は志摩の舌に自ら舌を絡めた。 おしまい