海岸沿いの街に巨大怪獣が現れたとの一報が警備隊に入った。
ちょうど近くにいたリリは現場へ急行するが、そこで目にしたのは異様な姿の怪獣だった。
「あれは……触手? しかもあんなにたくさん……ッ!」
無数の触手を持つ怪獣の見た目に生理的嫌悪感を抱くリリ。
それはとある惑星で『タコ』と呼ばれている水棲生物に酷似していたが、惑星フースから出たことがないリリがそんなことを知るはずもない。
リリが怪獣の姿に怯んでいる間にも、海から上陸した怪獣は触手をうねらせながら地を這って街に向かってゆっくりと進んでいた。
「いけない! このままじゃ怪獣が街に! ……気持ち悪いけど、仕方ない!!」
リリは嫌悪感を無理やり抑え、意を決して左腕のブイレスを掲げる。
ブイレスが光を発し、リリは巨大な光の戦士の姿へと変身を遂げた。
「さあ! 私が相手よ!」
街を守るように立ちはだかったリリに怪獣がゆっくりと向き直る。
威嚇するように触手を揺らす怪獣と対峙するリリだが、その醜悪な外見に及び腰になってしまう。
(うぅ…、やっぱり気持ち悪い……。接近戦は避けて、光線技で遠距離から戦おう……)
幸い怪獣の動きは遅く狙いをつけるのは容易だ。
リリは左腕のブイレスを怪獣に向け、そこから光弾を発射した。
放たれた光弾は狙い過たず怪獣に命中し大きな爆発を生んだ。
さらに追撃で数発の光弾を撃ち込み怪獣の姿が完全に炎と煙に包まれ見えなくなったところでリリは射撃を中断した。
「……ふぅ、さすがにこれだけ撃てば跡形も…」
リリが射撃の構えを解こうとした瞬間、煙から何かが素早く飛び出しリリの左腕に絡みついた。
「あぅ!? しまった……ッ!!」
怪獣の触手にブイレスを装着した左腕を搦めとられてしまったリリは、残った右腕で触手を振り解こうとした。
しかしそれよりも早く別の触手が襲い掛かり右腕にも巻き付く。
先程までとは比べものにならない素早い動きで瞬く間にリリの両腕の自由を奪った触手は、そのままリリの細い首に巻き付きギリギリと締め上げた。
「あぐ、ぅう……ッ、まずい、この…ままじゃ……!」
触手の動きが緩慢なことに油断したのを後悔するも時すでに遅し。
なんとか触手を振り解こうと力をこめるが触手の膂力は強く、また表面が粘液で粘ついており滑って掴みづらい。
悪戦苦闘するリリにさらに触手が殺到する。
もうだめかと思ったその時、何処からか飛来した光輪が触手をまとめて切り裂いた。
「……ッ!? 今の技は!!」
触手から解放され自由になったリリの隣に、長髪の女性が着地した。
それはリリの母親、アーリ・アーカイヴがブイレスで変身した姿だった。
「お母さん!! どうしてここに!?」
「警備隊からの要請よ。リリ、もうすぐ部隊の応援が来てくれるわ。それまで時間をかせぐのよ」
「はい!」
アーリの登場で窮地を脱したリリ。
ふたりは並び立ち怪獣に対峙する。
新たな触手が二人に向かって襲いかかる。
「リリ! お互いの死角をカバーしながら迎撃するのよ!」
「は、はい!!」
ふたりはブイレスから発した光刃を振るい、襲い来る触手を次々と切り裂いてゆく。
触手の数は少なくなかったが、攻撃がふたりに分散しているためなんとか捌き切ることが出来ていた。
怪獣は新たに現れた敵を警戒してか触手を揺らめかせながらじりじりと海に向かって後退を始めた。
「逃がさないわ!!」
「……ッ! リリ、深追いは禁物よ!」
逃げようとする怪獣を追おうとするリリをアーリが制止する。
しかしリリが海に近づいた時、彼女の近くに大きな水柱が起きそこから無数の触手が躍り出てきた。
「リリ!!」
「え…? きゃあぁ!?」
突然のことに驚き硬直してしまったリリをアーリが咄嗟に突き飛ばした。
訳も分からないまま海面に倒れ込んだリリが顔を上げると、そこには予想外の光景が広がっていた。
