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【無料小説】体格差が及ぼす支配的洗脳の影響①~大きくなった後輩の圧力~

とにかくこの冬は、お金が無かった。 大学生4年最後の冬休み。既に大学院へ進学することが決まっていた俺は、しかしロクな生活費すら持ち合わせていなかった。 「今日もスーパーで半額弁当かな…」 特に何のタスクも無い状態の俺は、研究室の自席に座り、そんなことを呟きながらぼーっと頬杖をついていた。数か月前にバイト先の居酒屋が潰れてから、どうにもバイト面接が上手くいかず。結局、この2,3か月は貯金を切り崩しながら極貧生活を送っているに等しかった。 カタカタッ…… そんな中、研究室にキーボードの音が響いている。この研究室には学生があまり多くなく、同学年には俺一人しかいなかった。一つ上の男の先輩が2人と、後はつい最近、一学年下の女の子が入ってきたくらいだ。 その宮下という後輩は、初めて自分で考えて行う"学生研究"というものに悪戦苦闘しているようだった。何せ、研究の仮説や実験内容をいきなり考えろと言われてもなかなか難しい話だ。宮下は毎週のように研究室の定例ミーティングで自分の研究計画を発表し、教授にダメ出しされながら何とか食らいついているようだった。 「先輩、論文ってどうやって探してます?」 と、机の対面に座っていた宮下がこちらに問いかけてきた。 「ああ、それならここのサイトが…」 自分の経験を元に質問に答えながら、ふんふんと真面目に頷く宮下の顔をそっと見る。やや小柄で、茶髪のショートカット。濃い赤のふわふわしたセーターに、薄いブラウンのショートパンツという可愛らしい格好は、男ばかりの殺風景な研究室に華やかな風景を持ち込んでいた。 そこまで女子と深く話したことがなかった俺は、当初は宮下との接し方にやや迷っていた。が、後輩として真面目に色々聞いてきてくれる宮下に先輩として答える、という関係性が徐々に構築されてきてからは、自然に話せるようになった。 「なるほど、ありがとうございます!」 「全然いいよ」 笑顔で頭を下げる宮下は小動物のようで、可愛らしいと思いつつも、この関係性はシンプルな先輩後輩の関係でしかないことは明白だった。宮下は真面目に研究に取り組んでいて、少なくとも研究室内の人間を恋愛の対象としては見ていないようだったし、俺も純粋で真面目な後輩をそういう風に見ようとは思わなかった。 「………」チラッ… その風貌が可愛らしいから、たまに思わず見てしまうけれど。小さくて力が弱そうな宮下に感じているのは親心的な感情なのだと、そう思うようにしていた。 ------ 「じゃあ、その方向性で一度実験してみようか」 「っ…!ありがとうございます!」 そして、ある日のミーティング。宮下の研究計画はついに教授のレビューを通ったようで、晴れて実験の準備を進めることになった。…かなり最先端の分野の研究なので、俺も見ていて難しそうだなと思ってはいたのだが。無事にスタートできるらしい。 …しかしこの研究、被験者の募集が必要らしいのだが、上手く集まるのだろうか? 俺は共有チャットに宮下が上げた、被験者募集のPDFファイルを開いた。 ~~~~~~ <学生実験「人体同士の体格差が及ぼす支配的洗脳の影響」の被験者募集> 以下実験を実施するにあたり、被験者を募集する。 【募集要項】 条件:心身ともに健康な大学生の方 1名(男女問わず) 謝礼:500000円 【実験概要】 実験期間:20○○/2/1~20○○/2/28 実験環境:○○大学心理学研究科 B棟 201研究室 対象者:被験者A(縮小者)、被験者B(健常者)  ※なお、被験者Bは実験担当者が担当する。 【実験の流れ】 ・縮小者は201研究室の中で、30日間生活する。 ・縮小者はバイタルチェック用の腕時計を腕に装着したまま生活を行う。 ・研究室にはシャワー、寝具が用意され、1日3食分の食事が支給される。 ・縮小者は1日1回、縮小試験薬C55を10mm投与される。投与は縮小者の身体に合わせ、錠剤、粉末、など適切な媒体により行われる。 ・C55の投与により、縮小者は以下の数値を目安に身体が縮小する。