XaiJu
田原摩耶
田原摩耶

fanbox


【総集編版】抱かれたい主様の奮闘記※【↑100/9,100文字/黒羽×伊波/誘い受け】

 魔界に来て変わったことといえば勿論周りの環境もだが、それ以上に自分自身が変わったとつくづく思い知らされた。  具体的に何が、と言われれば答えるのには憚れるのだが……一番の変化といえばやはり……まあ、そのなんだ。身も蓋もない言い方をすれば黒羽に犯されたことになるのだけれども。 「っ、ん……ぅ……」  そして現在進行形、今まさにあの夜のことを思い出して自室の布団の上、寝間着代わりの着物の裾を開いて己の下腹部を弄っていた。  齢十七歳、オナニーくらいする。させてくれ。けれど流石に肛門に指を挿入しようなんて発想、魔界にやってくる前の俺にはなかっただろう。  そう、早い話黒羽との行為のせいで普通のオナニーじゃ満足できなくなっていたのだ。 「っ、ぅ……ん……ッ」  ぬちぬちと見様見真似で奥まで指を入れてみるが全然気持ちよくならない。思ったよりも奥まで入るのには驚いたがそれもそうだ、黒羽のあんな大きな性器を呑み込んだ場所だ。俺の指なんて比べるに値しない。  わかっていたけど、ここまでとは。 「……ッは、ぅ……」  物足りない。  こんな指で撫で回したところで一向に気持ちよくならない。  黒羽の指はあんなに気持ちよかったのに。太く硬い指先でゴリゴリと中を奥深くまで摩擦され与えられていた快感を思い出す。  ……黒羽さん、黒羽さん。と口の中で呟きながらも忙しなく指を動かすが肝心の性器は頭を擡げ始めるも射精まで向かうことができない。  そして結局ろくな快感を得ることもできず不完全燃焼のままただ睡眠時間だけを失った俺はそのまま朝を迎えることとなった。そう、寝不足である。  疲れもムラムラも残ったまま、毎朝定時に向かいに来る黒羽を待たせないよう身支度をする。  そして七時丁度、いつものように扉が叩かれた。――黒羽だ。  ぎくりとしながらも扉へと向かう。そこに経っていた黒羽を見た瞬間、心臓が弾む。 「伊波様、おはようございます」 「お、おはよう……黒羽さん」 「……顔色が悪い。どうかしたのか」 「えと、その……寝不足で」  ……黒羽の顔を直視できない。  オナニーのしすぎなんて口が裂けても言えるわけもなく、必死に誤魔化そうとしたときだ。  伸びてきた分厚い手のひらが額に触れ、俺の前髪を掻き上げた。 「……ッ!く、黒羽さ……」 「……体温も平熱よりも高い」 「――へ?」 「本日は安全をとって休眠を取るべきだ。ここ最近の無理も祟っているのだろう」  確かに朝方まで自慰に耽っていたせいか火照りが収まらない。  それに、真剣な目で真っ直ぐに見詰めてくる黒羽に余計顔面に熱が集まっているのがわかる。  けど、こうなったときの黒羽は何を言っても聞かないことを知っている。 「……黒羽さんは?」 「無論、貴方の側におります」 「じゃ、じゃあ……休む」 「じゃあとはなんだ」と訝しむ黒羽だが素直な俺に起こるわけでもない。  黒羽と一日一緒にいられる。  ……もしかしたら、この前みたいに。そんな邪な妄想ばかりが頭の中に広がってしまい、俺はいつからこんなにエッチなことばかり考えてしまうようになったのかと余計恥ずかしくなった。  けれどそれもこれも黒羽のせいである。  そうちらりと黒羽を見上げれば、「む?」と不思議そうにこちらを見詰め返してくる黒羽。 「……く、黒羽さん」  こういうときどういう風にすればいいのか俺は知らない。誘う……っていうのだろうか。窓の外の魔界は夜だが、時間帯的には所謂朝方だ。  朝から盛るなと怒られるだろうか。