「お母さん!? そんな…、もう一体いたなんて……!!」
そこには新たに現れた怪獣と、その触手に四肢を搦めとられ拘束されたアーリの姿があった。
「く…ぅう、リリ、突き飛ばしてごめんね…。……大丈夫…だった…?」
「う、うん…。ごめんなさい、お母さん。私をかばって……」
苦悶の表情を浮かべながら、それでも娘を気遣うアーリ。
リリは自分の短慮が母を危険にさらしたことを後悔した。
「待ってて、お母さん! すぐ助けるから!!」
「リ、リリ…。私のことは、気にしないで…。それより、一度後退しなさい……!」
「そんな!? お母さんを見捨てるなんて!!」
アーリの予想外の指示にリリは悲痛な声を上げる。
「あ、貴女ひとりで…、この怪獣…たちを、相手にするのは、荷が…重いわ…っ。一時後退して…街の人々を…避難させながら、部隊の応援が…到着するのを…待ちなさい……っ!」
たしかにアーリの言うことは正しかった。
もともと怪獣一体に苦戦していたリリが二体に増えた敵を相手に太刀打ちできるはずもない。
しかしだからといってリリは簡単に母を見捨てるような選択はできなかった。
それが自身の油断から招いた事態ならば尚更だ。
「……お母さん、ごめんなさい。そんなことできないよ!」
「……リリ!」
「どんなに敵が強くても諦めずに最後まで戦う! それが光の戦士『ウルトラマン』だから!!!」
リリは意を決して母を捕らえる触手の群れに向かっていく。
左腕の光刃を振るい触手を切り裂くも、次から次へと新たな触手が殺到しアーリの拘束は緩む気配がない。
「……っ! リリ、後ろよ!」
「くぅ……ッ!!」
アーリの警告で背後からの触手の攻撃を間一髪で回避したリリ。
振り返ると最初に相手をしていた怪獣が触手をうねらせていた。
二体の怪獣に挟み撃ちされる形になったリリは冷や汗を流しながら身構える。
すると背後から一本の触手がリリに向かって襲いかかった。
「…ッ! はぁッ!」
リリは光刃を振るい触手を切り飛ばした。
すると今度は二本の触手がリリを挟撃するように襲いかかる。
リリはこれもなんとか捌くが、次は三本の触手がリリに襲いかかった。
(……っ! 完全に遊ばれてる……っ!!)
少しずつ増えていく触手の数と、怪獣に弄ばれていることに焦燥感を募らせるリリ。
必死に応戦するも次第に対応しきれなくなり、遂に触手がリリの右足に絡みついた。
「し、しまった!?」
片足を封じられその場から移動できなくなったリリに触手が殺到する。
なんとか数本の触手を迎撃するもそれが限界だった。
再び両腕を搦めとられ、首を締めあげられ、完全に拘束されたリリの身体が持ち上げられて宙に浮く。
「あぅ…くぅ…ッ! は、はなしてぇ……!」
拘束されてもなお抵抗するリリを弄ぶように、触手がリリの胸に巻き付ききつく締めつけた。
「ぐぅ!? い、いやああぁぁあ!!」
触手は蜷局を巻くようにリリの乳房に巻き付き、搾乳でもするかのようにぎゅうぎゅうと締め上げる。
その度に形のいい胸が卑猥に歪み、リリは苦悶と羞恥の悲鳴を上げた。
そして触手に嬲られてるリリの隣では、アーリもまた触手による洗礼を受けていた。
「うぅ……っ! こ、こんなことで……ッ!!」
娘と同じように全身を触手に拘束され乳房を弄ばれるアーリ。
歯を食いしばり怪獣を睨み付けるその目からは未だ抵抗の意思は衰えていないが、紅潮した頬や流れる汗から限界が近いのは明らかだった。
(お母さん…、私のせいで……!!)
リリは自身も触手に嬲られながら、同じく触手の餌食になる母を見て自分の不甲斐なさに歯噛みする。
(力が…、私にもっと力があれば……っ!!!)
自分の無力を嘆くリリ。
このまま自分たちは敗北して終わるのか……?
