「ふう、やっと見つけた…」 初めて訪れた都市の郊外を数十分バイクで飛ばしていた俺は、ようやくホテルの建物を見つけ、その駐車場でバイクを止めた。 「"格安カプセルホテル"か…ありがたいな」 5階建てほどの建物の屋上に設置された看板に書いてある文字を見つけ、少し安堵する。バイクで一人旅を初めてから2週間。できるだけ宿代は押さえたいと思っていたので、非常に好都合だった。大学3年生の懐事情は、一人旅を始めたことでかなり厳しい状況となっていた。 外装は割と新しめに見える。自動ドアとなっている玄関を入ると、すぐ右手にフロントがあった。受付の女の人が立っている。 「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?」 「あ、はい。素泊まりで一泊したいんですけど」 自分よりも4,5つくらい上だろうか。少し大人っぽい女の人が、にっこり笑って対応してくれた。 「かしこまりました。素泊まりプランですと5000円となります」 (あれ、結構する……) "格安"という触れ込みだった看板を思い出し、予想していた金額とのギャップに少し言葉が詰まる。この金額だとちょっと厳しい。 「?どうなさいましたか?」 「あ、いや、えーと……。素泊まりプランより安いプランなんて無いですよね?」 ダメ元で聞いてみる。 「そうですね、男性の方ですと"縮小プラン"もありますが…」 「縮小…?それはどういうプランなんですか?」 「こちらのプランでは、お客様の身長を一時的に数cmまで縮めさせていただき、他の一般のお客様と同じカプセルルームで寝泊まりしていただく、ということになりますね」 「縮め……?…そんなことできるんですか…?」 全く聞きなれないプラン内容に頭がついていかない。人の身長を縮めるってことか…?そんなことできるのか…? 「はい、可能です。身長が小さくなれば、既に他のお客様が使われているカプセルルームに邪魔にならず入ることができるので、カプセルルーム分だけ価格がお安くなっております。一泊の価格は500円となります」 「な、なるほど…」 つまり、小さくなってしまえば場所も取らないので、他の人が使っているカプセルの隅っこで勝手に寝泊まりすればいい、ということか。…確かに、格安である理由は納得できる。 「ただ安全のため、当プランは女性の方にはご案内しておりません。男性の方専用のプランとなっております」 「なるほど、そうなんですね」 正直、一泊500円で泊まれるならとてもありがたい。ここでお金を使ってしまうと、旅の後半はロクに食事さえとれないかもしれない。それほどまでに、俺の財政事情は切迫していた。 「でも小さくなるって、ちょっと危なくないですか…?」 「ちゃんと普通の大きさの方とコンタクトを取っていただければ、危険なことはありませんよ。ちゃんと自分がいることを周囲の方に知らせながら行動していただければ、基本的には大丈夫です」 優しい笑顔で説明してくれる受付の人。その口ぶりからすると、本当に危ないことはほとんど無いんだろう。まあ数cmといっても人間が動いているんだから、周りの人も気を使って動いてくれるだろう。 「じゃあ、縮小プランで泊まります」 「かしこまりました。それでは、宿泊料金の500円をお願いします」 安すぎる。この金額で泊まれる宿なんて無いだろう。小さくなるだけでこんなにお金を節約できるなら、万々歳だ。 「…ありがとうございます。それでは、フロントの右まで来ていただけますか。この場で縮小スプレーをおかけし、お客様の身長を縮めさせていただきますね」 「は、はい」 いきなりここで縮められるのか。まだ心の準備ができていなかったが、まあいつになっても同じか、と考えてお姉さんの誘導に従う。 「では、スプレーをかけますね。目に入ったら危ないので、目をつぶっていてください」 「分かりました」 目をつぶった瞬間、シュウゥゥ…とスプレーが全身にまんべんなく噴出される。