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Mibusaki
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巨人球児の上下関係(前)約8000字

部室のドアを乱暴に閉じる音が響く。つまるところ、小坂は隼朝陽のことがどうしても気に入らないのだった。春に入部してきたばかりの新人が、いきなりスタメンに抜擢されるなんてありえない。しかも、その実力は国内最高峰と謳われるこの野球部内でも、まさに上澄みの中の上澄み。そして何より、朝陽の身体――200メートルを軽く超えるその巨体は、まさに別次元の肉体だった。肩幅は小坂の1.5倍近くあり、ガッチリとした太ももの太さは小坂の胴回りに匹敵する。プロの選手ですら顔負けの身体。均整の取れた圧倒的なガタイを誇り、それでいてまだ成長期の途中だというのだから信じられない。それに比べて、既に止まりつつある小坂の身長は163メートル。朝陽との差は、実に53メートルにも及ぶ。デカい奴には負けない、と意地を張ってきたつもりだったが、朝陽はあまりにも格が違いすぎた。


(……クソッ、俺だって宇宙に出れば……)


小坂は苛立ちを硬球にぶつけ、力任せにネットへと投げつけた。この星では小さく見える自分でも、宇宙に出れば話は別だ。自分より弱い種族なんて星の数ほどいる。それに、小坂には巨大化適性値がかなり高いという自負があった。部内の背の高い連中と比べても、その数値は頭一つ抜けている。つまり、宇宙に出さえすれば、普段は見下ろしてくる周りの奴らより巨大な身体を手に入れられる。自分より弱い存在を蹂躙できる立場になれるのだ。その確信こそが、小坂のコンプレックスを支える唯一の盾であり、実力に見合わない尊大な態度の理由でもあった。


(あいつだって……宇宙でなら俺以下のはずだ……!)


だが、その考えに固執しすぎたあまり、小坂は想像すらしていなかった。朝陽があらゆる面で自分を遥かに凌駕する、まさに格上の巨人であるという現実を。



ーーー



「よお、朝陽。早いな」


「おー、お疲れ。今日は俺、当番だからさ」


同級生の部員と軽快に挨拶を交わす朝陽。相手は彼の肩ほどの高さしかないため、話を聞くときはいつも大きく背をかがめている。その仕草は自然で、気遣いに満ちているように見えたが、朝陽の膝が地面に近づくだけで、まるで山が動くような威圧感があった。立っているだけで周囲の空間を支配する巨体。部室のドアをくぐる際には上半身をかなり曲げなければならず、それでも頭が天井に擦れるほどにデカかった。


「おい」


和気あいあいとした雰囲気を切り裂くように、刺々しい声が響く。朝陽が振り返ると、目線の高さには誰もいない。だが、すぐに相手を察して顔を大きく下に傾ける。その動き一つで、朝陽の首筋から背中にかけての筋肉が波打つようにうねる。


「小坂先輩、お疲れ様です!」

「お疲れ様です!」


朝陽は立派な巨躯を折り曲げ、丁寧に礼をする。だが、本来なら敬意を示すその動作すら、小坂には屈辱的だった。モデル並みどころか、人間離れした朝陽の腰の高さを目の当たりにさせられているようで、苛立ちが募るばかりだ。


「お前ら遅えんだよ。俺が来る前に準備終わってねえといけねえだろ。ん?」


小坂は積まれた用具のカゴをジロジロと見回し、下から覗き込むように1年生たちに睨みを利かせる。朝陽の目の前に立つ小坂は、言動も体躯もまるで子供のようだった。

辺りの空気が重く沈む。意地悪な物言いも態度も、入部して数ヶ月も経てば「この人はそういう人だ」という暗黙の了解の元に置かれる。1年生たちはそれぞれ苦々しい表情を浮かべながらも、縦社会の習わしに従い、決まり文句のように謝罪する。


「すみませんでした!」

「すぐ終わらせます!」


一通り言いたいことを吐き出すと、小坂はそのまま部室へと消えていった。姿が見えなくなったのを確認すると、1年生たちの口から愚痴が漏れ始める。


「なんだよあいつ、授業終わってすぐ来たんだからこれ以上早くできるわけねえだろ」


「そもそもあいつだけ、いつもやたら早いよな。手伝いもしねえくせに文句ばっか言いやがって」


「友達いねえから校舎にいてもやることねえんじゃねえの?」


小坂の傲慢な態度に、後輩からの敬意などあるはずもなかった。入部当初は戸惑いながら受け入れていた1年生たちも、今では「彼は嫌われて当然」という共通認識を完全に築き上げていた。


