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【限定小説】巨人博物館(最終話)~超巨大人種の唇と触れ合おう~

「………?」 目が覚めた。視界に黒い天井。…俺は、気を失っていたのか…? 「よっこいしょ……」 仰向けの体勢から、ゆっくりと起き上がる。まだ、頭が少しくらくらしていた。…思い出した。俺は、巨人の灼熱の体温と汗で危険なレベルまで蒸され、ついには気を失ってしまったのだ。あと一歩間違えれば、女子学生の熱で蒸し殺されるところだった。 (ここは違う部屋、なのか…?) 先程の展示部屋とは違う、正方形の狭めの部屋に俺はいた。博物館の展示員の人が運んでくれたのだろうか…?それにしては、医務室などに運んでくれるわけではなく、この何の変哲もなさそうな無機質な部屋の床に直接寝させられていた。 改めて部屋を見渡すと、黒い壁と天井に覆われた狭い空間。ここも、何かの展示部屋なのだろうか?しかし、巨人の何かを観察できそうなガラスや穴は見当たらなかった。部屋は完全に閉鎖的になっており、しかも俺以外の客はいないみたいだった。 (関係者用の部屋とかに迷い込んでしまったのか?) とりあえず、この部屋を出て展示員の人に聞いた方が良さそうだ。 …そう思ったとき。 ガラガラガラッ!!!! 「ぎゃあっ!!!??」 突然爆音と共に、部屋の壁の一つがスライドして取り除かれた。突如部屋の中に差し込んでくる光。壁の向こうにあった世界から、まばゆい光が飛び込んできていた。 「なんだ………?」 壁の向こうの世界は、何かとてつもなく広い空間になっているように見えた。遠くの方に何か物体があるようにも見えたが、あまりにも遠すぎてそれがなにか確認できない。やっぱり、この部屋も何かの展示部屋なのか…? すると、 ずんっっっ!!!!! 「な……ああ………」 壁が取り除かれてできた四角い穴に、巨大なものが近づけられた。 (人の……目…なのか……!?) 大きい穴を埋め尽くすそれは、明らかに人間の"目"の形をしていた。俺の身長よりも高い黒目と白目。太さまで見えるまつ毛。目と肌の境目にある大きなシワ。それぞれが異常なスケール感を持って、この部屋の中を覗き込んでいるように見えた。 「「「…………」」」 物言わぬ、巨大な目。サイズが大きすぎて、こちらを見ているのかすら分からない。…いや、今気づいたが、俺と巨大な目の間には、ガラスや網などは介在していない。今までのように、マジックミラーでこちら側は見えない、という仕組みは見たところこの部屋にはない。 ということは、 (今、見られてる…!?) 全身にぞくぞくと寒気が走る。巨人に、俺の姿を見られている。その存在を認知されている。圧倒的な巨大さと強さを持つ巨人に存在を認められることが、どれだけ怖いことか。今までは勝手に覗き込んでいただけだったが、今は違う。この巨大すぎる人間は俺のことを認知しており、何かアクションを仕掛けてくるかもしれない。それは、ひ弱な小人を簡単に死に至らしめるような行動かもしれないのだ。 「「「………」」」 じぃっと、部屋の中を見つめる巨大な目。何を見て、何を考えているのか全く分からない。そもそも、俺のことは見えているのか…? 俺は降り注ぐ強大な目線から逃げようと、部屋の隅の方に走り出した。走りながら目の方を見ると、 ギロッッ………!!! 「ひぃっ!?」 明らかに、巨大な目の玉がぐりんっと動いた。俺の走りに合わせて、黒目が移動したのだ。…この巨人が、俺を認識していることは間違いなかった。 (いや、そもそもデカすぎないか…!?) 今更気づいたが、部屋の壁一枚分を埋め尽くす巨大な目のサイズ感は、これまでの巨人のサイズを踏まえると大きすぎる。例えば手の展示部屋では、俺は巨人の指に抱き着くことができるサイズ感だったはずだ。だが、この巨大な目は俺の身長の2倍ほどはある。巨人からしたら、今の俺は1cmにも満たないゴミのような大きさになっているのではないか…? (パネルが置いてある……"超巨大人種の展示"…) 聞いたことがある。この世には巨人という大きな人間の種族が存在しているが、それよりもさらに大きな人間がいて、さらにスケール感の大きい世界で暮らしているのだと。