この世には、2種類の人間がいる。大きい人間と、小さい人間。人々はそれを、"巨人"と"小人"と呼んで区別した。 一見、見た目はどちらも全く変わらない。普通の人間の見た目をしている。ただ、両者には50倍もの身長差があるだけなのだ。 50倍。圧倒的な身長差は、それだけで大きな危険を生み出す。小人と巨人の世界は大きな"壁"で仕切られ、分断されていた。お互いに、壁を越えてもう片方の世界に入ることは法律で固く禁じられていた。というより、強固な壁とセキュリティにより踏み入れることは出来ないようになっていた。 俺は高校生になるまで、一度も巨人を見たことが無かった。ずっと小人として、小人だけがいる世界で暮らしてきた。街の外れに大きな壁がそびえ立っているのは見えていたが、その先にいると言われている巨人を目の当たりにすることはなかった。自分たちの50倍もの大きさの人間がいるなんて、正直信じられないという気持ちが強かった。 ------ ある日。小人の世界側の"壁"付近に、"巨人博物館"という施設が完成した。 なんでも、巨人に関する展示物が見れたり、噂によると巨人の実際の姿を安全に観察することができる博物館だという。…一度も巨人の姿を見たことが無かった俺は、この施設に興味津々だった。本当に巨人は存在するのか?存在するとして、本当に俺たちと同じ見た目をしているのだろうか? そして、もう一つ。巨人の性別が全て女性だというのは本当なのだろうか?今まで受けてきた教育では、巨人は全て女性であると教えられていた。小人には男性も女性も存在するが、巨人は違うという。性に関するそんな不可解な事実についても、本当かどうか確かめたかった。 そんな興味に駆られた俺は、とある休日に片道3時間かけて、その博物館へたどり着いた。 「ここが、巨人博物館か…」 かなりの時間をかけてたどり着いた博物館は、街の外れの"壁"に併設されるような形で建てられていた。 「ようこそ、巨人博物館へ」 博物館の入り口の前で立っていると、その傍に立っていた受付の女の人が声をかけてきた。 「あ、えっと…」 「入場料は5000円になります」 結構高い。高校生の俺にはかなり痛い金額だ。…しかし、巨人に関する展示物を見たいという興味が買った俺は、なけなしの財布から5000円札を取り出し、受付の人に差し出した。 「ありがとうございます。それでは、館内の展示をお楽しみください」 俺は促されるまま、館内に入った。そこはロビーになっており、ソファーがいくつも置かれていてくつろげる空間となっていた。そのロビーの先に、最初の展示部屋の扉が設置されているのが分かった。 「"巨人の持ち物"…」 扉の傍のパネルにはそう書いてあった。扉をゆっくりと開けると…広い展示部屋がその先に広がっていた。何だか、甘い香りが部屋の中に漂っている。 「なんだ、あれ…」 部屋の中央に、かなり大きい白い布が置かれている。何重かに畳まれているが、伸ばしたら学校の教室よりも大きいくらいではないか。そんな巨大な白い布が、手すりに囲まれて部屋の中央に置かれていた。 その白い布に近づいていくと、傍にパネルが置いてあることに気づいた。 (巨人のTシャツ 2023/1/9) (巨人が誤って、着ていたTシャツを小人の世界に落としていったもの) 「これが…巨人が着ていたTシャツ…?」 にわかには信じられない、その布の大きさ。小人には着るどころか、布の一部を持ち上げることすら難しいだろう。そんな重く巨大な布を、一人の巨人が上半身に纏っていたというのか。 (匂いが…) 小人の世界で若い女の子が着ていそうな可愛らしいデザインのTシャツから、甘い香りがふんだんに放出されていた。ただ甘い匂いというだけでなく、実際に生きている人間から発せられるような、どこか生々しい匂い。そんな匂いが、小人の世界では嗅いだことのないレベルで強く部屋に充満していた。