思いながらも恐る恐る黒羽の体にぴとりとくっつけば、何かに気付いたようだ。触れた肩越しに黒羽がぴくりと反応する。  そして。 「……承知した」  そう一言。肩を抱き寄せられたかと思った次の瞬間体がふわりと宙に浮く。  黒羽に抱き抱えられると気付いたのは目の前に黒羽の顔が近付いたからだ。  え、まさか本当に伝わったのか。  片手で軽々と俺を抱き抱えたまま部屋の中へと戻る黒羽はそのまま玄関口、通路、そして居間を抜け寝室へと繋がる襖を開いた。 「……っ」  つ、ついにこのときがやってきた……!  バクバクと早鐘打つ心音が黒羽にまで伝わってしまっているのではないかと思えるほどだった。  それでも黒羽は眉一つ動かさずにその布団の上にまでやってくるとそっと俺を寝かせた。 「く、黒羽さん……」  ぎゅ、と目を瞑ったときだった。  そっと布団掛けられた。 「それでは、今日はゆっくりと休むといい。何かがあればすぐに呼べ」  …………へ。  そう当たり前のように呆気なく離れる腕、そして落ちてくるその声に慌てて俺は起き上がった。 「く、黒羽さん待って……っ」 「どうした」 「あ、そ、その……」  そして今まさに寝室から出ていこうとした黒羽の裾を掴んだまではよかった。  けれど、その先があまりにも俺にはハードルが高すぎたのだ。 「い……一緒に……」  エッチしたい、なんて言えない。言えるわけがない。  けれど俺は侮っていた、黒羽という男を。  びっくりするくらい真面目で、おまけに俺のことを本気で考えてくれていると。  だからこそ余計、あの夜が忘れられないのかもしれない。  その、と黒羽を引き止めたまま口籠る俺に、黒羽は襖から手を離す。そして、俯いたまま顔を上げることができなかった俺の頭をそっと撫でてくれた。 「……ああ、わかった」 「伊波様がそう仰るのならこの黒羽、貴方の側におります故」ご安心を、と低く柔らかい黒羽の声が落ちてくる。  恐らく俺が寂しがってると思ってるのだろう。完全な子供扱いだ。  そうじゃないけど……そうじゃないけど――嬉しい。  無骨な手のひらで撫でられた箇所がじんわりと暖かくなっていく。  この流れなら、もっと甘えられるかもしれない。そう、俺は黒羽の腕にぎゅっとしがみついた。 「じゃ、じゃあ黒羽さんも……っ」 「む……?」 「添い寝、してほしいな……っなんて……」 「伊波様、それは……」  言いながらも十七歳にもなって何言ってるんだ、と突っ込みそうになってしまう。まだ幼い弟や妹が言うのならまだしも。 「ち、違うんだ。その、ちょっとホームシックというか寂しくなったっていうか……えと……………………だ、だめ?」  不安のあまり、「ですか?」と思わず敬語になってしまう俺に黒羽は「そんなわけないだろう」と即答する。けれど、その表情は僅かに硬い。 「しかし、布団が狭くなるのでは……」  やっぱり嫌なのか、と怯えていたところ想像していたものとは全く違う懸念をしている黒羽に安堵する。なんだ、そんなことか。 「だ、大丈夫だから、俺……狭くても全然平気だし……!」  そう、そわそわしながらも黒羽のために布団の上をずれれば僅かに黒羽の目が細くなる。  それも一瞬のことだった。 「わかった。……着替えてくる。少し待っていろ」  そう言い残し、黒羽は寝室を後にした。  静かに閉まる襖。静まり返る中、俺はやってしまったと深く息を吐いた。  黒羽にはどうしようもない子供だと思われたかもしれない。それでも、一歩全身だ。……そう思うことにした。  それから暫くしない内に襖が静かに開いた。 「……待たせた」  そこにいたのは、着流しに着替えた黒羽さんだ。  