なお、バイタルチェック用の腕時計は身体に合わせて自動で縮小する。  ‐1日目:従来身長の1/2  ‐5日目:従来身長の1/5  ‐10日目:従来身長の1/20  ‐20日目:従来身長の1/100  ‐30日目:従来身長の1/1000 ・縮小者は1日1回、従来の身長である健常者と、研究室内で1時間の面会を行う。 ・面会中、健常者は縮小者に対して、あらかじめ日ごとに決められた指示を与える。縮小者はその指示に従いたくないと感じたら、指示を無視してもよい。その場合、健常者は縮小者に対して指示を与え続けるが、1時間が過ぎたらその時点で面会は終了とする。 ・縮小者は、1時間の面会終了後にバイタルチェック用の腕時計に表示されるアンケートに回答する。アンケートの内容は次のセクションに記す。アンケートの内容は、30日間全て同一である。 ・30日経過後、スプレー式の解毒薬C57を縮小者の身体に吹きかけることで、縮小者の身体を従来身長に戻す。 【アンケート内容】 本日、あなたが健常者との面会中に感じたことを、以下の質問に従って答えてください。 ①健常者に対して、通常の自分らしく振る舞えましたか? ②健常者に接近した際、身体の何らかの異常を感じましたか?(例:体の震え、眩暈、動悸など) ③健常者の身体のうち、一番目に入った部位はどこでしたか? ④健常者の存在に感じたのは、恐怖と包容力のどちらに近いですか?1(恐怖)~7(包容力)の数値でお答えください。 ⑤本日、健常者に与えられた指示に従いましたか? ⑥従わなかった方に質問です。何故従わなかったのですか? ⑦従った方に質問です。従った理由を以下の選択肢から選んでください。  ‐従っても何ら問題がないと感じたため  ‐従いたくなかったが、圧力を感じたため  ‐従いたくなかったが、恐怖を感じたため  ‐従いたくなかったが、健常者の指示には当然従うべきだと考えたため 【備考】 ・縮小者の縮小に合わせ、マルチサイズの寝具、食事が支給される。シャワーについては一定の段階から使用が難しくなるため、タオルやガーゼを縮小させたものを随時支給する。 ・健常者が縮小者に対して危害を加えることを固く禁ずる。しかし、危害を加えない範囲であれば、健常者と縮小者の交流は特に禁止しない。 ・縮小者はいつでも、腕時計から実験担当者にメッセージを送り、個人の都合で実験を中止させることができる。ただし、縮小者の都合で実験中止となった場合は、謝礼金は支払われないものとする。 以上 ○○大学心理学研究科 宮下夏帆 ~~~~~~ 「………」 前から内容を知ってはいたが、この研究は、つい最近発明された縮小薬の副作用を調査するためのものだ。縮小薬は医学的な用途への使い道が期待されているが、身体を縮小させることによる精神的な障害の有無が激しく議論されている。この研究もそれに漏れず、体格差が生む精神的な圧力、恐怖がどれくらいのものなのか、それをアンケート形式で答えさせるという内容だった。 正直、俺はこの研究内容に懐疑的ではあった。体格差があったところで、自分に何も危害を加えてこない人間に対して恐怖心を覚えるだろうか?こういう研究のアンケートで意味のある回答を得るのは、案外難しい。宮下には悪いけど、縮小者はほとんど圧力とか恐怖を感じずに、30日間の実験を終えてしまうのではないか…そう、個人的には思っていた。 それにしても。謝礼金の額である。 (これだけあれば、当分生活が助かるな…) 30日間の拘束という条件を考えると妥当、もしくは少ない方なのかもしれないが、今の自分にとっては好条件。30日間食事がただで出てきて、さらにお金も貰えるのだ。 それに……今回の"健常者"役は、宮下本人で担当するらしい。30日間、いや、一日一時間だけだが、宮下と触れ合える時間があるというのは、そんなに悪くないかもしれない。…いや、決してやましい気持ちがあるわけではないが…。あくまで、謝礼が欲しい。そのために、この実験を手伝ってあげないこともない。 でも、先輩の俺がいきなり立候補するのはそれこそ邪な気持ちなあるように思われそうだ。被験者が集まらなくて本当に困っていたら、助けてあげるくらいでいいかもしれない。 そう、思っていたが。 