今はこんな技術があるのか。そういえば、女性の護身用に開発されたとかテレビでやっていたな…。そんなことを考えていると、 「「お客様、目をお開けください」」 「!?うるさっ……うわっ!!!」 突然頭上から鳴り響いた受付のお姉さんの声の大きさに驚いて目を開ける。…と、開けた目に飛び込んできたのは、ビルよりも大きな、天高くまでそびえる人間と思わしき巨人の姿だった。 …それが先ほどの受付の女の人だと分かるまでに、数秒かかった。 「でっか……」 あまりのスケール感に言葉を失う。目の前のパンプスは自動車ほどの大きさに見え、黒く光るそれは重量感を主張してくる。そこから伸びる肌色の大木。むっちりと膨らむ肌色の肉は、驚くべきことにふくらはぎのようだ。二階建て住宅の屋根くらいの位置に女の人のふくらはぎがあり、さらにその上に膝、太ももと続く。首が痛くなるほど見上げれば、柔らかそうな太ももがスカートの中まで伸びているのが分かる。 (うわ…見える……) そのなかで純白の布地が、その存在を主張している。この大きさでは、スカートの中まで簡単に見えてしまう。…いやいや、こんな所を見ていたら通報される。焦って目を離そうとした瞬間、その純白がこちらに急落下してきた。 ズズッ… 「うわあっ!!!!」 受付の人に圧し潰されるのではないかと、思わず身構えて叫んでしまった。 「「!すみません、びっくりさせちゃいましたね」」 上空から心配そうな顔で謝られる。思わず顔が赤くなる。ただこの人がしゃがんだだけなのに、大声を出してしまった。 (…すごいな……) そして改めて見ると、しゃがんだ女の人のスカートの中がこちらに露わになっていた。しゃがんだことで布地や肉が引っ張られ、白い下着がパツパツに張っている。ふくらはぎのたくましい肉はふとももに圧し潰されて簡単に変形してしまっている。あのビルのような足が、一人の女性の下半身に過ぎないことを思い知らされる。 …そんな景色を俺に見せつけていることを知ってか知らずか、受付の人は表情を変えずにこちらに手を伸ばしてきた。 「「お客様、少々手の上にお乗せ致しますね」」 「…っ!は、はい……」 巨大な手のひらが近づけられることに本能が拒否反応を示し、身体がびくっとなる。しかし恐らく受付業務の一環なので、逃げるわけにはいかない。 「「では、お掴みしますね。痛かったらお申し付けください」」 開かれた手のひらの熱量が全身に浴びせられる。そのまま丸太のような5本の指が、思ったよりも強い力で俺の身体を締め付ける。やさしく握っているのかもしれないが、ちょっと息が詰まるくらいには強大な締め付けだ。 握られたまま、上空へ連れ去られる。たくましい太さの指で固定されているとはいえ、高層ビルほどの高さまで一瞬で連れていかれて命の危険を感じざるを得ない。 「「はい、こちらへどうぞ。大丈夫ですか?」」 受付のお姉さんは、右手で握った俺の身体を左手の上にそっと乗せた。ワンルームほどの大きさの手のひらから、暑いくらいの熱が放射される。巨人と小人のエネルギー量の違いを全身で分からせられる。柔らかい手のひらはとても安定感があり、俺一人を乗せたくらいではびくともしていないようだ。 「あ、すみません、土足で…」 「「いえいえ、お気になさらず。それではカプセルルームまでご案内しますね」」 そう言うと、お姉さんは手のひらに俺を乗せたまま歩き出した。 「ひっ…!ちょっ…ま……」 突然、今まで感じたことが無いレベルの揺れに襲われ、恐怖でうずくまる。受付のお姉さんのただの歩行が、手のひらの上の俺にとてつもない衝撃を与える。手の上から落ちるのではないかと思い、必死に這いつくばって衝撃に耐える。 「「あっ、すみません…!少し怖いですよね。…手を軽く握っておきますので、落ちることは絶対に無いですから、ご安心くださいね」」 そう言って、お姉さんは俺を乗せた手をゆっくりと閉じていく。