「まあ、そう言うなって。小坂先輩にも事情があるんだよ。ほら、さっさと終わらせようぜ」


そんな中、朝陽だけは唯一、小坂の肩を持つような発言を続けていた。彼が用具を手に持つと、カゴ一つがまるで玩具のように小さく見えた。


「お前、相変わらずだな。小坂のこと嫌じゃないのかよ」


「まあ、あれくらい可愛いもんだよ」


歯を出して笑う朝陽の顔を夕日が鮮やかに照らし出す。その快活で爽やかな表情は彼の魅力を一層引き立てるが、同時にその反対側には深い影を落としていた。


「あれくらい、な」



ーーー




「おらおら! 潰れろ、チビ虫ども!」


小坂の素足が道路を埋め尽くす矮小な人間たちを次々と踏み潰していく。足が地面に叩きつけられるたび、ぐちゃり、プチプチと湿った音が足裏に伝わる。潰された人間の血と肉がアスファルトに飛び散り、小坂の足元はすっかり赤黒く染まっていた。外堀を埋めるように群衆を追い詰め、逃げ場を完全に奪ってから一気に踏み潰す。小坂の最近のお気に入りの方法だった。恐怖に歪む顔、絶望的な叫び声、そして無力な抵抗――それら全てが小坂の興奮を煽る材料でしかない。25メートルの彼の足裏は一歩で数十人を覆いつくし、道路に小さな染みを刻み込んでいく。


「お前ら、マジでちっせぇよな! でっけぇ俺様が全部潰してやるよ!」


普段は見上げるばかりの人間たちを、今度は自分が圧倒的な高みから見下ろす。矮小な存在を蹂躙するこの感覚は、現実での屈辱を忘れさせる唯一の薬だった。学校ではチビと蔑まれ、163メートルの身長を恥ずかしく思う日々。しかし、この調査惑星では、小坂は誰も太刀打ちできない巨人だった。ビルも電車も飛行機も、全てが彼の掌や足裏で簡単に壊せる玩具に過ぎない。まるで特撮アニメの怪獣になったかのような錯覚が、小坂を支配していた。一度その快感を味わってしまったら、もう抜け出すことはできない。破壊と支配の衝動が、彼の心を黒く染め上げていた。


「おら、潰れろや!」


小坂の足がバスに振り下ろされ、ぐしゃりと鈍い音とともに車体が潰れた。足裏にぬめついた血と油の感触が広がる。彼はそれを楽しむように、さらに力を込めて地面を抉った。アスファルトがひび割れ、鉄骨が歪む音が響き渡る。小坂は目を細め、ロータリーに並ぶ残りのバスの群れを見つめた。そして、1台1台を勿体ぶるようにしながら、ずんずんと足を踏み下ろしていく。足の下敷きになったバスは粉々に破壊され、足跡の中には人間と鉄の残骸が混じり合った残りカスだけが散らばっていた。バスを踏み潰すたびに、小坂の口元に歪んだ笑みが広がる。


「はい、残念。逃げられるわけねぇだろ?」


一台のバスが必死に逃げ出そうとするのを見て、小坂はニヤリと笑った。ドスンと目の前に足を踏み下ろすと、バスは避けきれずに衝突。運転席からぺしゃんこになり、タイヤが地面にめり込んだ。彼はそのバスを鷲掴みにし、顔の高さまで持ち上げる。指の間から覗く乗客たちの恐怖に歪んだ顔が、小坂の興奮をさらに煽った。まるでミニカーのようなサイズのバスを手の中で軽く握りしめる。


「へっ、ちょうどいいな。俺ももう限界なんだよ……」


ぶるんっ! ばちん!


小坂はボクサーパンツを脱ぎ捨て、勃ち上がったチンコを剥き出しにした。それを乗客に見せつけるように振ると、ぴちゃぴちゃと我慢汁が飛び散り、駅前広場を汚していく。彼の逸物はバスの全長を超えるほどの大きさで、獲物を前にした獣のようにビクビクと脈動していた。現実では決して味わえない、この圧倒的な優越感。小坂は自分が神にでもなったかのように錯覚していた。


「ほら、デカいだろ? 俺のチンコ。お前らのバスよりデカいんだぜ?」


13メートルのチンコをぐぐっとバスに寄せ、そのまま軽く擦り付ける。車体が軋み、中の人間たちから小さな悲鳴が漏れた。その音に反応するように巨根がびくびくと脈動し、先端からさらに粘液が滴り落ちる。小坂の息が荒くなり、心臓が激しく鼓動した。この瞬間、彼は完全な支配者として君臨していた。


「じゃあ、お前らは今から俺のオナホな。俺の巨根に潰されろや!」


濡れそぼった先端を潰れた運転席に押し当て、小坂はそのままバスよりも太い巨根を捩じ込もうとした。車体が軋み、金属が悲鳴を上げる。乗客たちの絶叫が一層高まり、小坂の興奮は頂点に達しようとしていた。その瞬間――。


ズッドオオオオオオン!!!!!


