ポニー合宿(仮) 2
Added 2019-05-25 16:42:12 +0000 UTC(注)FANBOXにて先行公開する作品は執筆中のため、後に一部内容が修正される可能性があります。ご容赦ください。 隣の馬房から聞こえていた着付けの音が止まった。本番になれば鉄格子ひとつを境にして通路も隣も丸見えなのだが、今はカーテンを閉められているから見えることはない。それでも澄歌……いや、ミカが服を脱ぎ、拘束具を着け、馬へ変わっていく姿は鮮明に想像できてしまった。 「お待たせ。次はカナの番だね」 「はい。よろしくお願いします、ご主人様方」 入口のカーテンを開かれ、連れられるままに通路へ出る。馬房の中はかなり狭いから着付けに適さないのだ。もう中に馬がいるのであろうミカの部屋も、私よりさらに長い順番待ちで焦れているはずの妃菜の馬房もしっかりカーテンを閉じ切られていた。 まずは通路で平伏。まだ新品である土の床は私のデニムパンツをほとんど汚さなかった。挨拶を終えて立ち上がり、自分の手で人間の証である衣服を脱いでいく。二箇所の出入り口は開いたままのそこで裸を晒す開放感を味わい、生まれたままの姿に戻れば服を畳んで横に置き土下座。もちろん湿りかけの下着のクロッチは開いて上に置いた。 「よくできました。……でも、あなたが奴隷でいられるのはここまで。尊厳を奪われる覚悟はいい?」 「もちろんです。どうぞこの雌奴隷めを、下賎な雌馬へと貶めてくださいませ」 「いい仔。じゃあ、始めるよ」 まずはボディハーネスを着ける。ラバーポニーも良い気はしたけれど、せっかく見られる心配のない太陽の下。今回はわたしも裸馬だ。胸元を絞り出し、胴体に金具をいくつか纏わせる。股には細いハーネス二本を左右へ柔らかく通して秘部を開かせるように。ミスト・スランバーの創意工夫によるものか、ハーネスの着用感は痛くなりそうにない良好なものだった。……しばらく痕が残るのは覚悟の上だ。 これだけでも興奮は起こしてしまうが、仕方ないだろう。そういう風に躾られているのだ。 「次、腕出して」 「はい」 今回は三頭の馬それぞれで腕だけ拘束方法が違うらしい。姿勢からして変わるからバリエーションとして試しておく、とかなんとか。わたしの担当は後手拘束らしい。 背中側で肘を抱いて向け、そこに袋状の拘束具を被せる。縦ではなく横のアームバインダーといった雰囲気だろうか。袋を締め上げて胸にベルトを回し、ハーネスへ固定。これだけでわたしの腕はなくなったみたいにコンパクトになってしまった。 「改めて、しっかり浣腸をしておこっか」 厩舎の通路を貫いて水を流す側溝を跨いでオリ様──先日から“ご主人様”が二人になったので、自然とこう呼ぶようになっている──へ尻を突き出し、肩は正面のシノ様に投げ出す。下品ながに股で突き出したお尻に大きな注射器のような浣腸器が突き刺さる。 「あっ、ぁ……あーっ……」 お浣腸は普段からしないこともないが、今回はいやに雑だった。快感の前座ではなく、ただ洗浄行為として行われていることが嫌でもわかる。 数分後、馬として然るべき処置を終えたわたしは頬を染めもせずに肩で息をしていた。 「そのままね」 「はい……んぅっ」 ポニーガールがお尻を綺麗にしたら? 疑うべくもない。尻尾を与えられるのだ。 準備万端の肛門へプラグが挿入され、不覚にも少しだけ感じてしまう。今のわたしのような奴隷には少し細いそれだけで済むわけがないとわかっていてもだ。 「膨らますよー」 「……ぁ、あ、あっ、あ、」 「おもちゃみたいな反応ね?」 プラグから垂れた小さな袋を握る。プラグについているバルーンに空気が入る。それが一定の大きさを超えるとわたしも無視できなくなり、穴の中で大きくなるたびに声が勝手に漏れるようになってしまうのだ。 一度体験すればわかる。この内蔵を直接脅されるような感覚には、人間はそもそも抗えない。それをこの二人はわかった上でやっている。 「はっ、はふ、ふぅっ……」 「可愛い尻尾が生えたね。そんなにお尻揺らしちゃって」 「随分と気持ちよさそうだけど、馬はずっとそれよ。大丈夫?」 「ん、ぅ……たぶん」 バルーンプラグのポンプ部分だけが外されて、弁のついたごく細い通気口が毛並みに隠れた。この排気弁はポンプを繋げなければ開かないから、わたしはこれであの手のひらサイズの黒いゴム塊に排泄を握られてしまったわけだ。ぞっとするし、興奮する。 何度か足踏みしてみて、バルーンの擦れ方を確認。多少の快感と引き換えに普通に歩けることがわかった。 「次はこれ。上からね」 そして当然のように貞操帯。以前ひどい目に遭ったような内側に玩具のあるものではない。