「全然、応募がきません……」 「そ、そうか…」 研究室の机に突っ伏しながら、宮下が嘆いていた。被験者募集の告知を大学のポータルサイトに上げてから1週間、たったの一人も応募が来なかったらしい。 「早く実験を始めないと、論文が間に合わないんですけど…」 いくら謝礼が弾むからといって、30日間の拘束という強い条件ではなかなか難しいようだった。冬休み期間で暇な学生も多いはずだが、丸一か月拘束されるとなるとハードルが高いというのも頷ける。正直、健常者役がこの宮下であることを知っていたら、結構応募が来そうなものなんだけど…というのはさすがに言えなかった。 「…本当に見つからなかったら、被験者になってもいいよ」 「……えっ、」 突っ伏していた宮下が、がばっと起き上がってこちらを向く。 「本当ですか!」 「う、うん。2月は特に予定もないし…」 「めちゃくちゃ助かります!是非お願いしますっ!」 机に身を乗り出してテンション高めな宮下にやや気圧される。本当に追い込まれていたらしい。…断られるかもしれないと思っていたが、宮下は被験者さえ確保できれば何でもいいみたいだった。 そんなこんなで、俺は1か月家に戻らないための準備を色々と済ませてから。 2月1日の朝、研究室B棟の201研究室へと向かったのだった。 ------ 「改めて、協力してくれて本当にありがとうございます」 研究室で待っていた宮下が、ペコリと頭を下げる。もともと低い身長が、折り曲げられたことでさらに小さく見える。 「いやいや、全然いいよ。どうせ暇な冬休みだったし」 予定が特になかったのは本当だった。お金が無いので、どこかに遊びに行くことすらできない経済状況なのだ。 「…1か月間、ここで過ごすのか」 10畳くらいの研究室を見回す。もう誰も使っていない空き研究室となっていた201室は、生活するためのベッドと机、椅子が置いてあるくらいのもので、他はとくに家具もない殺風景な部屋だった。床はカーペット上になっていて、部屋の中には靴を脱いで上がるスタイルになっている。部屋の奥には簡易シャワーが設置されているが、湯船までは用意されていないようだ。 「結構退屈だと思いますけど、大丈夫ですか?」 「まあ、ぼーっとするのは得意だから。それに謝礼も貰えるしね」 「あはは、それが本音ですかー?」 無邪気に笑う宮下の笑顔が眩しい。 「じゃあ、とりあえず注意事項を読みますね。もう知っているとは思いますけど」 宮下は、被験者の募集要項にも書いてあった注意事項を改めて読み上げていく。知り合いとは言え、実験は丁寧に手順を踏んで進めなければいけない。特にこういう精神面を測る実験では、細かな注意事項を認識合わせしておくことが重要だ。 「…途中で怖くなったりしたら、いつでもやめて大丈夫です。その時はこの腕時計から私に通話してください」 宮下は俺に、バイタルチェック兼アンケート調査兼宮下との通信用の時計を渡す。これが、身体の縮小と共に小さくなっていく代物か。 「ただ申し訳ないんですけど、途中でやめた場合は謝礼をお支払いできないので、そこだけ注意してくださいね」 「あはは、そんなことにはならないと思うけどね」 実際、そう思っていた。身体が縮小した所で、知り合いである宮下に会うだけなのだ。宮下は俺に危害を加えないし、加えられない。そんな状況でわざわざ実験の中止を要請することには、到底ならない気がした。 「頼もしいです!…じゃあ、そろそろ始めましょうか。最初は安全のため、私が見ている状態で一段階目の縮小をしてもらいます」 そう言って、俺は宮下に錠剤を1錠、手渡される。白くて何の変哲もないその錠剤は、しかし研究の最先端で開発されている縮小薬。まだ世間一般には出回っていない、とても貴重な薬だ。 こんな超常的な薬を試せるというのは、普通に役得かもしれない。 「…よし、飲もう」 「はい!一気に飲んでください」 ごくっ、と一息に、俺は錠剤を水で流し込んだ。錠剤が喉を通って落ちていくのを感じる。 「大体どれくらいで効果が出るんだ?」 「胃まで到達したらすぐだと思いますよ?」 と、返答する宮下の声が、既に遠くから聞こえてくるようだった。 (っ………?) 視界が急にぐるぐると回り始め、周りの音が遠く聞こえづらくなる。たった今飲んだばかりだというのに、何という即効性なのだろうか。