聖の高司祭は現在世界に5人しかおらず、ここ20年程1名も高司祭になった者はいなかった。
高司祭になるには魔力量や知性が必要なのは勿論、それに合わせて厳しい試練があり、その試練を受けるに値する優秀な人間は出て来るものの、試練を突破できる者は0であった。
聖の神は節制を重んじているため、その試練はいかに『自制』できるかに重きを置いているのだが、その試練が人間の欲を刺激するものであり、試練に挑んだ者は尽く堕落していってしまうのだ。
試練自体は一度受ける権利を得られれば何度でも受けられるのだが、再度受ける者は誰一人としていない。
皆欲に落ちてしまい、高司祭になって禁欲の生活を送ることはできないと諦めてしまうのだった。
試練は数か月かけて行われるのだが、大きく3つの試練が用意されている。
『食欲の試練』
『享楽欲の試練』
『性欲の試練』
の3つだ。
それぞれの試練は6日ずつ行われるのだが、全ての試練には共通した流れがある。
最初の3日間はその欲を刺激し満足するものを浴びる程取り、その後の3日間はそれを完全に絶つというもの。
それは神の教えである、『知ってなお耐えてこそ真の修行となる』という言葉から来るものだった。
最初の試練は『食欲の試練』。
3日間贅沢な食事に菓子を好きなだけ堪能し、その後の3日間は水と最低限の味のない栄養食のみで生活を行う試練。
後半の3日間は手の届く範囲に贅沢な食事も用意されており、試練を受けていない司祭達は目の前でそれを食らうのだ。
この試練は精神的には辛いものの一番容易い試練であり、高司祭を目指す者でここで落ちる者はいなかった。
次の試練は『享楽の試練』。
3日間、酒、タバコ、薬、賭博など依存性のあるものを中心に摂取し、その後の3日間完全に絶つ試練。
絶っている3日間も目の前に全て用意されており、いつでも摂取できる状況になっている。
この試練は精神的にも依存している身体的にも耐えるのは辛く、ここで試練に挑む3割程が落ちていった。
そして最後の試練が『性欲の試練』。
3日間淫魔のいる部屋に閉じ込められ、部屋から出たその後の3日間はただその部屋へと入らなければ良いだけだった。
この試練は聞くだけなら容易いが、この試練でほとんどの高司祭候補が落ちていってしまうのだ。
そもそも試練はそれぞれ6日間だが、高司祭になった後は全ての欲を捨てる必要がある。
多少の酒やタバコは目を瞑られるものの、他者との性行為だけは絶対的に禁じられてしまう。
淫魔と3日間過ごした後、3日間なら耐えられるかもしれないが、高司祭になった後もこの行為自体を禁じられることを考えると、皆高司祭になることを諦めてしまうのだ。
そして今、また一人高司祭の試練に挑む者が現れた。
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俺が生まれた時、あまりの魔力の高さに両親は神の子を授かったと大層喜んだらしい。
それだけ俺の魔力は高く、そして知性も優れていた。
僅か10歳で高司祭を除く全ての司祭達より魔力量も知識量も上回り、18歳になり試練を受けられる年齢になった時に当然高司祭の試練を受けることを許されたのだ。
今までの人生困難に打ち当たったこともなく、他の人間が苦労することも容易くできてしまったのだが、高司祭の試練は自分よりも優れた高司祭が苦労したと言っていたため、流石に難しいだろうと思っていた。
しかし、最初の『食欲の試練』は拍子抜けする程のものだった。
贅沢な食事や菓子は確かに美味だったが、むしろ後半の栄養食の方が俺の身体には合っていたのか、目の前で贅沢な食事を取られても何も思うことはなかった。
そして次の『享楽の試練』。
これも正直容易かった。
酒もタバコも旨いとは感じなかったし、薬も心地良さはあったものの特に依存するものでもなかった。