大きな指がこちら目がけて閉じてくる光景もそれはそれで怖かったが、この方がありがたい。…一瞬のうちに外からの光が遮断され、握った手の中の小さな空間に閉じ込められる。 「………」 お姉さんの手のひらの匂い、熱が充満する、快適とは言えない環境。…女の人が軽く手を握っただけで、今の俺は閉じ込められてしまうのだ。ついさっきまで俺より背が低かった女の人に、今は指一本にすら勝てないだろう。 ぐらっっ 「ひぃっ!」 ひときわ大きな揺れが手のひらの中の俺を襲う。たまらず、閉じられた人差し指の中腹あたりに抱き着く。むにゅっ、と軽く肉が沈んだ程度で、お姉さんの人差し指はがっちり固定されたままだ。縋る対象を見つけ、俺は揺れが収まるまで必死に指にしがみついて耐えた。 ------ 「「お客様、カプセルルームに着きましたよ」」 突然外からの光が差し込み、そのまぶしさに目をそらす。目が慣れると、手のひらの上の俺をお姉さんが優しい表情で見下ろしている。 「「それでは、この後はお客様でご自由にホテルをお楽しみください。…同じカプセルルームを既に予約している方がいらっしゃいますが、まだお越しになっていないようです。そのうちにカプセルに入ってこられると思いますので、気に留めておいてください」」 「わ、わかりました」 そう言うとお姉さんは、床と同じ高さに設置されているカプセルルームの入り口付近に小さな俺を降ろした。 「「何が困ったことがありましたら、フロントまでお越しください。その際、他のお客様に踏まれないようにご注意くださいね」」 「え……あ、はい……」 "踏まれる"というワードを出され、戸惑う。この大きさで踏まれたら、即死だよな…。お姉さんはやたら軽い口調だけど。 「「それでは、失礼いたします」」 変わらず優しい笑みを浮かべながら、巨大なお姉さんはずしん、ずしん、…と地響きを立てながらフロントの方へ戻っていった。…いつも通りの対応、という感じだった。おそらく"踏まれる"というのも冗談だろう。他の客に普通に踏まれる危険があったら大問題だ。何か危険を回避するルールや仕組みがあるのだろう。 そう思い、俺は後ろを振り返り、巨大なカプセルルームへ対面した。 「いや、広すぎだろ…」 学校の運動場くらい広いカプセルルーム。普通のサイズで泊まるときはあんなに窮屈に感じるのに、身長を縮めただけでとんでもない広さだ。これ、別のホテルに泊まるときも小さくなった方が快適なんじゃないか…? ひとまずカプセルの奥の方へ歩きだす。カプセルの床にはマットが敷いてあり、掛布団は横の壁に沿って畳まれている。カプセルの一番奥には小さな荷物を置くスペースがあり、その部分だけ木の床でできている。 30秒程歩いてようやく最奥地の木の床ゾーンまでたどり着く。恐らくここにいるのが安全なのだろうが、出入りするだけで何という労力だ。夜トイレに起きるだけでものすごく大変そうである。 ズンッ……ズンッ…… 「…っ!」 大きな地響きが鳴り始め、思わず身構える。普通サイズの宿泊客が、カプセルのある部屋に入ってきたみたいだ。 ズンッ…!ズンッ…! 「ひぃっ…」 見知らぬ誰かの歩行音は爆音となり、俺がいるカプセルの中を激しく揺らす。とても立っていられなくなり、地面にへばりつく。 ズンッ……ズンッ…… 「…違ったか……」 地響きが遠ざかっていき、他のカプセルの宿泊客だったことに気づく。…ただの人の歩行が、あれほどの衝撃に感じるのか。あの衝撃を生み出せる体格の人間が、これから同じカプセルに入ってくる…そう考えると少し怖くなってくる。ちゃんと俺の存在に気づいてくれるだろうか。 ズンッ……ズンッ…… 再び、近づいてくる足音。再び警戒モードになり、身構える。 ズンッ…!ズンッ…!ズンッ…! どんどん衝撃音が近づいてくる。あまりのうるささに耳をふさごうとした瞬間、 ずいっ 「あっ……」 カプセルの出口から、巨大な女の子の顔がのぞき込んだ。 