あの男が『今夜は部屋に近付くな』なんて大袈裟なことを言うから。何かをしてるのではないか、そんな好奇心に押し負けてしまった結果がこれだ。 宿屋四階の角部屋、孤立したメイジの部屋までやってきてその扉へと触れた瞬間、張られていた魔法陣が発動した。そして足元から生えてきた縄に胴体腕ごとぐるぐるに縛りあげられる。逃げる暇もなく、それどころか足を滑らせてしまいそのまま扉の前に転倒してしまえばお終いだ。 転がる俺の目の前、メイジの部屋の扉が開いた。そして、視界に入るのはあの男の靴のつま先だ。 「スレイヴちゃん、随分と一人で楽しそうだな」 落ちてきた声には呆れの色が多分に含まれていた。 「……っ、お前の仕業か……っ」 「人聞きが悪いことを言うな。俺は鼠が入らないように鼠取りを仕掛けておいただけだ。そうしたら、こんなにでかい鼠が捕まっていた」 「ちゃんと作動したようだな」なんて言いながらその場に屈むメイジは、腹這いになっていた俺の肩を掴み裏返す。 そして、こちらを見下ろして笑うやつに俺は身を捩ってその手を避ける。 「……っ触るな……! いいからこの魔法解けよ……っ!」 「そもそも何故俺の部屋に来た? 誰も近寄るなと伝えておいたはずだが」 「……っ、お前が……また何か企んでんじゃないかと思って、様子見に来ただけだ……っ」 それ以外に理由なんてあるわけがない。 そんな俺に、やつははっと鼻を鳴らすのだ。 「なに笑って……」 るんだ、と背筋を反らしてやつを見上げたとき。 いきなりやつが立ち上がったと思えば、そのまま首根っこを捕まえられる。 「っ、おい……ッ!」 「俺の弱味でも掴むつもりだったか? ……そんなに俺のことが気になって仕方ないと」 「や、めろ……ッ、触るな……ッ!」 「賢い方法とは思えないが、スレイヴちゃんらしい。……それに、悪い気はしない。仕方ないから許してやろう」 「なら……ッ」 早く外せ。そう言葉を続けることはできなかった。 まるで動物かなにかのように体を持ち上げられ、ぎょっもするのも束の間。メイジはそのまま人を引きずるように自室へと引っ張りこむのだ。 そして、相変わらず魔道具で散らかった部屋の中。それらを掻き分けるようにして部屋の奥、寝床まで歩いていったメイジはそのままベッドマットの上に人の体を転がすのだ。 「う……ッ、な……ッ」 柔らかいクッション生地のお陰で痛みはないが、マットに沈む体にただ焦る。手足も動かせない状況、芋虫のような体制のままベッドの上から逃げ出そうとしたとき、同様ベッドへと乗り上がってきたメイジに強引に引き戻された。 「誰がタダで帰してやると言った」 「っ、お、まえ」 「不法侵入は不法侵入だ。罰は与えてやらないとお前は学習しないようだからな、スレイヴちゃん」 「お前が他所で同じ真似をしないよう、俺がその体に教えてやる」有り難く思うことだな、と相変わらず腹立つ笑顔を浮かべたままやつは袖を捲くるのだ。そして、右手に嵌められていた手袋を外す仕草に背筋が震える。 やつが手袋を外すタイミングなど限られている。衣類を汚すことを避けるこの男の癖も、俺は知っていた。 「っ、ひとを、間抜けみたいに言うな……言われなくたってしない……っ!」 そもそも、お前じゃなければこれほど疑うこともなかったのだ。そう言い返そうとするが、「どうだかな」というメイジに腰を掴まれ、その言葉の先は飛んでしまう。 「……っ、人の体にさわるな……ッ」 「言っておくが、触ってくださいと言わんばかりに腰を突き出してるのはお前だぞ。