純粋に股を封印するための、拘束具としてのそれだ。 それでわたしたちは快楽の自由を奪われる。家畜が勝手にオナニーするだなんてどう考えてもおかしいだろう。我慢しきれず壁か何かで発散してしまわないための、間違いなく必要な措置なのだ。 かちり。自分の大切なところに他人の鍵をかけられる被支配感は、何度やっても褪せないもので。 とはいえ、いわばここまでは前座のようなものだ。それぞれ単体では他のプレイでも行いうる。 ここからは違う。見せつけられたポニーブーツは、わたしにも一度として経験がないものだ。 「ほら、脚上げて」 「はい……わ、ととっ」 「不安定でしょ。それが馬の足だよ」 支えられながら片脚ずつブーツを履く。形がしっかりしているのか思った以上の安定感はあるけれど、そもそも爪先立ちを強制されてしまった。内側から圧迫してくるバルーンを無視して、自然と横へ開いてしまう膝をなんとか閉じる。 ……でも、思っていたよりは楽だ。裏に蹄鉄がついている重さのおかげか、バランスが崩れるということはあまりない。重心の掛け方にも気を遣って設計されていたから、その感覚を掴んでしまえば膝を伸ばしての直立すら難しくなかった。 「あら、意外と簡単に」 「綺麗だね、カナ。もう立派なお馬さんだよ」 「ありがとうございます……」 それにしても、どうしても違和感を感じてしまうところがあった。 首だ。奴隷としてのわたしたちはいつも首輪をしっかり締めていたから、首元に何もないのがかえって心細い。だからてっきり今回も嵌めてくれるのだと、愚かにも思っていたけれど。 「最後はこれ。わかるよね?」 オリ様が取り出した最後の道具は首輪ではなかった。 わたしを馬にするためには首輪なんて不要なのだ。今のわたしたちは奴隷でもペットでもない。それを突きつけられたような思いだ。 「んぁ…………」 「ふふ、可愛い。そんなにとろんとしちゃって……ほら、しっかり噛んで」 「あぐ、っ」 かなり凝っているけれど、大まかな形状はいつものハーネスギャグと同じだ。 バイトギャグにわたしの歯型がついたシリコンの轡。ずいぶんと凝った仕様だが、力の入りやすさのテストも兼ねているのだとか。歯型はモニターのために定期的に取られているものを使ったのだろう。 顔の形ぴったりで負担のない、それでいて女を貶める顔面ベルト。頭頂部と口の横から伸びたベルトがうなじで留められ、顎の下にも口を開けないようベルトが通される。これだけで口枷としては完璧である。 「うわぁ、髪が長いとこんなに綺麗になるんだ」 「色もピッタリだったわね。本当に生えたみたい」 だがそれ以外にもついている物があった。わたしの黒髪には目立つ赤いベルトと対照的、髪に溶け込んだようにぴょこんとついた馬の耳。ヒトイヌ拘束に犬耳は定番だけど、この馬耳はちょっと次元が違う恥ずかしさだ。 次に遮眼帯。ブリンカーとも呼ばれる、馬の広い視界を遮って前を見せる器具だ。ある意味で目隠しの一種かもしれない。両目の外側に板状のものがついている。必要に応じて回転させ取り払うこともできるそうだが、実際につけてみると思った以上に視界が狭かった。 そして最後に、銜枝という部品。わたしの両頬でベルトと轡を止めるリングから伸びて、口の前を大きく曲がりながら飾っている。ある意味でわたしに一番、自分は家畜なのだと自覚させる視覚的な部分だった。 だって、これ。 「お前にとって、これからまず信じるべきものはこの手綱だからね。手綱がどう動いたら何をすればいいか、今日からみっちり叩き込んであげる」 「ンム、ムゥゥ……」 そう、この銜枝の両端に手綱がつけられているのだ。わたしにはもう首輪なんて要らない。だって、この馬銜についた手綱がわたしを家畜にしてくれるのだから。 いつの間にか呼び方も変わっていたオリ様を前に、わたしは精一杯胸を張る。馬らしく直立してみせ、しばらく維持すればオリ様の表情も緩んだ。 「それじゃあ、後で呼ぶから。しばらくここで待っててね」 「ング、フゥッ」 こつ、こつ。 蹄鉄が通路のコンクリート床と音を立てて、厩に入って藁と土に遮られた。手綱を、馬銜ごと引かれる感覚に酔いしれているうちにオリ様は手綱を壁の金具へ括りつける。いつもなら落ち着くまで待ってくれる。その差異こそに昂ってしまう。 だがわたしは馬だ。性奴隷でもなんでもないのだから、貞操帯の隙間からヨダレを垂らしてしまうようなはしたない雌穴に快感のひとつももらえない。わたしたちの役目はそれではない。 鉄格子が閉じる。南京錠が掛けられて、わたしは馬として狭い厩に閉じ込められた。カーテンま で閉じて隔離が終われば、今度は隣の馬房が開く音がした。