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煉瓦
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オメガバースでいじめっ子×いじめられっ子 大学生編(その2)

 安藤がαだとは知らなかった。

 大学に入って二年目だが、安藤と話すようになったのは一回生の中頃だ。と言うことは、一年近く気付かなかったことになる。


「βだと思ってたのに」


 家に帰り、買い物袋をテーブルの上に置きながら、そう呟いた。

 取り敢えず牛乳を冷蔵庫へと入れた聡司は、疲労感を覚えたため、リビングのソファへと座り込む。少し楽しみにしながら買った新製品のペットボトル飲料は、とても飲む気になれなかった。


 安藤がαだと気付かなかったのは聡司が鈍いせいではない。αらしい外見、能力、それらを安藤は持ち合わせていないように見えた。平凡な外見と、この大学へ入学するに足る平均より高めの学力と能力、それが聡司の知る安藤の全てだった。

 聡司は元々βだけあって、αは論外としても、同じΩよりもβと話すほうが性に合う。安藤の他にも数人、会えば挨拶をして少し話すような仲の知り合いがいるが、彼らは総じてβだった。

 話していて、αほどの魅力は感じないが、同時に威圧感や不快感も無い。言いかたは悪いが、毒にも薬にもならない彼らとの会話は聡司には心地が良かったのだ。聡司は安藤にもそれを感じていた。α特有の威圧感もなく、話しやすい。αらしさなど欠片も感じたことなど無かったのに。

 数少ない、話せる顔見知りを無くした喪失感と、αへの嫌悪感が聡司の胸に去来した。しかしそれは聡司がどうこうできるものではなかった。Ωになってからの人生と同じく、諦め、受け入れる他に聡司が出来ることなど何も無いのだ。


「……お風呂、入ろう」


 転びそうになったのを助けられたとは言え、安藤に触れてしまった自分の体が気持ち悪い。屋敷と番になってから、彼以外のαに触れることが極端に苦手になってしまった聡司は、壁に設置された湯沸かしのボタンを押した。



 風呂で体を念入りに洗い、湯船にゆっくりと浸かる。そうしているうちに聡司は段々と眠気が押し寄せてくるのを感じた。

 風呂から上がり時計を見ると、まだ夕方の六時だったが、聡司は早々に眠ることにした。今日は金曜日だから、飲み会に行っている屋敷の帰りは遅いだろう。零時を越えるかもしれないし、もしかすると明け方まで飲んでいるかもしれない。聡司ではない誰かと意気投合して、一夜を共にしているかもしれない。

 屋敷が飲み会や友人との付き合いで留守にする日は決まってネガティブな考えに陥ってしまう。

 原因は分かっている。高校生のころに無かったが、大学生になってから、それもここ半年ほど、屋敷が朝まで帰ってこないことが何度もあったからだ。

 自分はもう飽きられたのだろうか。そんな考えがふとよぎってしまう。


 地元でも屋敷はよくモテていたが、東京に出てからもそれは変わらなかった。いや、周囲の人間の数が増えたのに比例して、告白される回数も飛躍的に増えたようだった。実際に聡司は、家政婦に洗濯を頼むため屋敷の上着のポケットを確認した際に、連絡先の書かれた紙片を何度か見つけている。それだけではない。セックスをしている最中、屋敷のスマホの待ち受け画面に、女性らしき名前のアカウントからの通知が表示されているのを見たこともあった。

 二回生となり、鎧塚との会社を起業してから屋敷が忙しいのは知っている。会社を作ったのが聡司と結婚するためだとも。だからこそ聡司は彼の邪魔にならないよう、不安を押し殺し、文句の一つも言うことなく耐えていた。