だんだん平衡感覚が無くなってきて、自分が立っているのかどうかも分からなくなってくる。五感全てがあやふやになり、自分の形が曖昧なものになっていく。 これが、縮むということなのか。 意識がもうすぐ途切れる。と、そう思った瞬間から、少しづつ意識が覚醒していく。 視界が少しづつ鮮明になり、環境音が耳に届くようになり、自分がまだ立っていることを認識できるようになる。 そして。 「………っ!…」 そこには、膨れ上がった研究室の空間が広がっていた。 とにかく、広い。10畳の広さだった研究室は既に40畳ほどの広さまで拡大しており、もう大広間と言うべきスケールになっていて。天井は高すぎて、2階建ての吹き抜けの建物にいるような感覚を呼び起こす。 そして、部屋に置かれていたベッドや机、椅子も、既に自分の身長よりも大きくなっていた。先ほどまでは軽々と座れそうだった椅子が、今や手をかけてよじ登らないといけない大きさに見えた。 と、自分が縮小前と反対方向を向いていることに気づいた。意識が薄れているときに、無意識に身体を回転させてしまっていたらしい。 ということは。俺は、ドキドキしながら真後ろを振り向く。 「…うわっ!!」 「「あははっ、やっと気づきましたね」」 そこには。2倍サイズとなった、大きな大きな宮下の姿があった。 (でっか……) 目の前にそびえ立つ、3メートルほどの身長の人間を見上げる。こんなに大きな人間を目の当たりにしたのは、当たり前だが初めてだった。小柄なはずだった宮下の身体はぐんと拡大し、いまや俺の目線は宮下の腰のあたり。一番自然な目線の位置に目をやれば、薄いブラウンのショートパンツから曝け出された太ももが、思い切り視界に入ってくる。宮下の脚はあまりに大きくてたくましく、太ももの回りと俺の胴周りが同じくらいに見えた。 俺一人と、宮下の脚一本分が、ちょうど対等になっているようなスケール感。 「「…大丈夫ですか?」」 「っ…あっ、うん……大丈夫だよ」 3メートルの高さから宮下の声が降ってきて、我に返る。目線を普通にしているだけで、この気まずい景色。いくら普通の太ももだとはいえ、このスケール感でむちむちと張り出した太ももを至近距離で見つめるというのは、常に罪悪感にかられそうだ。というか、宮下に何を思われるか分からない。 「「健康には問題なさそうですね。じゃあ、適切な大きさまで縮んだか、測らせてもらいますね」」 ズッ……ズッ…… 宮下はそう言うと、研究室の机の方に歩いて何かを取りに行く。俺の身長サイズのでっかい脚が、研究室のカーペットをずむ、ずむ、と重く踏みしめていく。自分の身体に伝わってくる振動が、縮小前より何倍も膨れ上がっていることに気づく。宮下の歩行が、こんなにも重い揺れを発しているなんて。 「「ん、あった」」 ずむっ…ずむっ…… 机の上に置かれていたメジャーを手にした宮下は、再びこちらにずんずんと近づいてくる。その様子を下から見上げる感覚は実に奇妙で、いつも見下ろしていた宮下の姿が上の方にあるという事実が、なんとも気持ち悪かった。 「「測りますね」」 俺の目の前に立った宮下は、 ずずっ…! 予告なくこちらに向かってしゃがみこむ。 「あっ……」 思わず、小さな声を上げてしまった。…宮下には気づかれていないだろうか。 3メートルもの巨体の上半身がいきなり降ってくるものだから、本能的に全身が強張って身構えてしまう。俺の全身よりも太くて大きい宮下の上半身が、まるでこちらに倒れ込んでくるように見えるのだ。当然そんなことはなく、宮下のものとは思えない大きな脚でしっかりと支えられ、問題なくしゃがみ込まれたのだが。 「「0のメモリがここだから…」」 宮下はしゃがんだ体勢のまま、俺の身体の側面に合わせてメジャーを伸ばす。 (……近い…) それだけの行為で、ドキドキさせられている自分がいた。何せ、近すぎる。いや、1メートルくらいの距離は離れているかもしれないが、この体格差では宮下の身体にあまりにも近づいている気がしてならない。通常、彼女でもない女の子の身体にここまで接近することはそうないだろう。 こんなにも近いと、宮下のパーソナルな香りが強く漂ってくる。女の子らしい、甘くて良い香り。