とある倉庫。 大手の運送会社で管理しているその場所に1台の中型トラックが入っていく。 シャッターが下ろされた倉庫の中で、トラックの荷台からしっかりと蓋が固定された何やら大きな箱が運び出される。 「……〜っ!!ん〜っ……!」 その箱は時折ガタガタと音を立てながら揺れ、そして中からは呻き声のようなものも聞こえてくる。 それを数人の男が担いで床に箱を降ろすと、男達は手際よく箱の蓋を開けた。 「んん〜っ!!んむう〜っ!!」 その箱の中には、両手を革手錠で拘束され、足を縄で折り畳まれるように縛られているセーラー服姿の少女の姿があった。 顔の下半分は茶色い革のマスクで覆われており、苦しそうな息遣いが聞こえる。 どうやらこのマスクが彼女の口を塞いでいるようだ。 この拘束された少女…… 坂津栞里は今までなんとか拘束を解こうと頑張ったのだろう。 制服には汗が滲み、肩を上下させて息をしていた。 そして、蓋を開けられた今も大粒の涙を流し、しきりに藻掻いていた。 「さっきはどうも!!お嬢ちゃん、本当に不用心なんだから……」 栞里に声を掛けた男は、彼女の顔を覗き込むように屈みながら囁きかけるように言った。 その男は栞里が意識を失う前に見た宅配便の男だった。 「お嬢ちゃんのような可愛い娘が今回のターゲットととはやっぱりこの仕事は捨てたもんじゃないぜ。」 ニヤニヤしながら、マスクで覆われた栞里の顎を優しく撫でる男。 「んんーっ!!んんむぅーーーっ!!」 自分を誘拐した人物がこの男だとわかった栞里は怒りを覚え、 男を睨みつけながら意味をなさないながらも抗議の言葉を叫んだ。 マスクで口を厳重に塞がれているため言葉にはならなかったが、栞里の気持ちだけは男に伝わったようだ。 「おー、怖い怖い!!怒らせちゃった!でもお嬢ちゃんも誘拐される心当たりがないのか?相当、恨み買ってるぜ。」 そう言いながら男は栞里をからかいながら、彼女が更に絶望するようなことを話し出す。 「俺達は最初からお嬢ちゃん……いや、坂津栞里ちゃんを誘拐するように頼まれたんだよな。恨みがあるからよろしくお願いしますってな。心当たりはないのかな?」 「んんっ!?」 男の言葉を聞いて思わず首を傾げる栞里。 よく考えれば、手慣れている誘拐の手口や男の言った言葉、自分の名前を知っていることから自分を誘拐するように仕組んだ人物がいるようだ。 それは自分に恨みを持つ人物。 (一体……誰が……そんなことを……?) マスクのせいで十分に酸素が脳にいかないことや倉庫内に監禁されている恐怖で考えがまとまらないながらも、必死に記憶を辿る栞里。 確かに性格的には強気なところもある栞里だが、だからといってここまでされるような恨みを買うことは覚えがない。 友人や家族には恨みを買うような人もいない。 一体、誰が……? 「んううっ……!?」 とある出来事を思い出した栞里。 それは数週間に同じクラスの男子生徒に告白されたことだった。 その時、栞里はその男子生徒のことをよく知らなかったし、いきなり告白されたことにも驚いて断った。 それでもしつこく男子生徒が食い下がったために、キツい言い方をして断った。 その時に男子生徒が言った言葉。 「僕は諦めないよ……」 (まさか……彼が……?) 信じられないが、今までで1番辻褄が合う可能性はそれだ。 栞里の反応を見て、ニヤニヤ笑い出す男達。 「どうやら心当たりを思い出したようだな? お嬢ちゃんが考えている通り、告白を断った生意気な女の子を調教してほしいって依頼を受けたんだよ。たんまりとお金をもらってね。」 「んんっ!?んん〜〜〜っ!!」 「俺達は表向きは真っ当な宅配業者やってるが裏では誘拐を受け持っていてね。依頼があればこうして誘拐するんだよ。」 「あのガキも家が金持ちみたいだからな。」 誘拐犯達の言葉からも、全ては自分が男子生徒の告白を断ったことに端を発していることに気が付いた栞里。 さらに調教という言葉から自分に何かされることを予想して身を震わせる。 「んむうっ!!んんぐぅっ!!」 ニヤニヤと笑う男達に見つめられながら、これから自分がどうなるのかを理解した栞里は嫌々と首を振りながら更に激しく藻掻いた。 だがそんな栞里の反応を馬鹿にしたような態度の男達。 「はははっ…!!恐いか?怖いだろうな?その顔が堪らないぜ!!写真でも撮ろうか?」 「兄貴、カメラ回しましょう!!」 「そうしようぜ!!依頼人もきっと喜ぶ!」 「んーっ!!んむぅっ!!んむぅっ!!」 男達の言葉に煽られひたすら藻掻き続ける栞里。 いくら激しく藻掻いても的確に身体の自由を奪うように嵌められた拘束は解ける様子がない。 「ほらほら……お嬢ちゃんが主演のAVだよ?マスクで顔が隠れてるけど、その分二重瞼が強調されて、色気あるよ〜w」 「むううっ……」 カメラを回し始めた男達。 自分の情けない姿を撮られているようで思わず悔しさと羞恥心に顔を伏せながら身体を震わす栞里。 「これからたっぷりと調教してあげるからね。な〜に、最初は嫌がっても段々気持ちよくなってくるから安心してよ。」 主犯格の男がもう1人の男に目配せた合図をすると、彼は黒いボストンバッグを持ってきた。 そのボストンバッグを男が開く。 「ん〜〜〜〜っ!!?」 バッグの中にはローターや電動マッサージ機、怪しげな小瓶にディルドといった道具がこれでもかというほど出てきた。 見慣れない道具を見て、恐怖と不安から涙目で顔を伏せる栞里。 そんな彼女の反応に嬉しそうな顔をする男。 「あらら〜、この道具使ったことないのかwそれじゃあエッチな女の子になれるように頑張ろうか?栞里ちゃん?」 たった1つの何気ない出来事が招いた地獄のような状況。 栞里は哀しみのあまりその瞳から更に大粒の涙を流して自分の運命を呪った。 「んふう〜〜っ!!んむう〜っ!!」 (いやあ~〜っ!!止めてえ〜っ!!) 首を左右に振りながら必死に懇願する栞里。 しかし、その願いを男が受け入れることはなかった。 「兄貴、何か言ってますぜ!?」 「何?『早く気持ちよくしてください?もう待ちきれません♡』わかったわかったよ。」 栞里がマスクで喋れないことをいいことに勝手に解釈をする男達。 「さてと、それじゃあ気持ちよくしてあげるからね。終わる頃には病みつきになってるんじゃないか?」 主犯格の男はバッグの道具の中からピンク色のローターを取り出す。 そのまま薄気味悪い笑みを浮かべながらローターのスイッチを入れるとローターのバイブが「ブーンッ」という音を立てて震え出した。 「んむうううううう〜〜〜〜っ!!!」 (いっ……いやぁ〜〜〜〜〜っ!!!) 栞里は渾身の力を込めて大きく泣き叫んだ。 しかし、悲鳴はマスクに吸収されてしまい、倉庫の中だけで小さく聞こえ、決して外には届かない。 栞里の運命は、鬼畜な誘拐犯の手に握られてしまったのだ。 (お願い……誰か……助けて……) ローターが自分の身体に近付く中、栞里は絶望しながら祈ることしか出来ない身の上に涙を流した。 挿絵 PKpk 着色 サンサ様(https://twitter.com/hukuroukenpro)