1か月以上かかった文化祭の準備がついに終わり、本番当日となった。 うちの文化祭は外からのお客さんが多く、今年も例年に漏れず大盛況となっていた。…俺のクラスの男子企画であるたこ焼き屋も、文化祭の屋台とは思えないくらいの盛況ぶりだった。 「普通のたこ焼き一つください」 「ありがとうございまーす!」 朝からシフトに入っていた俺は、たこ焼き屋の店番をしながら、しかし女子の方の企画であるお化け屋敷のことしか考えていなかった。 …1週間前、お化け屋敷のテストということで身体を縮められ、お手製の段ボールトンネルの中で散々巨大な女子に驚かされた。そして最後には、冬野のあまりに巨大な上半身と太ももに圧倒され、気持ちを抑えきれなかった。 あれから俺は、この1週間で何回も同じような夢を見た。暗闇の中で、巨大なクラスメートの女子たちの大きすぎるパーツが襲ってくるのだ。大きな手のひらから逃げ惑い、見つめられるだけで恐ろしい巨大な瞳に相対し、ダンプカーのような大きさのすべすべ素足にすんでの所で踏みつぶされずに済んで。 夢に登場するクラスメートは、どの女子も前から気になっていたわけではなかった。冬野や、バスケ部でうるさい性格の上村、大人しい山吹さん。色んな女子の巨大な姿が登場してきて。 …一度夢の中で巨大な姿を見せつけられてしまっては、それはもう強烈な印象が脳に刻み込まれてしまうのだ。 「………」 また一人、たこ焼き屋の前をクラスの女子が通っていった。今のは橋川だ。バレー部に入っている活発な女子の一人。黒髪のショートカットをなびかせながら、なにやら急ぎ足で歩いている。 昨日、橋川も夢に出てきたところだった。制服姿の少し背が高い橋川が、箱に入った俺を真上から見下ろしていた。その顔はあまりに巨大で、俺は橋川のおもちゃ箱に入れられた人形のような気分だったのを覚えている。 「………」 思わず橋川が歩いていく先を目で追ってしまう。と、橋川はとなりの空き教室でやっているお化け屋敷に入っていった。シフトの交代の時間だったのだろうか。…これから橋川も、縮められた男性客を何らかの方法で驚かせるのだろうか。 「おい、お客さんだぞ」 「…あっ、ごめん、いらっしゃいませー」 ぼーっとしていたら、目の前にお客さんが来ていたことにも気づかなかった。隣のクラスメートに促されて、慌ててたこ焼きをプラスチックのトレーに詰め始める。 あと10分で、シフトが終わる。そうなったら自由時間だ。…俺は、完全に隣の空き教室の方に心を奪われていた。 ------ 「………っ」 たこ焼き屋のシフトが終わった俺は、一目散に隣の空き教室の前まで歩いて行った。おどろおどろしいフォントで「新感覚 縮小お化け屋敷」と書かれた看板が、教室の上の窓の所に固定されている。 …どうしても俺は、空き教室の中の様子が見たくなった。その理由は、明白で。誰が段ボールトンネルのどこで何をしているのか、気になって仕方がなかったのだ。 ガラガラッ… 周囲に人がいなかったので、空き教室の窓をほんの少しだけ開けて、中を覗いてみる。 ドンッ、ドンッ…… いきなり、女子の姿が目に入る。あれは、バレー部の橋川だ。段ボールトンネルの最初の方の天井を、手のひらでバンバンと叩いている。…1週間前に入った時も同じことをされたような気がする。こうやって見ると、ひとりの女子がただ段ボールを叩いているだけなのだ。しかし、縮小した状態であれをやられると異常な恐怖を感じることを、俺は身に染みて学んでいた。 あの中で、橋川の手のひらに怯えている人間がいるのだ。ただの女子高生である橋川の柔らかな手に、さっきまで橋川より大きかった男が為す術もなく驚かされているという事実。それだけで、興奮させられる。 