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田原摩耶
田原摩耶

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友達未満恋人未満セフレ以上【↑100/7,400文字/司×原田/甘め】※

 今日もよく働いた。“あいつ”に鉢合わせになる前に早めに帰ろう。  そう更衣室で着替え、ああそういえば休憩中に飲みきれずに冷蔵庫に突っ込んだジュースがあったのだと思い出した俺は一度スタッフルームへと戻ることにした。  そろりと扉を開き、念の為“あいつ”がいないのを確認してスタッフルームに足を踏み入れる。  そして冷蔵庫を開き、俺の名前が書いてあるボトルと、ついでに笹山からの差し入れらしきパウンドケーキをふたかけらほど口に放り込んでから冷蔵庫の扉を閉めた。  よし、帰るか。そう後ろを振り返ったときだった。  すぐ耳元で、「原田さん」と名前を呼ばれ飛び上がりそうになる。 「のわっ!! ……って、つ、司……っ?!」  あろうことか、いつの間にかに俺の背後に立っていた“あいつ”――もとい司に心臓が停まりそうに成る。  避けていた本人がそこにいて、俺はどうしたらいいのか分からず固まっていた。  対する司というとまだ仕事中のようだ。制服代わりのエプロンのまま、司はこちらをじっと見つめてくる。 「別に脅かしたつもりはないけど。……もう帰るの?」 「あ、ああ」 「じゃあ俺も一緒に帰る」 「え、」 「帰りにどっか飯寄らない?」 「え、えーと……」 「それとも、何か用事?」 「よ、用事とかってわけじゃねえけど……」  煮えきらない俺に対して、司は「なら問題ないだろ」と即答するのだ。 「すぐ用意してくるからそのまま待ってて」  そう言って、司はスタッフルームを後にする。  見つかってしまえば逃げられない。逃げようと思えば逃げられるが、そこまでしたいわけでもない。  別にあいつのことが嫌いなわけでも苦手なわけでもない、けれどどうしてもあいつのペースに呑まれるというか……それが辛うじて生きてる危機感が察知しているのだ。  結局、司がやってくるのを待つことになった。  本当に急いできたようだ、小走りで「待たせた」と勢いよく扉を開いてくる司にまたびっくりしそうになりながらも、そのまま一緒に退勤することになった。  そしていつもの流れで飯を食いに行くことになり、店から近い通りにある最早行きつけになりつつある居酒屋に入った。そして二人用の個室に通してもらう。  座敷タイプの個室の中、何故か向かい側ではなく隣に座ってくる司になんでだよと思いながらも気付かないフリして俺は適当に食べ物と酒を頼んだ。そして司も飯だけ頼む。  それからそれが届けられ、受け取ったあと。仕事終わりはまずはこれだよなとビールジョッキをぐい呑みしようとして、今は司と二人きりなのだと思い出しはっとした。  ……ここは自制しなければ、また失敗をしてしまう。  ちびりちびりと酒を喉奥へ流し込み、染み渡るに炭酸と息を吐く。そして俺はそのままジョッキを置いた。  そんな俺の一連の動作をただ無言で見ていた司。やつの視線に気付いたとき、司は口を開く。 「――原田さん、俺のこと避けてるでしょ」 「え゛……いや、な、なに言い出すんだよ急に……」 「だってさっきも先に帰ろうとしたし。今だって、いつもだったらそのまま一気いって二杯目に口つけるのに。……我慢してるだろ?」 「そ、それは……」  そこまで気付いていたのか。  しゅんとする司に、流石に罪悪感を覚えて「悪かった」と言いかけた矢先だった。  隣の席、するりと伸びてきた司の手に空いていた左手を握り締められ、ぎょっとした。 「つ、つかさ……?!」 「……原田さん、俺のこと嫌い?」  ずるい、それはずるい。流石に卑怯だ。  通路側から見えないようにこちらへと覆いかぶさってくる勢いで迫る司にあっという間に奥の壁際まで追い込まれてしまう。 「ち、近い……っ」 「近いと嫌なんだ?」 「い、嫌とかじゃなくて……だからその、付き合うとか云々とかは……っ!」 「……ああ」 「だ、だから、その……っ、ん……おい……っ!」 「なに?」  言った側から手をにぎにぎと握り締められ、酔いも回る前から顔が熱くなってくる。 「こ、この手! な……っ、なんだよ」 「原田さんと手繋ぎたいって思った、の手」 「お、お前……そういうとこだぞ……っ!」 