縮小前にはここまで強く宮下の香りを感じたことがなかったが、しゃがみこんだ宮下の髪や首元、ふわふわのセーターから、宮下本人のフローラルな香りや、シャンプーや洗剤の爽やかな香りが交じり合って鼻腔をくすぐってくる。 …正直、この香りにあてられるだけでものすごく照れくさい。そればかりか、ちょっと顔を見上げれば、宮下の大きな顔が近すぎるくらいに接近しているのだ。しゃがんでいてもなお、俺の身長よりも高い所にある宮下の顔は、この近さだと普段見えないところまで目に入ってきてしまう。…こんなにまつ毛が長かったんだ、とか。肌がすべすべで綺麗だ、とか。唇がぽってりしていて、鮮やかで健康そうな色をしている、とか。 「「ん、85センチ。ぴったり1/2になってますね」」 デカい後輩の顔を見つめる先輩には気づかず、身長測定を完了する宮下。突然宮下から発せられる声は思いのほか大きく、少しだけ俺の身体はビクッと反応してしまった。 「「どうですか?半分の大きさになった気分は」」 にっこりしながら、単純な興味から質問を投げてくる宮下。しゃがんだままの宮下が、手を膝に置きながらこちらに向かって話しかけてくる姿は、後輩のものとは思えなかった。ちっちゃい子どもに対して話しかけるような。言葉遣いは丁寧だけど、その体勢はあまりに立場の差を表していた。 「うん…まあ、初めてみる景色だし、驚いてるというか」 「「なるほど」」 俺から目線をそらさず、笑顔ながらも真剣に耳を傾ける宮下。その大きな熱視線に耐えきれず、思わず目線をそらしてしまう。 「「ん、やっぱり体調良くないですか?」」 違う。恥ずかしいのだ。後輩の小柄な女の子にしゃがみ込まれ、匂いさえ支配するほどの距離まで近づかれ。こんなにも真正面から、大きな瞳で顔を覗き込まれては、さすがに恥ずかしくて目線をそらしたくもなる。4倍のスケール感で見る宮下の顔は、いつもよりも何故か可愛く、可憐に見えて。宮下の顔の大きさに対して自分の顔があまりに小さいという事実が、何だかものすごく包容されているような気分になって、ドキドキしてしまうんのだ。 「や、えっと」 でも、目線の逃げ場もあまりなくて。少し下の方に目をやれば、しゃがみ込んだ宮下の股ぐらが曝け出されているのだ。白くてもちもちの太ももと、俺の太ももくらい大きなふくらはぎがみっちり合わさって、互いの肉を押しあっている。むにぃぃ…♡と張り出した太ももの肉はたっぷりとした質感で、一番太い所では俺がギリギリ手を回せるくらいの太さに見える。そんな巨大なしゃがみお股が、何の警戒も無くこちらに晒されているのだ。視線を合わせなくたって、面積の広い肌色ゾーンが視界の端にちらちらと映り、まともに宮下の姿を見ることができない。 「全然、大丈夫。思ったよりも、何も感じないね」 「「そうなんですね。縮小前と比べて、私の印象は変わりましたか?」」 「…特に変わってないかな。いつもの宮下って感じだよ」 「「なるほど…1/2程度ではそこまで変わらないんですね」」 …あれ。なんで今、俺は少し嘘をついたのだろう。明らかに、宮下に対する印象は変わっているのに。しゃがみ込まれた時に感じた圧力、匂いや声の大きさで包容される感覚、近くにいるだけでちょっと照れくさい気持ち。 そんな感覚を、宮下に知られるのが恥ずかしいのだ。たった2倍に大きくなっただけの後輩を、今までとは違う印象で見てしまっているという事実は、何だかすごく知られたくないことのように感じる。 (いや、実験なんだからちゃんと答えないと…) 嘘をついたら、実験の意味が無くなってしまう。アンケートに答えるときは、正直に答えなくては。…でも、目の前にいる後輩にそれを言う勇気は、何となく出なかった。 「「それでは」」 ずっ… 突然、目の前の宮下が立ち上がる。俺に合わせてくれていた身長が、一気に3メートルもの上空まで遠ざかっていく。俺は再び、肌色の健康的な二本の太い脚に見つめられることとなる。 「「1日目の"指示"、しますね」」 "指示"。実験の流れの一つであるその工程を、宮下が口にする。縮小者は、健常者から出された"指示"に対して、応えても応えなくても良い。いや、極力応えないようにするのが実験として正しいだろう。要は、縮小者が健常者に対して、逆らうだけの精神状態を持てているか、という指標を測りたいらしい。