(……違う! 最後まで諦めない!! ウルトラマンならッ!!!)
「はああぁぁぁぁあああ!!!」
リリは最後の力を振り絞って触手に抵抗する。
次の瞬間、リリの全身が輝きを発し彼女を拘束していた全ての触手を弾き飛ばした。
自由の身になったリリが海面に着地し水飛沫が上がる。
そこに屹立するリリの姿を見て、アーリは驚きの声を上げた。
「リリ…なの…!? その姿は……!?」
そこにいたリリの姿は先程までとは全く違うものへと変わっていた。
青を基調としていた髪や全身がオレンジに変色し、身体の模様も変化している。
頭部のツノの形状も変化し、頭頂部に立つトサカ状のツノはまるで……
「ウルトラマン……」
アーリは無意識にそう呟いていた。
そして驚いているのはリリ本人も同様だった。
「……え? えぇ!? な、何が起こったの!?」
自分の身体に起こった変化に動揺するリリ。
そんな彼女の隙を怪獣たちは見逃さなかった。
触手が再びリリの両腕を捕らえ縛り上げる。
「リリ!!」
「……ッ! これは…! やれる、この力なら!!」
リリは今までとは比べ物にならない力が全身に溢れてくるのを感じた。
両腕に絡みつく触手を力任せに引っ張ると、怪獣の方がバランスを崩しリリの方に引き寄せられる。
そのままリリは身体をその場で回転させジャイアントスイングのように怪獣を振り回し、アーリを捕らえるもう一体の怪獣目がけて叩き付けた。
「きゃあ!?」
「お母さん!!」
激突の衝撃で触手の拘束が解け空中に放り出されたアーリをリリが抱きとめる。
「ありがとう、リリ。でもその姿は……」
「私にもわからないけど……今は先にあの怪獣を!!」
「そうね! 行くわよ、リリ!」
体勢を立て直した二人は怪獣に向かって駆け出した。
未だ倒れたままの怪獣たちはそれでも触手を使って攻撃を試みるが、アーリが振るう光刃にことごとく切り飛ばされ無力化されていく。
「今よ、リリ!!」
「はい!! くらえ、アサルトナックル!!!」
渾身の光を宿したリリの正拳突きが怪獣の胴体に突き刺さる。
リリの拳は二体の怪獣をまとめて粉砕し大きな水飛沫を上げた。
「ウルトラマンの中には状況に応じて、その姿と特性を変化させる者もいると聞いたことがあるわ。リリにも同じことが起きたのかもしれないわね」
「私にもそんな力が……」
戦闘後、変身を解いたリリとアーリは、リリの身に起こった変化について話していた。
アーリも噂を聞いたことがあるだけで目にしたのは初めてだったが、おそらく彼女の推察は正しいだろう。
リリは自分の中で目覚めた新たな力に、今まで以上に強い使命感を募らせる。
握りしめた自分の拳を見つめるリリ。
そんな彼女を見つめながらアーリも娘の成長を感慨深く思いながら語りかける。
「さあ、まだ仕事は終わっていないわよ。もうすぐ部隊の応援が到着するわ。怪獣の死骸や倒壊した瓦礫の除去。やることは山積みだけど、まずは……」
「まずは……?」
アーリが視線を下げたのに釣られてリリも自分の身体を見下ろし、そこで初めて自分の身体の惨状に気が付いた。
散々触手に嬲られた二人の全身には半透明の粘液がどろりと纏わりつき糸を引いていた。
先程までは戦闘の興奮で気にならなかったが、こうして落ち着いて見てみるとあまりにも変態的、かつ煽情的な姿だった。
「うぇぇ……気持ち悪ぅ……」
「……部隊の皆が到着する前に洗い落としておきましょう」
親子は頷き合うと全身の粘液を洗い落とせる場所を求めていそいそとその場から退散するのだった。
BAD ENDルート。
もともとはこっちの予定でしたが、マンネリ打破のため王道な逆転展開にしてみました。
まあ〇された後に逆転してもよかったんですが、それだと格好付かないかなって。
R-18絵だからタイトル詐欺にはなってないなヨシ!!
ガッツリR-18展開を期待した方がいたらごめんなさい!