ここまであまりに簡単な試練だったため、恐らく次の『性欲の試練』も俺にとっては容易いのだろう。
これまで適度に女と遊んだことはあるが、自慰行為をただ人を使ってしているだけの感覚で、それがなくなったところで問題があるように感じない。
それに処理するだけの自慰行為は禁じられていないため、高司祭になってもそれだけできれば女を絶ったところでどうでも良かった。
「ではこれから3日間、この部屋の中で過ごして貰う。3日過ぎるまでは決して部屋からは出られないため、心して挑むように」
「分かりました」
部屋の前で高司祭に重々しく言われ、俺は内心バカらしく思いながらも返事をする。
頑丈なドアには大きな錠前がついており、窓もない部屋は外からしかドアは開けられないようになっているため、どうあがいても出ることはできない。
「中には淫魔がいるが、淫魔は本当に恐ろしい魔物だ。部屋にいる淫魔は契約で縛られているためお前の命を奪うことはしないが、淫魔の魔力の有効範囲では男は決して逆らうことができない」
「はい。存じております」
淫魔は人間の男には圧倒的に強い魔物だ。
範囲は狭いものの、その範囲に足を踏み入れてしまうと、男である限り淫魔の命令には決して逆らえなくなってしまうのだ。
部屋にいる淫魔は、継続的に魔力の高い男の精を与える代わりに、この試練に協力する契約が大昔に結ばれている。
そのため死ぬまで精を絞り尽くすことはできないが、逆に言えば死ぬ寸前までならなんでもできることになっていた。
「お前は本当に優秀だ。このまま試練を突破し、高司祭となって一緒に神に仕えることができるようになるのを心から願っている」
「ありがとうございます」
真剣な顔で言う高司祭に俺は頭を下げると、俺は開かれた部屋の中へと俺は入っていった。
中は薄暗いが広く、部屋の中央には大きく豪華なベッドが用意されている。
入って辺りを見回していると、ガシャンと言う音と共に入ってきたドアが閉められ、外から鍵か掛けられる音がした。
いよいよ試練が始まったのだ。
部屋の中央の天蓋付きのベッドの方へと目を向けると、薄いレースのカーテン越しに影が見える。
恐らくあれが淫魔だろうと思い、近づくため自ら足を進めようとした時。
「服を全て脱いでベッドへと上がって来い」
重低音の色気のある男の声がベッドの方から聞こえた。
瞬間、脳に直接命令が下されたかのように俺の身体は勝手に動き始め、ベッドへ近づいて着ていた司祭の制服を急いで脱ぎ捨てると、全裸のままカーテンの掛かったベッドへと上った。
どうやらこの部屋の中が淫魔の魔力の有効範囲なのか、確かに全く抵抗ができないと驚きながら、その源である淫魔へと目を向ける。
そこには、一見人に見えるが頭には角、背中には羽、そして尻部分に尻尾まで生やした男が胡坐をかいて座っていた。
淫魔と聞いて女の姿を想像していたが、そこにいたのは男であることを意外に感じながら、その淫魔の見た目に驚愕した。
浅黒い肌に怖いほどに男らしく整った顔立ち、座っていても分かる程に高い身長と美しくついた筋肉、同性でも思わずその色気にクラっとする程の魅力に溢れる姿だったのだ。
「ふぅん。今回はなかなか良い精を持ってそうだな。こっちに来い」
手首までの黒革の手袋に包まれた大きく指の長い手でクイクイと招かれると、俺はそれに誘われるようにその淫魔の目の前まで近づいた。
近くで見れば見る程整って色気のある顔立ちに心臓が脈打ち、淫魔から放たれている香水のような男の甘い匂いに包まれるとそれだけで体が熱く火照り始め、自分が雌になったかのように下腹部の奥が疼き始めた。
「あ、あの、俺っ」
目の前の淫魔の色気にあまりにドキドキしてしまい、上手く言葉が発せない中話そうと試みる。
「無駄口は叩かなくて良い」
「っっっ!!」