これが、巨人の匂いなのか。匂いだけで圧倒的な存在感を主張してくる。 (他にも、展示物があるな) 展示部屋の別の場所にも目を向けると、巨大な茶色の靴のような物体や、分厚い紺色の布の塊が置かれている。 「こっちが"巨人のローファー"、こっちが"靴下"か…」 小人の身長を軽く超えるような、茶色く艶光る巨大なローファー。現実離れした大きさのローファーだが、革の表面やかかと部分が使い古されてくたびれているのを見て、このローファーが実際に使われていたのだと思い知らされる。こんなにも大きな入れ物に、人間の足が入っていたとは到底思えない。 「なんだこの匂い…!」 ローファーの隣にある紺色の分厚い巨大な布から、さきほどのTシャツの何倍も濃い匂いが発せられている。あまりの濃い匂いに、思わず鼻を塞いでしまう。これが、巨人が履いていた靴下。この生々しい足の匂いを嗅がされるだけで、目の前の分厚い布地が本物の巨人の靴下であることを信じざるを得なくなる。 「"2022/12/10 巨人 14歳 小人世界に靴下を投擲"……」 展示された巨大靴下の脇にあるパネルには、この靴下がどんな経緯で博物館に展示されるようになったかが示されている。俺よりも年下の、小人の世界で言うと女子中学生の靴下。それが、小人の世界に戯れに投げ込まれたという。…パネルによると、その投擲により3棟の住宅が全壊または半壊の被害に遭ったという。 「この靴下を、女子中学生が履いていた…のか」 あまりにも巨大な、分厚くてたくましい靴下。これを纏っていた巨大な素足をどうしても想像してしまう。それだけではなく、部屋の中央に展示されている大きな白いTシャツを纏っている巨大な上半身も想像してしまう。小人には持ち上げることすら難しいであろう布を、身体の一部に軽々と纏ってしまう巨人。その途方もない大きさを想像し、俺は唖然とする他なかった。 「次の部屋にいくか…」 展示物のダイナミックさにあっけにとられながら、俺は部屋を出た。すると、そこには再び案内役の女性従業員が立っていた。 「ここからは、実際に巨人を観察できます」 「実際に…?」 ここまでは巨人の持ち物の展示だったが、巨人そのものを見れるということか。…人生で一度も見たことのない生き物の姿を目の当たりにできると分かり、にわかに心臓が高鳴り始める。 「次の部屋では、壁の一面が全てガラス張りになっており、外で巨人が活動している様子が見られるようになっています。このガラスはマジックミラーとなっているので、巨人側からこちらの姿は見えません。巨人が動いて活動している様子を、是非ゆっくりとご鑑賞ください」 巨人が活動している様子が、見られる。自分の50倍もの大きさがある、人間の姿をした生き物。それが、このドアを開ければ見られるのだ。ドアの傍には、「鏡を覗く巨人」と書かれている。 「…よし」 俺は息を吸い込み、意を決してその部屋の中に足を踏み入れた。 (広い…) その部屋は、教室くらいの大きさの立方体の空間となっていた。そのなかの一面の壁が透明になっており、その先にはとてつもなく広い空間が広がっているように見える。…これは…何が見えているんだ…? (学校の、廊下…?) 俺みたいな高校生にとって、見覚えのあるような景色がその先に広がっていた。よくある、学校の廊下の風景。少し古い木の板が敷かれた床と、横にスライドする教室のドア。学校の廊下を横からみたような風景が、その展示部屋の一面の壁から見えていた。…一つ違和感があるのは、その見慣れたような風景が、とてつもなく大きく見えることだった。 と、その瞬間、 「「~~♪」」 ずいっ!!!! 「うわあっ!!??」 突然、ガラスから見える景色が巨大な人の顔に埋め尽くされ、俺はびっくりして床にへたり込んでしまう。 「な…これは……」 あまりにも大きなその物体は、"女の子の顔"にしか見えなかった。 