スレイヴちゃん」 「っ、ちが……」 「まあいい、そのまま突き出しておけ」 そのままベッドの上、うつ伏せに体を転がされたと思えば腰だけは持ち上げられるのだ。頭は低いままの嫌な体勢であることに気付いたときには遅い。そのままベッドの上、足を崩したメイジの膝の上に乗せられる。 「な、おい……っ、離せッ!」 人が逃げようとするのも無視し、そのまま下着ごとずるりと下を脱がされる。ぎょっとしたのも束の間、強制的に露出させられるそこに意識を向けた矢先だった。 「っ、ひぁ゛……ッ?!」 剥き出しになった臀部に、破裂音にも似た音とともに衝撃が走る。最初は反動で思わず腰をのけぞらせたが、次第に痛みと熱にも似た感覚が下腹部にじわりじわりと広がっていく。 尻を叩かれた、それもメイジに。そう理解した瞬間、痛みに対する怒りよりもその行為に対し強烈な屈辱を覚える。 「尻を叩かれた経験は?」 「あ、ぁ……あるわけ……ッ」 「そうか。まあ、勇者サマは優しいだろうからな」 「ッひぐ……ッ!!」 お前、と言いかけるよりも先にメイジはまるで息をするように人の尻を叩くのだ。乾いた音ともに、熱で過敏になっていたそこに先程よりもより鋭利な刺激が走った。無数の小さな針で刺されるような痛みだ、激痛というわけではない。 それよりも、この男が敢えて手加減をしてまでこの行為を行うということ事態が俺にとっては拷問に等しかった。 下腹部に力が籠もる。きゅ、と無意識に擦り、閉じる腿の間に差し込まれるメイジの膝により無理矢理足を開かされた。やつはそのまま人の腰を捕まえ、二度も叩かれたそこを優しく撫でるのだ。 薄い皮膚越し、メイジの指の腹で撫でられただけで背筋が震える。まだ叩かれてもいないのに、痛みに備えようと下腹部に力が入るのだ。 そんな俺を見て、メイジは愉快そうに笑った。 「腰は突き出したままと言っただろう、スレイヴちゃん。これくらい耐えられないようじゃどの道前線復帰は不可能だな」 「っお、ま゛え……っぃ゛う゛ッ!!」 「何か言ったか?」 「っ、や、めろ……ッ、も゛……ひとが、喋ってる途中に……ッ、い゛ぎッ!」 出したくもない声が開いた喉から溢れる。後ろを振り返れないお陰で、どのタイミングで尻を叩かれるのかも分からない。 ぜえぜえと肩で息をする俺を見て、メイジはそのまま尻に触れる。叩かれるのではないかと硬直する俺を鼻で笑い、そのまま気持ち悪いほど優しい手付きで尻たぶを撫でるのだ。 「はー……っ、ぅ……ッ」 「すっかり赤くなったな」 「っ、ぅ、さ、わるな……ッ」 「痛かったか?」 「い、だくなんか……ッねえ……ッ」 「じゃあその目に滲んでる涙は俺の見間違いか。……まだ足りなかったようだな」 「ちがッ、ひう゛ッ!!」 パン、と軽く叩かれただけだ。それでも、既に腫れ始めていたそこにとっては軽い衝撃だけでも恐ろしく大きくて、たまらずびくんとメイジの膝の上で丸くなれば、そのままメイジは俺の尻を優しく撫でた。 「は、ぁ゛……ッ、も、や゛め……ッ」 「やめてください、だろ」 「ッ、ふざけんな……ッ、ぉ、お前……ッう゛、ひ……ッ!」 「ここまで赤く腫れれば暫くは共同浴場は控えた方が良いだろうな」 空気が触れるだけでもジンジンと痺れが広がる。 なんで俺がこんなことをされなければならないのか、ただ無性に腹が立ったし抵抗できずにされるがままになる自分にも腹が立った。 相変わらず拘束する縄はびくともせず、いつ叩かれてもいいように堪えていたが今度はメイジはなにもしてこない。それどころか、叩かれたそこを労るように唇を押し付けてくるやつには血の気が引いた。