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田原摩耶
田原摩耶

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√β阿賀松監禁END※【↑100/5,600文字/√βIF阿賀松×齋藤/言いなり】

 阿賀松伊織に逆らうな。  阿賀松伊織に媚を売れ。  阿賀松伊織の犬になれ。  阿賀松伊織に従えばどうにかなる。  その代わり――……。 「……ッ、つ、ぅ……」  激痛のあまり目を覚ました。寝返りを打つことすらもままならない現状、硬い床の上、起き上がる気にもなれなかった。それでもこうして目を覚ましたのはそろそろやつが来る時間だからだ。  そして、案の定扉が開いた。 「よぉ、お利口さんにしてたか?ユウキ君」  案の定、あの男は現れた。  ――縁に唆され、阿賀松の自宅に忍び込もうとして逆に捕らえられたあの日からどれほど経ってるだろうか。  日に日に傷は増し、全身至るところが発熱してるようだった。  殴られた拍子に切れた口内は声を出すだけでも酷く痛むほどだ。それでも、何も応えずにいるとこの男はなにしてくるかわからない。 「……は、い」  阿賀松伊織に逆らうな、と阿佐美は言った。そう熱りが冷めるのを待つんだと。それまでは、阿賀松の気に障ることは絶対にするな。  阿佐美は俺のことを心配してくれていた。それでも、俺と同じようにこの男に逆らうことができないのだ。 「へえ、声は出るようになったんだな。けど、ひでえ声だな」 「水分は?」そう尋ねられ、首を横に振った。  喋るたびに渇いた喉にひび割れるような痛みが走る。阿賀松はそんな俺を鼻で笑い、それから「ほらよ」とミネラルウォーターのボトルを手にした。  そしてキャップをひねる阿賀松に一瞬身構えたが、阿佐美の忠告が頭に木霊する。強請るように口を開けば、阿賀松は俺の前に座り込んだ。それから、楽しげに笑いながら水を自らの口に含むのだ。  顎を掴まれ、そのまま深く口の中に水を流し込まれる。痛みがないわけではない、それ以上に潤っていく粘膜に満たされる。ごくごくと直接喉奥まで押し流される水の冷たさに体がびっくりしている。  生きてるのだ、俺は。……まだ。 「っ、は、……ッ、ぅ……」  口の中に水はもうなくなっていたのに、阿賀松は俺から手を離さなかった。濡れた舌に咥内を舐められ、その感触に背筋がぞくりと震える。痛みと、別の何か。舌のピアスが掠める度に頭の奥が熱くなる。 「っ、……ぁ……」 「なんだ、お前そんなに喉乾いたのか?」  はい、と声にならない声で答えたとき、阿賀松は先程同様口移しで水を飲ませてくる。機嫌がいいのか、気まぐれか、それでも……どちらでもいい。殴られずに済むなら、阿賀松の機嫌がいい内に。  何も入ってなかった腹部に冷たい液体が落ちていくのを感じた。  そのとき、阿賀松の掌が俺の腹部を撫でる。以前のことを思い出し、思わず緊張した。晒された刺し傷を抉られるのではないか、と思ったが、阿賀松はただ硬い指先で俺の傷を撫でるだけだった。 「腹の音すげえな」  ごぽごぽ言ってる、と笑いながら厚い掌で俺の腹を撫でる阿賀松。久し振りの飲水に胃が反応してるのだろう。  それでも、こうして阿賀松に指摘されると恥ずかしさがあった。……それから、弱点を曝しているような恐怖と心許なさ。 「今日は飯はまだか?」 「……はい」 「そっちも口移しされねえと食えねえのか」 「……っ、……」  唇を撫でられ、堪らず息を飲む。  じっと瞳を覗き込まれ咄嗟に言葉を探した。阿賀松が喜びそうな言葉……そんなもの、俺にわかるわけ無い。 「……は、い」  それでも、従え。そう響く自分の声に従うしかない。  ◇ ◇ ◇  あれからどれほどの時間が経ったのだろうか。  口の中の傷は大分治り、腫れも引いた。ほぼ毎日俺の部屋に通ってくれる阿佐美が俺の傷の手当をしてくれるお陰もあるだろう。  そして今日も、阿佐美はいた。 「……ゆうき君、具合はどう?」 「……うん、お陰様で大分楽になったよ」 「そっか、よかった……けど、本当はちゃんと病院で診てもらわなきゃいけない傷なんだけどね」 「ごめんね、俺で」と阿佐美は悲しそうにうなだれる。  阿佐美は悪くない、とは言える立場ではない。聞きたいことも、言いたいこともある。それでも、それは今ではない。  ――とにかく、ここから生きて出るためだ。そう、そのためだけなのだ。  阿佐美から受け取った食事に喉を通す。味などは最早感じなくなっていた。  全身の痣も傷の痛みも大分マシになっていたが、別の問題もあった。 「……っ」 「ゆうき君?」 「……大丈夫、だから」  外傷は減った。  けれど、その代わりに阿賀松に抱かれる回数は多くなっていた。顔を出せば確実に犯される。怪我してようが関係ない。それでも阿賀松の気を損ねるわけにはいかず、ただ阿賀松にされるがままになっていた。  寝て起きてもまだあの男に犯されてるような感覚は抜け切れない。殴られるときとはまた違う気だるさや節々の痛み、粘膜の裂傷による熱。それらは確実に俺を苛ませるのだ。 「わかった、取り敢えずこれ……今日の分の痛み止め。すぐに飲んでね」 「……うん、ありがとう」 「……」  阿佐美はそれ以上何も言わなかった。相変わらず表情は読めないが、それでもどこか悲しそうな顔をしていたのだけはなんとなくわかった。  そのまま阿佐美が出ていったのを確認し、薬を飲む。……あと、少しの辛抱なのだ。  ◇ ◇ ◇ 「っ、ん、ぅ……ッ」  眠りの中、どこからか声が聞こえてくる。次第に意識は色濃くなり、そして、次に感じたのは焼けるような熱と圧迫感だった。  濡れたような音がして、体を揺さぶられる。喉奥からうめき声が漏れ、それが自分の声だと気付いたと同時に意識は覚醒した。 「ッ……ぇ」  まず目に入ったのは赤だった。いつの間にか俺の上に覆い被さっていた阿賀松伊織は俺が目を覚ましたことに気付いたのだろう、目が合ってやつは唇の端を持ち上げて笑う。腹の奥、肛門に深々と挿入されたそれから伝わってくる振動にぎょっとした。 「よく眠ってたな、ユウキ君。……今度こそ死んじまったのかと思ったわ」 「っ、な、ん……ッ、で……ッ!」 「なんでだぁ?……知らねえよ、起こしてやったってのに起きなかったのはお前だろ?」 「なあ?」と腰を打ち付けられ、全身がびくんと魚のように跳ねる。阿賀松の下から逃げようとして気付いた。床ではない柔らかいベッドマットの感触、そして辺りもあの質素な部屋ではなく見慣れない部屋の中にいた。  辺りをじっくりと確認する暇もなく、太腿を掴まれ、再びピストンを再開する阿賀松に臍の裏側を乱暴に擦り上げられ跳ね上がる。 「ッ、ひ、ぅ゛……ッ!!」  既に中に出されているのか、阿賀松がストロークする度に腹の中で濡れた音が響く。  起き抜け、何が起きてるのかまだ飲み込めない状況。それでも阿賀松のものをしっかりと咥え込んだ体は条件反射で快感を拾い上げる。 「っ、ぁ、待……ッ、」 「ああ?……聞こえねえよ」 「ッ、ひ、ぅ゛……ッ!」  腰を高く掴まえられ、隙間なく密着した状態で犯される。痛みがある方がまだ良かったのかもしれない、ふわふわとした頭の中、寝起きには強すぎる刺激にまだ夢を見てるのではないかと思うほどだった。 「おい、逃げんなよ。寝ぼけてねえでちゃんと締め付けろ」 「っ、ふ、ぅ、ぐ……ッ」 「返事は」 「っ……は、ぃい……ッ」  考えるほどの頭も無かった。ただ言われるがまま力が抜けそうになるのを堪え下腹部にぐっと力を入れる。阿賀松は小さく笑い、そしてそのまま腰を動かした。  戯れに唇に噛み付かれ、考えるよりも先に口を開いて阿賀松の舌を自ら招き入れる。腰が痺れ、内腿が突っ張る。それもすぐに気にならなくなり、阿賀松の一挙一動に思考を乱されるのだ。 「っ、せ、んぱ……ッぅ、ん、ッ……ふ……ッ」  深くなるキス。最初は違和感しかなかったピアスの感触も今では興奮剤でしかなく、自ら阿賀松の舌に絡めれば阿賀松の目が細められる。それから後頭部に伸びた掌に乱暴に後ろ髪をかき上げられるように掴まれ、喉の奥まで伸びてきた舌に咥内の粘膜を舐られる。 「ふ……ッ、ぅ……ッ!」  唾液が溢れる。乱暴で獣じみた性行為にも関わらず、そんな行為ですら快感を覚えるようになっていた自分がただ恐ろしかった。  ピストンで突き上げられる度に勃起した性器が揺れ、先走りが垂れる。執拗に性感帯を犯され、摩擦され、舐られ、なにも考えられなくなる内に精液が溢れ出した。  俺が射精しようが阿賀松はピストンをやめない。それでも、先程よりも性急になる阿賀松に射精が近いのだろう。俺はただ阿賀松が満足するまでその身を預けるだけだった。  どれほどの時間阿賀松に犯されていたのかもわからない。