「「………。」」 黒いロングの髪。真っ白いタンクトップに青のホットパンツ。大学生か、社会人か分からないが、俺よりは年上に見える。無表情でカプセルの中を覗き込んだその女性客は、俺と目が合うことがないまま、ハイハイの体勢でカプセルルームの中にその巨大な身体を入れようとする。 ごそごそごそっ…!! マットと服が擦れる音がカプセル内に鳴り響く。ハイハイの状態でも見上げるほど大きなその女性が、大きな両手をずんっ、ずんっ、とマットに沈み込ませながら、こちらに前進してくる。あまりの迫力に、そのまま上半身が落ちてくるのではないかと錯覚する。 「「よいしょっと」」 ばふんっ!! 「うわあっ!!!」 最奥地まで到着したその子は、うつぶせの状態でマットに倒れ込む。それにより発生した暴風が、俺の小さな身体を簡単に吹き飛ばす。…床で思い切り頭を打った。「痛っ……」頭をさする俺の鼻に、フローラルな香りが入り込んでくる。先ほどまでは感じなかった、甘い匂い。明らかにこの巨大な女の子が纏う匂いであった。一瞬のうちにカプセル内が女の子の匂いに支配される。 ガサガサ…カチッ 「「~~~♪」」 女の子はカプセル内に持ち込んだ小さなバッグから充電器を取り出し、コンセントに素早くセットした。その充電器にスマホを繋ぎ、うつぶせの状態でスマホをいじり始める。 (顔だけでこんなにでかい……) うつぶせになった女の子の顔の20cm横から、巨人の顔をまじまじと見上げる。あか抜けた表情で、結構可愛い。鼻歌まじりにスマホをいじる女の子の顔は、全てのパーツが俺の全身よりも大きく見える。こんなに至近距離で他人の女の子の顔を見ることなんて、日常生活ではなかなかない。あまりの近さに、見ているだけで少し照れ臭くなる。 (まさか、女性と一緒の部屋だとは…) 普通ならありえない、男女での相部屋。それが、縮小プランの場合はどうやらありらしい。男が小さいなら女の子に対して何もできないので安全だ、ということなんだろう。…正直な所、得した気分、というかものすごくドキドキする。女の子と一緒の空間でこの夜を過ごすのか…。しかも、結構可愛いこの人と。…ただ、このサイズ差では何もないだろうけど。 (というか、早く俺がいることを伝えなきゃ) 声をかけようとするも、相手の体格の大きさに少し気構えする。…ないとは思うが、いきなり気分を害してしまったら何をされるか分からない。何をされても、このサイズ差では抵抗できないのだ。…会話すら交わしていない初対面の女の子に対し、ビビっている自分がいた。 「あの…先、入らせてもらってます」 恐る恐る、巨人の顔の下から呼びかける。 「「~~♪」」 女の子の鼻歌と指の動きは止まらない。そこそこ大きな声を出したつもりだったが、この距離でも耳に届かなかったみたいだった。 「あのっ!」 「「えっ?…ああ、こんにちは~」」 大声を出した俺に気づいた女の子は、無表情のまま淡白に返事をする。…ものすごく反応が薄い。縮小プランの存在を知っているのだろうか。恐らくそうだろう。それなら、説明する手間が省けて助かる。 「えっと、よろしくおね「「危ないので、そこのスペースにいて下さいね~」」 大声で律儀に挨拶しようとした俺の声を、全く声を張っていない女の子の声が遮る。事務的な言葉を発したまま、女の子は目線をスマホに戻し、再びいじりはじめる。 …全然、俺の存在を気にかけられていない。このホテルでは本当によくあることなんだろう。向こうが慣れているならそこまで危険なこともないだろう、とは思うが、あまりに反応が薄いので、存在を認められていないみたいで少し気分が落ち込む。 「「ふう~」」 ひとしきりスマホをいじり終わった女の子は軽く息を吐き、上半身を起こした。女の子座りの体勢で、俺側に背を向けた状態となる。 女の子はタンクトップの裾に両手をかけたかと思うと、一気に脱ぎ始めた。 (ちょっ……え……) 突然の出来事に体が固まる。一瞬のうちに、女の子の大きな上半身を覆っていたタンクトップが頭からすぽんと抜ける。当然、その下は下着だけ。女の子の背中側にいる俺から、水色のブラジャーの紐が露わになる。その紐以外に女の子の背中を隠すものは無くなり、肌色の綺麗な女性の背中がさらけ出される。 (いや、気にしなさすぎだろ…!) 同じ空間に俺がいることを分かっているはずなのに、平気で着替え始める女の子。つい数十分前までは同じサイズの人間だったのに、小さくなるだけで全く男として見られなくなるのか。少しの屈辱感と、それに勝る興奮が、俺の股間をむくむくと膨れさせる。ビルのようにそびえたつ、女性の美しい背中。ド迫力のエロティックな光景を見せつけられ、思わず勃ってしまう。 「「~~♪」」 女の子がタンクトップを脇に置くため、上半身をひねらせる。その動きにより、こちら側に上半身の前半分がお目見えする。 (でか……) 大きくて形の整った、美しい胸。それを、水色のレースのブラジャーが上品に覆っている。恐らくDカップくらいの大きさなのだろうが、小さな体でそれを見上げる俺からは、見たこともないほど巨大な胸に見えていた。何せ、自分よりも明らかに大きいのだ。重量感とハリのあるあのおっぱいにのしかかられたら、簡単につぶされてしまうだろう。…そんな想像をしてしまい、さらに興奮させられる。 女の子は美しい上半身の下着姿を露わにしたまま、今度はホットパンツのボタンを開け、するするっ…とつま先側に向かってスムーズに脱いでいく。ブラジャーの色とおそろいの水色の下着と、むっちりとした太ももが露わになる。少し日焼けしている他の部分の肌よりも、ホットパンツに包まれていた部分、股間付近の太ももは白く、見てはいけない領域を見てしまっているような気分になる。しかし俺に見られていることなど気にかけていない様子の女の子は、全く躊躇せずに全身下着姿となった。 (このプラン、最高かもしれない……) 目の前で大迫力の着替えを見せつけられ、このホテルのシステムに感謝する。こんな可愛い子の着替えが、何の対価もなく見られるなんて。体が小さくなることが、こんなにも女の子の警戒心を解いてしまうとは。…さらに、狭いカプセルルームという密室の中で着替えを覗いているという状況が、興奮を煽った。 がさがさっ… 「「これ着ちゃおうかな~」」 独り言を言いながら、女の子はカプセルの壁にかけられていた紺色の館内着を手に取る。そしてそのまま、綺麗な下着姿の上からするすると着替えていく。7分袖、7分丈のシンプルな館内着だったが、既に名も知らない女の子の身体に心を奪われていた俺は、そのシンプルな姿さえ可愛く、またエロく見えた。 「「お風呂いってこよっと」」 再び独り言を言いつつ、女の子はカプセルルームをおもむろに出ていったのだった。 「………」 突然始まった、初対面の女の子の大迫力な着替えショー。その余韻に浸ってしばしぼーっとしていた俺は、近くの壁にたてかけられたスマホから学生証がはみ出していることに気づいた。 (え…大学1年生…?) すっかり年上だと思っていた女性が自分より2歳年下だと知り、少し驚く。いや、実際年相応な見た目なのだろう。ただ、この対格差で見上げる女性の身体はあまりに荘厳で、実際よりも何歳か大人に見えてしまっていたのだ。数か月前まで高校生だった子の下着姿を嬉々として覗いていたことに、少し罪悪感を覚える。 (服、脱ぎっぱなしだな…) 女の子はそこまで几帳面ではないらしく、先ほど脱いだタンクトップとホットパンツがマットの上に無造作に置かれている。ついさっきまで、あの子が着ていた服。 カプセル内は女の子の匂いがまだ充満しており、その存在感を主張してくる。あの脱ぎ捨てられた服は、さらに濃い匂いがすることだろう。暑い夏のこの時期、汗もかいているはずだ。 (………) 衝動を抑えきれず、巨人の服の元へと歩いていく。