ただ、それは都市伝説レベルの噂話だったはずだ。あの大きすぎる巨人よりもさらに大きな人間がいるなんて、にわかには信じられない。 でも、今直面している巨大な目は、明らかに今までの巨人のそれとはサイズ感が違うのだ。本当に、超巨大人種なのか……。 「「「………」」」バチンッッ!!! (ひえっ……) ずっと開かれていた目が、大きな音を立てて閉じられた。そのまま、巨大な目は部屋の前から遠ざかっていった。再び、壁の穴からは巨大すぎてぼやけた世界が見えるようになった。 (この部屋、どういうことなんだ…?) 俺は今、超巨大人種に見られていた。マジックミラー越しなどではなく、直接存在を認識されて。この博物館の特徴は巨人に気づかれないようにその姿を鑑賞できるというものだったはずだ。…今の巨人は、何のつもりでこの部屋を覗いていたんだ…? ずんっっっ!!!!! 「うわあっ!!??」 思考を巡らせていると、再び激しい音と揺れを伴って、巨大な目が出現した。先ほどの目とは違う巨人のようだ。黒目が少し茶色がかっていて、まつ毛の量も少し多いように見える。 「「「………」」」 再び、見られる。じっと、見られる。肉食動物に睨まれた草食動物のように、俺は緊張で身体を動かせなくなる。 それにしても、なんて大きさだ。目がこんなにも大きいなら…俺はこの巨人の指には掴まれないはずだ。小指の腹だけで、全身押しつぶされてしまうかもしれない。…想像してしまう。俺は、この巨人の下唇にすら身長で負けているだろう。その表面に貼りついても、気づいてもらえないかもしれない。唇についた食べかすと共に、簡単に舐め取られてしまうかもしれない。 たっぷり5分ほど視線を浴び続けた。ようやく巨大な目が離れていった。その時、 「「「……じゃあ、……この子に……」」」 かなり遠くの方から、人間の声が聞こえる。普通の人間の声ではなく、異常に大きな音が異常に遠くから鳴り響いているような感覚。天から声が降り注いでいる。大きすぎる音は鮮明さを失い、俺の耳には言葉として届きづらいものだった。何を言っているんだろうか…? ガチャリ… と、取り除かれた壁と逆側の壁にあったドアが開き、博物館の展示員の人が入ってきた。 「お客様、この度は博物館をご利用いただき、ありがとうございます」 丁寧な言葉と共に、お辞儀される。 「い、いえ…楽しませて、もらっています」 「それはありがたいです。…お客様にご提案なのですが、この先に"超巨大人種"と触れ合える体験型アトラクションがございます。今なら待ち時間なしでご搭乗いただけるのですが、いかがなさいますか?」 「アトラクション、ですか…」 今までとは違い、何か乗り物に乗るということか? 「どんな内容なんでしょうか」 「内容については、乗っていただいてからのお楽しみとなります。必ず満足いただけると思いますよ」 「そう、ですか…」 どんな内容か分からないのは、正直怖い。でも、超巨大人種の姿をもっと見たいという気持ちに憑りつかれていた俺は、 「じゃあ…乗って、みます」 展示員の人に言われるがまま、搭乗することを決めたのだった。 ------ 俺は案内に従い、アトラクション用の部屋に入った。 その部屋は球を縦に切って半分にしたような形になっていた。アンテナの曲面のような形をしていると言ったら分かりやすいだろうか。そのアンテナの中央付近、ほぼ垂直な壁になっている部分に、椅子が取り付けられていた。空中で壁に取り付けられているような椅子に、俺は座らされた。 座った俺の正面には、円の形の壁がそびえ立っている。部屋を半球で例えると、球を縦に切った時の断面部分、ということになる。この壁に、何かが映し出されるのだろうか。それとも、先ほどのように壁が外れ、その先に大きな世界が広がっているのだろうか。 (椅子がかなり厳重だな……) 椅子に座った俺は、ジェットコースターのバーのようなもので固定されていた。これがないと飛ばされたりするのだろうか…?この厳重さが逆に不安を煽る。 「"それでは、アトラクションをスタートします"」 部屋の中に、展示員のアナウンスが響き渡った。それと共に、正面の壁が左右に割れていく。やはり先ほどと同じように、壁の向こうは超巨大人種の世界に繋がっているのか。 (眩しい…!!) 強い光が半球の部屋に差し込んでくる。先ほどと同様、何か大きな世界が広がっているのだけは分かるが、スケールが違いすぎて目のピントが合わない。ぼやけた世界が途方もなく広がっている、という感覚。 ただ先ほどと違うのは、その景色の中に動いているものがある、ということだった。ものすごく大きな物体が、すさまじい勢いで移動していくのが分かる。明らかにそれは生きた物体で、超巨大人種が移動を行っていることは容易に想像できた。 ズゥゥゥン……… ズゥゥゥン……… 断続的に伝わってくる、激しい揺れ。巨人の歩行が生み出したであろう振動は、半球の部屋全体を延々と震わせ続ける。あんなに離れた場所で歩いているのに、その振動が届くなんて。 「「「あっ、見て見て~触れ合いゾーンだって」」」 ビリビリビリッッッ!!!! 「うわあぁぁっ!!??」 突然、鼓膜が破れそうなほどの巨大な声が響き渡る。思わず耳を塞いだ俺の視界が、一瞬にしてピンク色の物体で埋め尽くされる。 (な、なに……なんだ……!?) 「「「えーっと…"唇で小人の感触を確かめてみましょう"だって」」」 ビリビリビリッッッ!!!! (耳が痛いっっ!!!!) 半球の入り口に近づけられたピンク色の物体が激しく上下に動き、その奥から凄まじい音量の女性の声が浴びせかけられる。これまでに聞いた巨人の声の大きさのさらに何十倍もの爆音をもろに聞かせられ、比喩ではなく鼓膜が破れそうになる。もはや、何を言っているのか理解できない。ただただ、"大きすぎる声を浴びせられている"という認識しかできなかった。 (これが……超巨大人種の…唇……!?) なんて大きさなのだろうか。半球の入り口は映画のスクリーンのような大きさなのに、それを人間の唇が埋め尽くしている。俺の身体なんて、この唇のしわの一つにも満たない大きさだ。巨大な上唇と下唇の圧力だけで、潰れてしまうかもしれない。…力の差があるなんてもんじゃない。恐らく同じ生き物ではないのだ。この唇の持ち主にとっては、小人など他の虫と変わらない大きさの矮小な生物なのだ。 「「「んーーー♪」」」 ズズズズズッッッ……… (ち、近づいてくる…!!) ピンク色の2枚の壁が、半球の部屋の中まで入り込んできている…!巨大な唇の端っこは、半球の形に合わせてむにゅぅぅぅ…♡と形を変えながら押し込まれていく。一瞬のうちに外界から切り離され、半球の入り口はむちむちの巨大なリップで完全に閉鎖される。 ぬちちちちっっ……♡ 半球の奥に唇がどんどん押し込まれる。唇の表面と半球の部屋の壁が擦れ、その間でしっとりとした液体が弾けて大きな音を立てる。部屋の空気は唇が発する匂いで埋め尽くされ、リップクリームと思われるさわやかな匂いと唾液のむわっとした匂いで充満する。 「ま、待って…待って……!!」 ピンク色のむちむちした巨大壁が迫ってくる、悪夢のような光景。こんな大きく重量のあるものが直接押し付けられたら、潰れ死ぬかもしれない。巨大すぎる唇がどんな強さで押し付けられるかも分からず、俺は生命の危機を感じて椅子から離れようとする。…だが、バーが下がったままで椅子から離れることができない。 そして、 むにゅうぅぅぅぅ………♡ 「んんーーーっ!!???!??」 超巨大な唇の表面が、椅子に座っていた俺にまで到達した。俺の身体は、唾液で濡れた柔らかなピンク色の壁と、後ろの壁で挟み込まれる形となる。頭が完全に唇の表面で塞がれ、目、鼻、口がぴっとりと唇に密着させられる。また体の他の部分もくまなく巨大リップで抱きしめられ、人生で初めて得た感触に戸惑いと恐怖、少しばかりの歓喜を感じる。 超巨大な女性の唇に、押し当てられている。面識もなく、顔すら分からない女性に。もはやキスとは呼べないあまりにも体格差のある接触に、それでも俺は巨大な女の人の唇に触れているという興奮を始めは感じていた。 しかし、 「すぅっ……もごっ!?げほっ!?」 俺の顔全体ににちっ…♡と押し付けられた唇の表面。ひとたび息を吸おうとすると、むわっとした空気と共に大量の唾液が口や鼻の中に飛び込んでくる。どろっとした唾液を飲み込んでしまい、食道の中をとろーっ…♡と女性の唾液が伝って降りていくのを感じる。 