「「………♪」」 俺と同じ年くらいに見える、高校生くらいの女の子の顔。一辺が10m程もあろうかというガラス張りの壁を埋め付くす巨大な顔が、こちらを覗きながら髪を弄っている。 こちらのことは見えていないのだろうか。…そうか、あくまでこの女の子は、廊下の手洗い場にある鏡を見ているのだ。その鏡が、実は小人が作った博物館の展示部屋に繋がっているとは知らずに。 (すご……) 可愛らしい同年代の女の子の顔が、異常なほど大きく、こんなにも至近距離で見えている。女の子は澄ました顔で、自身の髪を真剣に整えている。 ドキドキしながら、ガラス張りの壁に近づいていく。 (デカすぎるだろ…) こんなにも近づいても、女の子の顔は整っていて可愛らしく見える。まず、同世代の女の子の顔をこんなに間近で見られることなんてない。ぱっちりとした目、スラっと通った鼻、シワまでくっきり見えるピンク色の唇。どれをとっても自分の身長よりも大きく、こんなにも巨大なJKのパーツがこの世に存在しているという事実に胸がドキドキしてくる。 「「……♪」」 (く、唇が…!こんなに近づいて…!) 急に、ガラス張りの壁の至近距離まで唇が近づけられる。さっきまでもかなりの近さで見せつけられていた唇が、こちらに近づいてキスしようかというくらいギリギリまで近づけられる。 「「……」」ふにゅっ…むにゅっ…… (す、すごい…エロい……) 巨人の女子高校生は、鏡に自分の顔を近づけ、リップクリームを唇に丁寧に塗り出した。唇の柔らかさ、シワのきめ細かさ、その圧倒的な質感を見せつけられながら、巨大なリップクリームを塗りたくる様子を大パノラマで観察させられる。女の子の唇をこんなにも近くで見ることなんてない。…今まで唇のエロさなんて意識したことはなかったけど…自分よりも大きな唇がむにゅっ…ぐにゅっ…と蠢いている様子を見せつけられると、それが自分の身体にもし押し当てられたら、ということを想像してしまう。 こんな大きな巨人の女子高校生に、もし唇を押し当てられてキスされたら。 「「……」」ぱっ…♡ぱっ…♡ リップクリームを塗り終えた女子高生が、唇を閉じてからぱっ、ぱっ、とリズミカルに開き、全体にクリームを馴染ませつつちゃんと塗れているかどうか確かめる。その何気ない動作も、こんな巨大スクリーンで見せつけられるとどこかエロく見え、視線が釘付けになってしまう。 「「………♪」」 唇にうるおいを与えて満足した女子高生は、ガラス張りの壁の前からどこかへ去っていった。 (あっ…いっちゃった…) 巨大な女の子の顔が消えてしまい、残念な気持ちになる。…よく見ると、ガラスの向こうの巨大な学校の廊下には、途方もない大きさのJK巨人が行き交っている。巨人の学校が、小人の世界との間に立つ壁のすぐ隣に建てられている、ということか。 ガタガタッ…ガタガタッ…… 巨人が鏡の前を歩くたび、部屋が地響きに襲われる。ガラスは完全に防音となっているため音は聞こえないが、巨人が歩行することによる振動は部屋の中まで伝わってくる。 (出るか…) 巨大な女の子の顔が脳裏に焼き付いたまま、俺はぼーっとしたまま展示部屋を出た。部屋を出た後は、移動式の歩道がずっと伸びていた。軽く10分ほど、かなりの距離を移動させられる。 やっと次の展示部屋の前にたどり着いた。 「"座る巨人"、か…」 今度はどんな巨人の姿が見られるのだろうか。俺はドキドキしながら、部屋の扉を開けた。…その中は、先ほどと同じくらいの大きさの空間となっていた。だが、今回は"天井"がガラス張りの透明になっている。 (この上に見えるのか…?) 天井から先の景色は、特にこれといったものは見えていない。ガラスの天井よりも遥か上空に、クリーム色の別の天井があるように見える。これもまた巨人の世界のどこかなのだろうが、一体どんな場所なんだろう。 「なんだ、あれ…!」 突然、上空に紺色の巨大な物体が現れた。