脱ぎ捨てられたタンクトップは俺の家よりも広く、俺はタンクトップの上を歩きながら上がってくる女子の匂いを堪能する。その匂いはタンクトップの中央部に近づくほど強くなっていき、俺は匂いに導かれるようにタンクトップの胸部まで到達した。 (この広い部分に、女の子の胸が……) タンクトップの胸の部分の広さだけで、遥かに俺の身体よりでかい。この広大な布で一人の女の子の胸を何とか覆っていたのだ。本体の胸は一体どれほど巨大なんだろう。 …いけないと分かりつつも、ほかほかのタンクトップにうつぶせになり、顔をうずめてしまう。布地の表面はしっとりと濡れており、あの女の子が夏空の下かいた汗が存分に染み込んでいるのが分かる。同時に柔軟剤の良い香りが混じっており、可愛らしくも生々しい女の子の着衣物の匂いが肺の中に入ってくる。 「はあっ…はあっ……」 持ち主の存在感たっぷりのタンクトップに正気をほぼ失っていた俺は、息を荒くしながら股間に手を伸ばし、してはいけない行為をし始めた。見ず知らずの、しかも年下の女の子が脱ぎ捨てた服に顔をうずめ、興奮してしまっているのだ。挙句の果てに自慰までしてしまっている所を見られたら、ただごとでは済まない。…だが、やめられない。今までに経験のない興奮を、俺は感じていた。巨大な女の子の存在感に包まれるような感覚。矮小な自分が、ただの女の子の所有物に埋もれて自慰をしている背徳感。それらが、共用のカプセルルームの中で事をいたす危険な行為を俺にさせていた。 ズンッ、ズンッ、ズンッ、…… 「……っ!」 突如、大きな地響きがこちらの方に近づいてくる。まさか、さっきの子が帰ってきたのか?いや、お風呂に行くって言ってたし、こんなに早く帰ってくるはずが…。いや、考えている場合じゃない、万が一あの子だった時のために隠れないと…! 「…どこに隠れれば…!」 隠れると言っても、俺がいる場所は運動場くらいの広さのカプセルルームの真ん中あたり。部屋の奥の充電スペースまで走っても数十秒かかってしまう。…この服だ。この中に隠れるしかない…! 俺はタンクトップの広い袖口から、重い布をかき分けて何とか入っていった。あの子の腋汗を吸った袖部分の布地は重く、必死で布を持ち上げながら這っていく。 …腋のすぐ横あたりの布地まで到達し、匂いが格段に濃くなってきた時に、 ズウゥゥンッ!! 「「忘れ物、忘れ物……」」 女の子の声が天から響くと共に、タンクトップ内部に差し込んでいた光が一気に暗くなる。最悪の展開だ。…もしタンクトップの中にいることを見つかったら、言い訳のしようがない。いかがわしい気持ちで服の中に侵入していることは明らか。警察に突き出されて終わりだ。 ガサッ、ガサガサッ…… 「「あれ、カバンの中に無かったかな……」」 「………。」 息をひそめ、女の子がカバンの中身を漁り終わるのを待つ。ハイハイの体勢でカバンの中身を探している女の子の身体により、タンクトップの内部には照明の光が入ってこない。女の子が作り出す影で周囲が支配され、影に睨まれているような心地がする。頼む、気づかないでくれ…。 「「ん~、こっちかなあ……」」 女の子がカプセルルームの奥の充電スペースに向かって少しだけハイハイする。隠れている俺の数m先で大きな手のひらがグゥン!!グゥン!!とマットに激しく沈み込み、俺の身体はマットの動きに合わせて上下に翻弄される。生きた心地がせず、身体を丸めながら巨人がどこかへ行くのを願いながら待つ。 …だが、本当の地獄はここからだった。 「「スマホと一緒に置いたんだっけ…?」」 ハイハイの体勢だった女の子は充電スペースに向き合い、そのまま大きな大きな下半身をマットの上に降ろし、女の子座りの体勢になった。 …ちょうど股の下で隠れていた、俺の身体を敷き潰しながら。 ぐにゅうぅぅぅぅ………♡ 「があぁぁぁぁっっっ!!」 ビル級の女の子の凶悪なお尻プレスが全身に襲い掛かり、隠れていることも忘れて絶叫させられる。