「「「んふっ…動いてる……んむ……♡」」」 ぐにゅっ…♡ずりずりずりっ…♡ 「ひぎっ…!!??ごふっ……!!」 全身に押し当てられた唇がそのまま上下に動き、むにむにリップの表面が小人に塗りたくられる。その動きに合わせ、俺の頭や手は上下に強制的に動かされる。唇が上に動くと首が痛くなるほど上を見上げさせられ、唇が下に動けば一気に顔を下げさせられ、何かごめんなさいさせられているような気分になる。 「「「んっ……んっ……」」」 むにゅっ…むにゅっ…むにゅっ…♡ 「はうっ…!!くふっ…!!ぐぅっ…!!」 今度は、柔らかな唇の表面が何度も押し当てられては、離れていく。俺の身体は女性の上唇の中にぐにゅぅぅ…♡と沈み込み、粘着性のある唇に捕らえられる。そのまま唇が離れることで、俺の身体は唇に張り付いたまま思い切り引っ張られる。だが俺の身体はバーで固定されているため、そのうちぺりっ…♡と唇の壁が引きはがされるのだ。 怖い、痛い、息ができない…!!女性の大きな唇にキスされる歓喜はとうに消え、呼吸困難になっていた俺は絶望の涙を流していた。このまま唇を押し当てられていたら、間違いなく窒息する。俺はこの椅子から離れることもできず、途方もなくデカい唇に戯れにキスされることで死ぬかもしれないのだ。 「「「んむーーー♡」」」 むにゅうぅぅぅぅぅ……!!! 「んんーーーっ!!!んーーーっ!!!」 (ごめんなさい…ごめんなさい…!!) 超巨大人種の唇に再び激しく圧迫され、俺は顔も名前も知らない女性の唇に向かってひたすら心の中で謝罪する。何を謝っているのかも分からないが、もはや俺の命はこの女性の唇の動きに握られているのだ。自分にとって超上位存在である女性に向かって、俺は神に懇願するかのように必死で祈り続けた。 「「「ん………」」」 むにゅっ…… 「……げほっ、げほっ、げほっ!!!!」 祈りが通じたのか、ようやく壁のような唇が離れていった。空気をろくに与えてもらえなかった俺は、必死で女性の息と唾液の成分を含んだ空気を肺に取り入れる。顔は涙と鼻水と女性の唾液でぐしょぐしょになっていた。 これは、アトラクションの域を超えている。今のは本当に死ぬかもしれなかった。…こんな危険なこと、公共の博物館でやっていいはずがない。 「展示員さん!!早く外してください!!」 俺は椅子に固定されたまま叫ぶ。もうこんなアトラクションは終わりたい。これ以上、超巨大人種と関わるのは怖すぎる。 「"申し訳ございませんが、当アトラクションは途中で終わることはできません"」 先程の展示員の声が、部屋の中にアナウンスとして響き渡る。 「なんでっ…!早く降ろさないと、後で訴えるぞ…!!」 「"……もうお客様にはお伝えしてもいいですかね"」 「…?何を言って……」 「"お客様は、超巨大人種様の指定により、小人博物館の展示品となりました"」 「………は?」 アナウンスされた内容が何を言っているのか、分からなかった。 「"この巨人博物館は、巨人の世界に存在する小人博物館の展示品を選定するための施設でして。ちょうど今小人の展示サンプルが一体足りなかったみたいなのですが、お客様がそのサンプルとして選ばれました"」 「いや、そんな……あっ……」 先程巨大な目でじっくりと見られたときのことを思い出し、寒気が走る。あの時、俺は巨人に選定されていた……? 「展示品にするって…そんなことが許されるわけ…!!」 「"もう決定事項ですので。お客様が今展示されているブースは、『唇で小人の感触を確かめてみましょう』というテーマです。小人にとっては少々過酷な展示ですが、これから頑張ってくださいね。それでは、失礼します"」 「ちょ、ちょっと待って…!!まだ話が…!!」 そのまま、アナウンスの声は二度と聞こえなくなってしまった。 ("小人博物館"って…俺は騙されていたのか……!?) 今の会話内容が整理できない。俺は巨人を観察しているようで、向こうからじっくり選定されていたのか…!? (早く、逃げないと……!!) この椅子のバーが、安全のためではなく小人を逃がさないためのものであることに今気づいた。全力でバーを押し上げようとするも、まるでびくともしない。 「くそっ……くそっ……!!」 