「ふぅぅー……」 「っ……」 今度は、バスケ部の上村が段ボールに開いた穴に唇を当て、空気を送り込んでいる姿が目に入った。その姿に思わずドキッとして、鼓動が早くなる。上村の唇が、吐息が、トンネルの中に送り込まれて。 (今入ったら、上村の息が……) そう思ったら、勝手に足が動いていた。俺はそっと空き教室の窓を閉め、正規の入り口の方に向かう。 「あ、遊びに来たのー?」 「う、うん」 冬野が受付をやっていたようで、快活な笑顔を向けられた俺はしどろもどろになる。…あれから、冬野の顔をまともに見れていないのだ。罪悪感も少なからずあるが、何より冬野の姿を見るだけで、あのときの圧倒的なむちむち太ももの光景を思い出してしまう。それだけで股間がみっともなく大きくなってしまうので、俺は何となく冬野のことを避けていたくらいだった。 「ちょうど空いたから、どうぞー」 ガラガラッ…… そして俺はまた、魔境となるお化け屋敷に足を踏み入れてしまった。 ------ (やっぱり暗い……) 1週間ぶりに縮小スプレーをかけられ、気づけばまた巨大な段ボールトンネルの中で目を覚ました。周りを見渡すと、段ボールに貼り付けられた黒いビニールシートの上に、柳の木やお墓の絵が貼り付けられている。この1週間で、お化け屋敷らしい装飾を増やしたみたいだった。 (そういえば、女子たちが集まってずっと絵を書いてたな……) 俺の身長と同じくらいの、等身大のガイコツの絵を見ながら思い出す。この絵を見て「怖い」とか「よくできてるな」とか、普通の人は思うのだろうけど。…既に思い切り毒されていた俺は、この大きな絵を片手で軽々書いてしまう女子たちのたくましい指を想像してしまうのだった。 (早く進まないと……) 今は文化祭当日だ。あまりに進むのが遅いと、後ろから他の人が来てしまうかもしれない。 と、少し焦りながら歩き始めた俺は、1週前とつい先ほど学習したはずのトラップを完全に忘れていた。 バンッ!!!バンッ!!! 「ぎゃああっっ!!!??」 異常な激しさでトンネルの天井が叩かれ、凹み、爆音を響かせる。さっきも見ていたはずなのに、俺はまんまと引っかかって絶叫してしまった。 バンッ!!!バンッ!!! 「やめっ、やめてっ……」 それでもなお、手のひらで天井を叩く音は止まない。あまりにもその音が大きすぎるので、分かっていても怖すぎる。自分の生命が脅かされるような、そんな感覚を植え付けられるのだ。 バンッ!!!バンッ!!! これはバレー部の橋川がやっていることなのだ。ついさっき窓から覗いたからそれが分かる。トンネルの中からでは橋川の巨体は全く見えないが、俺の身体など容易に包み込めるような橋川の手が、何度も何度も天井に叩きつけられているのだ。こちらに容赦なく温かな手のひらを叩きつける橋川のローアングルな姿を想像してしまう。 それだけで、恐怖が一瞬で興奮に塗り替えられる。 バンッ!!!バンッ!!! 「はあっ、はあっ……」 なかなか止めてくれない橋川の攻撃が、どんどん興奮を増長させる。巨大なクラスメートに抵抗もできず、驚かされ続ける屈辱が気持ち良くて。巨大な音で反射的に身体をビクつかせながらも、俺は捻じれた自分の癖で頭がぼーっとしてきていた。 バンッ!!……シン……… しばらくして、ようやく橋川の手の動きが止まった。俺はほっと胸を撫でおろすと共に、もう終わってしまうのかという残念な気持ちを矛盾して抱えるのだった。 その後も、巨大女子たちのトラップは続く。1週間前と同じように、巨大な瞳に見つめられたり、暴れ回る手のひらに恐怖したり。…しかし途中から、俺はこの先にあるはずのとあるトラップが気になって仕方がなかった。 ついさっき、バスケ部の上村が段ボールの穴に唇を当てているのを見た。それが、もうすぐやってくるのだ。