聡司と媚薬の話
Added 2022-02-09 12:20:41 +0000 UTC「あっ、ああっ、あっ」 壁に手をつき、立ったまま僕は犯されている。 上は制服を着たままで、下はスラックスとパンツを膝までズラした格好だった。相手は下をくつろげただけで、ほとんど脱いでいない。 「んっ、はぁっ、あ、ああっ」 後ろに立って腰を振っているこの男のことなんて嫌いで嫌いで堪らないはずのに、僕の口からは甘くとろけたような喘ぎ声が、後ろから突かれるたびに漏れていた。 「お前、ココ好きだよな」 ローションと彼の先走りで濡れ濡れになった僕の中のある場所を彼は突いてきた。 「ひっ、ひぅっ。やだ、いやだ、そこ、や、やめてっ」 「んな声で言ってもよ、説得力、ないって、んっ」 僕の中の浅くて、丁度ペニスの裏側にあるその場所。こすられたり突かれたりすると切なくて仕方のなくなる場所。セックスなんて嫌なのに、そこをもっと突いて欲しくて、ねだりそうになる。 「…ちょっと…キツ目に、やんな? 我慢、しろ、よっ?」 興奮してきたらしい彼の腰使いが激しくなって、突いて欲しいポイントから少しずれた場所をガンガンと突かれる。もどかしい。そこじゃなくて、こっち、と腰を揺らせて突かれる場所を合わせてしまいそうになる自分をなんとか制した。だって僕はそんな淫乱じゃない。彼に力ずくで犯されて、無理矢理セックスされているだけだ。本当はこんなこと嫌なんだ。無理矢理、仕方なく……。 「んぁっ、あっ、あっあっ」 「いー声。…お前の、感じてる、声っ、たまん…ねーわ」 彼が切羽詰まった、けれど、どこか楽しそうな声で囁いた。まだ余裕があるんだろうか。さっさとイッて終わりにしてほしいのに。壁に爪を立てて衝撃に耐えながら僕はそんな風に思う。 「はぁ、はぁ、…コッチも…触ってやる」 まるで僕がそうして欲しいからしてやるのだ、とでも言うように、彼は僕のシャツの中に下から両手を入れた。動いていたせいで体温が上がったのか、シャツに隠れた僕の平らな胸をまさぐる手のひらがとても熱い。指で乳首を挟まれて揉まれると、彼の腰の動きは緩やかになった。 「ぁ、ぁ……っ」 先ほどまでとは異なる感覚が僕を襲う。それをどうにかしたくて僕は身を捩り、膝を閉じてもどかしげに擦り合わせた。 「こら。足、閉じんな」 「…ぁ、……ご、めんな、さっ」 耳元で囁かれた命令の言葉に、僕はすぐに謝罪した。震える膝に力を入れて、先ほどよりも大きく開ける。密着していた太ももに垂れ落ちていた液体がヌチャリと音を立てて糸を引いた。 「すげ、濡れてる」 そのいやらしい音が聞こえてしまったのか、右胸をこねていた手が僕のペニスへと降りてきた。全体を手のひらでやんわりと握られ、鈴口に親指の指先を押し付けられる。 「今日は一回も触ってねーのに」 男に、それも僕を無理矢理抱くような奴に尻へペニスを突っ込まれ、胸をいじられ、なのに僕は勃起していた。そして少し触られただけで射精しそうになっている。 「さ、わらないで…ぁ、も、で、出る…から」 喘ぎ声を噛み殺して何とか告げた声には、情けなさと恥ずかしさが滲んでいた。俯いたせいなのか、ついでにポロリと涙までこぼれてしまう。 触られたまま射精してしまえば、手が汚れてしまった、汚い、と彼はきっと怒るだろう。犯された上に殴られるなんていう最悪な目には遭いたくない。 「ん…じゃ、一緒にイこーな?」 僕の言葉を違う意味に取ったのか、彼は両手を僕の腰に添え、ガツガツと音がしそうなほど激しく腰を打ちつけてきた。 「あ、あっ、で、出るッ、あっ、あっ、ああっ」 「…もーちょっと、だからっ」 激しくされてもキツいのは最初だけで、僕の体はすぐに感じてしまうように作り替えられてしまった。