そうやって奮闘しているうちに、 「「「ねえ、やってみなよ~」」」 「「「やってみるやってみる!」」」 先程の唇の持ち主の声と、その友達らしき女の子の声。 (え、ちょっと待って…!!) 「「「よっと…」」」 再び現れる、超巨大な唇。先ほどとは異なる、薄いピンク色。 ぬちゃっ……♡ ふっくらとした唇が上下に開き、唾液が下品な音を立てる。途端にむわっ…♡と巨人の口内の空気が充満してくる。 「「「はぁぁぁーー………♡」」」 (ぐうぅっっ!!!!) 大きく開いた口から、大量の生暖かい吐息が吐き出される。異常な湿度を持った空気が突風のように吹き付けられ、目も開けられない。巨人の吐息の暴風で髪はぐしゃぐしゃに乱され、髪も着ている服もみるみるうちにしっとりと水分を帯びていく。その水分が何なのか、考えたくもない。 何より、この匂い。何の遠慮もなく吐き出された吐息は、お世辞にも良い匂いとは言えない。酸素も薄く、ずっと嗅ぎ続けるのは相当キツい。 「「「ほら、…れぇーー…♡」」」 にちゃっ…ぐちゃっ…… 「ひぃっ!!!あああ……」 開け放たれた口の中に鎮座する、桃色のざらざらした肉塊。俺が生活している部屋の面積よりも遥かに大きい舌が、わざとらしくにちょ…ぐちょ…と音を立ててぐねぐねと動かされている。食べられる。この大きな舌に舐られ、潰され、唾液と共に飲み込まれる。そんな恐怖を掻き立てるような、おぞましい光景を見せつけられる。 「やめてっ…もう……いやだっ……」 再び、俺は精神的に限界になって泣き出してしまう。なんでこんな仕打ちを受けなければいけないのか。俺が、何をしたっていうんだ。ただ、小さいだけなのに。 「「「わあ、この子泣いちゃってるよ~♪」」」 ビリビリビリッッッ!!!! (耳がぁっ!!??) 突然目の前の怪物が蠢き、爆音を紡ぎ出す。耳を抑えて衝撃をこらえる俺は、1テンポ遅れてからその言葉の意味に気づいた。 (なんで…分かるんだ…!?) 慌ててあたりを見渡すと…俺が座っている場所の斜め上あたりに、カメラが設置してあるのが見えた。そうか…この巨人たちは、今の俺の様子をカメラで確認しながら遊んでいるのだ。 「「「ほーら♪れぇー……♡」」」 「やめっ………」 目の前に、べとべとの巨大舌を突き付けられる。その差は1メートル。尋常じゃない距離まで舌を近づけられ、もう声も出ない。少しでも身じろぎしようものなら、目の前の舌が襲い掛かってくる気がする。 「「「えーーー……♡」」」 ゆっくりと近づいてくる、巨大な生物。 「いやだ…いやだ……」 「「「………♪」」」 「やめて「「「にちょおっ……♡」」」 巨大な肉塊が、1cmにも満たない小人の全身にぴっとりと押し当てられた。 ぎゅうぅぅぅっっ…♡ (潰れるっ…!!死ぬっ…!!息できないっ…!!) 女の子の舌が作り出す圧力とは思えない程、凶悪な舌プレス。身体は指一つ動かせず、呼吸をするための穴は舌の肉と唾液の水滴で完全にガードされる。一切息が出来なくなり、俺はこれまでにない焦りを感じ始めた。 「「「はぁー…♡はぁー…♡」」」 小人にベロを押し当てながら口呼吸を行う女の子。その吐息が追撃のように襲い掛かり、舌に埋もれた小人を蒸し蒸しのベトベトに落とし込んでいく。 (本当に死ぬっ…!!死にたくないっ……!!) 視界が暗転しかけたとき、 「「「れぇっ♡……もぞもぞしてて可愛いねー♪」」」 突然、凶悪なプレスから解放される。 「ぜえっ!!ぜえっ!!…こひゅー…こひゅー…」 意識が遠いまま、本能で酸素を取り込む。もはや、巨人の声の爆音は耳に届かなかった。今何に殺されかけたのかも記憶が飛んで覚えていない。脳の処理速度が極端に落ち、ただ目の前に巨大な舌と唇が鎮座していることだけが分かった。 「「「小人って窒息とかするのかな?私たちみたいに呼吸する?」」」 「「「どうだろ。もっかいやってみれば?」」」 「「「そうだねー♪」」」 何か遠くの方から声が聞こえるが、内容は聞き取れない。声が大きすぎて、その意味を捉えることができない。 にちょぉ……♡ (また…ベロが近づいてくる……) 迫りくる桃色の怪物に、俺は一切抵抗する気が起きなかった。 