大地を揺るがすほどの衝撃が襲い、小坂はバランスを崩して転倒した。引き締まった背中と臀部が駅ビルを押し潰し、コンクリートの破片が四方に飛び散る。鈍い痛みが全身を走り、小坂は呻き声を上げた。


「ってぇな……何だよ、いったい……」


身体を起こした小坂の目に飛び込んできたのは、逞しく完璧な肉体だった。日焼けの跡がくっきりと刻まれた健康的な小麦色の肌、隆起する筋肉が織りなす神々しさすら覚える巨体――それは、部内で今最も気に入らない男、隼朝陽だった。


「あれ、小坂先輩じゃないすか。奇遇っすね」


朝陽の声が遥か上空から響き渡る。その足元では、小坂が後のお楽しみに取っておいたオフィスビル群が、砂の城のように蹴散らされていく。朝陽は特別な動作もせず、ただ歩いているだけで全てを破壊し尽くしていた。


「は、やぶ、さ……お前……」


小坂が起き上がると、遠くにいたはずの朝陽が一瞬にして目の前にそびえ立っていた。驚愕したのは、調査惑星での偶然のバッティングだけではない。

小坂の目線に映るのは、男らしく濃い毛の生え揃った朝陽の脛――自分が朝陽の膝下にも満たない、矮小な存在であるという事実だった。そのスケールは小坂の想像を遥かに超えている。朝陽の巨体は優に800メートルを超え、一歩踏み出すたびに地面が震えている。彼は足1本で小坂の全身を軽く凌駕し、その太腿はまるで巨大な柱のようにそびえ立っていた。朝陽の影が地面を覆い尽くし、小坂はその闇の中に飲み込まれたかのようだった。小坂はまるで蟻のように小さく、朝陽の足元で震えるしかなかった。


「あれ、小坂先輩、でかくならなかったんすか? 先輩、結構巨大化適性あるって聞いてましたけど」


朝陽は普段通りの爽やかさを纏っているが、声色や表情には嘲りの色が混じっていた。その些細な違いに勘づいた小坂は、目の前の巨人にいつもの調子で悪態をつく。


「違う! 最初はちょっと元の大きさで遊んでからデカくなろうと思ったんだ。それなのに、お前が勝手に来たんだろうが! そこのビルだって残しといたのに、悪びれもせずに潰しやがって……ッ!?」


だが、その言葉を言い終える前に、小坂の頭は地面に叩きつけられていた。


「ガッ……!? 何……して……」


揺れる視界。小坂の身体が宙を舞う。地面に叩きつけられ、朝陽の方を見ると片方の脚が前方に浮いている。そこで初めて、蹴り飛ばされたのだと気づいた。

体勢を直す間もなく、150メートル超えの朝陽の素足が、小坂を容赦なく踏みつけた。


「ぐあッ……!お前……ふざけんな……!」


ぎりぎりと身体を押し潰される感覚が全身を襲う。じとりとした汗と土の混じった匂いが鼻をつき、息が詰まる。わざとらしく顔にあてがわれた足指の隙間から覗いた朝陽の顔は、まるで虫けらを見下ろすような憐れみを帯びていた。朝陽の足裏の重みに小坂の骨が軋み、身体が地面にめり込んでいく。


「馬鹿なこと言ってんなよ、小坂。お前がバッティングしたんだろ?自業自得だろうが」


低く重たい声が頭上から降り注ぐ。普段の明朗快活で優しい後輩の姿は、微塵もなかった。代わりに見下ろす朝陽の目は冷たく、ゴミでも見るかのように小坂を見下ろしている。朝陽の足がわずかに動くたび、小坂の身体がさらに地面に押し込まれ、土と血が混じり合った泥が彼の顔にこびりついた。


「お前……自分が何してんのか分かってんのか! 俺は先輩だぞ!? ふざけやがって!」


踏み潰されながらも必死に怒鳴り散らす小坂を、朝陽はさらに強く踏みつけた。地面がひび割れ、小坂の身体が軋む音が響く。彼の肋骨が悲鳴を上げ、内臓が圧迫される感覚に息が詰まる。だが、小坂のプライドはまだ折れていなかった。朝陽に負けるわけにはいかない――その思いだけが彼を支えていた。