突き上げられて爪先立ちになった足の間では、それが一度も萎えること無くダラダラと透明な先走りを垂れ流している。 「はぁっ、俺も、出すぞっ…!」 耳元で囁かれた瞬間、僕のペニスは彼の手に包まれた。 「あ、あっ、離してっ」 そのまま数回上下にこすられ、僕は限界を感じて唇を思い切り噛む。皮膚が切れて血の味がしたけれど、声を上げるよりはマシだと思って更に強く噛み締めた。 「聡司ッ…!」 彼は反対の手で僕の体を抱きしめて、僕の名前を呼びながら更に奥へと自分のモノを押し込んでくる。なるべく奥で、というのは本能なんだろうか。男同士なんて、どこで出したって意味が無いのに。 追い詰められて余裕なんて無いはずの、妙に冷めた頭の隅でそんな事を考えた一瞬の後、僕は彼の手のひらに射精した。 「……っ」 声を出さずに射精した反動なのか、自分の中が彼のモノをギュウッと締め付けるのが分かった。大きく膨らんだ、その形が分かりそうなほどキツく締めてしまう。 「すげ、締まる、……聡司、聡司ッ!」 僕を抱きしめる彼の腕に力が入る。抱きしめられて尻を犯されながら、射精後のボンヤリとした頭へ何度も僕の名前を呼ぶ彼の声が入り込んできた。 僕なんかの名前を呼ぶのは彼だけだ。そして不本意ながらも、彼の名前を呼ぶことを許されているのは、学校内で僕ただひとりだけだった。 「ぁ……昴、くん…」 モヤがかかったような頭で何も考えられないまま名前を呼び返すと、僕の中の彼のモノがまた大きくなって、それからビュルビュルと直腸の奥に精液を出された。 ◆ 朝休み、登校してからホームルームが始まるまでの時間を、窓際の席の僕は窓から校庭を見つめる事で潰していた。外は雨が降っていて、朝だというのに、まるで夕方であるかのように薄暗い。窓には机に頬杖をついて気怠げに外を見つめる僕自身の姿が映っていた。 真面目で勉強だけが取り柄の中野聡司。それが僕だ。でも、その勉強も最近は成績が芳しくない。以前は定期テストで必ず満点を取れていたのに、最近はくだらないミスで九十五点なんていう点数を取ることがあった。 集中力が切れている。 原因は分かっていた。 「おはよ。聡司」 見つめたままの窓に彼の姿が映る。僕はビクリと体を震わせて後ろを振り返った。その拍子に肘が椅子に当たり、派手な音を立てる。 「いっ」 「おいおい、なにやってんだよ」 笑いながら腕を取ろうとする彼の手を振り払いたいのに出来なかった。だから彼は簡単に僕の腕を取り、肘を撫でてくる。 「体、キツくねぇ?」 教室のみんなに背を向けるようにして、彼は低く小さな声で僕に聞いてきた。途端に僕の顔が熱を持つ。彼は昨日のセックスのことを聞いているのだ。 「立ったままヤったの初めてだったからさ、加減が分かんなくて」 「い、いいからっ。大丈夫だから、僕…!」 昨日の放課後、僕は彼に空き教室へと連れ込まれて犯された。コンドームなんて用意していなかった彼は僕の中に精液を出してしまったから、そのあと彼の指で掻き出されたのだけれど、今日はあまりお腹の調子が良くない。いきなり振り返るなどして慌てて動いたせいか、僕のお腹からグルグルと不穏な音がした。 家に帰ってからすぐにシャワーで中を洗ったのに。奥に出されたのがまだ残っているのか、洗うのが遅かったのか、そのどちらも、なのか。 「ちょっと、トイレ行ってくる…」 鈍かった痛みが段々と明確になってくる。赤くなった顔が一気に青くなった。僕は焦って彼の体を押し除け、立ち上がってから違う意味で青くなった。彼を押し除けてしまうなんて。僕は彼に逆らってはいけないのに。 「ご、ごめっ…」 「ん……俺もついてくわ」 思ったよりも弱々しい声しか出せなかった僕の言葉が聞こえなかったのか、僕の腕を取ると彼は教室の出口へと向かった。 「屋敷、なになに? サボり?」 