「「「れぅぇーー……♡」」」 にちゃっ……♡ (俺、これで死ぬのかな) まだ十分な酸素が戻り切らないうちに、再び巨大な舌で顔を塞がれる。身体が冷たくなっていくのが分かる。本能的に、自分が殺されかけていることを察知しているようだ。苦しさが気持ち良さに変わっていく。自分の脳が検知できる苦痛を超え、どこかふわふわした快感が注ぎ込まれていく。 (だめだ…抵抗しないと……) 抵抗しないと、本当にこのまま巨人の舌の上で死ぬことになる。俺は最後の力を振り絞り、自分に押し当てられた舌の壁を何度も殴りつける。 「「「んっ……ぷはぁ……」」」 小人の微かな抵抗を感じた巨大舌は、再び後退する。その舌先から、太い唾液の糸が俺の顔まで連なっていた。 「「「やっぱり辛そうだね」」」 「「「そうだねー小人もちゃんと呼吸してるんだ」」」 「「「次のブース行こっか」」」 「「「そうだねー」」」 ズゥゥンッッ……!!ズゥゥンッッ……!! 能天気な台詞を残し、その巨人の2人組は展示ブースから去っていった。 「……………」 俺は唾液でびしょ濡れになりながら、絶望の心持ちのまま、椅子に突っ伏していた。 これから毎日、小人博物館を訪れた超巨大人種の唇で、興味本位に遊ばれて観察されるのだろうか。圧倒的な体格差で、唇だけで小人を潰せるような巨人に、なすがままにされるのだろうか。もう俺は、ここから逃げ出すことは出来ないのだろうか。 「帰りたい…帰りたいよ……」 俺は泣きじゃくりながら、体中についた唾液を拭った。 ------ そこから、地獄の日々は始まった。 毎日、小人博物館の展示の一つである"唇で小人の感触を確かめてみるブース"に展示品として置かれ、訪れたあらゆる巨人に唇を押し当てられていく。俺からは巨人の顔は見えず、ただ巨大すぎるむちむちな唇が次々と現れては、残酷な体格差が生む暴力的なキスを降らせていく。名も知らない、顔も知らない人間のキスで蹂躙されるのは、とんでもなく屈辱であり恐怖を感じるものだった。 ある時は、女子高校生と思われるノリの巨人に唾を吐きかけられ。 「「「ぺっ…♡」」」 「「「うわ、ひどーい♪小人の子、べとべとになってるじゃん♪」」」 ある時は、上司の愚痴を話しながら現れたOLと思われる巨人に、思い切り吸い付かれてストレス発散され。 「「「ずちゅぅぅぅぅ……♡」」」 「「「ちょっと、そんなに音出して強く吸ったら死んじゃうんじゃない?」」」 ある時は、小学生高学年と思われる幼い声の巨人に興味本位で唇で挟まれ。 「「「はむっ…むにゅっ…んっ…」」」 「「「どう?小人さん固い?柔らかい?」」」 俺はそのたびに、何も抵抗できずに弄ばれるだけ。しかもその様子を、訪れる全ての巨人たちにカメラで見られているのだ。よだれでぐちょぐちょになった、惨めで矮小な姿を。 屈辱的な日々。椅子に捕らわれた俺は、毎日博物館閉館後に椅子から解放される。しかし半球状の部屋からは出してもらえず、配給される食事を取って寝ることしかできない。…次の日になれば、起床と同時に複数人の展示員に捕らえられ、強制的に椅子に座らされるのだ。 そんな地獄の日々が2週間ほど続いたある日。 今日は、今までよりもかなりハードな一日になることが予想された。何でも、中学生の修学旅行生が博物館に来ているというのだ。…正直、中学生くらいの子の興味心が一番怖い。羽目を外しやすい時期だし、そんな中学生がグループで来ると小人に何をするか分からない。 「「「こっち見て見よ~」」」 ドスゥゥン……!!ドスゥゥン……!! 早速、とある中学生グループが展示に近づいてくる。 「「「これ面白そう!小人にちゅーしてもいいんだって♪」」」 「「「え~やりたーい♪」」」 修学旅行で浮かれた女子中学生の声が降り注いでくる。 「「「こんにちはー♪」」」 ビリビリビリッッッ!!!! (ぐぅぅっっ!!??) いつも通り、ぷにぷにの巨大リップが現れる。思春期の女の子の能天気な声が部屋に鳴り響き、小人を襲う。 「「「ちゅーーー♪」」」 むにゅぅぅ……♡ 何の躊躇もなく、巨大な唇が部屋いっぱいに押し付けられる。俺は中学生の発達途上の下唇にぎゅぅぅ…♡と抱きしめられ、唇の匂いを直接嗅がされる。 「「「ぷはっ…やば、ちゅーしちゃった♪」」」 「「「私もやりたーい!」」」 