事後の阿賀松×齋藤※【↑100/4,000文字/阿賀松×齋藤/甘め】
Added 2020-09-12 13:56:59 +0000 UTCここ最近阿賀松の機嫌がいい。 殴られるようなことがないだけまだマシなのだろうが、機嫌が良い奴はいつどこでその機嫌が悪くなるのか分からないだけに余計恐ろしかった。 それに、そんなときに限って阿賀松は俺を呼び出すのだ。 「ユウキ君、こっち来いよ」 呼び出されて早々、阿賀松の座るソファーベッドまで呼付けられる。やつが叩くのは自分の膝の上だ。ニヤついた口元、甘ったるい声が余計不気味だった。言われるがまま恐る恐る阿賀松の側に近付いたとき、伸びてきた腕に腰をぐっと抱き寄せられる。 「っ、わ……っ」 「なんだ?……お風呂上がりかよ。わざわざ準備してきたのか?」 そんなわけがない。人が風呂に入ってさあ寝るかとなっていたところを呼付けられただけだ。 正面、向かい合うような形で阿賀松の膝の上に座らされた体勢。お陰で半乾きになっていた髪を嗅がれ、全身が強張る。先輩、と身動ぐが阿賀松の腕は離れるどころか無遠慮に人の服の中に入ってくるのだ。 それからはお察しの通りだ。いつもの流れでまるで当たり前のように阿賀松に抱かれるハメになる。 ここに呼び出されたときはまだ夜だったのに気付けば朝方だ。途中記憶が飛んでいたせいで体感時間がおかしくなっていたようだ。 ベッドの上、指一本動かすことすら出来ないまま俺は倒れ込んでいた。というか動かせない。 「……っ、せ……んぱ……っ、ぃ……」 「なんだぁ?……まだ足んねえのか?」 いや違う。離してくれ。そう言いたいのに阿賀松はなにを言い出すか、俺を背後から抱き締めたまま唇を舐める。それから当たり前のように重ねられる唇から逃れることもできず、甘く噛まれる唇に思わず腰が震えた。 「っ、ぅ、ん……っ、待って……ぁ……ッ」 だめだ、この流れは危険だ。これ以上は流石に保たない。下着すら身に着けることもできていない下腹部、回される阿賀松の手に腰を撫でられればそれだけで先程までの行為が蘇り、全身がびくりと震えた。 腿の間、熱の抜け切れていないそこを指で広げられれば中に出された阿賀松のものが垂れる。その感触の気持ち悪さに、思わず俺は阿賀松の手を掴んだ。 「っ、シャワー……浴びたい……です」 「あ?……ああ、そういうこと。仕方ねえな」 てっきり『うるせえそれくらい我慢しろ、家畜の分際で』と怒鳴られるかと思ったが、阿賀松の反応は意外なものだった。「待ってろ」とだけ言うと阿賀松は俺から手を離し、それからのそりと起き上がり、軽く伸びをする。 鼻歌混じり、下着のまま寝室からシャワー室へと向かう阿賀松の後ろ姿をただ俺はおっかなびっくり見送った。 それから暫くもしない内に阿賀松は戻ってくる。 その手にはミネラルウォーターのボトルが握られている。 「口開けろ」 そう阿賀松に促され、考えるよりも条件反射で口を開いたとき。目の前で何がボトルの水を口に含んだ阿賀松はそのまま俺の顎を掴み、水を口移ししてくるのだ。 「……っ、ん、ぅ……!」 驚いたが、飲めということなのだというのはすぐに分かった。直接渡してくれたらいいのにと思いながらも、俺は口を開いて阿賀松に口移しされる水分を喉奥へと流し込む。生温い、阿賀松の味がする。なんて思いながらも、こきゅりと音を立てて喉から腹に落ちる液体の感覚は素直に気持ちよかった。……喉が乾いていたということもあるが。 阿賀松は俺の口の中が空になったのを確認すると唇を離すのだ。それから、濡れていた唇を指先で拭ってくれる。 「上手いか?」 「……は、い……」 「おい、溢れてんじゃねえか。……仕方ねえな」 顎を伝って胸元へ垂れていた水に気付いた阿賀松は、どこからか取ってきたタオルで雑に拭った。 ……なんだ、これは。まるで子供かなにかのように甲斐甲斐しく世話を焼かれ、先程までとは別の意味で恥ずかしさのあまり顔が熱くなる。 「す、みません……」 「ユウキ君は赤ちゃんだからなあ?……自分じゃなんもできねえもんな」 「……っ」 阿賀松の手からタオルが落ちる。いつもの揶揄だとはわかっていたが、それでも恥ずかしい。相手は阿賀松だ。実際、機嫌がいいときの阿賀松は必要以上に俺を構いたがる節はあった。 だからこそ余計何も言えなくなるのだ。 阿賀松と目が合って、思わず目を反らしたときだった。どうやら風呂の準備が出来たらしい。 阿賀松は一度から視線を外し、そして立ち上がった。 ――そして。 「っ……へ?」 あれだけ鉛のように重かった身体が、急に浮いた。一瞬何が起こったのかわからず、顔を上げれば至近距離、阿賀松と視線が絡み合う。阿賀松はにぃ、と唇の端を持ち上げて笑うのだ。 