俺にだってみんなから黄色い声援を受け、みんなからちやほやされる生活を送った時期があった。
しかし世の中には俺ぐらいのアイドル俳優なんていくらでもいて、一時期あんなに出ていたTVからは今や声も掛けられなくなり、SNSのフォロワーも一般人よりはましなレベル。
心機一転で始めた動画サイトのチャンネルも、登録者数1000人程と笑えない状態。
事務所には一応所属しているが、来る仕事は学園物の大勢の生徒の内の一人など、昔の俺からは考えられないような役ばかりだった。
そんな俺に、事務所からある提案があった。
『限界MAX』
それはネット限定の放送で、ネットだからこそできるようなギリギリのラインのエロも取り扱うバラエティ番組への出演だった。
AV女優や男優、そして芸人さんが出演していて、エッチな業界へ潜入してみたり、ゲームをしてエッチな罰ゲームをしたりと、完全にそっちの内容に振り切っているものだった。
今回その番組で、そこそこ知名度があるタレントを募集しており、それに出てみないかと言われたのだ。
正直聞いた瞬間断ろうと思ったが、マネージャーの話によるとその番組の視聴者は結構なもので、TV局のお偉いさんの中にもコアなファンがいるらしい。
もしこの番組で活躍し、局のお偉いさんに気に入ってもらえれば、また色々なドラマに出演できるかもしれない。
そう言われたのだ。
その話にかなり悩んだものの、男である俺はエロ番組に出たところで何かされる可能性は低いし、今や地上波で一流アイドル達ですら全裸になったりするのだから、仮にこの番組で脱ぐことになったとしてもそこまでダメージは少ないように感じた。
エロに対しての対応次第では逆にそれが売りになったり、違うところでファンが増えるかもしれない。
元々現状でファンなんてほとんどいないのだから、出てもこれ以上酷くなることはないだろう。
それならチャンスと思って出演しても良いのではないか。
そう思った俺は、マネージャーに出演する旨を伝えたのだった。
すると中々出演者が見つからなかったらしく、ありがたいことに俺の出演はすんなりと決まってくれた。
その数日後に番組スタッフとの打ち合わせをしたが、俺が出るのは後半にあるクイズコーナーとのこと。
下着姿の俺が壁に拘束された状態で、出されるクイズに答えると言うもの。
問題は全部で4問で、1問間違えるごとにペナルティを与えられ、間違えれば間違える程そのペナルティが辛いものへと変わっていく。
そして全問間違えたら罰ゲーム執行となるのだ。
本番の俺のリアクションは自然であって欲しいと、そのペナルティと罰ゲームについては教えてもらえていないが、これがちょっとエッチなものらしい。
ちょっと怖くはあったが、男に対して過激なことをしたところで需要もないだろうし、そこまで凄いことはされないだろうと了承した。
そして収録の日。
「さぁ、次にクイズに挑戦していただくのは、俳優の春田修平さんです!」
「ちょ、ちょっと!!なんですかこれは!!聞いてないですよ!!」
俺は決められた台詞を言いながら、下着姿で壁に張り付けられた状態で登場する。
下着が結構ギリギリの大きさで、ちょっと動いたらポロリしそうな感じなのは正直恥ずかしいが、直前に渡され今更断れないと仕方なく履いた。
この状態で大の字に壁に張り付けられていると、なんだか本当にそうゆうAVに出てる気がしてきたが、これはバラエティだとなんとか自分に言い聞かせる。
そしてその後も決められたやり取りを司会の芸人と行い、いよいよクイズをする時間になった。
「これから春田さんにはクイズに4問挑戦して頂きます!全問正解しますと、なんと今日ここにいるAV男優の出演しているAVセットをプレゼントいたします!」
「いやそれ女性向けのじゃないですか!!」
今日この番組に出演しているのは、俺の他にAV男優さんが4人だった。
4人共女性向けAVに出ている男優のため、皆俳優のようにかっこ良い人達ばかりだ。
職業柄的にそう言う色気があり、落ちぶれた俺なんかよりも全然華があるように見えた。
「こちらのクイズですが、1問間違える毎に春田さんにはペナルティが与えられます!もし全問間違えてしまうと罰ゲームもあるので、春田さんも本気で挑んでください!」
「この番組の罰ゲームとか怖すぎですよ…」
これは本気でそう思った。
打ち合わせではクイズのジャンルは聞いていたが問題は聞いていないし、ペナルティも罰ゲームの内容も俺は知らない。
マネージャーがOKしたことだし、そこまで酷いことはされないとは思うが、この番組であることを考えるとちょっと怖かった。
「ではここでペナルティを与える、こちょこちょ隊の皆さんの登場です!」
「え?」
初めて聞く単語に素で声が出てしまう。
司会の紹介で開けられた幕の中にいたのは、変装したAV男優さん達だった。
目元だけの仮面をつけ、スーツに悪の組織のような黒のマント、そして手には黒革の手袋がピッチリと嵌められている。
そしてその手を俺の方へ向けながら、指をワシャワシャと動かしてくすぐる動きをしていた。
まじか…!!!!
まさかペナルティがくすぐりだと思わず、一気に緊張感が増した。
何を隠そう、俺は死ぬほどくすぐりが苦手なのだ。
ちょっと首を触られるだけでもくすぐったくて身体がビクビクしてしまう程で、ドラマの撮影でも人との絡みがあると身体が勝手に反応してしまい、何度もNGを出したことがあるぐらいだった。
今だって、男優さん達が手をこちょこちょとしている動きを見るだけでも、身体がモゾモゾしてきてしまう。
これは間違う訳にはいかない…!!
1問でも間違えれば、俺はきっとそれ以上答える余裕なんてなくなって、罰ゲームが確定してしまうだろう。
ノリノリなAV男優さんを見ていると、多分俺のことを容赦なくくすぐるのが面白いと思っていそうだし、頑張らないと本気でまずい。
「では1問目です!画面に表示された国旗が、どこの国か当ててください!」
司会の声と共に、モニターに国旗の画像が出て来た。
赤と白の二色で、上の方に月と星がある国旗。
え…どこのだ…?
クイズは地理系のが出るって話だったけど、なんでこんなちょっとエッチなバラエティ番組なのに、クイズがガチなのかが謎だった。
いや、もしかしたら、ペナルティと罰ゲームまで受ける前提だったりするのかもしれない。
最悪だ…
もう答えられないのが分かってて出してるのを理解し、ただただこの後の展開に絶望した。
「え、えっと、オランダ!!」
全然分からなかった俺は、なんとなくで答えることしかできない。
「残念!こちらはシンガポールの国旗でした!」
当然そんなので当たるはずもなく、あっけなくペナルティが決定してしまった。
「ではペナルティです!春田さんには、ペナルティを受けながら2問目に挑戦して頂きます!」
その司会の言葉と共に、こちょこちょ隊の一人が俺の方へと近づいてくる。
「や、やめろ!!」
黒革の指先をこちょこちょと動かしながら近づいてくるのを見て、ほんとに怖くなり思わず素で拒否の言葉が出てしまった。
しかしそんなことでこちょこちょ隊は止まってくれず、ついに俺の目の前まで来てしまう。
「ではペナルティスタートです!!」
続きは3月16日に他プランでも公開予定
現在タバコプランにて先行公開中
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