新しい玩具を見つけた中学生たちは、代わる代わる小人に巨大な唇を押し当てていく。…こんなの、同じサイズだったら考えられない。中学生が、こんな遊び感覚で他の人間にキスをするなんて。 むにゅっ…♡ ちゅうぅぅ…♡ はむっ、はむっ…♡ 声しか知らない中学生の唇に、回されて犯される感覚。美味しいジュースを回し飲みするかのような軽いテンションで、女の子の繊細な部位であるはずの唇が次々に小人の部屋を占拠し、接吻を行い、その匂いをマーキングしていく。 「「「ねえ、小人もえっちとかするのかな??」」」 「「「するんじゃないー?」」」 「「「小人も股の部分が気持ち良かったりするのかな」」」 「「「やってみればいいじゃん♡」」」 一番性に多感な、中学生という時期。女子中学生たちの興味の強さが、小人へのさらなる蹂躙のきっかけとなっていく。 「「「んふっ…♡」」」 再び現れた、巨大な唇。不敵な笑いを漏らした唇から、ぬらりと唾液で光る巨大な舌が現れる。 「「「れぇっ♡」」」 「はぐぅっ!!!」 ものすごい質量の舌先が俺の股間部に伸ばされ、衝撃を与える。中学生が軽く舌を突き出しただけなのに、俺は股間に激しい痛みを感じて悶絶する。 「「「れぇっ♡れろっ♡れっ♡」」」 「がふっ!!ごほっ!!やめっ……!!」 何度も何度も、執拗に小人の股間を舌で舐め上げる中学生。あまりにも巨大な舌と小人の体格差がありすぎて、舐められるというよりは舌の表面で打撃されている感覚。ぬめぬめした舌で何度も股間を平打ちされ、竿と金玉が痛みでじんじんしてくる。それでも、女子中学生の舌先だけで蹂躙されているこの状況、初対面の中学生の唇や口内が目の前に広がっている景色、むわっと広がるこの子の吐息。それらが同時に俺に興奮を与え、痛みと共に快感がじわじわとこみ上げてくる。 「「「はぁー…♡れぇーー…♡じゅるっ…♡」」」 巨大な舌先が、ゆったりとしたストロークで俺の股間を上下に舐め上げる。射精感がかなりこみ上げてきた状態でそんな責め方をされ、どんどん金玉に精液がたまっていくのを感じる。そして、たまに口内に溜まった大量の唾液を飲み込む中学生の所作がエロく見え始め、いよいよ俺はたまらなくなる。 「ぐっ…うぅっ……」 結果、俺は数分でみっともなく射精を迎えた。 「「「んっ……わっ、凄い!これって射精じゃない?」」」 「「「こんなちっちゃい小人でも興奮するんだねー」」」 「「「私もやりたーい!」」」 先程のキスと同じように、好奇心旺盛な中学生の唇が次々に襲い掛かってくる。 「「「んちゅっ……ちゅうぅぅぅぅ…♡じゅぅぅぅぅ…♡」」」 「「「吸い方やらしー♪」」」 「「「わ、もう小人漏らしちゃったよ」」」 「「「さっきより気持ちよさそうだったね♪」」」 「「「れろんっ…れろれろっ…♡」」」 「「「あはは、舌でぐりんぐりんしてあげるの気持ちよさそー」」」 「「「んんー…♡」」」ふにゅっ…むにゅっ…すりすりっ… 「「「唇で撫で撫でしてあげるの何かエロいね」」」 「「「もっと激しくしちゃえ♪」」」 「「「ふぅぅぅーー……♡はあぁぁーー……♡」」」 「「「息かけたらびくってしたよ」」」 「「「私もはーはーしてみたい♪」」」 様々な唇にキスされ、舐められ、押し当てられ、ねぶられ、吹きかけられ。 何度も、何度も、何度も射精させられる。股間は経験したことのない痛みを訴え始め、頭は連続射精により意識がぼーっとしてくる。いくら射精しても、また別の唇が姿を現し、異なるアプローチで小人をイかせにかかる。暴力的かつ煽情的な唇の動きに翻弄され、いつまでたっても股間の屹立が収まらない。果てしなく中学生の性的な猛攻を受け、惨めに精液を垂れ流し続ける。 「「「ねえ、ちょっとは優しくしてあげないと可哀そうだよ」」」 「「「そうー?」」」 「「「そうそう。ちょっと貸して」」」 次の唇が姿を現す。ああ、またぐちゃぐちゃに犯される。そう思った俺に、 むにゅうっ……♡ 「「「んっ……♡」」」 全く予想していなかった優しさで、巨大できめ細かな美しい唇が押し当てられた。 「「「やさしー♪」」」 「あ、ああ……」 展示され始めてから今までで初めて注がれた優しさ。強引にキスするわけでもなく、小さなか弱い小人にそっと唇を寄せる。