漆黒の和装に身を包んだ黒羽に思わず息を飲む。普段制服姿の黒羽しか見たことなかったから余計。 「あ……ど、どうぞ……」 「……ああ」  さっきまでの勢いはどこへ。  不意打ちで心臓を射抜かれた俺は緊張のあまり黒羽の顔を見ることができなかった。  俺は添い寝というものを甘く見ていた。  すぐ隣で布が擦れるような音が聞こえ、黒羽が隣へと入ってくるのだ。  ……当たり前だが近い。肩も当たるほどの近距離、耳元で「伊波様」とあの低い声で囁かれればそれだけで心臓がどうにかなってしまいそうなほどだった。  それなのに黒羽はそのままそっと俺の頬に触れるのだ。 「……ッ、く、黒羽さん……」  こ、今度こそキスされる……?!  そう、意を決した俺は再び目を瞑った。  ……が。 「やはり先程よりも体温が上昇している。薬を飲んだ方がいいだろう。業庵で調達してこよう」  最早通過儀礼である。あまりにも過保護な黒羽。そういうところも好きなのだが、今は、今だけは勘弁してくれ。  そのまま布団から抜け出そうとする黒羽の胸に思わず飛び込んだ俺はそのまましがみついた。 「だ、大丈夫、大丈夫だから……っ!」 「しかし……」  ええい、こうなったら。と俺は半ばヤケクソで「これはその」と声を上げた。 「これはその……黒羽さんに抱きしめてもらったら落ち着くかも……」 「……抱き締める?」  人間とはそういうものなのだ、と自分に言い聞かせながらも俺はこくこくと頷いた。  不思議がる黒羽だが、俺の言葉を疑うことなどしない。そのまま再び俺に向かい合う黒羽はそのまましがみついていた俺の背中にそっと腕を回した。 「……これでいいのか?」  恐らく息が苦しくならないようにしてくれてるのだろう。背中に回された手のひらに優しくせすじを抱き寄せられれば、一気に密着する体に思わず心臓が弾んだ。  言い出したのは俺だ。けれど、妄想や記憶とはまた違う、本物の黒羽の体温に全身を包み込まれれば頭の中が真っ白になって何も考えられなくなる。 「も……もっと……ぎゅって……」  何を言ってるんだ、俺。  思うが、それでも抗うことができなかった。  伊波様、と息を吐くように俺を呼ぶ黒羽だったが言われるがまま俺を抱き締めてくれるのだ。  優しく、割れ物のように、それでいて離れようとしない力強い腕に息が漏れる。 「……自分に貴方の家族の代わりが務めるには役不足かもしれないが……これでどうだ?」  ちゃんとできているだろうか、とどこか不安そうな黒羽に俺は慌てて首を振った。そして答えるよりも先に堪らず黒羽の背中に腕を回す。  筋肉に覆われ、厚みのある体は両腕広げてもしがみつくのが精一杯だ。  それでも、伝えたかったのだ。  こんなにもどきどきしているのだと。 「……そんなこと、ないです」  最初こそは不純かつ邪な理由ではあるが、それでもそう思ってしまうのは相手が黒羽だからだ。黒羽に抱き締められてると安心するのだ。  それでも黒羽からしてみればまだ俺は得体の知れない生物なのかもしれない。  確かに血は繋がっていないし種族も違う、それでも身を呈して俺のことを守り、側にいてくれる黒羽はある意味家族以上の存在だった。 「黒羽さんにこうしてもらえると、俺……落ち着きます」 「……っ、伊波様……」 「暖かくて……気持ちいいです」  そう、すり、と黒羽の胸に更に顔を埋めたときだった。ぎくりと、着流しの下の黒羽の筋肉が反応するのを肌で感じた。 「……そ、そうか……伊波様がそう仰るのなら……」  そして、急に歯切れが悪くなる黒羽。  それと同時に太腿の辺りに当たる硬い違和感に気付き、ん?