毎日指示を行って、どのタイミングで指示に従ってしまうのかを測り、それを実験結果の一つとするのだ。 宮下からの指示に逆らえなくなるなんて、正直無い気がするけど。実験者的にはそうなってほしいのだと思うが、さすがに嘘をつくわけにもいかない。…宮下には悪いけど。 「「では、服を脱いで下さい」」 「……え?」 若干予想していなかった"指示"に、きょとんとしてしまう。縮小薬で縮んだ身体と共に、小さくなった特別服。実験前に着るように手渡されたそれは、外見こそ普通の普段着という感じだが、身体の縮小と共に小さくなるという特別な仕掛けが組み込まれている。 それを、宮下の前で脱げと言われた。 「「聞こえませんでしたか?今着ている服を、脱いでください」」 淡々と伝える宮下。実験結果に関わるやり取りのため、やや業務的な言い方になっている。 「えっと…嫌、です」 「「…分かりました。では、本日は"指示"に従わなかった、ということで」」 宮下はすぐに引き下がり、何やらメモを取っている。初日から指示に従うことは無いと宮下も分かっていたようで、平然とした顔で書き込んでいる様子が見えた。 「「…よしっ。これで、初日の工程は全て終了です。お疲れ様でした」」 宮下の顔に、柔らかな笑顔が戻る。一瞬だけ張り詰めた空気が弛緩し、俺はどこかホッとした。 「あとは、明日まで待機なんだっけ?」 「「はい。また明日の15時に私が来るので、それまで自由に過ごしていてください」」 そう伝えると、宮下はずむっ、ずむっ、とカーペットを靴下で重く踏みしめ、研究室の玄関へ向かっていく。そして、 「「では、お元気で!」」 ひらひらと手を振りながら、宮下は研究室の入り口から姿を消したのだった。 ------ そこから実験の5日目までは、元の身長の1/2のサイズのまま過ごした。このサイズでは家具をギリギリ使えるため、意外と生活上困り果てることは無かった。…ベッドや椅子に登るときに、毎回手をかけてよじ登らなければいけないのは大変だが。 そんな中、宮下は毎日15時ぴったりに研究室を訪れ、一日分の食料や水を届けに来た。退屈な実験生活の中で、宮下の来訪を日に日に待ち望んでいる自分がいた。何せ話し相手がいないのだ。テレビも無いし、スマホも持ち込みを禁止されている。さらに生活の様子は24時間カメラで監視されているため、どことなく緊張感のあるまま過ごさなければいけないのだ。 「「今日、研究室の先輩が遅刻してきたんですよ~」」 「あの人は朝弱いからなあ」 だから、宮下との時間は楽しかった。3メートルもの巨体を持つ宮下の姿にはやはり慣れないが、話し相手がいるだけで充分だった。しゃがんだり座ってくれさえすれば、顔と顔を見合わせながら喋れるくらいの体格差。そのため、意外と体格差があることによる違和感は、喋っている最中は感じなかった。 ただ、"指示"をされる瞬間だけはどこか緊張感が漂った。あくまで実験者としての、業務的なやりとりになるため、淡々と指示されるのが少し怖いのだ。いや、怖くは無いが、なんだか急に温かみが無くなるような。そんな気持ち悪さがあった。 「「今日の指示も同じですね。服を、脱いでください」」 「えっと、脱ぎ、ません」 「「はい、分かりました」」 「…このやり取り、ずっと続けるの?」 「「あはは、今はまだ意味ないですよね~。10日目くらいから、変わってくるかもですね」」 本当に、そうだろうか。やはり懐疑的な気持ちは消えないまま、俺は退屈な実験生活を送り続ける。 そして、5日目のこと。 お昼の時間、俺は昨日宮下から支給された食事を取っていた。その食事には、食後に摂取する用の錠剤も添えられていた。…これが、第2段階の縮小薬。 「…1/5になるのか」 だいたい、30cmちょっと。30センチなんて、人間の膝くらいの高さしかない。そんな大きさに自分がなるなんて、ちょっと想像できなかった。 しかし、それは確実に訪れる。 「っ……?」 意識が覚醒する。…俺は食後に錠剤を飲み、今度はそのまま意識を失っていたらしい。ふらふらしながら立ち上がり、周りの景色を見ようとする。 「え………うわ………」 正直、圧倒された。自分の周りに広がる、研究室という空間の広さに。 