それが何なのか視認する暇もなく、巨大な何かが勢いよく落下してくる…! ミシミシミシッッ!!!! 「うわあああっ!!!???」 激しく天井が軋む音と共に、ガラス張りの天井から見える視界が紺色の物体で埋め尽くされた。その物体には、何やらポケットのようなものも付いている。 これは、人のお尻だ。紺色のジーパンを履いた女の人が、このガラス張りの天井を座面にして座っているのだ。そして、巨人が使う椅子の座面の中にあるのが、紛れもなくこの部屋なのだ。 (これが女の人のお尻…!?) ガラス張りの天井に向かってむにゅうぅぅ…♡と、お尻と太ももの肉が押し広がっている。恐らく大人の女性の、巨大すぎるお尻と太もも。固いジーパンの生地に覆われていることで余計にその奥の肌の質感を想像させられる。 こんなにも広い天井が、押し広がったお肉の面積で埋め尽くされているなんて。この女性のお尻にもし敷かれたら、俺の身体などぐちゃぐちゃに潰れてしまうだろう。…そんな想像が、抑えられない。 (凄い威圧感だ…) 巨人の世界から降り注いでいた光は全て女性のお尻に遮られ、展示部屋の中はかなり暗い状態となっていた。天井にのしかかるお尻は時折むぎゅっ…ぎゅっ…♡と前後に身じろぎし、今にもガラスを突き破って落ちてくるのではないかと恐怖してしまう。 たっぷり20分ほど、女性の巨大なお尻に睨まれ続けた後。 ガタンッ!! (ひぃっ……) 再び大きな衝撃と共に、女性のお尻は上空へ消えていった。…喫茶店とか、飲食店とか、そういう所なのかもしれない。しばらく椅子に座って落ち着く場所のようだ。 (次の人、こないかな…) そう思っていると、 ズンッ、ズンッ… ミシミシミシッッ!!! 「ひああっ!!……な…あ……」 再び落下してきた、巨人のお尻。激しく軋む天井の音にびびりながらも上を見上げると、 (ぱ、パンツが……!!) そこには真っ白なパンツと、肌色の生の太ももが鎮座していた。ミニスカートを履いた女の子が、勢いよく椅子に座ったのだ。…スカートの布地をお尻と座面の間にかませることはせず、生のパンツで直接椅子に座っている。 (すごすぎる…!!) やわらかそうな超巨大太ももが、むぎゅうぅぅ…♡とぺったんこに圧し潰されている。その中央に、一人の女の子が履いているとは思えないほど巨大な純白のパンツ。同じ小人の女の子のパンツすら見たことが無いのに、こんなにも巨大なパンツを大迫力のアングルで見せつけられて、異様なほど興奮させられる。 ギィィッ…!! むにゅうぅ…♡みちちっ…♡ 女の子が何気なくお尻の位置を動かすたび、お尻や太ももの肉が激しく座面と擦り付けられる。天井が軋む爆音に怯えながらも、パンツがずれることで女の子の股、股間部が見えそうになって必死で観察する。 「はあっ、はあっ、はあっ……」 こんなに近くで見ても、きめ細かで綺麗な太ももの肌。もしガラスが開いたら、どんな匂いがするんだろう。このお尻と太ももの持ち主は、どんな顔の女の子なんだろう。想像が止まらず、自然と息が荒くなる。 女の子の顔は一切見えず、ひたすら豊満なお尻がむにゅっ♡むにゅっ♡と天井に押し付けられるのみ。それを下から見上げることしかできない、自分たち小人の矮小さを実感する。 (だ、だめだ…抑えられなくなるっ…!!) 極度の興奮に陥っていた俺は、ここが公共の場であることを思い出した。ギンギンに勃った竿を隠しながら、急いでこの展示部屋を出た。…このまま女の子のお尻を見続けていたら、我慢できなくなってしまう…! (この博物館、すごすぎる…!) 今まで見たこともなかった巨人の姿を、こんなにも間近で観察できるなんて。その巨人の姿は思っていたよりも何百倍も圧倒的なスケール、威圧感で。…今まで、小人と巨人はお互いに助け合いつつも距離を取って共存してきたのだと何となく思っていた。だが、違う。あまりにも、生物としての強さが違いすぎる。