しかし淫魔にそう言われた瞬間、俺の口はこれ以上話すのをやめてしまった。
「お前はただ大人しく俺の餌になってれば良い。だが安心しろ。ちゃんと良くしてやる」
そう言って俺の頬へその革手袋の手を添えると、色気溢れる笑顔を目の前で浮かべられる。
今まで色町で一番の女とも会ったことはあったが、そんなものとは比較にならないほどの妖艶な笑顔に、俺は生まれて初めてこの男の女になりたいと言う、男としてはあるまじき欲望が溢れた。
「お前に命じる。俺の許可なく射精を禁じる。俺のすることに抵抗することを禁じる。そして気を失うこと、狂うことを禁じる。良いな」
目の前で言う淫魔の言葉に頷いた瞬間、その淫魔の唇が俺のと重なった。
「んんんっ!?じゅるっ、んっ、ジュプッ、んんっ、ちゅっ」
合わさった瞬間、淫魔の太く長い舌と共に唾液が口内へと流れこんでくる。
俺の舌と絡めながら口内を犯し、舌を伝って淫魔の甘い唾液が喉奥へと進み、そのまま体内へと飲み込まれていった。
目の前に整った淫魔の顔がある中、口の中を動き回る舌の動きがいやらしく、気持ちよくなってきてしまい、俺は自ら進んで淫魔の舌をしゃぶるように貪る。
「んちゅっ、んんんっ、ちゅるっ、んんっ、はぁっ」
俺の唾液と淫魔の唾液が混ざりながら舌が絡み、歯茎を丁寧に舐められ、まるで口で性交をしているかのような錯覚に陥りそうな程のいやらしい行為に、興奮でビクビクと身体が震え始めてしまった。
淫魔の出す体液には催淫効果があるのは有名であり、唾液を飲まされたら終わりだと言われている。
しかし抵抗を禁じられた俺はその唾液を拒絶するどころか、もっと欲しいと強請るように淫魔へと腕を回してしがみつき、自ら唇と当て続けた。
唾液はすぐに俺の身体で効果を表し始め、まだ触れられてもいないと言うのに俺のチンポは勃起し、刺激を求めてヒクつき始める。
身体の中の雌が目覚めてしまったかのように、淫魔のことが欲しくて欲しくて全身が疼き出したのだ。
「んっ、ちゅるっ、じゅぷっ、んぁっ、じゅるっ、んふぁっ」
それでも淫魔は俺の口を舌で犯し続け、そのまま俺を抱えるようにしてベッドへ仰向けに寝かせながらも口淫を続ける。
全身を包み込む柔らかな快感で力が抜け、チンポが見たことない程に勃起して我慢汁を垂らし、空気の流れすら感じる程に全身が敏感になった頃、ようやく俺の口から淫魔の顔が離れていった。
「はぁっ、はぁっ」
キスの余韻と気持ち良さで上がった息のままその恐ろしい程に整った顔と目が合うと、思わずその瞬間だけ息が止まる程にドキっとしてしまう。
そしてその顔は口元をニヤっと笑わせると、そのまま唇を俺の首筋へと這わせていった。
「んぁっ、んんんっ」
ちゅっ、ちゅっとキスを落とされながら舌が首筋を這い、その温かく柔らかい舌の感触のいやらしさに身体がゾクゾクして震える。
口は首から鎖骨へと下がっていき、それを追うように淫魔はその黒革の手袋に包まれた指先で俺の耳をくすぐるようにほじり、そのまま滑らかな感触で耳から首をサラりと撫でていった。
「んはぁっ、あぁっ、んんっっ!?」
気持ち良さから逃げようと身体を捩ろうとした時だ。
身体が思うように動かなくなり、その舌と指で与えられる快感を逃がすことができなかったのだ。
「言っただろ。抵抗するのを禁ずると」
そう。淫魔は魔力の有効範囲の中で俺に命じたのだ。
自分の身体が言うことを聞かない初めての感覚に恐怖を感じながらも、身体にジワジワと溜まっていく快感に意識がいってしまう。
「だからこうされてもお前は受け入れるしかないんだよ」
そして淫魔は興奮で勃起した俺の乳首へと唇を寄せると、そのまま舌を押し付けながら口で吸い上げたのだ。
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