掠めるやつの前髪。 「さわるな」とその手を振り払おうと腰を引けば、「痛かったか?」なんてメイジはこちらを覗き込んでくる。まるで実験体の反応を見るかのような好奇心に満ち溢れた目だ。それが嫌で、俺はやつの視線から逃れるように背中を向ける。 「い、たくねえ……ッ、こんな……」 「ああ、それでいい」 どういう意味だ、と言いかけるよりも先に、片方の手が下腹部に伸びる。そして、辛うじて性器に引っかかっていた下着ごとそのまま膝上までずるりと脱がれた。 「っ、あ……ッ?」 瞬間、前を締め付けていたものがなくなる代わりに濡れた音とともに性器までも露出させられる。 下着から太い糸を引く性器に気付いた瞬間、メイジは芯を持っていた俺の性器をぴんと指で弾くのだ。その刺激に堪らず腰が跳ねる。 「っ、ひ、う」 「尻を叩かれてこんなに濡らすとはな。……素質あるんじゃないか?」 「っ、ち、が……お前、変な、術……ッ」 「残念ながら俺はなにも掛けていない。お前が尻を叩かれてるにも関わらず勝手に精子垂らして喜んでるだけだ」 「こうやってな」と、先走りで肉色に濡れたそこを指先で今度は柔らかく揉まれる。ぬちぬちと濡れた音が響く中、逃げたいのに逃げられない、隠したいのに隠せないこの状況下、メイジに舐めるように下半身を観察させられるのだ。 「っ、ふ、ざけ……ッひ、う゛……ッ!」 「巫山戯ているのはどちらか、試してみるか?」 「ッ、卑怯者、こんな魔法……ッ」 「卑怯者で結構。そうやって自分の雑魚さを人のせいにしておけばいい」 「っ、く、ぅ……ッ!」 ぬちぬちと音を立て、メイジの指によってあっという間に昂ぶらされる自身がただ悔しくて仕方なかった。腰を引くこともできないまま、カクカクと震える下腹部、メイジにされるがままに指で扱かれる。 そしてものの数分もかからず、呆気なく果てる俺を見てメイジはただ薄い笑みを浮かべたまま俺と汚れた自身の手のひらを眺めていた。 そして。 「っ、ぅ、は……ッ、ふ、う……待っ、ぁ……お、おい……ッ!」 人の精液を指に絡めたまま、メイジはそれを塗り込むように肛門に触れる。閉じた口を柔らかく、それでも強引に開くように二本の指を挿入され、堪らず目を見開いた。 「っ、ま、て……っ、んっ、ぅ、メイジ……ッ」 「潤滑油が足りないようならもう少し足すか。まだこっちも元気があるようだしな」 「ッ、く、ひ……ッ!」 ケツの奥まで長い指が根本まで挿入してくる。そのままぐちぐちと音を立て、内壁に直接精液を塗り込むように嬲られればそれだけであっという間に射精したばかりのはずのそこに熱が集まる。それを潤滑油呼ばわりしてるのだと気付き、顔が余計熱くなる。 「……ッ、ぁ、あくしゅみ、やろ……ッ、変態ッ、しょ、わるまどうし……ッ!」 「よく鳴く口だ。塞がれたいのか?」 「だま……ッ、れ……んん……ッ」 腰を抱くように更に奥まで挿入された指で中を掻き回される。腰を引こうと大きく仰け反れば、自然とやつの胸に凭れるような形になってしまう。至近距離でやつと視線があい、咄嗟にそらそうとすればメイジにそのまま口を塞がれるのだ。 「っ、ふ……ぅ……ッ」 長い舌に唇を強引に割られる。体内に響く濡れた音と咥内粘膜同士が混ざり合う生々しい音に頭がどうにかなってしまいそうだった。 前立腺を探り当てたメイジの指は、凝りとなって浮き出たそこを執拗に刺激する。最初は痺れのような快感は次第に濃くなり、一人でにこの体を支えることが困難となっていた。 