巨人はその気になれば、小人の世界など簡単に破壊し、蹂躙できるだろう。若い女の子一人にだって、敵わないんじゃないだろうか。 (小人は、巨人に生かされているだけだ…) 対等な人間どころか、虫程度に思われているだけじゃないのか。そう思ってしまう程、巨人の女の子は絶望的に大きく、圧倒的だった。 そして、次の部屋にたどり着いた。 「えっと…"手すりの内側には絶対に入らないでください"…」 扉の前の注意書きに、少し不安になるようなことが書かれている。何か危険を伴うようなことがあるのだろうか。 恐る恐る部屋の中に入ると、やはりここも広い空間。部屋の真ん中付近は手すりで囲まれており、その上を見上げると何やら大きな穴が天井に開いている。 (やけに暑いな…) 先程までの部屋に比べて、室温がかなり高い。サウナとまではいかないが、明らかにこの部屋だけ設定温度が高くなっている。 ガタンッ!! 「……??」 急に、天井に開いた穴のあたりから物音がした。と、 …ズドォォォンッッ!!! 「ぎゃあぁぁぁっっ!!!」 突然爆音を立てて、巨大な物体が天井の穴から降ってきた。耳をつんざくような衝撃音と、びりびりと震える部屋の振動に、心臓が止まりそうになる。思わず耳を塞ぎ、部屋の片隅まで逃げてしまう。 「な…なんだ……?」 震えながら、部屋の中央を見る。そこには…大きな大きな肌色の柱がそびえ立っていた。 (まさか…巨人の…足…!?) 明らかにそれは、人の足の形をしていた。すらっと美しい造形の素足、その上に伸びているハリのある健康的なふくらはぎ。巨大な建造物の柱のような大きさの生足が、天井の穴から部屋の中に突っ込まれたのだ。 しかも、ガラス越しではない、生の足。今までとは事情が全く違う。同じ空間に、巨人の身体のパーツが存在しているのだ。…軽く蹴られたり踏まれたりしたらあっけなく死んでしまうだろう。そんな命の危険を感じるほどの質量を持った脚が、すぐそこにあるのだ。足の周りが手すりで区切られているとはいえ、本能的に近くへ行くことを脳が拒否している。上手く体が動かない。 手すりの傍に立てられた案内板を見ると、 ("掘りごたつ暖房"…?) もしかすると、この部屋は巨人にとって掘りごたつの足元の空間なのだろうか。何かのお店の掘りごたつで、巨人が座って穴に足を突っ込んでいるのだ。その先は暖房が効いた暖かい空間。…そこに小人がいるなんて、思いもしていないだろう。 ぺたっ…!!ぺたっ…!!…… 「っ……!!びっくりした…!!」 巨大なかかとが床につけられたまま、足先が何気なく上下する。自動車くらい大きな素足が床に叩きつけられ、強靭な足裏の肌が床に当たる衝撃音が部屋に響き渡る。なんて爆音なのだろう。さきほどの部屋までは音が聞こえていなかったが、巨人が発する音がこんなにも激しく恐ろしい大きさだなんて。 ぐにゃっ…ぐにゃり…… 俺の足くらい太い巨人の足指が、時折ぐにゃりと曲げられては伸ばされる。そのたびに足指同士が擦れる音が部屋に響く。足を軽くにぎにぎするだけで、こんな音が出るものなのか。 (怖い……) あの太い足指で掴まれでもしたら、全力で抵抗しても逃げられる気がしない。俺は、この脚の持ち主の女性の足指にすら勝てないのだ。 でも、もっと近くで見てみたい。 「………」 恐怖に怯える俺とは別に、巨大な女性の生足をもっと近くで見たいという好奇心に支配された俺もまた存在していた。美しく強靭な生足に俺は魅了されていたのかもしれない。危険だと分かりつつも、部屋の中央の手すりの方へ近づいていく。 (匂いが濃い…!!) ゆっくり近づいていくと、じっとり汗をかいた素足の強い匂いがあたりの空気に充満してくる。汗ばむ匂いと、女性特有の香水のような匂いが入り混じっている。女性の脚が放つこんな生々しい匂いを嗅ぐことなんて今までなかった。リアルな女性が放つ飾り気のない匂いを、よく考えれば異常な近さで嗅いでいるのだ。