久しぶりにオリジナル一枚絵を描くので、今持てる全力で挑むことにしました。
今回は進捗日記の方でも細かく過程を載せていたので今更解説する事があまり無いのだけど……細かい工程については進捗日記59~61を見ていただければ。
使用アプリ:procreate・調整や色調加工にカメラロールとsnow、waifu2x
作業環境:iPad Pro(第二世代) 12.9inch 512GB・Apple Pencil
作業時間:下塗りまで25時間+塗り30時間+仕上げ7時間=計62時間?
急がずにじっくり描くと決めていたのでおそらく今までで一番時間のかかった絵になりました。
最近絵に対する「めんどくさい」という気持ちが麻痺しているのは良いけど、前回のもちもちの絵然り平気で50時間を超えてくるのは流石にまずいので次は30時間程度で描きたい。
今回描くのはこの二人。画家のカミラちゃんとメイドのレナーテちゃん。
二人の落書きたち。整理が苦手なので発掘できた分だけ。
Camilla
森の奥の屋敷に暮らす絵描きの少女。絵の技術だけでなく、博識さやある程度の楽器の演奏能力も兼ね備える。生活能力は無い。
好きな食べ物はベリー系のフルーツ。赤くて可愛いから。
169cm/57kg。今回の絵では20代はじめくらいのイメージ。
Renate
森の屋敷を一人で切り盛りするメイドの少女。自分の容姿が嫌い。自分によく似ているので黒猫が嫌い。
好きな食べ物はサンドイッチ。作るのが楽だから。
165cm/50kg。今回の絵では10代~20代のはざまくらいのイメージ。
最初のメモ。昔同じラフを描いたのですが無くしてしまった為再度描いたもので、ずっと頭の中にはあったシーンでした。
描く前から完成図のイメージが掴めているのかよく聞かれますが、絵としての完成図ではなく映画の撮影中のような形でシーンが頭にあるイメージです。カメラや照明の位置は絵作りをしていく中で一番良い場所を探します。
メモを詰めてラフにします。パースは正確には取っていませんが、この時点でアイレベル(カメラの高さ)を決めて、破綻しない程度のパースをフリーハンドでとります。
資料を探します。
本や Google検索も参考にしますが、画像が豊富なPinterestを使う事が一番多いです。集めた資料は見やすいようにVisrefというアプリでまとめます。
左半分は玄関近くの廊下にありがちなクローク?ドレッサー?の画像。右半分は小物やファッションの画像です。
定規でパースをとって、大まかな家具のラインと人物のラインを整えます。
今回はレナちゃんの主観に寄り添う絵なので、彼女の目の高さにアイレベルを置きます。カメラと同じ高さにあるものは遠近に関わらず同じ高さに見えるので、鏡の表と
裏の彼女の目の位置を同じ高さに固定して、その他の部分は感覚で描いていきます。
遠近によるダイナミックさや勢いを必要としない絵の場合、パースは違和感さえ無ければ厳守する必要は無いと思っています。
線に起こします。使用ブラシはスタジオペンです。筆圧による強弱が弱めでシャープな印象なので、淡白な線画には一番似合っています。
おおまかなパーツ分けをします。次の下塗りの段階で雑に色を置いてもはみ出さないように、この時点ではパーツごとにレイヤーを分けています。
ついでに、鏡の奥が一番明るいという大まかな明暗設定もしました。
下塗りを終えました。単色で塗り分けるだけだと途中で飽きてしまうので、ある程度の陰影や色味の幅も持たせて軽く塗る感じ。ここでPNGで出力して、次の段階の塗りからはレイヤー一枚の別データで制作していきます。
顔まわりを整えました。絵の方向性が決まるので、塗り始めは顔から始める事が多いです。鏡の向こうの自分が少し美しく見えるような、鏡……ひいては女性の自意識の持つ呪いの力のようなものを描きたいと思ったので、鏡の向こう側はレナちゃんの主観的な世界として描きます。私の絵にしては目のハイライトが多めです。
単に絵にしやすいというメリットもあるけど、それ以上に「鏡」というモチーフは魅力的です。現実のようでそうではない世界、自分の見たいと望むものを見ている世界というのは創作活動のようでもある。ナルキッソスや白雪姫など、古い絵画や伝承の中でも特別な意味を与えられていた事や、三種の神器や鏡餅のように神秘・魔術的な意味を持っているとされたことからこの感覚は時代や人種を超えて共通のものな気がする。
鏡に映る自分が自分だと認識すること(自己鏡映像認知能力)は人間以外のいくつかの動物にも見られるもので、それは自意識というものがとてつもなく古い時代から私たちを苛ましてきた事の証明かもしれない。