「ちげーし」 軽口を叩いてくる友人に否定の言葉を返した彼は、僕を連れて教室を出た。 ◆ 結局その日、僕は保健室で一日を過ごした。 トイレに行った後、症状が治まらなかった僕は彼に連れられて保健室へ向かい、そこで薬を飲んで何度かトイレに駆け込んだ後、しばらく横になっているうちに眠り込んでしまったのだ。 腹の中のものが全部無くなって薬も効いたせいか、腹の痛みは完全に無くなっていた。時計を見ると、とっくに授業は終わっていて、放課後の時刻になっている。 「聡司?」 帰ろうとベッドの上に起き上がったとき、保健室の扉がガラガラと開いて聞き慣れた声がした。あいつだ。もう声だけで分かってしまう。それに僕のことを聡司なんて呼ぶのは彼しかいないのだ。 中学校のころまでは仲の良い友人もいてあだ名で呼ばれたりしたこともあったけれど、親の転職でここへ引っ越してきてからはそんなこともなくなってしまった。進学校であるこの高校へ奨学金を得て通えている身としては成績を下げられないから勉強が忙しく、放課後に友人付き合いをすることも出来なくて、親しい友人作りに失敗してしまった。 だから今の僕を名前で呼んでくれるクラスメイトは、皮肉にも、この体を好きなように扱う彼しかいなかった。 「聡司、いるのか?」 「…うん」 ベッドを囲むように引かれていた薄緑色のカーテンが少し開けられ、隙間から彼が入ってきた。僕を見て少し笑い、後ろ手でカーテンを元通りに閉めてしまう。僕の胸はドキッと大きく鳴った。 そんな僕の内心など知ってか知らずか、彼はベッドに腰掛けて僕の頭をポンポンと優しく撫でてきた。 妙に熱い手のひらの感触に、僕は昨日のセックスを思い出す。 そう言えばあのとき、彼の手のひらに射精してしまったのに怒られなかったな。 手のひらは下に降りてきて、僕の頬に触れた。 「もう腹痛くねーの?」 指が唇をなぞる。問いかけに頷くと、唇が重なった。 いつものように薄く歯を開けると当たり前のように舌が入ってくる。深く差し込まれたそれに舌を絡められ、クチュクチュと音が鳴った。今日もまたしたいのだろうか。僕はあまりしたくない。そう思うと自然に体が後ろへと逃げた。ニュルッと舌が抜け、性的な匂いをまとったキスが唐突に終わる。 「下脱いで、ケツこっちに向けて」 また唇が触れてしまいそうな位置で、熱を帯びた目をした彼が言った。 「センセーは職員会議中だし、鍵かけてあっから大丈夫」 保健室の扉を気にした僕に彼が続ける。でも先生が会議中じゃ無くても、扉に鍵がかかっていなくても、僕は彼に従うしかない。彼が怖いからだ。 ベルトを緩めてスラックスとパンツを脱いだ僕は、四つん這いの格好で彼に尻を向けようとした。 「あー、仰向けのがいーな」 ベッドの端に置いたカバンから手のひらサイズの小さな袋を取り出した彼は僕の尻を撫でながら言った。 「…こ、こう?」 「ん。…足、自分で抱えて、ケツん穴が上向くように……そ。…んで、穴、自分で広げて」 言われた通りのポーズをとった僕は、いつか観た卑猥でいやらしい動画に出てくる女優のようだった。彼は動画の見過ぎでこういう体位のセックスをしたくなったのだろうか。羞恥で顔が赤くなってしまう。 彼は僕の尻側に膝立ちになると、尻の肉を指で少し押してきた。 「もーちょい広げて?」 言われた通り、穴を広げている指に力を入れる。 「ハハ、中まで見えてる。ヤリまくってんのに、きれーなピンク色」 彼にしか見せたことのない僕のそこを覗き込みながら、彼は手に持った袋の封を切った。そしてその中身を僕の尻の穴に注ぎ込む。 「……ぁ、んっ……つめた、…な、なに、昴くんっ……」 「ローション」 袋を扱いて中身を全部出しながら、彼は楽しそうにそう言った。やっぱり、ここでするつもりなんだ。