と視線を落とした俺はその違和感の正体に固まった。  これってまさか。  まさかこれって。 「……ッ、申し訳ございません」  俺の視線にすべてを悟ったのだろう、普段からは考えられないほど歪められた強面はじわじわと赤くなっていくのだ。  黒羽が勃起している。  ――あの、黒羽がだ。午前零時はとうに過ぎており、寧ろ朝方に近い時間帯だ。  下腹部を押し上げるそれに恐る恐る触れれば、「伊波様」と黒羽に手首をやんわりと掴まれた。  そのまま山形となったそこを指先で撫でれば、ぴくりと指の下のそこが反応するのがわかった。 「っ、ま、待て……ッ」 「……っ、黒羽さん……勃起したの?」  俺で?と尋ねれば、黒羽は唇を噛み締め目を伏せた。耳の先端が赤くなっている。  申し訳ございません、と呻く黒羽に背筋が震えた。  ……黒羽さん、俺に興奮したのか。俺と同じように。  それがわかっただけでも嬉しくて、堪らなく興奮している自分がいた。  布団から逃げようとする黒羽の腰に腕を回し、抱き着くように腰を押し付けた。 「お、俺も……勃っちゃった」 「い、伊波様……っ!」 「黒羽さん、俺……キス、したい……黒羽さんと……」  この前みたいに、いっぱい。  性器同士が布越しに当たり、俺のよりも硬く太いそれに柔らかく押し潰されるような感触にたまらず腰が揺れた。  逃げようとする黒羽の着流しの襟を掴み、ぐっと顔を寄せる。この状況で最早理性など意味を為さない。 「……っ、ん、ぅ……」  キスというよりも、唇を押し付けるような稚拙なものだった。  それでも俺にとっては一念発起である。ここまで来たら引き下がることはできない。恥ずかしくないわけではない。恥ずかしいに決まってる。  けれど、ここまでしないときっと黒羽は俺を抱いてくれないから。 「っ、ん……は……ッ、く、ろはさ……」  驚きと緊張で硬く閉ざされた黒羽の唇をちろちろと硬く窄めた舌で舐める。  口開いて、黒羽さん。黒羽さん。お願い。  なんだか泣きそうになりながらもぎゅっと黒羽の胸元にしがみつき、布団の中、背伸びをするように更に顔を寄せた。 「……っ、く、ろはさ……」  そう、ちゅう、と唇に吸い付き、意地でも口を開けさせようとしたときだった。  両肩を掴まれ、そしてそっと顔を離されるのだ。  それでも吐息がかかるほどの至近距離、俺を見下ろす黒羽の目には見覚えがあった。  微かに、それでも確かに情欲が滲むその鋭い視線に見据えられれば否応なく体の芯が反応してしまうのだ。 「っ……伊波様、貴方は体調が芳しくない。熱があるというのに、このようなお戯れを……」  やはり黒羽の世話役という立場が邪魔をしているのだ。あくまでも俺の体調を気遣ってくれる黒羽の優しさが嬉しくもあり、今は歯痒かった。  どうすればこの男は――。 「……違う」 「伊波様?」 「違うんだ、黒羽さん……っ」  取り繕うことすらも無駄だった。肩を掴んでいた黒羽の手のひらに手を重ねる。 「どういう意味ですか」とその目が、視線が揺れた。それを無視して俺は黒羽の手ごと己の下腹部へ導いた。盛り上がった性器を覆い隠す寝巻きを開き、その奥、まだ自慰の感覚が残っていたそこへ黒羽の指を押し付けたのだ。  布団の中、黒羽からは見えなくとも俺の反応と場所からして気付いたのだろう。  太い指がびくりと揺れた拍子に窄まりに掠め、堪らず息を吐いた。 「っ……前に、黒羽さんにしてもらったみたいに昨日、ずっと一人でしてて……寝れなかったんだ……」 「自分の指じゃ全然気持ちよくなくて、それで……っ」その先は声にならなかった。  恥ずかしい。恥ずかしくないわけがない。