「でも原田さん、ここ撫でられるの好きだろ」  そう言って、重ねられた手の甲をなぞるようにそのまま指と指の隙間、その谷間をすり、と指の腹で撫でられればぞくりと腰が震えた。 「っ、ん、ぅ……」 「ねえ、原田さん……好きだろ? これ」 「お、お前……っ」  お前、酒ミリも飲んでないくせに。  他の客の視線がないのを良いことに、いやらしい手付きで指を絡め取ってくる司に絶句する。  やめろ、と引き剥がそうとすれば、更に上半身をくっつけてきた司にふうっと耳に息を吹きかけられ「ヒンッ」と馬のような声が漏れてしまう。 「っ、や、めろってば……っ! おい、いい加減に……ッ、ん、く……っ」 「……可愛い、原田さん」 「や……っ、ん、こ、こら……っ、ここ、店……っ! 店だから……ッ!」  誰かが来たらどうするんだよ、と空いていた手で司の手を離そうとすれば、司はぴたりと動きを止める。  そして、 「まだお酒足りない?」 「あ、お前人の酒……ッ!」  人のジョッキを手に取ったと思いきや、いきなりそれを口に含む司にぎょっとする。そして、嫌な予感がして離れようとするが、握りしめられたままの手では離れることもできなかった。  そのまま顎を掴まれ、顔を上げさせられると同時に唇を重ねられる。瞬間、生ぬるいビールが口の中に移されるのだ。 「ん゛……ッ! ん゛〜〜ッ!!」  お前人の酒を勝手にとか言いたいことは色々あったが、吐き出すのも勿体なくて結局舌伝いに直接口の中へと流し込まれるそれを受け入れることしかできなかった。  というか当たり前のようにキスをするな。  そう言いたいが、酒もなくなって空になった口の中、司の舌に咥内を舐め回されれば段々頭の奥が熱くなってくる。 「……ッ、ん、ぅ……ッ!」  あまりにもしつこくぬるぬるとした舌でこちらの舌を絡み取られ、愛撫される。酒気が充満し、阻もうにも上手く力が入らない。  舌の粘膜同士が触れ合う度にくちゅくちゅと濡れた音を立て、腰がびくびくと震えるのだ。 「……っ、つ、つかさ……」 「……目、とろんとしてる。おいしかった? 原田さん」  どさくさに紛れて太ももを撫でられ、腰が震える。身を捩って離れようとすれば、その手は付け根の際どい部分まで這い上がってくるのだ。 「や、めろ……こ、これ以上は、まじで……ッ」 「大丈夫、ちゃんと責任持って連れて帰るから」  なんの大丈夫だよ、と司を睨めば、すぐに何度目かのキスが落とされるのだ。  というか、やっぱ最初からそのつもりじゃねえか。  ……俺も俺だ、司と二人きりなんてどうなるかくらい予想ついたのに、分かってて逃げられないのだ。  いい感じに酒が回ってきて、ふわふわとし始めた頭の中。胸に伸びてきた司の手をそっと掴み、「やめろ」と小声で言えば、そのまま唇をなめられる。 「……っ、ん、ぅ……ッ、め、飯が……まだ」 「原田さんは性欲より食欲?」 「ぁ、たりまえだろ……ッ」 「……ふーん、じゃあ食べ終わったあとならいいんだ?」 「なにしても」と後頭部に回された手にそのまま右耳をこちょこちょと擽られ、体が震える。  俺がどこ障れるのが苦手なのか、この男は探ってるのだろう。我慢しようとするが、耳の窪みの凹凸から穴の部分を優しくくるくると円を描くように撫でられれば、ぴくぴくと腰が震えてしまうのだ。 「……っ、わ、分かった……わかったから……お店ではやめてくれ」  そう口にしたとき、ずっと変わらなかった司の表情に密かに笑みが浮かんだのを見て背筋が震えた。  ◆ ◆ ◆  どれくらい時間が経ったのか、自分がどうやって店を出たのかろくに覚えていないまま、気付けば俺はベッドの上にいた。 「つ、かさ……?」 「……原田さん、可愛いね。ふにゃふにゃしてる」 「ん、う……ッ」  薄暗い部屋の中、覆いかぶさってくる司に顔中にキスをされ、その髪が肌を掠める度にくすぐったくて身を攀じる。  すると「逃げないで」と司の膝が股の間に差し込まれ、そのまま腰を掴まれるのだ。 「……っ、つかさ」 「……さっきの約束、ずっと俺いい子で我慢できただろ?」 「約束……?」 「お店ではなにもしないって約束」 「こんなになるまで我慢したんだけど、俺」手首を取られ、そのまま司の下腹部まで手を持っていかれる。そして司の股間の膨らみに指が触れ、ぎょっとした。  布越しではあるが、それでも窮屈そうにしているそこに心臓が熱くなる。  てかずっとこのままだったのかよ。確かにあれから、手を握られたり触れられたりはしたが、あれ以上直接的なことはされなかった……気がする。  