先生が帰ってくるまでに終わらせないと、と苦しい姿勢のまま考える。 「…よし、全部入った。……じゃ、栓、するからな?」 栓、と言われて意味が分からない僕をそのままに、彼は再びカバンからチャック付きのビニール袋を取り出した。その中には黒い、歪な形をしたモノが入っている。 「お前のために買ったんだ。…ほら、舐めろ」 これが、栓、だ。口元に押し付けられたそれを僕はチロチロと舌で舐めた。じれったかったのか途中から彼が口の中にねじ込んできたそれを、えずきながら必死に舐める。 「エッロ。…ま、こんなもんでいっか」 「ふ、はっ……」 口から引き抜かれ、僕の唾液に塗れたそれを、彼は僕の尻の穴に沈めた。けれど、先は細く、そこから急激に太くなっている形状のそれを僕はすんなり飲み込めない。 「あ、あっ、くるしっ……」 「もーちょい頑張れ、……な?」 太くての見込めない部分をグイグイと力任せにねじ込まれる。先に入れられていたローションが押されてブチュッと音を立てた。尻の中で迫り上がってきたローションのおかげなのか、それの一番太い部分をなんとか飲み込む。そこから返しの部分までは少し細くなっていて、彼に押し込まれるまま全てを尻の中に収めることができた。 「これな、アナルプラグっつーの」 返しに指をかけ、彼がそれを軽く引っ張る。 「ひっ、あ、あっ」 「よし、大丈夫そうだな」 嬉しそうに笑った彼はアナルプラグから指を離し、僕の唇にキスをしてからベッドを降りた。 「下、はけよ。帰ろーぜ」 それが、この異物を付けたままで、という意味なのは聞かなくても分かっていた。 動くと隙間からローションが漏れてきそうで怖い。けれど、なるべく早くしなければ、と震える手でパンツと制服を身につける。遅い、と文句を言われるかと思ったけれど、準備が終わった僕を待っていたのは彼のハグだった。恐る恐るベッドから立ち上がった僕を、彼はまるで恋人にでもするかのように抱きしめたのだ。片手は背中に、反対の手は尻の中の異物にスラックスの上からやわやわと触れてくる。 「ローション漏れそーで怖ぇ?」 僕は必死に頷いた。僕の家はここから駅まで十分ほど歩き、それから電車で二十分、駅で降りてから自転車で十五分ほど走らなければならない場所にある。果たしてそこまで中のローションを一滴も漏らさずにたどり着けるか不安だった。 「あ、うぅっ」 彼が異物をグイッと奥に押し込んでくる。僕は思わず爪先立ちになり、彼の胸に縋りついた。 「俺さ、隣の駅に直通のマンションにも部屋持ってんだわ。……聡司がカワイクおねだりできたら、そこでプラグ外して中洗ってやってもいーけど」 彼のもうひとつの部屋の場所を聞いたのは初めてだった。セックスはいつも学校の空き教室や、離れにある彼の部屋で、というのが多かったから。 けれど僕には深く考える余裕なんてなく、その部屋が何なのかという意識もないまま、尻の中の異物を早く外して解放されたい、という欲求に促されて素直に頷いた。 「…ぉ、おねが、します…っ。昴くんのへ、へや、でっ、は、外してっ」 「ダメだって。カワイク、っつってんだろ?」 「……ご、ごめんなさ…ぃ。でも、分からな、くてっ」 男の僕がカワイクお願いする、なんて、どうすれば良いのか分からない。ただでさえ尻の中にローションを入れられて栓をされている状態なのに。 「聡司は、なんで俺の部屋に来てーの?」 「…それ…は、アナルプ、プラグを外して…」 「違ぇだろ」 「え、え…?」 意味が分からなくて混乱する。大体、部屋に来たら外してやると言ったのは彼だ。体内のこれを外して欲しいけれど、僕は別に彼の部屋に行きたいわけじゃない。 何と答えていいか分からない僕の唇を、彼の舌がベロリと舐めた。それに驚く僕の唇に、彼が自分のそれを軽く重ねる。 