いつもクラスで喋り続けている活発な上村は、女子と言うよりも友達的な印象が強くて。…でも、その上村がこの先で待ち受けていると分かっているだけで、どんどん上村のことが気になってしまう。笑った表情を思い出して、よくよく考えると結構可愛い方だよな、とまで思い出す始末。 そんなドギマギした気持ちの中、俺がトンネルの角を曲がったら。 「「………」」 「っっ……!!」 右の壁に開いた、楕円状の穴に。 やはり巨大な女子の唇が、こちら側に押し当てられていたのだった。 (上村のっ……くちびるがっ……) この桃色のふくよかな巨大な唇の持ち主が誰か分かっているだけで、こんなにも興奮するものなのか。1週間前は誰の唇が分かっていなかったが、今回は違う。いつも見ている上村の、決して身長はそこまで高くない上村の、良く喋る上村の綺麗な唇。それが今、目の前にある。 にちぃ……♡ 唾液の音をトンネル中に響かせながら、上村の唇が少しだけ開け放たれる。その瞬間、むはぁっ…♡と無意識に放たれた生暖かい吐息が、俺の身体を一瞬にして包み込む。意識して吐きかけられたわけでもない無意識な蹂躙に、心を奪われる。 今にも熱々の吐息を放ちそうな巨大唇に、俺は思わず近寄っていく。この前は数メートルは距離が開いていたが、今度は手を伸ばせば唇の表面に触れられる距離まで近づく。…俺がこんなにも近づいていることを、上村は分かっていないのだ。 そして、 「「……はぁぁぁぁーー♡♡」」 「っっっ…!!!!♡♡」 ゼロ距離で、甘くて熱い吐息が大量に浴びせられる。大型の扇風機で風を受けたかのように、髪も服も全てが激しくなびいて転びそうになってしまう。上村の可愛らしい唇から放たれた凶悪な質量の吐息が、簡単に男子の身体をなぎ倒そうとする。何とか踏みとどまるも、 「「はぁぁぁぁっっ…♡♡」」 「ああっっ!!♡♡」どさっ!! それを分かっているかのように、追撃の吐息が襲い来る。あまりの風量に、俺の身体は容易に倒されてしまう。 (ものすごい…匂い……) 何とも言えない、甘ったるいような、生々しいような、とにかく濃くて強烈な吐息の香り。いつも面と向かって話している上村の吐息の匂いを思い切り嗅いでいることに、既にもの凄い罪悪感を覚える。女子の吐息の匂いなんて、嗅いだらセクハラと思われるくらいなのに。今の俺は、一方的に大量の吐息の匂いを嗅がされて虐められているようなものだ。それが、その事実が、たまらなく嬉しい。気持ちいい。 「「はむっ…♡♡」」 散々吐息を浴びせ切った上村の上唇と下唇が、むにゅぅ…♡と合わさって閉じられる。閉じられたことでむにぃ…♡と表面が柔らかく変形し、それが余計に唇の柔らかさを際立たせている。 興奮しきっていた俺は、どこか我を忘れていて。 この唇に、どうしても触れたい。 うだるような吐息の熱気の中、俺はそんなことを思いながら、さらに唇に近づいていく。…段ボールの中だから、誰が触れたかなんて分からない。いや、そもそも、この大きさでは触れられたことすら上村に気づかれないかもしれない。 そんな言い訳を脳内で反芻し、俺はついに。 ふにぃ…♡♡ 巨大な上村の上唇に、手を触れてしまったのだった。 (あ、ああ、ああっ……!!) 女子の唇に手を触れる、初めての体験。軽く触れただけなのに、手のひらは容易に上唇の表面に沈み込んで。今までの人生で触れたものの中で、一番柔らかいと感じた。そしてそれが、見知った顔のクラスメートの女子の唇であるという倒錯的な状況。湿っていた上唇の水分が手のひらに移り、クラスメートの唾液が身体に染み込んでいく感覚。 心臓がはち切れそうで、俺はもう、完全に上村に心を奪われていた。 しかし、それでは終わらなかった。 「「んはぁっ……♡」」 にちぃっ…♡ 「っっ…!!!」 