まだ酒の残った頭の中、ぼんやりと考えながら俺は「よしよし」とテント張ったそこを撫でてやった。瞬間、司の腰が僅かに震えた。 「お……?」 「……っ、原田さん、それは……ずるすぎだろ」  先程よりも僅かに大きくなったそれに気を取られた矢先だった。司にずるりと下着ごと履いていたパンツを脱がされる。あまりの早業に脱がされていることに気付くのに遅れた。 「な、に……」  すーすーする下腹部、両腿を掴まれ、そのまま下腹部ケツの穴ごと曝け出すが如くひっくり返され、息を飲んだ。 「もー無理、今のは原田さんが悪い……ッ」 「んえ、おれ?」 「……そう、原田さん」 「っ、ご、めん、怒んないで……ッ、ん……」  ふわふわした頭の中、わけもわからないまま肛門を広げられ、ローションを絡めた指を挿れられて息を飲む。  酒で大分感覚も麻痺してるようだ、快感や苦痛よりもなにかが入ってきてむずむずするような感覚に腰が震えた。 「……っ、ぁ、つ、かさ……ッ、ん、ぅ……ッ」  次第に司の指の感覚がはっきりしてくる。浮きそうになる腰を掴まれたまま、更に前立腺を擦られれば腹の奥のむずむずが大きくなっていくのだ。 「ここ、撫でられるの気持ちいい?」 「ん、むずむずする……ッ」 「……その言い方、いい。頭悪そうで堪んない」  お前、なんか今さらっと失礼なこと言わなかったか?と視線をあげたとき、そのままべろりと耳を舐められ、喉が震える。 「んっ、んぅ、……ッ、ふ……ッ」 「……は、原田さん……ッ」  恥ずかしげもなく下品な音を立てて、弛緩したナカをしっかりと慣らされるのだ。  凝りの表面をねっとりと指の腹で撫でられイキそう、と思ったところで司は指を引き抜いた。 「……ッ?」  どうしてやめるのだろうかと、じんじんと熱くなる頭の中、司を見上げたときだった。  先走りでぬるぬるになった性器、その先端が先程まで指を咥えていたそこに押し当てられる。 「……っ、つ、かさ……ッ」 「もっと、ナデナデして」 「原田さんのナカで」とそこらへんのセクハラおじさんも真っ青な言葉を吐き出す司。それにツッコミを入れる前に、性器を挿入される方が早かった。  ◆ ◆ ◆  ――事後。 「は……っ!」  倦怠感疲労感諸々に飛び起き、俺はまずズキズキと痛む後頭部を抑えた。  そして、次々にやってくるのは後悔だ。  ――またやってしまった。  ――今度こそはっきり言うつもりだったのに。  隣を見れば、枕を抱きかかえたまますやすやと眠る司。しかし、俺が起き上がったことに気付いたようだ、ぱちりと目を開く。……完全に寝起きの顔だ。 「ん……原田さん?」 「あ、わり……起こしたか?」 「……まだ午前中じゃん。……寝れるよ」 「って、おい……」  言うなり、俺の肩に腕を回してきた司はそのまま俺を抱き込むのだ。半ば強制的に布団の中、もとい司の腕の中へと連れ戻される俺。枕と抱き合わせにしないでくれ。 「つ、司……俺そろそろ帰りたいなぁ……なんて」  このままでは二度寝タイムに本気で入り兼ねない。そう察知した俺は、ぺちぺちと司の肩を叩く。  すると、司の目が再びぱちりと開いた。いつもの何考えてるかわからない目だ。 「……なんで?」 「な、なんでって……」  なんでと言われてもだ。答えに口籠ってると、ようやく諦めたのか司はむくりと起き上がる。  そして。 「ご飯、用意するから……食べていきなよ。どうせ仕事は夜でしょ」 「そうだけど……」 「それまで、ゆっくりしよ」  そう、司はちう、と俺の額にキスをし、俺を抱き締めるのだ。どさくさに紛れて乳首を触るな。 「……」  なんだかこれじゃあ、恋人みたいじゃないか。  至るところに唇押し付けてくる司に悶々したまま、けれど強く否定することもできないまま結局俺は諦めて司の言葉に甘えることとなる。  ◆ ◆ ◆  二度寝の末、すっかり昼も過ぎた司宅で俺は遅めの朝食……いや、昼食を取ることになっていた。 「てか、司お前料理できるんだな」 「笹山に簡単なものだけ教えてもらった」 「笹山に? へえ、仲いいんだな」  キッチンの前に立ち、手際よく料理をしている司の手元を眺めてると、ふと司は言葉に詰まる。  なんか変なこと言ったか?と司の顔を覗き込んだ俺は、そのまま固まった。 「……原田さんに、手料理食べてもらいたかったから」 「え」 「……」  ……耳赤い。なんだその沈黙は。 「お、お前……」  急に可愛いこと言い出す司にこちらまでびっくりしてしまう。 