「聡司はさぁ、俺にエロいことされても抵抗しねーじゃん? 俺になら何されても良いって思ってんだろ?」 僕は恐る恐る頷いた。 それは僕が彼にいじめられていたからだ。いじめられていた頃に植え付けられた恐怖心は未だに抜けていない。彼に逆らうのが怖い。彼を前にすると、僕はそう思ってしまうように躾けられていた。 それに、彼が地元の地主の息子で、僕の親が彼の親の経営する会社へ勤めているという理由もある。僕が逆らったり逃げたりすれば、どんなことが起こるのかは想像に難くない。 だから僕は彼に逆らえない。逆らう気力もない。犯されても、こんな風に尻に異物を挿れられても従うしかない。彼に色々されたとしても、親が職を失ってしまうよりは遥かにマシだ。僕はそう思っていた。 「他の奴に同じことされたらさ、聡司はどー感じる?」 「……い、嫌、だ」 彼にだって本当はされたくない。嫌だった。ああいうこと……そう、キスもセックスも、本当は好きな女の子としたかった。……それはもう叶わないけれど。 「でも俺とはしてるだろ? しかもめちゃくちゃ感じてるし。ちょっと乱暴にしてもさ、…俺にヤられてっから感じんだろ?」 誘導尋問のようにそこまで言われれば、さすがに彼の言わんとしていることは分かってしまう。僕は目を伏せ、気づかれないようにゆっくりと深く息を吐いた。それから顔を上げ、彼の顔を見つめる。 「僕は…昴くんが、す、…好きだから…部屋に、その、行き…たい」 つっかえながら言い切った僕を、彼は満足そうに眺めていた。 「それで?」 「……?」 「大好きな俺の部屋に来て、オマエは何をされてーの?」 彼が異物を挿れたくせに、どうして僕が色々言わされなくてはならないのか。そう思うけれど逆らえないのが事実だった。 僕は苛立ちと羞恥で震える唇を開き、彼の望む言葉を紡ぐ。 「昴くんに…ア、アナルプラグ…外してほし…」 「外して、それで?」 「な、中、洗って……」 「で? 部屋に着く頃には聡司のココ、グズグズのトロットロになってるよな? …俺の、挿れなくても我慢できそー?」 人差し指でもう一度、下から異物を押さえられる。色々なものに耐えるため、僕は拳を握りしめた。 「昴くんと、セ…セックス…したい」 僕が絞り出すようにそう言うと、彼は晴れやかな笑顔を見せた。 「しゃーねーなぁ。かわいー聡司がそう言うなら抱いてやるよ」 彼は僕の肩を抱くと、もう一度軽くキスをした。 どうやら僕は、彼の望む正解を答えられたらしい。あれだけ分かりやすく誘導されれば、言いたくないのに言わざるを得なかった、というのが正しいのだけれど。 今日は雨が降り続いているから部活もほとんどが休みで、保健室の前の廊下には人影がなかった。薄暗いその廊下を玄関口に向かって、彼に肩を抱かれたまま歩く。暗い窓に映る僕の顔は、雨雲が広がる空模様のように曇っていた。 ◆ 異物を体内に挿れられて電車に乗ったり、階段を何度も登り降りしたせいなのか、彼のマンションの部屋に着いた頃には僕の顔は真っ赤になって息も荒くなっていた。情けないけれど、彼に抱えられるようにされて何とか立てているような状態だ。周囲の人にはどう見えていたのか。具合が悪くて、友人に介抱されながら家路につく高校生、という風に見えていれば良いのだけれど。 「聡司、靴脱げるか」 「ん……」 片足を上げて靴紐を解こうとすると、姿勢が変わったせいで異物が僕の中を刺激した。 「ん、ああっ」 「…すっげぇエロい顔になってる」 彼は力の入らない僕の体を玄関に横たえると、スルッと頬を撫でて微笑んだ。そして、だらしなく投げ出した両足から靴を脱がせる。僕は黙ったまま、涙に濡れた目でそれを眺めていた。 ついでのように靴下とスラックスまで脱がされた僕は、再び彼に支えられ、バスルームへと連れ込まれる。