上唇に何かが触れた感触に気づいたのか、突然巨大な唇が開け放たれる。 そして、 ぬちょぉ…♡♡ (な………) 唇の間から出現した、真っ赤なざらざらの巨大な物体に、言葉を失くす。明らかにそれは、上村の巨大な舌、だった。 「「んむ……♡」」 れろぉ…♡♡ (あ………やば…………) うねうねと蠢く巨大な舌が、ねちぃ…♡とえっちな音を響かせながら、上唇を舐め取っていく。俺に触れられたところが痒くなったのか、化け物のような大きさのベロがぬちっ、ぬちっ♡と唇を往復して唾液を塗りたくる。 えっちすぎる光景が眼前で繰り広げられ、絶句してしまう。唾液でコーティングされた唇は綺麗に光り、俺の身体を捻り潰せそうなほど大きなベロが、唇に仕舞われていく。こんな巨大な舌にイジメられたら、どうなってしまうんだろう。こんな体格差で上村にキスされたら、どうなってしまうんだろう。無事でいられるだろうか。そんなありえない妄想が頭を巡っているうちに、 「「んっ……」」 巨大な舌は口内の奥に戻っていき、再び柔らかな唇同士が密着し合ったのだった。 「「…………」」 一仕事終えたつもりなのか、そのまま動きを止める上村の唇。…しかし俺は、巨大な唇と舌が絡まるえっちな残像が脳に焼き付いたまま、たっぷり1分程そこに突っ立っていた。 (……行かないと) 早くトンネルを進んでいかないと、後続のお客さんに追いつかれてしまうかもしれない。 「「………」」うねっ… にちっ…♡ 無意識に蠢く上村の唇を尻目に、俺は何とか前に歩みを進めていく。痛いほど膨れ上がった股間を抑えながら俺は、これからずっと巨大な上村の唇と舌を思い出して行為をしてしまいそうな、そんな予感がしていたのだった。 ------ (うわ、進路が変わってる…) 上村のトラップから数分かけて進んだ所で、1週間前のトンネルとレイアウトが変わっていることに気づいた。あの時は高低差が無かったのだが、今俺の前に続いている道は、やや急な坂道になっていた。 (今いる場所は机の上のはずだから…教室の床の方に下っていく感じか……) 床の方に進路が続けば、さらにトンネルが続いている予感がする。1週間前よりもボリュームがパワーアップしすぎではないか。…もうかれこれ、30分はお化け屋敷の中にいる気がする。 若干歩くのも疲れてきている中、また数分かけて坂道を下っていく。ようやく下り坂が終わったかと思えば、段ボールのトンネルはさらに先へと続いていた。 (次は何が……) 恐ろしいような、期待してしまうような。どんな脅かしが待ち受けているか分からない中、さらに一歩一歩進んでいく。 と、その時。トンネルの横の壁から、光の筋が見えているのを見つけた。 (……また……) 1週間前も同じような光景を見た。段ボールのつなぎ目なのか、細い割れ目が出来てしまっているのだ。…巨大な女子からしたら目にも見えないような隙間かもしれないが、縮小した人間にとっては人一人通れるくらいの隙間に見えた。 この隙間を通れば。また、巨大な教室の世界に取り込まれる。あの時見た、巨大でむちむちな冬野の太ももを思い出す。柔らかエッチなでか太ももがそびえ立ち、冬野が身じろぎする度にぷるんっ♡と肉を波立たせて。あんな衝撃的な光景を見せられたら、どんな男子でも心を奪われるに決まっている。 「………」 好奇心を抑えられなかった。 (ちょっと、だけ……) 俺は段ボールの隙間に身体をねじ込ませ。光まばゆい教室の世界へ、足を踏み出したのだった。 (………。……うわっ……!!) そこは、1週間前に見た巨大な教室とはまた別の世界だった。強烈なローアングル。俺が降り立った床はそのまま教室の床で、地平線の彼方でだだっ広く茶色の地面が広がっている。