「シャワー、浴びてえっつっただろ?……洗ってやるよ」 「っ、そ、んな……大丈夫、です、俺……一人で……」 「あーあーうるせえな、んな体で風呂場まで行けねえだろうが。……人がやってやるっつってんだから大人しく聞いとけよ」 「なあ?ユウキ君」と腿の間、精液が垂れるそこをごつごつとした指が食い込み堪らずふるりと身体が震えた。……ただの善意というわけではないのは明らかなだけに、こうなってしまった今俺は逃げ出すこともできなかった。 浴室内。 「っ、ん、ぅ……ッ」 シャワーヘッドから降り注ぐ熱湯を被りながら、何故か俺は阿賀松に捕食されていた。……否、わかっていたはずだ、最初から。こうなることは。 抱き合うような形で腰に回された阿賀松の手は俺の臀部を鷲掴み、食い込む指先は先程までの性行為ですっかり柔らかくなった肛門をぐに、と大きく押し広げる。中に残った精液を掻き出すという名目で中を決して細くはない指で掻き回されれば、それだけであっという間に熱が蘇ってしまう。 真っ直ぐ立っていることができず、目の前の阿賀松にしがみついてしまう俺に阿賀松はご満悦のようだ。濡れ、肌に張り付く前髪を掻き上げるように上を向かされたと思えばそのまま唇を深く重ねられる。 「っ、ん、……は……ッん、む……ッ」 「……っ、は、……奥まで綺麗にしてやんねえとな」 ちゅ、と音を立てて唇が離れたとき。骨張った阿賀松の指が根本まで挿入され、思わず息を飲む。 「っ、待、ぁ……ッ、そ、こ……ッ!」 「ああ?……ここか?」 「ひ、ぃ……っ!」 太く硬い指にぐるりと中を円で描くように内壁を刺激された瞬間、頭の奥から熱がぶわりと溢れ出す。気持ちいい、なんて思いたくもない。けれど、いつもの激しさはなく隅々を舐るような執拗な指責めに耐えられずあっという間に熱が全身へと回るのだ。 奥までこびりついた精液を掻きすように内壁を指の腹で撫でられれば、「ぁ、あ」と出したくもない声が漏れてしまう。 「っ、せ、んぱ……っ、ん、ぅ、……ッ!」 シャワーヘッドを掴んだ阿賀松はそのまま押し広げた俺の内壁にシャワーヘッドを持っていく。瞬間、熱を孕んだ粘膜に直接当てられる大量の熱に驚いて堪らず腰を引こうとするが阿賀松の下腹部ガ密着するだけだ。逃げられない。 「っ、ぁ、んッ、ひ……ッ!ま、ぁ……ッ!」 「っ、今度、ユウキ君の腸内洗浄用ホース買っとかねえとな。……『これ』じゃぶっ壊れそうだしな、お前のここ」 「……ッ」 さらりと恐ろしいこと言わなかったか、この男。その言葉の意味を理解するよりも先に、更に奥までシャワーが当たるように腰を突き出される。熱い、けれどそれ以上に内壁を刺激する水圧にすら快感を得てしまう己がただひたすら恐ろしくて。 阿賀松の指とシャワー、両方に中を丹念に洗い流される間俺は二度射精するハメになった。 「……やっぱお前、風呂上がりなんかいい匂いすんなあ?」 長風呂ならぬ長シャワー後。 またベッドの上から動けなくなっている俺の隣に腰を掛けた阿賀松は言いながら髪に触れてくる。阿賀松に触られるだけで身体がびくりと反応してしまいそうになるのを堪え、「そうですかね」と曖昧に濁そうとすれば、あろうことか阿賀松はつむじに鼻先を押し当ててきた。 「っ、ぁ、阿賀松せんぱ……ッ」 「……俺と同じ匂いのはずなんだけどな、体臭も関係してんのか?」 「お前のはなんか乳臭えんだよな」なんて、貶しているのだろうかこの人は。さらりと髪を撫でられ、思わず身構える。まさかまたこの流れは、と内心冷や汗が滲む。そのままベッドにごろんと横たわった阿賀松に身体を抱き竦められた。 「……っはぁ、あったけえしいい匂いするし、本当……」 「っ、せ、んぱ……」 「――ユウキ君はいい抱き枕だよなあ?」 「……だ、」 抱き枕。言いやがったぞ、はっきりと。 そしてそのまますう……っと眠り出す阿賀松。どこまでマイペースなんだ、この男は。 人をがっしりと抱き抱えたまま寝息を立て始める阿賀松。……起きられてるよりかはましだろうが。 余計疲弊したものの汗も流せたし全身は心地良い疲労感がある、俺もトイレに行って少し眠るかと思ったときだった。 「……?」 腰に回された阿賀松の腕をそっと外そうとするが、びくともしない。それどころか、起き上がろうとするのを邪魔するように足を絡められ、阿賀松の腕の中から抜け出すことができないのだ。 う、嘘だろ……。 滲む尿意。眠気と緊張感が走る中、俺は「先輩、先輩……っ」となるべく小声で阿賀松に声を掛けるが反応はない。気持ち良さそうに眠ってる阿賀松に俺は目の前が真っ暗になった。 そして、その日三度目の風呂に入るハメになったのは言うまでもない。 【おしまい】