下着は色が変わり、足の間にはローションが伝い落ちていて気持ちが悪かった。 バスルームは二人で入っても窮屈ではないほどの広さがあった。 僕はそこで壁に向かって手をつかされ、上を着たまま下着を膝まで下ろされる。 「外すぞ」 言うと同時に彼は僕の中からアナルプラグを引っ張り出した。 ヌチャ。ズルッ。 「ふ、……あ、はああっ」 僕は背中を反らせて喘ぎ声をあげた。お腹に力が入って、奥に溜まっていたローションが押し出される。 「すげ……。すぐ挿れてーけど…ちょっと待ってろ」 彼はプラグを足元に置くと、バスルームから出て行った。僕は立っていられなくて床にへたり込んでしまう。 「これが…」 僕の中に入っていたのだ。目の前の床に置かれた黒いアナルプラグを見ながらボンヤリと思った。挿れられた時はあんなに苦しかったのに、こうして見ると意外と太くない。でも動くたび、これが中にこすれて刺激され、気持ちよくてたまらなかった。 『部屋に着く頃には聡司のココ、グズグズのトロットロになってるよな?』 保健室で彼に言われた言葉が蘇る。 その言葉通りになっている自分が情けなくて、目から新たに涙がこぼれた。 ガチャ。 バスルームの扉が開いたのに驚いて目をやる。彼はシリンジの入った小さなバケツを手にしていた。 「流石にもう立ってらんねーか。じゃ、座ったままやろうな?」 バケツにお湯をためると、彼は僕を後ろから抱えるようにして床に座った。 「聡司。俺にもたれて。そんで足、広げて」 手に薄いゴムの手袋をはめ、シリンジにチューブを取り付けながら彼が言う。 「足、俺の足に乗せよっか」 言われた通りにするしかない僕には、彼が何をしようとしているのか分かっていた。彼は楽しそうにバケツのお湯をシリンジに吸い込ませている。 「ゆっくりやるからな」 チューブの先が僕の尻の穴に挿れられた。指でグイッと押されたそれは、抵抗もなくスルッと内部に入っていく。彼のものを何度も挿れられたソコは、その程度の細いものでは物足りなさを感じてしまうほど馴らされていた。 彼がシリンジのプランジャーをゆっくりと押し込むと、僕の中に温いお湯が入ってきた。 「ん、んっ」 本来、排泄しかしない場所にお湯が入ってくる。実際には大した量が入ったわけではないのに、強制的に腹を膨らまさせる恐怖を感じた。けれど僕の足は彼の足に乗せてしまったから勝手に閉じることもできない。 彼がチューブを引き抜くと、僕のアナルからは粘ついたお湯が排出された。こうして洗うなら、どうしてローションなんて入れたんだろう。そう思っていると、彼が楽しそうに笑いながら言った。 「媚薬入りなんて信じてなかったけど、ホンモノだったのかもな、あのローション」 「びや……?」 「聡司がグズグズトロトロにエロくなる薬だよ」 言葉の意味を聞いたわけではないのに、彼はそう答え、再び僕のアナルへとチューブを差し込む。 そうして中を何度か洗ったあと、僕は彼に半ば抱えられるようにしてバスルームから出た。服を全て脱がされたあと、タオルで包まれ、軽く水気を拭かれる。その間、僕のペニスはずっと勃起していた。彼の言った薬が効いているのだろうか、とぼんやりした頭で考える。 「すげ。エロい顔になってる」 タオル越しに乳首を触られて甘い声をあげてしまった僕の顔を、彼はベロリと舐めた。僕の体はそれさえも快感と感じてしまう。体を震わせ、ペニスから先走りを垂らしてしまった僕を見ると、屋敷は僕の腕を掴んでベッドルームへと移動した。肩にかけられたままのタオルがハラリと床に落ちても気にしない。強引な彼に腕を引かれ、僕は足をもつれさせながらも何とかついて行った。 ベッドの端で軽く突き飛ばされた僕は、うつ伏せに倒れ込む。そして起きあがろうとしたところを彼に押さえつけられ、上からおざなりにローションを垂らされたあと、そのまま挿入された。