「立場を弁えるのはお前の方だろうが。惑星探査の規則で決まってんだろ。調査惑星が重複した場合、予約順番に関わらず巨大化適性値の低いやつが即座に場所を譲る。知ってんだろ?」


それは、巨大化適性値の低い調査員が誤って他の調査員に潰されるのを防ぐための規則だった。惑星探査の知識を叩き込まれている小坂が知らないはずはない。しかし、常に自分が優位だと信じて疑わない小坂は、今の自分には関係の無い話だと思っていた。


「それがどうした……!俺は適正値A+ランクだぞ!学年でも5本の指に入る!誰にも負けねえくらいデカくなれる!それを知ってて言ってんのか!?」


鬼気迫る表情で叫ぶ小坂を見て朝陽は足を軽く持ち上げ解放した。だが、それは慈悲ではなく、次の行動への準備に過ぎない。彼は一歩下がり、小坂を見下ろしながら笑った。その笑顔は、普段の様子からは想像もつかない冷酷で支配的なものだった。


「へー、結構やるんだな、お前。口だけで偉そうにしてんのかと思ってたわ」


完全に馬鹿にしきった朝陽の口ぶりで朝陽が足で軽く小突く。それだけで小坂の身体は跳ね上がり、瓦礫の中に叩きつけられる。痛みに呻きながら、小坂は這うようにして立ち上がろうとした。だが、朝陽の次の言葉に小坂の身体は一瞬で凍りついた。


「俺、適正値Sランクな。全項目オール最高値だから、評価的には収まりきってないって方が正しいけど。なんだ、2年生ってレベル低いんだな」


その瞬間、朝陽の身体が膨張し始めた。大地を揺がし、大気を散らしながらグングンとさらに大きくなっていく。巨大化が止まったときの朝陽の身長は2000メートルを優に越えていた。人間の街1つを丸ごと覆うほどに巨大で、深い影を地面に落としている。小坂はその足元で、まるで小動物のように小さく震えていた。朝陽の足裏が再び振り下ろされ、小坂は逃げる間もなく再び押し潰される。今度は全身が地面に埋まり、あまりの圧力に意識が薄れていく。


「ほら、巨大化しろよ。このままじゃ、お前がこいつらを潰したみたいに、俺もお前のこと踏み潰すぞ?」


(ふ、ざけんな、よ……!!!)


朝陽の声が遠くで響く。踏み潰されたくない。その一心で小坂も何とか巨大化した。およそ1600メートル強。倍率にしてお互いに約10倍。まだまだ序の口とも言えるサイズで人間の街の上にそびえ立った。


「おー、いつもの景色だな。それで10倍とか……やっぱ元が小さいとデカくなっても小さいままだな」


朝陽は身長が小坂のコンプレックスだと知って、わざと心を抉るように攻勢を仕掛ける。小坂も普段ならその挑発に怒鳴り返すが、今は目の前の生意気な後輩が自分よりも格上の巨人だという現実にすっかり打ちひしがれていた。


「ほら、チビは俺みたいな巨人に簡単にあしらわれるんだぜ?こうやって……な!」


朝陽は一瞬で小坂の下に潜り込むと、子供でも持ち上げるかのように横向きで肩に担ぎあげた。


「やめろ!下ろせ!!!」


駄々をこねるように暴れる小坂だが、朝陽の体幹はまるで地に根を張ったかのようにビクともしない。そのまま暴れる小坂を担ぎながらずんずんと歩き、残った街並みの上に放り投げた。もはや足首にも満たないサイズになった街をすり潰しながらゴロゴロと転がっていく。


「ほーら、押し潰してやるよ。チビ」


転がされた小坂の上に朝陽が馬乗りになる。呻き声を上げて小坂の全身がビクンと全身が震えた。朝陽はそのまま自分の巨体を見せつけるようにうつ伏せになってずっしりとのしかかる。


朝陽の巨体が小坂の上にのしかかった瞬間、小坂は内蔵が迫り出すような呻き声を上げた。2160メートルにも及ぶ朝陽の肉体がのしかかる圧倒的な質量が、小坂の小さな身体を押し潰す。粉々になったコンクリートの破片が飛び散った。