熱が顔面、そして下腹部へと集まる。 「い……なみ……様……ッ」 「お願い、黒羽さん……っ、俺、前みたいに黒羽さんにしてもらったのが、その」 「……ッ、……」 「また……その……ッ」  抱いて欲しい。また、理性なんてなくなるくらいめちゃくちゃに。  その一言が口に出なかった。  ――否、出せなかった。 「……っ、く、ろはさ……」  視界が陰に覆われる。  押し倒されたのだ、黒羽に。 「ッ……伊波様、止めたくなったら言え」  ああ、この目だ。絶対に逃さない、ある種殺意にも似たこの目に見詰められたらどうにかなりそうになるのだ。これが妖怪だからなのか、それとも黒羽だからなのか今の俺にはわからない。それでも、抱いてほしいと思うのは黒羽だけだ。  俺から望んで、わがままいって、それでそんなことをいうわけないのに。  それでも黒羽は俺のために逃げ道を作るのだ。  だから俺はそれを自らの手で塞ぐ。  ちゅぷ、と目の前の唇に吸い付き、見様見真似で黒羽の薄く形のいい唇を舐った。そして濡れた唇をそっと離す。 「……言いません、そんなこと」  ……貴方は、と何かを言いかけた黒羽だったがその先は言葉はなかった。代わりに俺の頭部を掴み、今度は黒羽の方から唇を押し付けるのだ。黒羽の舌を強請るように口を開けば、僅かに黒羽の肩を掴む指に力が入った。  それから俺に応えるように、黒羽は舌を口の中に挿入してくるのだ。 「ん、ぅ……ッ」  太く熱い舌に咥内いっぱいを犯される。  歯列から上顎をなぞるように這わされる舌に背筋が震え、溢れそうになる唾液ごと飲まれる。  もっと、と強請るように舌を絡めれば、根本ごと今度は舌を丹念に愛撫されるのだ。 「っん゛、ぷ、ぐ……ッ」  ぢゅぷ、ぐぷ、と粘膜同士が絡まる度にいやらしい音が寝室に響く。  唇が離れる暇もなかった。咥内を隈なく舐られるだけでも溺れそうだったが、少しでも黒羽に気持ちよくなってもらいたくて必死に俺は黒羽に舌を絡めるのだ。  そんな中、下腹部、着物の下で黒羽の指が動いた。剥き出しになった太ももを撫でられた瞬間びくんと腰が震えたのだ。 「っ、ん、ぅ……ッ」  待って、なんて言うつもりはなかった。けれど、想像以上に限界まで昂ぶっていた体は黒羽に撫でられただけでも馬鹿みたいに反応してしまうのだ。  やめるか、なんて言いたげな黒羽に俺はその腕にしがみついた。恐る恐る首を横に振れば、黒羽が目を細める。  そして、再び黒羽の無骨な指先が足の付け根へと辿っていくのだ。  そして最も触れてもらいたかった奥の窄まりに指が触れた瞬間、堪らず俺は唇を離してしまう。黒羽さん、と見上げたとき。ぬぷ、とその指先が柔らかいそこへと挿入された。 「……ッ、は、ぁ……ッ」 「痛くはないか?」 「き、もち、い……です……ッ」  もっと、とぎゅっと黒羽の腕を抱き締めれば腕の下の黒羽の体が反応するのだ。そして、更に入ってくる太い指先にぴくんと背筋が震えた。  気を遣ってるのだろう。それが余計にもどかしくもあり、愛しくもあり、どうしようもなく満たされるのだ。  ちゃんと指が根本まで入ったのを確認して黒羽は中をぐるりと撫でるのだ。弱いところを固くなった指先が掠めただけで呼吸が乱れた。  及び腰になりそうになったところを黒羽に掴まれ、布団の上へと引き戻される。 「……っ、邪魔だな」  そして、被っていた掛け布団を引っ剥がした黒羽。その眼下に曝されることになった己の下腹部に息を飲む。 「く、ろはさ……っ」  言いかけたときだ。  あっという間に両足の膝裏を束ねるように持ち上げられ、まるでお尻大きく晒すように腰を持ち上げられればあまりにも恥ずかしい格好に全身の熱が増した。  