「っは、ん、う……ッ、ふー……ッ、ぅ、……ッ」 逃れようとしても逃れられず、目の前のメイジに額を押し付けることが精一杯の抵抗とも呼べる行為だった。執拗に唇の薄皮ごと舐められ、啄まれ、深く恋人かなにかのように長いキスを交わしながらも前立腺を責め立てる指は止まらない。 与えられ続ける快感を逃す術も俺にはない。ガクガクと痙攣する足からは力が抜け、ゆるゆると開いた下腹部、腿の間から頭を出す勃起性器が余計憐れに思えた。 強制的に絶頂を迎えさせられた、今度は性器から精液が飛び出すことはなかった。代わりにとめどなく溢れ続けていた半濁の先走りだけがベッドシーツに小さな水たまりを作っていた。 「……っ、は、……ぁ……ッ」 「今日は随分と感度がいいな。……叩かれてそんなに興奮したのか?」 「っ、だ……まれ……っ、さっさと、これ……抜けってば……ッ」 「言っておくが、“もっと”と締め付けているのはお前の方だぞ、スレイヴちゃん。腰まで振って、すっかり性奴隷が身に着いているようだな」 「っ、この……やろ……ふ、ぅ……ッ」 指は引き抜かれるどころか、先程よりも乱雑に中をかき回されて息を飲む。そのくせ人の弱いところを把握し、的確に指先で責め立てられれば逃れることはできない。 「う……ッ、ん゛ぅ……ッひ、ぐ……ッ!」 「お前はここを穿られるのが好きだったな。尻の肉が捲れ上がるほど雑に差し抜きした方がよく鳴いていたしな」 「っ、め、いじ……ッ」 「そう緊張しなくてもいい。……もういきなり尻を叩く真似はしないから安心しろ」 何が安心しろだ、ふざけるな。怒鳴りたいのに、少しでも口を開けば出したくもない情けない声が溢れてしまいそうになる。 短い感覚で性感帯を二本の指で交互に愛撫され続ける。耐えようとしても、既に何度も絶頂を迎えた体では無理難題であった。 「……ッ、ひ、ぅ゛……ッ、あ゛ッ、ゃ゛……ッ、め゛……ッ!」 痙攣を起こす下腹部。痙攣に合わせ、びくんと震える性器からは精液とは違う、水に近い体液が勢いよく噴出した。焼けるほどの熱が尿道から溢れ出す様は放尿に近い。 自分の服が俺の体液で汚されようとも、メイジは顔色を変えることはなかった。それどころか、笑みを深め更に愛撫を激しくするのだ。 「ふ、ぅ゛……ッ、ぁ゛ッ! ふーッ、ぅ、ひ……ッ!」 己の力では足を閉じることができなかった。気付けばメイジの腕の中、されるがままに肛門を弄られ続けたお陰で柔らかくなったそこは指を出し入れする度に空気が混ざり、粘着質な音に混ざって恥ずかしい音が部屋中に響き渡る。 絶頂を迎えた直後、それでも持続的に与えられ続ける強い快感に疲弊も募り、それでも頭を擡げ続ける性器からは先走りが溢れ続けた。 全身に汗が滲む。 指だけでは物足りない、なんてそんなこと考えるはずがない。ないのだ。 それでも、柔らかく解された肛門の疼きは増すばかりだ。刺激され、愛撫されればされるほど、普段腹の奥までねじ込まれる性器の太さを想像してしまうのだ。それが恐ろしくて、俺は必死に頭を振って思考を振り払う。 「っ、はッ、ぁ゛……ッいや、だ……ッ、いやだ、も……ッん゛ぅ……ッ! っ、ふー……ッ、ぅ……ッ!」 口を塞がれ、何度目かのキスをされる。汗ばじんだ額に張り付く前髪をかきあげられ、歪む視界の中、腹立つほど涼しい顔したメイジと目が合った。 「……っは、酷い顔だな、スレイヴちゃん。勇者サマが見たら卒倒するんじゃないか」 「……ッ、…………」 言いながら再びキスをされそうになり、俺は寸でのところで顔を反らしてその唇を避ける。瞬間顎先を捉えられ、そのまま当たり前のように頬にキスをされるのだ。