遠くの方には鉄の棒のようなものがビルのように大量にそびえ立っており、それが机の脚であることに少し遅れて気づいた。 そして、 「「今、新しい人入ったよー」」 「「りょうかーい」」 遠くの方に見える、制服スカート姿の大巨人たち。その姿は紛れもなくクラスメートの女子たちで、ぶっとい太ももの塔を何本もそびえさせながら、遥か上空で笑って話し合っていた。 こんなにも遠いのに、こんなにも近く見える。視界いっぱいに広がるその大巨人たちが、途方もない存在に見えてくる。…机の上に立っていた1週間前とは違う。同じ床に降り立ってしまうと、こうも巨大で、圧倒的で、恐ろしいものなのか。あの女神たちと普段同じ空間で勉強していることが、信じられなくなってくる。 「「そろそろ床ゾーンのとこに人くるんじゃない?」」 「「あ、じゃあ私行くね」」 ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!! 「ひぃぃぃっっ……!!」 今まで生きてきた中で感じたことのない激しい揺れが、教室の床を襲う。遥か遠方にいた一人の巨人が、こちらに向かって歩いているのだ。女神の脚が一歩踏み出される度、縦揺れた床に翻弄された俺は手をついて這いつくばるしかない。巨大な上履きがぎゅむぅっ…!!と音を立てて床を踏みしめるたび、床にひれ伏す惨めな縮小男子。その巨大な上履きも、巨大な脚にぴっちりみっちゃくした紺色のソックスも、たくましい膝も、ぷるぷる震える白い太ももさえ、まだまだ女神の身体の一部でしかなくて。その先の上半身など高すぎてよく見えなくて、巨大すぎるJK美脚が2本、こちらにとてつもないスピードで歩いてくる光景しか認識できない。 そんな光景に圧倒された、ものの数秒後。 ズドンッ!!!ドンッ!!! 「っっっ……!!!!」 俺がいる場所の10メートルくらい先の場所に、2tトラックのようなデカさの上履きが激しく踏み下ろされた。 「「このへんかな」」 「あ……ああ……」 足を踏み下ろして圧倒的にそびえ立つJK女神。異常なほどローアングルで見上げるその姿は、もはやスカートの裾で上半身が全く見えなかった。俺から見えるのは、上履き、ソックス、太もも、そして逆光で全く見えないスカートの中だけ。顔すら合わせられないこの状態が、クラスの女子たちとは生きている世界が違うことを教えてくれる。まるで、教室に迷い込んだ虫になった気分だった。 あまりに一瞬の出来事に、この下半身の持ち主が誰なのか認識できなかった。誰のかも分からないむっちり美しい脚ににわかに心を奪われながらも、逆光で見えないスカートの中見が気になってしまう。 ぎゅむっ…!! 「ひっ……あ……にげ…」 至近距離で恐ろしい音で摩擦する巨大な上履き。その音で、今自分がどれだけ危ない場所に立っているかを理解した。ビルのように巨大な女子の、足の間にいる状態なのだ。しかも、巨人から俺の姿は見えていない。この女子が何気なく一歩踏み出すだけで、俺は上履きの底のシミになって一生こびりついたままとなるだろう。 そう認識した瞬間、恐怖で身体が動かなくなる。 「「よいしょっと」」 ぐんっ!!! 「ひああっっっ!!!???」 突然、目の前の下半身が急降下してくる。まるで空が降ってきたかのように、俺の視界を支配していたものが一気に降りかかってくる恐怖。このまま誰のかも分からない健康的な下半身に潰されて、短い人生を終えるのか。そこまで一瞬で想像してしまう。 「………?」 しかし、女神の下半身に圧し潰されることはなく。思わずしゃがみ込んで顔を覆っていた俺は、恐る恐る上の方を見上げると。 「……っっ!!……あ……」 みちぃぃ……♡♡ そこには、しゃがみ込んだ女神の下半身がこれでもかというくらい露わになって広がっていた。