今までは一つの部屋として認識できていたそれが、今や室内空間とは認識できないほどの広さ。運動場くらいあるんじゃないか?もはや、外でしかありえない広さになっている。天井はもう見たことも無い高さで、果てしなく見上げた先の高度に人工的な天井があるというこの空間が、奇妙で仕方がなかった。 1/2の大きさだったときに比べて、何か、"人間"としていられる大きさを逸脱してしまったような感覚だ。ベッドや椅子なんて、もう登れないだろう。普通の人間が使っている家具を、どう頑張っても使うことができない小ささになってしまった。 「……なんか、大丈夫かな」 漠然とした不安。自分の身体が部屋に対して異常に小さいというだけで、得体の知れない不安が渦巻いてくる。特に実害があるわけでもないが、何か、頼りない感じ。自分がこの空間にのこのこ存在していることが、頼りなく、危険に思えてくる。…一体、何故なんだろうか。 その答えは、数時間後に分かることとなった。 ドンッ……ドンッ…… 「っ…!!地震……!?」 研究室の床に座ってうとうとしていた俺は、床を突き上げるような地響きに跳ね起きた。かなり大きい地震だ。なかなか感じたことが無いレベルの地震だけど、他の人は大丈夫だろうか……そこまで考えて、気づいた。 ドンッ……ドンッ…… こんなリズミカルな地響きが、自然の地震であるわけがない。これは、宮下が研究室の近くの廊下を歩いてきた振動だ。時計を見れば、もう15時だった。面会の時間なのだ。 (嘘だろ……) 1/5になっただけで、人間の歩行がここまでの振動に感じられるのか。しかも、あの小柄で華奢な宮下の歩行が。縮小前は、宮下の歩行が起こす振動なんて気づいてもいなかった。でも今や、それは俺の意識を割って入ってくるレベルで大きな振動で。 この5日間心待ちにしていた宮下の来訪が、今日に限っては、ひどく不安なものに思えた。 ガチャッ!! 「「おはようございまーす」」 扉を開けて入ってきた宮下は、当然いつもの宮下の姿だった。しかしその大きさに、頭がバグりそうになる。 ズンッ!!ズンッ!! 「ひっ……!」 先程よりも大きな振動を研究室内に響かせながら、宮下がこちらに歩行してくる。すごく遠いはずなのに、まだまだ近づいてくる。2,3階建ての建物くらいのデカさの生物が、こちらに向かってずんずんと近づいてくる。 (逃げ、ないと…………え……?) 何故か分からない。一瞬、逃げようとした自分がいた。宮下は別に、俺に危害を加えようとしているわけでもないのに。食事を届けに来てくれただけなのに。こちらに迫りくる宮下のプレッシャーに、無意識に逃走本能が働いていた。 ドンッ!!! 「「先輩、お疲れ様です」」 「あ………ああ……」 目の前に立ちはだかった宮下は、3階立てくらいの途方もない大きさだった。 「「ちゃんと縮んだみたいですね。体調は大丈夫ですか?」」 遥か上空から、宮下の声が響いてくる。とても、俺に向けられた言葉とは思えない。思い切り上空を見上げないと、宮下の顔を見ることが出来ないのだ。…昨日までは、大人と子どもみたいな身長差だと感じていた。でも、今は。同じ人間として、ありえない体格差まで開いてしまっている。 「だ、だいじょうぶ……」 目の前の巨大な建物が、信頼できる宮下かどうかもよく分からず、俺は誰に向かって話しているのかよく分からなくなる。グレーのスカートを履いた宮下のローアングルはややきわどい景色で、太ももの付け根のあたりまでこちらに見えてしまっている。俺が相対するのは、巨大な脚の中腹に存在する膝小僧。その固そうな膝小僧は優に俺の頭の大きさを凌駕していて、この膝で軽く突かれただけで、大怪我をしてしまいそうな迫力だった。 「「大丈夫なんですね、良かったです」」 きわどいスカートの裾を特に気にしない様子で、宮下が続ける。 「「さすがにこの身長差だと、喋りづらいですね」」 苦笑した宮下は、暗に俺が発した声が聞こえづらいことを主張していた。そこそこ声を張ったつもりだったが、3階建ての建物の頂上にいる宮下には聞こえづらかったみたいだった。 「「ということで…」」 たたずまいを変えずに、宮下が足元の先輩に向かって話しかける。 「「ちょっと持ち上げさせてもらいますね」」 ---続く---