わざと大きめのリップ音を立て、メイジは唇を離した。距離はそのままで。 ぐちゅ、と音を立て中をぐるりと円を描くように掻き回される。臍の裏側、前立腺を圧迫されれば自然と腰が浮き、震えるのだ。 「っは、ぁ゛ッ、ひ、ッ、……う゛……っうぅ……ッ!」 「……っ、さっきよりもまた締め付けがよくなったな。……怒ったのか? 勇者サマの名前を出されて」 「っ、……だ、まれ……ッお、ま゛えッ、なんか、……ッ、なんかぁ……ッ! ひッ、ぃ゛……ッ!!」 「……っ、そんな可愛い反応をするな。今度こそ歯止めが効かなくなるだろ」 どういう意味だ、と顔を上げたときだった。先程まで拘束されていた腕が自由に動くことに気付いた。 外されたのだ、と自由になった腕に意識を奪われていたのも束の間。 すぐ喉元までせり上がっていた昂りを前に、メイジはあろうことかあっさりと指を引き抜いたのだ。 ぐぽ、と音を立て抜かれる二本の指。散々嬲られ、開かれ、ぽっかりと口を開いたそこにほんの一瞬呆気にとられていたときだった。 そのままメイジの腕に強く抱き寄せられる。そして、まるで見つめ合うかのように対面に座らせられたとき。下腹部に押し当てられるその熱に思わず硬直する。そして、目の前のニヤケ面を睨む。 「っ、おい……ッ、やめろ……ッ!」 「おいおい、やめろと言われて俺が一度でもやめたことがあったか?」 「っ、ぁ……ッ、お、お前……ッ!」 咄嗟にメイジの肩を掴み、腰を浮かす。いつの間にかに露出させた自身の性器を手にしたメイジはそのまま片方の手で俺の尻を撫でるのだ。ひりひりとまだ叩かれたときの感触が残るそこを優しく撫で上げ、そのまま左右の谷間を割り開くように俺の股を開かせようとする。その不躾な手を引き離そうとするが、ぷちゅ、と柔らかくなった肛門を腫れ上がった亀頭で押し上げられるとそれだけで手元が狂いそうになるのだ。 「っ、メイジ、待て……ッ、い、今は……本当に……」 少しでもやつが動けばこのまま突き上げられるのだろう。それがわかったからこそ余計緊張した。 肉と肉、触れ合う粘膜同士の熱が溶け合う。汗が流れる。脈打つ鼓動がやけに大きく響き、喉が急速に乾いていくようだった。 せめて、少し休ませてくれ。そんなことをこの男相手に思うこと自体が愚行だと俺はわかっていたはずだ。 そして。 「へえ……その目、堪らないな」 そんな俺を前に、その面に笑みを携えたメイジは俺の尻を撫でるのだ。 ゆっくりと、敏感になっているとわかっててわざと熱をもったそこを撫でる。それだけで本能的に腰が引けてしまい、まるでメイジの性器に自ら跨るように腰を落としてしまう自分に血の気が引く。 「っく……ッ、ひ、…………ッ」 「挿入されるのは嫌なんだろ? ……じゃあもっと頑張って踏ん張らないと駄目だろ。……仮にも肉壁やってたくせに刺激に弱すぎないか? スレイヴちゃん」 「っ、や、めろ、触るな……ッ、ぁ……ッ!」 腰を持ち上げたいのに、ぬるぬると先走り滲む亀頭を肛門へと押し付けられるだけで下腹部が反応してしまう。俺が動く度にちゅぷ、ぬぷ、と恥ずかしい音が響き、余計いたたまれなかった。 「俺は、このままでも別に構わないんだけどな」 「っ、は、ぁ……ッ」 メイジの腹を掴み、押しのけるように逃げようとすれば、逆に手首ごと掴まれて抱き寄せられてしまう。瞬間、メイジの腕に抱き締められた。性器の上からは逃れられたと安堵したのも束の間、そのまま閉じることを忘れていた股の間、尻の割れ目にメイジの性器が添えられるように押し付けられる。 