純白の生地が圧倒的に視界に飛び込んできて、こちらの意識を捕えて離さない。これが、一人の女子高生が股に身に着けている下着だとは到底思えなかった。天を埋め尽くすほどのパンチラはもはや暴力的なえっちさで、こちらの興奮を支配して離さない。意識しないことなんてできない。どこに視線を向けても、巨大な下着がみちぃぃ…♡♡と股間に密着している光景が降ってくるのだから。 巨大な下着の端から、太ももの付け根の肌が食い込んではみ出している。一切人目に出ないはずのその部位は全く日焼けておらず、真っ白で神々しさすら覚える。美しい脚の付け根からむちむちの迫力満点の太ももが上に向かって伸びており、膝を経由してふくらはぎが下に伸びていき。しゃがみ込んだ状態のふくらはぎが太ももに密着してむちむちっ…♡と肉を変形させていて、それがまた性的な興奮を煽ってくる。 「「ん………」」 バンッ!!バンッ!! 後ろで大きな音が鳴り響き、ビクッとなる。今俺の前でしゃがんでいる女子が、段ボールトンネルの天井を叩いているのだ。…ここでもまた、同じトラップがあったらしい。あのまま順路に沿って進んでいたら、この巨人の手のひらに容易に驚かされていたのだろう。 「「ん……咲ちゃん、そのガムテープ取ってー」」 ぎゅむっ…ぎゅむっ……!! 「ひっ……あっ……」 目の前の下半身が予告もなく動き、上履きが踏み直される。巨大な下着が上下に揺れたかと思えば、そこから伸びる太ももがむにむにと形を変えて伸びたり、ぎゅっと圧縮されたり。あまりにも大きな女子の股間部が有機的に動く光景は、年頃の男子にとって刺激が強すぎる。 (っ………) 抑えきれない気持ちを我慢する。未だクラスメートのどの女子か分からないまま、その巨大な股間部に見下ろされて監禁される。ただの一人の女子高生の下半身が怖くて、下着が怖くて、身体を動かせもしない。それなのに、恐れ多くも女神様のスカートの中の光景に興奮してしまうみっともない縮小男子。 「「はい、ガムテープ」」 「「ありがと。ここ、ちょっと空いてるんだよねー」」 頭上で繰り広げられる大音量の会話は、あまりに音が大きすぎて明確に耳に入ってこない。あんな音量で巨人に話しかけられたら、一発で鼓膜が破れてしまうかもしれない。ただのクラスメートの女子の会話が、凶器にもなり得る体格差。 「「よっと……」」 べりべりっ…ぺたっ…… 未だ股間から目が離せない俺は、上下左右に伸び縮みする下着のシワが気になって仕方がない。同い年の女子の下着すら見たことがないのに、それが股間部の動きに合わせて微細なシワを作っている様子まで見せつけられているのだ。あのシワの向こうに、何が広がっているのか。想像してしまう。 「「よし、これでおっけー」」 ぎゅむっ!! 「うわあっ!!!」 女神様の股間に目を奪われていた俺は、突然それが空高く上がっていくまで、何が起こっているのかよく分かっていなかった。圧倒的な下半身を見せつけていた巨大クラスメイトは一瞬にして遥か上空へと消えていき、再びたくましい2本の脚と相対させられることとなる。 ドンッ!!ドンッ!! 「くっ……う……」 そのまま容赦なく教室の床を踏みにじり、巨体をすさまじいスピードで移動させていく。取り残された俺はしばし直立して動けなかったが、ふと我に返る。 (早く戻らないと…!!) 今俺は、とんでもなく危ない状況に晒されていたのだ。あの女子が一歩上履きを踏み直すだけで、全身くまなく圧し潰されていた。こんな危ない場所が学校の教室でしかないなんて信じられないが、今の俺にとっては危険すぎる空間。 しかし、踵を返して段ボールトンネルに戻ろうとした俺は。 「………え?」 僅かに開いていたはずの隙間がガムテープで塞がれていることに、ようやく気付いたのだった。 ---続く---