【無料小説】体格差が及ぼす支配的洗脳の影響①~大きくなった後輩の圧力~

Comments

ありがとうございます、次回もお楽しみ下さい😊

konan

とても嬉しいです、ありがとうございます!

konan

ありがとうございます!ひたすら大きくなっていく後輩に先輩が恐怖を抑えられなくなっていきます😊

konan

後輩が大きいというだけで恥ずかしいですよね😌僕は無意識な所に魅力を感じます!

konan

ありがとうございます!逃げられもしない空間の中で、拡大していく後輩にどう接していくかをお楽しみ下さい😌

konan

研究の一環なのであくまで人間として後輩ちゃんは扱ってくれますが、主人公の認知だけが変わっていってしまいます😊

konan

信頼感が一方的に薄れていく様を楽しんでいただければと思います!

konan

ありがとうございます!全然大したことはしていないですが、サイズフェチと関係なさそうな単語を列挙して、そこからテーマを決めたりしています😊

konan

あなたの設定はいつも私の想像を超えることができて、本当にエロすぎます

moso

よき展開です。 次回が楽しみですね!

いと小さき人

治験的で好きです。 特に意図がなくとも小さくなったら大きなものが動くというだけで人間は恐怖を感じてしまうんですね。 続きが楽しみです。

pizza

照れ隠しするのもわかりみ深いです。 作者さんは大きな女性のどこに魅力を感じますか?

ろまん

最高すぎます。 しっかり相対せざるを得ないシチュエーションが堪りません。 リアルGTS好きなのでほどよいサイズ差の精神的肉体的蹂躙期待です。 ああ小さくなってみたい!

ろまん

段々と小さくなるシチュ最高です! 小人として別の生物的な扱いを受けるのもいいですが、まだ同じ人間として扱われながらも自身の認知が変わっていくようなのも素晴らしいです!

たっさん

良いですね〜 どんどん小さくなって安心してた人が怖い存在になるなんてって想像すると面白いです!

弟(神)兄

最高です! いつもどのようにして構成を考えているんでしょうか? ちょっとしたことでもいいので秘密が知りたいです!!

匿名だ私は


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