左肩と頭をそれぞれの手で押さえられ、身動きのとれないままに犯された。 「ああ、あ……っ」 「ナカ、フワフワじゃん……ハハ、最高」 このローションは普通のものなんだろう。熱に浮かされた頭でそう思った。僕をおかしくさせた媚薬を洗い流し、自分はその影響を受けずにセックスを楽しむ。傲慢で自分勝手な彼が考えそうなことだった。最初から、こんな風に無理矢理突っ込んでも感じてよがってしまう僕を鼻で笑いながらセックスをするつもりだったのだ。 「いつもより気持ち良いだろ、聡司」 「い、気持ちいい……」 口を開けば唾液が出てしまう。突かれるたびに僕のペニスからは潮が吹き出してシーツを汚していく。みっともない痴態に羞恥を覚えても、媚薬に溶かされた僕の頭はもうマトモに物事を考えられなくなっていた。 「おく、おくぅ……ん、んぁっ、ああ、あ」 「かわいいな、おい」 「もっと、んんっ」 ねだればペニスを奥まで突っ込んでくれる。寂しい腹をもっと埋めてほしくて、僕は自分から尻を擦りつけた。 「なんだよ♡ かわいくおねだり、やれば出来んじゃん♡」 彼は僕のアナルの奥までペニスを入れたまま、突き当たりをグリグリと押してくる。そんなことをされたら奥の奥まで入れて欲しくなるから止めて欲しいのに、彼は止めてくれなかった。だから仕方なく僕は喘ぎながら腰を上へと突き出してしまう。彼のペニスが奥まで、もっと奥までちゃんと届くように、と。 「結腸抜いて欲しいのかよ」 「ああ、あ、ん……ぬ、て……抜いて欲しい……ッ」 「くそ、たまんねぇなっ」 それからの記憶はない。 頭が真っ白になって、体と心ががぐちゃぐちゃにされてしまったことしか覚えていない。 気が付いたとき、僕は仰向けで彼の首にしがみつきながらキスをねだり、自分から足を開いて彼のペニスを体に受け入れていた。 彼は僕の唇を塞ぐと腰を振り、結腸までペニスを収め、そこで小刻みに動かした。僕は射精感に身を震わせ、しかし何も出すことはできず、ただドライで何度も絶頂した。 次に目を覚ましたとき、僕は彼の腕の中にいた。後ろから抱かれる形でベッドに横たわっている。 まだボウッとした頭でも感じられるほど、体はベトベトのままで気持ちが悪い。取り敢えずベッドから抜け出そうと身を捩ると、腹の奥に快感が走った。彼のペニスがまだ入っている。 「あ、な、なんで」 「んー? 起きたのか」 「あ……」 「明日祝日だしさ、まだまだヤレるぜ? お前ん家には連絡したから心配すんな」 横たわったままの僕は、彼に後ろから片足を抱えられて奥を突かれる。媚薬のせいなのか、いつもより敏感になってしまった体はすぐにグズグズと溶け、僕の息は熱を帯びる。 「媚薬、二時間しか効かねぇらしいんだけど」 笑いながら彼が言ったけれど、彼のペニスが気持ちよくてたまらない僕にはもうどうでも良いことだった。 彼の形を覚えてしまった穴はキュウキュウとペニスを締め付ける。そうすると快感は増し、僕は喘ぎ声をあげながら腹の中がうねるのを自覚した。 「くっそ、何回出させるつもりだよ、おま……!」 ガツガツと腰を打ちつけられる僕のアナルからはヌチャヌチャと音がする。ローションと精液の混ざったものが泡立ち、僕の足とシーツを粘つかせていた。 媚薬入りのローションなんて眉唾なもので、こんなになってしまうとは思わなかった。自分から抱きついてねだり、記憶が飛んでもまだ快感を追っている。無理矢理されているのに、それさえも興奮材料のひとつとしか捉えられない。 嫌なのに、して欲しいという滅茶苦茶な感情に翻弄されながら、その日の夜が更けるまで、僕は彼に犯され続けた。 —- 去年の五月頃に途中まで書いて放置していたものを発掘したので、修正&最後まで書き足しました。