客観的に見れば、巨人の女性の素足に近づく変態的な小人である。…だが暑さのせいで頭がおかしくなったのか、俺は背徳的な興奮をどんどん感じていくばかりだった。 (だれも…いない……) 俺は部屋に他の客がいないことを確認しつつ、手すりをゆっくりと乗り越えた。そして、巨大な素足と約50センチの近さまで接近した。 (はあっ、はあっ……良い匂い……) 決して一般的には良い匂いではないはずなのに、女性の汗と香水が混じった匂いがどうしてもエロく感じられる。見れば、大きな素足の表面はじっとりと汗で濡れている。巨人にはこの掘りごたつ部屋の温度はやや高かったようで、足指の間からとろーっ…と汗の水滴が垂れているのが分かる。 この美しい素足に触れたい。女性の脚から滲む汗に濡らされたい。足の指に挟まれ、その匂いを嗅ぎたい。絶望的な質量を持った生足に、容赦なく踏まれたい。 「はあっ、はあっ、はあっ…」 俺は自身の股間をズボンの上からまさぐり始めた。部屋には誰もいない。俺は注意書きも無視して手すりを超え、巨人の女性の素足に触れようかという距離で自慰行為を始めていた。 圧倒的なサイズの差に興奮する。俺がどれだけ全力を出しても、この女性の脚の指にすら敵わない。俺のような小人が自慰をしていても、巨人は一切気づくこともない。ただただ巨大な脚が俺の目の前に鎮座して威圧してくる。俺は巨人の脚の存在感に圧倒され、一人で惨めに自慰を行うだけだ。 触れたい。触れたい。このえっちで巨大な女性の生足に触れたい…! 分かっている。そんな危ないこと、していいはずがない。巨人にこの部屋のことがバレたら、何が起こるか分からない。こんな巨大な脚に敵意を向けられた時のことを想像し、ゾッとする。 頭で危険を分かりつつも、理性を失っていた俺は、しっとり汗で濡れた巨人の小指に、抱き着いた。 ぐにゅっ…♡ 「「「きゃあっ!!!」」」 ぐんっ!!!! 「うわああっっっ!!!!」 柔らかな小指に抱き着いた瞬間上空から女性の声が聞こえ、巨大な素足が数m上空まで持ち上がる。俺は突然の素足の動きに思わず手を離し、後ろにしりもちを付いてしまう。 「「「…気のせいかな……」」」 再び上空から鳴り響く、女性の声。まるで天から神がしゃべっているかのように、はるか遠くから聞こえてくる。俺は持ち上げられた素足の裏を、何故かぼーっと眺めていた。綺麗に手入れされた足裏の表面はすべすべしていて、足に力が入っているためかぎゅっとしわが寄っていた。 そして、 ダンッッッ!!!!!! 「!!?!??!??」 瞬間、巨大な素足が振り下ろされた。耳をつんざくような衝撃音と、床の震え。そして巨人の素足が生み出す強烈な風圧を感じた瞬間、俺の身体は宙を舞っていた。 (え……飛んでる…?) ガシャァンッ!! 「がふっ!!!」 女性の足の風圧でふっとばされた俺は、部屋の壁に直接叩きつけられた。激しい痛みが全身を駆け巡り、俺はそのまま床に落下する。 (死ぬかと…思った…) 激しく痛む身体。だが、命には別条なさそうだ。…倒れ込んだ体勢のまま部屋の中央を見ると、相変わらず巨大な脚がそびえ立っており、ぺたっ…!!ぺたっ…!!と再びつま先を上下に動かしている。 巨人が上げた足を軽く踏み下ろしただけで、小人が簡単に吹っ飛ぶほどの風圧。一瞬、本当に死ぬのかと思った。 びくっ、びくっ… (なっ……) 自分の股間が跳ねているのを見て、衝撃を受ける。俺は、先ほど巨人の女性に足を踏み下ろされた時の風圧で、股間を刺激され果ててしまっていた。 震える全身を手でさすって抑えつつも、俺はあまりの力の差に完全に興奮してしまっていた。 (もっと…大きい女性を見たい…!) 俺は痛む身体に構わず立ち上がり、未だ毅然と立ちはだかる生足を横目に、展示部屋を後にした。 さらなる巨人の姿を目の当たりにするために。 ---続く---