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口枷娘奇譚

 とある酒楼にて……




 お客様、酌をさせる娘をお連れしました。



 この娘は華族の血を引いているそうですが、当主様の妾との間に産まれたそうで、継母や異母妹との折り合いが悪く、街を歩いていたところ身の上話を聞いてやったら、すぐに捕まえることができましてな。



 あの居心地の悪い家にはもう戻りたくても戻れないので感謝してほしいものですよ。



 まぁ、ここは大人しく仕事をしていれば、それほど制約や虐げられるようなことはしないので……



 とはいえ、先月仕入れて来たばかりでして、まだ我々には慣れていないんですよ。



  男慣れしてる感じでもないし、あの居心地の悪い家への執着もまだ残っているのでしょう。



 許せないのはこともあろうか、この娘は「自分は拐かされてこの店で働かされている。助けてくれ。」などという戯言を他のお客様に吹き込んだのです。



 私共のような身の上関係なく自分を救い出してくれた恩人に対して、拐かされたなどと言われてしまっては、流石に見逃せないものでしてね。



 そんなことを言われる筋合いはないはずなのですが。



 せっかく楽しんでいるのにも関わらず、お客様も嫌な気持ちにさせては申し訳ないですからね。



 二度とお客様に不快な思いをさせぬように、このように口を塞いでいるのでございます



 その後も煩く抵抗しましたから、それ相応の仕置きをいたしましたよ。



  すっかり大人しくなりましたがね……




 へへへっ……




 自殺防止対策と大声を出さないように西欧から伝わった口枷を着けたのです。



 すっかり顔の下半分まで覆って顔がわからないですが、醜女ではないので安心してくださいませ。




 それに傷物でもないですし……




 少しばかり生意気ですが、お客様がしっかりと調教していただければ、すぐに素直になると思いますよ。





 何とこれから酌をさせると……?



 このままの状態で酌をさせると考えていらっしゃるんですか?



 口枷を着けたまま……



  相変わらずお客様も物好きでごさいますねえ……



 これは失敬。



 他にも調教する道具は御入用ですか?


 

 なるほど、このままの状態が良いのですね?



  かしこまりました。


 

 それも楽しみの1つですからね。



  それでは私どもめは下がらせていただきます。






 では暫しお楽しみを……



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