「っ、や、め」 「……そう思ってたんだが、スレイヴちゃんのせいで我慢ができなくなった」 「な」 「挿れるぞ。舌、噛むなよ」 応える暇などなかった。 待て、と二文字。そのたった二文字を口にするよりも先に、指で広げられた肛門に亀頭を押し当てられる。恐ろしいほど馴染むその熱に息を飲んだとほぼ同時に、腰を掴むメイジに手に力が入る。 「ふ、ぉ゛……ッ、ぐ、ひ……ッ!!」 みちみちと、あくまでゆっくりとメイジの性器は俺の肛門を広げ、中へと侵入してくるのだ。 痛みはない。それ以上に、焦らされるほどゆっくりと肉壁を圧し開いてくるその性器にただ頭の中思考が白く染まっていく。全身の毛穴が開き、そこから汗が吹き出す感覚すらも鋭利に感じる。 「は……ぁ゛……ッ! メ、イジ……ッ、ぃ゛……ッ! ふ……ッ、ぅ゛……ッう゛ぅ……ッ!」 「っ、相変わらず……獣みたいな声を出すな、もう少し可愛い声も聞かせたらどうだ」 「っ、だ、まれ……ッ、ぇ……っも、動くな……ッ」 まだ半分も入っていないと分かっていた。それでも、既に下半身の圧迫感は強かった。 焦らしているつもりなのか、内壁を汲まなく嬲るように腰をゆっくりと押し進めてくるメイジに俺はそれでもまだ必死に逃れようとやつの服に爪を立てる。その手をメイジに取られ、そのまま手のひら同士を重ねるように指を絡め取られるのだ。 瞬間、中でメイジのものが更に大きく脈打ち出すのがわかった。 「っ、ぅ゛……ッ、ふー……っぁ゛ッ、ひ、ぅ……ッ!」 「……っと、スレイヴちゃん逃げるなよ」 「あッ、う゛……ッ、ひう゛……ッ! あ、ぁ゛……ッ!」 「……ッ、スレイヴちゃん」 ゆっくりと焦らすような挿入に耐えられず、大きく仰け反る。顕になる喉笛に唇を押し付けられ、そのまま皮膚に滲む汗を舐めとるメイジに最早抵抗することもできなかった。 「……っ、は、んむ……ッ、ふ……ッ!」 長い時間を掛けたストロークに全身は限界まで昂ぶった状態だった。どこもかしこも熱をもったかのように痺れ、メイジの性器の形を刷り込まれるように何度も執拗にゆっくりと時間をかけて抽挿を繰り返される。 繋がったままどれほどの時間が経過したのかも分からない。最奥、その突き当りをメイジの亀頭が内側から突き上げた瞬間、脳髄までも痺れるような快感に耐えきれずに何度目かの絶頂を迎える。ずっと上を向いたまま色のない体液を垂れ流す性器からは精液が溢れることはなかった。それでも確かに自分が達したのだということだけは理解できたのだ。 それからずっと、メイジの気が済むまで挿入は続いた。性急な行為とは対象的な内側から体の奥の奥、その芯までもメイジに侵されるような執拗な性行為に気絶するにもできず、やつが満足するまで股の間には性器が刺さってるような異物感を抱えたまま朝を迎えることとなる。 これなら雑に抱かれて意識を飛ばされた方がまだましだ。そう思えるほどやつの体の感触を髄まで叩き込まれた俺はそれから一睡することもできないまま結局部屋へと戻された。 何度中に出されたのか、途中あの男が人を膝の上にかかえて挿入したまま魔道具の手入れを始めたときはどうしてやろうかと思ったが結局どうすることもできないことが歯がゆかった。 「また寂しくなったらいつでも俺の寝床を襲えばいい」 そもそもお前を襲いにいったわけではないのだと言い返す気力も残されてなかった俺は、見送りについてきたやつを無視して布団を被ることが細やかな抵抗だった。 暫くメイジの性器の感覚が離れず、挿入されてない状態に違和感すら覚えるような日々を過ごすこととなったのはまた別の話だ。 おしまい