「うぐっ……!ッは……ッ!」


喉から絞り出した呻き声も、朝陽の重さに埋もれてすぐに消える。小坂はのしかかる筋肉の重圧から逃れようと必死にもがいた。両腕を振り回し、足をバタつかせて抵抗を試みる。しかし、朝陽の筋肉質な腹部と太腿がまるで鉄壁の城塞のように動かない。まるで巨大な山に押し潰されているかのようだった。朝陽がわざと体を揺らすたび、骨が軋み、全身に鈍い痛みが走る。息が詰まり肺が悲鳴を上げる中、小坂は歯を食いしばって朝陽の顔を見上げた。


その視線の先で、朝陽は笑っていた。白い歯が夕陽に映え、普段の部活で見せる快活な表情がそこにある。だが、その目は違った。いつもは温かみのある光を湛えていた瞳が、今は冷たく鋭い刃のように小坂を貫いている。そこには弱者を完全に支配し、見下す強者の雄の視線しかなかった。


「ほら、もっと暴れてみろよ。頑張ったら抜け出せるかもしれないぜ?」


朝陽がからかうように言い放つ。その声は低く、余裕に満ちていて、小坂のプライドに突き刺さった。そんなこと到底出来るわけがないと、完全に小坂を小馬鹿にした発言だった。


「ふざけんな……! 俺だって……!」


小坂は歯を食いしばり、さらなる巨大化を始めた。これ以上朝陽に馬鹿にされるわけにはいかない。怒りと屈辱の混ざりあった思いが彼を突き動かした。


目を閉じ、全身に力を込めた。すると、身体が膨張を始め、全身の筋肉が引き伸ばされる感覚が広がる。地面が遠ざかり、調査惑星の街並みがみるみる小さくなっていく。身体が地面にずぶずぶと沈み、ビル群が砂粒のように見えるほどのサイズすら越えていく。


「っはは、やれるだけやってみろよ」


朝陽もそれに合わせて巨大化していく。2人の身体は惑星を揺るがし、人智を超えた質量で惑星を核から粉砕した。


「どうだ……これが俺の本気だ!」


約16000キロメートル――息を荒げながら、朝陽を睨みつける。叫んだ声は星屑を震わせた。対する朝陽は約2160キロメートル。初めて小坂の顔を見上げていた。自分の巨体を誇示するように朝陽に迫る小坂。自分が優位に立つやいなや、途端に威圧的になるその態度に朝陽は哀れみすら覚える。小坂の姿を見ても、朝陽は動じなかった。


「へえ、頑張ったな」


それどころか、鼻をフンと鳴らして


「…………それで、全力か?」


と軽く首をかしげた。その態度に、小坂の喉がヒュッと締まる。次の瞬間、朝陽の身体が再び膨張を始めた。ぐんぐんと成長するその姿は、小坂の想像を超える速度で大きくなり、星々すら霞むほどの巨体へと変貌していく。せっかく巨大化した小坂の身体すら簡単に揺るがし、その振動に耐えきれずよろめいた。小坂の顔から血の気が引いていく。


「ま、こんなもんか」


朝陽の巨大化が止まったとき、彼のスケールは小坂の10倍以上————20万キロメートルを超えていた。周辺の惑星は、もはや朝陽の顔にも満たない。絶望する小坂の目の前にそびえ立つのは、朝陽の巨根だった。それだけで小坂の全身を凌駕する大きさ。あまりのスケールの違いに、小坂は膝が震え、思わず逃げ出しそうになる。


「よお、チビ」


しかし、その一声で本能的に逃げられないのだと悟る。遥か上から響く朝陽の声。低く、余裕に満ちたその口調に、小坂は震えが止まらない。


「まあ、これくらいのサイズで十分だろ。このまま星をオナホにして潰すから、お前も手伝えよ」

Comments

小坂君もなかなかの巨大さと派手な暴れっぷりですが、 朝陽君は更に別格ですねぇ……! ふだんから余裕ありそうな感じな上で蹂躙も上回れたものだから、 小坂君的には立つ瀬がないでしょうね~。

曹達(ソーダ)

序盤の、朝陽の規格外のでかさを感じる描写がとっても好きです……! 「朝陽の膝が地面に近づくだけで、まるで山が動くような威圧感があった。」とか 「その動き一つで、朝陽の首筋から背中にかけての筋肉が波打つようにうねる」とか…! 小坂の暴れもなかなかすごいんですが、やっぱ朝陽とは比べ物にならないですね~ 巨大化適性だけは……!で保っていたプライドすらへし折られてしまって…… このまま小坂もオモチャにされちゃうのでしょうか…

ichiya / ichiarrow


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