一度射精しただけでは阿賀松は収まらず、今度は体位を変えて背面から犯される。そんなことが何度もあり、ようやく解放されたと思ったときには俺はもう指一本すら動かせる状態ではなかった。  飲み物を取りに行ったのか、戻ってきた阿賀松は俺がベッドの上から動いていないのを確認してそのボトルに口を付ける。 「……っ、は……」  ベッドの上に腰掛ける阿賀松。条件反射でつい口を開ければ、阿賀松は「仕方ねえな」と笑ってもう一度口に水を含んで口付けた。  寝たままの体勢でうまく飲めるはずもなく、唇の端から水が垂れようが阿賀松は唇を離さなかった。舌を絡められ、甘く吸われる。そのまま頭を撫でられ、阿賀松は顔を離した。 「どうだ、美味いか?」  尋ねられ、頷き返す。阿賀松は一笑し、今度は口移しではない普通のキスをするのだ。  噛み付くように唇を塞がれ、舌を愛撫される。つい先程まで体内の水分全て出したのではないかと思えるほどしていたにも関わらず、下腹部が熱を持ち始めるのを感じて背筋が震えた。  阿賀松もそれに気付いたようだ。  下着すら身に着けていない剥き出しのそこを指で跳ねられ、びくりと腰が震えた。 「まだ足りねえのか?随分とワガママになったな、ユウキ君は」 「っ、ご、めんなさ……」 「気が合うな、俺もお前のその面見てたら堪んねえんだよ」  れろ、と頬を舐められる。そしてぐるりと這わされた長く太い指に腹部、傷口を撫でられれば息が詰まりそうになった。完全に塞がり、薄く伸びた傷跡を撫でることを阿賀松は気に入ってるようだ。他意を含んだその動きに耐えきれず、阿賀松の腕にしがみつく。  その瞬間、ほんの一瞬のことだった。阿賀松の目がすっと細められる。そして。 「っ、あ……っ」  開かされた股の奥、未だ開いたままの肛門に阿賀松の指が挿入される。先程まで指よりも太いものを長時間咥えさせられていたお陰でいとも簡単に阿賀松の指は奥まで入り込んでくる。それでも、ぷっくりと膨れ上がった前立腺を重点的に刺激されればそれだけで腰が痙攣し、疲弊しきっていたにも関わらず持続的に与えられる快感に飛び上がりそうになった。 「ッ、せ、んぱ……ッ」 「伊織」 「ッ、ぃ……おり……ッさ、……ッ」  わけもわからず復唱すれば、気をよくした阿賀松は更にペースを上げる。阿賀松の体液で濡れていた分痛みはなく、より鋭利な快感に堪えられずに俺は腰が抜けそうになるのを必死に堪えた。既に硬く勃起した性器からはぽたぽたと先走りが垂れる。 「ッ、は……ッ、ぁ……ッ」  快楽に耐えきれず、阿賀松の指を招き入れるように開いていく股を見て阿賀松が笑う。そして履き直したばかりの下着の下、阿賀松は同様勃起した性器を取り出すのだ。 「ったく、お前と居ると時間が足んねえな……ッ、」 「っ、いお、り……さ……ッ!」  伊織さん、と呼ぶよりも先に、最早空になっていた精巣からは透明な液体が少量溢れ出すのだ。それでもまだ勃起は収まらない。先程と同じように、否それ以上に勃起した阿賀松の性器を前にして肛門の奥が甘く疼く。  喉が酷く渇いた。 「……ッ、は……ッ」  考える余裕なんてなかった。俺はそのまま膝を折り、阿賀松が挿入しやすいように腰を持ち上げた。  お願いします、なんて緩くなった肛門を左右に押し開きながらガラガラの酷い声で口にすれば阿賀松は笑うのだ。上出来だ、と俺を褒めてくれるのだ。  阿賀松伊織に逆らうな。  阿賀松伊織に媚を売れ。  阿賀松伊織の犬になれ。  阿賀松伊織に従えばどうにかなる。  その代わり――……この男から逃げられない。  頭の中響く声を聞きながら、俺は深く挿入される性器の熱に堪らず声を上げた。逆らわなければ痛みはない、殺されるよりかはましだ。そう思っていたはずなのに、阿賀松に抱き締められ、こうしてこの男に褒められることに心が反応していることに気付いたときにはなにもかも手遅れだった。 「……ゆうき君をどこにやったの?」 「別にどこだっていいだろ」 「けど……」 「安心しろ、あいつはもう逃げねえよ」 「……っ、伊織」 「それともなんだ?……お前も欲しかったのか?」 「……」 「冗談だろ。そんな怖え顔すんなよ。……ま、飽きたらくれてやるよ。あの様子じゃ、暫くは飽きずに済みそうだけどな」 「………………ゆうき君、ごめん」  おしまい


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