「今日も遅いんだろうな。……朝まで、かな……」


 言葉に出せば現実になってしまう気がしたが、つい呟いてしまう。

 気が滅入り、夕食を摂る気にもなれなかった聡司は、二人の寝室へと一人で向かった。



 暑い。

 夏は過ぎたというのに、暑さで酷く寝苦しい。シーツは生温く、冷たさを求めて聡司は半分眠ったまま寝返りを打とうとした。


「……っ」


 しかし体内にチリッと痛みが走ったことで目を覚ます。急激に意識が戻った聡司は、しかし自分の状況を上手く理解できなかった。


「目、覚めたか」

「あ、ど、どうして」


 聡司の両足は大きく開かされ、後孔には屋敷の亀頭が埋め込まれている。馴らしもせず挿入されたことで痛みが走ったのだ。


「昴く、ま、待って」

「待たねぇよ」


 体の上へと覆いかぶさっている番に頼むが、彼はそれを却下した。声は冷たく、聡司の腿を押さえる両手からは苛立ちが感じられた。何か悪いことをしてしまったのだろうか。屋敷の番となってから、彼の機嫌が悪い時には常に自分が悪いと聡司は考えるようになった。彼は優れたαで、自分は能力が劣ったΩだからだ。屋敷はいつも正しくて、自分の考えや行動は間違っている。世間的にも、それが常識だった。


「ごめ……な、さ……っ」


 まだ拡がり切らない奥までズブズブと陰茎を挿入され、無理矢理体を開かれる。謝罪の言葉を口にしながら、聡司は深呼吸をしてなるべく体の力を抜くようにした。


「きっつ……てことは浮気はしてねぇみたいだけど」

「う……わ……?」


 屋敷の口から発せられた、あり得ない単語を聞き返す。聡司は屋敷の番だ。他の人間とセックスなどするはずがない。屋敷とセックスをしたのは先週の月曜日が最後で、だからこそ聡司の後孔は今日まで慎ましく窄まっていたのだ。

 そんな体を強引に犯されたはずの聡司は、最初こそ痛がったものの、屋敷のフェロモンを嗅ぎ取ると、やがて頬を蒸気させて後ろを濡らし始めた。


「うわ、浮気、してな……っ、んっ、んっ」

「分かってるよ。……悪かったな、疑ったりしてさ」


 滑りが良くなった中を擦り、屋敷は優しげに謝りながらもガツガツと奥を突く。自分勝手な番を、しかし聡司はうっとりとした目で見上げた。半開きの唇は唾液に濡れ、キスをして欲しいと隙間から赤い舌がチラチラと覗く。呼吸は荒く熱く、発情しかけているのを聡司は自覚していた。

 屋敷が自分を犯しながら強制的に発情させるフェロモンを出している。

 それはΩである聡司の意志を無視する行為だったが、聡司は特に怒りも屈辱も、不満さえも覚えなかった。番になってから三年間、聡司は屋敷だけのΩとしての姿勢を教え込まれてきたからだ。勝手に浮気を疑われ、こうして寝込みを襲われ犯されても、そうさせてしまった自分が悪いのだと聡司は思っていた。そして、そんな駄目な番である自分を抱いてくれる屋敷に感謝さえしているのだ。


「ああっ、気持ちいい、いい、昴くんっ」

「ハハ。無理矢理ヤッてんのに」

「ん、好き、好き、ぼ、僕、あっ、あっ」

「はー……カワイイやつ」


 細い手足を逞しい屋敷の体に絡め、聡司は喉を仰け反らせて喘いだ。屋敷はそんな彼を見下ろしながら舌なめずりをし、更に腰の動きを早める。バチュバチュと肉のぶつかり合う音を響かせ、やがて彼は愛しい番の中に精子を注ぎ込んだ。


Comments

この二人は常に気持ちがすれ違ってるのがキモだと思っているので、そこを好きと言ってもらえて嬉しいです ありがとうございます

煉瓦

😭😭💗好きです、、 お互いのすれちがい(?)語彙力が無くて、なんて言ったらいいかわかりませんが、すごく好きです💞屋敷くんが浮気してると勘違いして無理矢理犯してる所すごくドキドキしました♥️


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