「それに、気になる子がいたら胃袋から掴めって、うちの母親も言ってた」 「……すげー母ちゃんだな」 「でも原田さん、笹山に優しいし」 「え、そうか?」 「ああ。自覚ないのか?」 「い、いや……確かにあいつはいいやつだけど……」  ――待ってくれ、それってまるで。  食欲を唆られるような音を立て、フライパンの上に落とされる溶き卵はまたたく間に色を変えていく。 「つ、司……お前、笹山に妬いてるのか?」 「…………」 「なんで黙るんだよ」  そううりうりと小突けば、司は焼ける卵を見つめたまま「分からない」とぽつりと口にした。 「なんだよ、分からないって」 「……けど、俺も頑張ればできるって、原田さんに認めてもらいたかった。……かも」 「司……お前結構可愛いところあるんだな」 「……可愛い?」 「ああ、なんか……今までお前が何考えてんのかよくわかんなかったけど……そっか」  そうだったのか。  確かに前から好きだとか付き合おうとか散々言われてきたが、どうせ体の相性だとかそういうやつだと思っていただけに……思ってたよりもちゃんと好いてくれたのかという事実につい頬が緩んだ。 「……考えてることわかんなかった? 俺の?」 「え、そこ引っかかるのか?」 「俺は、原田さんのことしか考えてないよ」 「あーなるほど、そりゃどうもな」  こういうことを平気な顔で言うやつだから余計本気なのかわかり兼ねてたのだが、本気だと思うとこっちまで照れてきた。  生憎俺はこういった直接的なアプローチに慣れていないのだ。  ◆ ◆ ◆  それから暫くして、ようやく料理ができたようだ。  近くにいたら司にまた口説かれてしまうと思い、リビングでごろごろしてると、プレートを手にしたまま司が声をかけてくる。 「できた。……オムライス、見て」 「おー! どれどれ、旨そうだな」 「……ん、笹山直伝だから」  ところどころ苦戦したのか、オムの部分が裂けていたり少し不器用なところが出ているが、俺の料理に比べると遥かに上だ。 「……って、あれ? お前の分は?」 「………………あ」 「あってまさか、忘れたのか?」  真顔のまま固まる司。どうやらこれはボケではなくガチのようだ。  少し変わったやつだと思っていたが、まさか天然なところもあるとは。思わず「ぶはっ」と吹き出してしまう。 「……原田さん」 「わり、ふふ……お前って器用そうなのにな」 「ん……」 「じゃあこれ、一緒に食おうぜ。……一人で食うのも勿体ねえし、せっかくお前が作ってくれたんだからな」  そうもう一本スプーンを用意し、並んで座る。「あーんしてくれるなら、食べる」なんて言い出す司に「はいはい」と言いながら俺たちは二人で一緒に食べることにした。 「ほら、あーん」 「……待って、一口目は原田さんに食べてもらいたい。感想聞きたいから」 「え、……お、お前な……わかったよ、わかったからその目やめろって!」  一口分掬い、そしてむぐと頬張る。 「美味しい?」と心なしか期待する目で見つめてくる司に俺はこくこくと数回頷いた。  正直、侮っていた。メシマズでも頑張って振る舞ってくれたのだからいじってやらないつもりだったけど、普通に美味い。 「……めちゃくちゃ美味い」 「本当に?」 「おう、すげー……お前、向いてるぞ料理」 「……そうか、良かった」  そう、ほんの一瞬司が微笑んだのを見て心臓がぎゅうっと締め付けられる。  苦しいとは違う、なんだろうこれは。 「……っ、……?」 「原田さん」 「……っへ、なに?」 「……あーん」  そういって司は口を開けたままこちらを見つめてくる。  ……いや、待て待て。流れでは言ったものの流石にこれは……。 「……っ」 「あーん」 「……あーん」  一口掬い、そのまま司の口の前に差し出せば、俺の手首を掴んだままぱくりと司はスプーンを頬張った。  そしてもぐもぐと咀嚼する司。 「ど、どうだ?」 「原田さんがあーんってしてくれたの嬉しくて、よくわかんなかった」 「……はあ?!」 「だからもう一回」  いいだろ、と強請ってくる司に思わずたじろぐ。  だってこれはもう、そうじゃないか。こんなこと今どき恋人だってしてんのかわかんねーし。  けど、 「……あーん」  なんか、司が嬉しそうにしてるのを見てたら常識だとか建前だとか全部どうでもよくなってきた。  おしまい

友達未満恋人未満セフレ以上【↑100/7,400文字/司×原田/甘め】※

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