精神が限界を迎えていた俺はその優しさに泣きそうになり、思わず手を伸ばして唇に抱き着いてしまう。 「「「わっ、小人が抱き着いてるよ!」」」 「「「やだー超かわいい♪」」」 温かな唇の感触。その中に温かい血が通っているのが分かる。きめ細かで造形の美しい唇に包み込まれ、今日一番の幸福感に包まれる。 と、突然その唇が数メートル離れていき、唇がぐにゃっと曲がる。 「「「なーんて♡」」」 「え…?」 美しい唇は突如すぼめられ、その状態で再び襲い掛かってきた。 「「「ちゅうぅぅぅぅぅっっっ………♡♡♡」」」 「!!??!?!??ああああああああああっっっっ!!!!!!!」 これまでどの巨人からも受けたことのないような、ありえない強さの吸引。小人のことなど微塵も考えていない、暴力的どころか殺人的な吸引。俺の身体は危険なほどの吸引で圧力をかけられ、強制的に股間から精子が吐き出されていく。 「いやああぁっっっっ!!???」 「「「うわっ、えぐー♪」」」 「「「一回優しくしてから虐めるとか可哀そー♡」」」 いつまでも止まらない射精感。逃げようにも吸引により俺の身体は中学生の唇の表面に思い切り張り付いており、どんなに抵抗しても巨人の吸引力に勝てるわけが無かった。 「「「じゅうぅぅぅ…♡ちゅぷっ、ちゅうぅぅぅぅっ♡」」」 「ひぎいぃぃっ!?!?あああぁぁっっっ!!!!」 あまりの気持ち良さと、体の中から内臓ごと吸い出されるのではないかと思う程の吸引力に恐怖し、全力で叫び続ける。中学生の可愛らしいはずの唇から鳴り響く爆音のリップ音がひたすら恐ろしく、ちゅぱっ♡ちゅぷっ♡と音が鳴るたびに身体が反射的に震えてしまう。 そして。 ガタッ、ガタガタッ、…… (え…?何の音だ……?) 自分の腰付近から、異音がしていることに気づいた。ふと下を見ると、椅子のバーが今にも外れて壊れそうになっている。 (ちょっと、ま……) 最悪の想定が頭をよぎり、息が詰まる。中学生の異常な吸引力により、椅子のバーが壊れそうになっている。あれだけ脱出したかったバーだが、この状況で壊れたら、このまま中学生の巨大な唇の中に吸い込まれてしまう…!! 「待ってっ!!壊れちゃうからっ!!吸わないでっ!!」 必死で中学生のすぼめられた唇に命乞いをする。しかしそんな声はちゅぷっ♡ちゅぱっ♡というリップ音に簡単にかき消され、当然巨人の耳には届かない。 「いやだ、まって、そんな……」 ガタガタガタッッ!! ガチンッ… (え……) 次の瞬間、俺の身体は宙に浮いていた。何故か周囲の光景がスローモーションのように見える。少し離れたところで、壊れた椅子が視界に入った。 (俺…投げ出されて……) ゆっくりと、巨大な桃色の唇が作り出す洞窟に向かっていく。そのまま、すぼめられた唇の間をすり抜け、俺は外界の光から遮断されていく。 口内に投げ出されてからの1秒間。巨大な絨毯のような舌、白く大きな歯、ぷにぷに赤い色の歯肉。保険の授業とかで見る光景だ、とどこか他人ごとのような感想が頭をよぎった。 それが、俺が見た最後の景色だった。 ------ 「「「ちゅうぅぅぅ……っ…やば、なんか飲み込んだかも…」」」 「「「あれ、小人いなくなってない?」」」 「「「もしかして飲んじゃったんじゃない?」」」 「「「やば…」」」 「「「係りの人に見つかる前に行こ!」」」 ドスゥゥン……!!ドスゥゥン……!! ------ 「「「唇で触れあうエリアの展示小人、またどこかにいっちゃったらしいよ」」」 「「「えーまた?」」」 「「「あそこ、子どもが色んな遊び方するから、知らない間によく吸い込んじゃったりするんだよね」」」 「「「また補充しないとねー」」」 ---終わり---

【限定小説】巨人博物館(最終話)~超巨大人種の唇と触れ合おう~

Comments

私も展示されたいです😇

konan

嬉しいです、ありがとうございます😊

konan

巨人博物館もう最高です〜 konanさん本当にありがとうございました!

コモン

今日最高でした笑 小人になりたい笑

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