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田原摩耶
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√α後志摩×齋藤でお正月SSS【↑100/2,000文字/志摩×齋藤/平和】

 凶、小吉、吉、大凶。 「なにこれ、大吉全然出ないし」 「……そもそも、おみくじって何度もひくものじゃないと思うんだけど……。吉でよかったんじゃ……」 「だって吉なのに内容ムカつくし」 「……」  そういうものじゃないだろう、と思ったが確かに志摩に見せてもらったおみくじにはもっともらしいことが書かれていた。……大人しくしろ、とか、人の意見を素直に聞く、とか。ムカつくということは少しは図星を刺されたのだろうか、と思いながら俺は手にしていたおみくじを近くの縄に結ぼうとする。 「これでよし……」  お参りとおみくじを引くという目的も済んだのでそろそろこの神社を後にしようかとした矢先だった、人の結んだおみくじを解いてる志摩に思わず「何してんの……?!」と大きな声が出てしまう。 「齋藤が持って帰らないんだったら俺が持って帰るよ」 「し、志摩……そういうものじゃないから……。あと志摩もその大凶結びなよ」 「……ヤダ」 「なに、ヤダって」 「これは齋藤とお参りに来た記念にするの」 「……写真撮っとけばいいんじゃない?」 「現物が欲しいの」 「…………まあ、いいけど。俺のは結んでおくからね」 「……」  そうそっと志摩からおみくじを取り戻そうとした不服そうながらも渋々返してくれた。  志摩と一緒に暮らすようになって初めてのお正月だ。なんだかこうしてると本当にちゃんと恋人になったんだなと思ってた矢先にこれだ。  ……まあ、志摩らしいといえば志摩らしいけど。 「……お守りでも見る?」 「俺、そういうの信じないよ」 「……おみくじは気にしてたのに?」 「おみくじは小煩く書いてるじゃん。でも、お守りは喋らないし」  そういうものなのかな……。  志摩の考え方はまだまだよくわからないところもあるけど、どうやら目に見えない神様の加護には興味ないらしい。 「じゃあ俺だけ見てくるよ」また列に並ばせるのも申し訳ない。一人で行こうとすれば、後ろから志摩もついてきた。……一人は嫌らしい。  というわけで再び順番待ちし、お守り売り場を眺めていたとき。 「齋藤、これいいんじゃない」  言いながら安産守りを見せてくる志摩を無視して俺は無病息災のお守りを手に取る。 「齋藤、こっちの方が可愛いよ」  今度は子供向けらしい愛らしいデザインの小さなお守りを手にしてる志摩。 「……志摩、ほしいの選んでいいよ」 「別に俺はいらないし」  ……興味津々のくせに変なところで意地を張る。  こういうところはやっぱり変わってないな。  そう、とだけ答えて俺は自分用のシンプルなお守りを手に取る。勿論無病息災のものだ。そしてついでに志摩がやたら可愛い可愛いアピールしてたやつも。 「二つも買うの?それ効果あるの?」 「こっちの可愛いやつは志摩のだよ」 「……やだ、齋藤とお揃いがいい」 「お守りってお揃いとか関係ないと思うけど」 「齋藤もこっちの可愛いやつにしよ」 「……わかった、わかったから引っ張らないで」 「なんで?怒ってる?」 「怒ってないよ。……けど、ほら、小さい子の邪魔になってるから」  後ろで子供が志摩の背中から覗くようにお守りを見てるのを見て指摘すれば、志摩は渋々退いた。……こういうところは少し変わった気がする。前の志摩だったら絶対場所譲らなさそうだし。思いながら、つい笑いそうになる。 「なに笑ってるの?」 「なんでもないよ。……じゃあ、これとこれで……」 「……俺も買う。ね、お互いの買って交換しようよ」 「うん、いいよ」  そのまま精算を済ませ、俺達はそのまま寺院から出た。 「齋藤、絶対つけないでしょ。お守り」 「つけるというか……鞄に仕舞っておくよ」 「なにそれ、俺とお揃いなんだから首から下げてなよ」 「志摩もするならするよ」 「俺は引き出しに入れとく」 「……だと思ったけど」  帰り道、寺院の前の屋台で買ったドリンクを飲みながらそのまま賑わう街へと繰り出す。このあとは志摩が買い物したいといっていたのでそれに付き合う予定だ。  俺は別に欲しいものも特にないが、福袋には興味があったのでそれを楽しみにしてるが、本当は志摩とこうしてのんびりぶらぶらしてるだけでも結構……大分楽しかったりする。  久し振りの俺も志摩も完全な休日だ。正月は今までにできなかったことをしようと志摩と話してた。  やりたいことはたくさんある。  ……時間も、たくさん。焦らずとも一つずつやっていければいいな。なんて思いながら俺は、上機嫌鼻歌交じりにお守りを見つめる志摩の横顔を眺めてた。  そしてその夜、家に帰ってきて志摩の机の上に見覚えのあるおみくじが置かれてるのを見てまた喧嘩になったのはまた別の話だった。  おしまい


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