この体勢では黒羽からなにもかも丸見えだろう。そして、既に指を飲み込んだそこをぐるりとなぞるように中を撫でられ体が跳ねた。 「ぁ……ッ!」 「……腫れているな」 「ぁ、く、ろはさ……」  どこが、なんで、なにを。なんて聞く頭もない。ただ、恐らく昨夜朝方までいじくり過ぎたせいだとわかったから余計恥ずかしい。  そんな俺を見下ろしたまま、黒羽は俺に腰を寄せた。 「……後で薬を用意しておく」  だから許せ、と下着越しにでも分かるほど硬く膨らんだ性器にそこを押し上げられるだけで、これから与えられるであろう快感に全身が甘く溶けるようだった。  ……………………。  …………。  ……。 「………………」  ………………やってしまった。  天井を見上げたまま、最早感覚すらない四肢(というより下半身)を布団へと放り出したまま俺は天井を見上げていた。  ……記憶はある、それはもうばっちりと。  年頃の男の子なのだ、どうしようもないとしてもだ。あんなこと黒羽さんにするなんて、最早ただの痴漢だ痴漢。射精後特有の自己嫌悪タイムに陥るも、すぐに黒羽が布団にいないことに気付き辺りを探す。……見つけた。 「……申し訳ございませんでした」  そして土下座しながらもハラキリの準備をしてる黒羽。この光景も何度目のことだろうか。 「す、ストップストップ!黒羽さんストップ……!」 「ですが……」 「む、寧ろ今回は……っていうか今回も俺のしたことだし……っ!」 「……ですが、貴方をそのようにしてしまったのは自分のせいです」 「う……ッ」  た、確かに……と納得しかけて慌てて首を横に振る。  だとしても、だとしてもだ。 「黒羽さんは……やっぱり嫌でした?」  それはそうだ。乗り気ではない黒羽の生理現象を利用して行為に及んだのだ。……我ながら自分が自分で恐ろしくなる。  けれど、黒羽の反応は想像していたものと違った。  そんなこと、と口ごもり、そして俺を見据えたのだ。 「……そんなわけがないだろう。……嫌ならばそもそも同衾しない」 「く、黒羽さん……」  せっかく収まりかけていたのに、駄目だ。黒羽さんにそんな風に言われたら。  ずぐりと熱を持ち始める下腹部。まだ黒羽のものが入ったままのようだった。  動こうとして腰が甘く痺れてしまい、バランス崩してしまいそうになったところを黒羽に支えてもらう。 「っ、伊波様」  すぐ鼻先に近付く黒羽の頬に、俺は堪らずキスをした。一瞬、何をされたのかわからなかったらしい。ちゅ、と音を立て唇を離せば、じわじわと黒羽の顔が赤くなっていく。 「……貴方という方は……っ」 「これは……駄目?」 「駄目、とかそういう問題ではなくてだな……」  黒羽の額にぴくりと青筋が浮かぶ。  我慢してるのだろう。ああ、駄目だ俺。……黒羽の本心が知れて嬉しくなってしまって、自分でもどうすることができなくなってしまってる。 「黒羽さん」と、その逞しい胸元に体を擦り寄せれば、黒羽がぴくりと反応したのだ。 「……薬、塗ってください」 「約束してくれたやつ」まだですよね、と着物の裾を持ち上げれば露出する腿から視線を外すように黒羽は目を伏せるのだ。必死に何かを抑えようとする顔。そして、次に目を開いたとき、こちらを見据える赤い目にどくんと鼓動が大きく跳ねた。  あの目だ。  ……俺の大好きなあの目。  どこかで怪鳥の声が聞こえてくる。ゆらりと部屋を照らす蝋燭の火が揺れた。  ――午前零時、長い夜がやってきた。 【おしまい】

【総集編版】抱かれたい主様の奮闘記※【↑100/9,100文字/黒羽×伊波/誘い受け】

More Creators