顔まわりを整えたら、手前側の背景から描いていきます。背景の塗りのブラシにはカリグラフィカテゴリのブラシペンを使う事が多いです。
鏡の奥に写っている絵を描きました。カミラちゃんの絵柄ってまだ想像できないのだけど、今回はちょっとハマスホイ風。
カミラちゃんが宝石やドレスを贈れる程金銭的に豊かである事を示すため、彼女の服に金糸の刺繍を入れる事にしました。
ストーリーをわかりやすくするならもっとお嬢様っぽい格好にした方が良いのだけど、カミラちゃんは「そんなの着るくらいなら裸の方がずっとマシだよ!」等言いそうなので、1920年代~あたりの富裕層のゆったりしたガウンのようなものを着てもらいました。本来腰の部分で絞らずエレガントに着流す事が多いファッションだけど、絵としては締まらない気がしたのでウエストにリボンを巻いてもらいます。
壁に貼ってあるチラシも描きます。これはカミラちゃんが好きなベリー系のジャムの広告。隣には子猫用ミルクの会社として有名なdennsnail社の広告。
このあたりの塗りは配信しながらやっていたので一部分見られます。塗りについてはあまり説明が出来ないので、気になる方は作業風景を見て頂ければ……
画面に一周手を入れました。塗り作業は脳死で突っ走るのみだけど、ここからの仕上げ作業が勝負。自分で自分の絵をひたすら添削するように修正を繰り返していきます。
背景をぼかす事に決めたので、範囲選択+加筆により無理やりレイヤーを分けました。最初から分けておいた方がよっぽど効率的です。
遠くの背景をぼかす時はガウスぼかしよりもレンズぼかしをお勧めします。ガウスだと全体的にぼんやりして曇った印象になってしまう所を、レンズだと光の印象は残したままぼかせます。
photoshopで加工するのが良いけど、PCを立ち上げるのが面倒だったのでFocosというアプリで加工しました。画質は落ちるのでおすすめはしませんが手軽です。
窓の外も別のデータで描きます。風景を描くのは苦手なので、気に入った写真を模写させてもらいます。テレピン油ブラシとソードグラスブラシ、DLした葉っぱのブラシで描き飛ばし、加算発光レイヤーで庭っぽくライティングします。
Focosでレンズぼかしをかけました。発光レイヤーを使ったところがレンズ効果で丸くボケていい感じです。
階段の背景、庭の風景を合成しました。
また、鏡の奥のドレスの白に真っ先に目が行くよう、他の白い部分と色相、明度を変えて区別します。重要でない白を黄ばませて、ドレスの白だけ清潔感のある少し紫っぽく明るい白に。白は200色あると思う。
見えやすいよう白に順位づけをしていく感覚で仕上げていきます。
暫定的に完成としたもの。暗いインターフェースのprocreate上ではいい感じに見えるけど、こうして白背景の上で見るとまだ暗くて見えにくいので調整を続けます。
トーンカーブで全体を少し明るくした後、二枚目のようなリニアライトレイヤーでライティングしなおします。
影の部分が暗くなりすぎるため、暗い部分に標準レイヤーで黄味のかかった灰色を起き、コントラストを下げる事で対処します。
こういった灰色を薄く置いて主要じゃ無い部分のコントラストを下げる事で人物の強い黒が目立つようになり、黒にも順位づけができます。
修正中。いちいちこのようにメモをする訳じゃないけど、こういった細々した気づきを逐一直していきます。
塗りの時はレイヤー1~2枚で描いているのに、仕上げ作業は150レイヤー位使います。150個は気になるところがある……
あらかた気になるところを潰した状態。もうゲシュタルト崩壊して何も分からなくなってきたけど、塗りが終わった段階と比較するとかなり変わりました。空気感を出す事、どこを見てほしいのか鑑賞者の視線の整理は出来たかな……
「気に入ってくれるかい?」
ドレスを鏡の前で合わせてみるという図がかなり分かりにくくて、その説明のため色々犠牲になってしまった気がしますが、絵としては悪くない気がする。もっと上手く出来るはずという意味も込めて80点くらいかな。
制作過程GIF。
個人的には進捗日記61で完成としていた段階のものが好き。
Fanboxの記事、今は非公開になっているものも含めるとこれで100個目でした。飽き性の割に続いているのは本当に見てくださる方のおかげです。大勢に向けて発信するよりも、興味を持ってくれる少数の方にお話しする方が自分の性格に合っていて続けやすいです……🙏
ペースに波があるとは思いますが続けられるうちは続けるつもりなので、これからも良ければお付き合い頂けると嬉しいです。
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