ぷにぷにで可愛らしいはずの女の子のお尻は、今や俺の身体を簡単に粉砕できるほどの重さを持った肉の塊。何気ない女の子座りにより、命の危険を感じれるレベルの圧力をかけられ、 「助けてっ!!ここに、いますからぁっ!!」 目の前のお尻に向かって全力で命乞いをする。だがこんなに叫んでいるにも関わらず、女の子は一向に気づく気配がない。それどころか、探し物をしながらわずかに身じろぎをすることで、巨大なお尻がむにゅっ♡ぐにゅっ♡と形を変えて小人の身体を凶悪に揉みしだく。あまりの圧力に指一本動かせない俺は、女の子のお尻の動きに合わせてみっともないポーズを取らされる。まるでお尻に貼りつく虫のよう。俺は身体が砕ける恐怖で声を出せず、泣きながら尻の肉にへばりつくしかなかった。 「「~~~♪」」 対して上空の巨人は鼻歌を歌い始める始末。自分のお尻の下の惨状に全く気付かず、気楽に探し物を続けている。傍から見れば、この普通の女子大生のお尻の下に人がいるなんて思わないだろう。小人の存在も、絶叫する声も、女の子の耳にはこれっぽっちも届いていなかった。 …さらに女の子は、無意識のうちに貧乏ゆすりを始めた。 ばふんっ!!ばふんっ!!ばふんっ!!! 「がっ!!がほっ!!!ぐえぇっ!!!」 超重量級のお尻が、小さな俺の身体に叩き込まれては離れ、また叩き込まれる。仰向けの状態で潰されていた俺に、何度も何度も容赦なくむにむにのヒップが着陸する。そのたびに内臓が飛び出てしまうのではないかと思うくらいの圧力が与えられ、俺は無謀にも手を伸ばして女の子のお尻が落ちてくるのを止めようとするも、その手ごとマットの上にむにゅうぅぅぅ……♡と押し込まれてしまう。 そして押し込まれる度に、俺の身体の周囲を覆うタンクトップから女の子の汗がじわぁっ……と染み出す。女の子が数時間前にかいた腋汗で、俺の身体はすぐにびしょ濡れになった。 ばふんっ…!ぼふっ!!ばふんっ!! 「「あ、LINE来てる…返信しとこ」」 「おねがっ、助け、ぐえっ…!気づいてっ…!がふっ!!」 骨が軋み、内臓が圧迫され、顔が涙と女の子の腋汗でぐちゃぐちゃになる。…こんな命の危険を感じているときなのに、いや、危険を感じているからこそなのか。…俺の股間がギンギンに固くなっていることに気づいた。 「なん…で……」 女の子のお尻に敷き殺されそうになっているにも関わらず、この惨めな状況に興奮している自分がいた。いくら必死で抵抗しても、叫んでも、無意識の女の子の貧乏ゆすりに手も足も出ず、本気で潰されそうになっている。自分の無力さと、今日初めて会ったばかりの年下の女子大生の身体の強大さ。先ほど見た下着姿の官能的なエロさと、可愛らしく整った顔のギャップ。あの子のむちむちのお尻の大きさ、重さ、強さを、全く抵抗もできない状態で無慈悲に叩きこまれる。 ぼふっ!!ぼふっ!!ばふんっ!! 「あがぁっ!!…あっ、がはっ…!ああぁぁっっ!!」 激しい痛みに悶える悲鳴。そして、膨れ上がった股間をむちむちのお尻のお肉でぐにゅぅぅぅっ…♡、とえっちにプレスされる気持ち良さに喘ぐ声。自分でもどんな感情で叫んでいるのか訳が分からなくなり、心がぐちゃぐちゃになっていく。無意識な女の子の貧乏ゆすりで犯され、それがとても惨めで、でもおかしくなるほど気持ちがいい。かと思えば、次の瞬間には大きなお尻に全身砕かれているのではないかという本気の恐怖を感じる。生死も、性も、全てを名前も知らない女子大生の支配され、俺は、自分の中で'人間性'をやや失いかけていた。 「「あ、あった!!これこれ~♪」」 むぎゅぅぅぅぅぅっっ……♡♡ 「……………っっっ!!!!!」 探し物を見つけた女の子が貧乏ゆすりを止め、一気に体重をかけた。俺の身体は女の子のお尻の肉にぐにゅぅぅっっ♡と押し込まれ、限界寸前だった股間がもろに尻肉のむっちりした感触に犯される。…声も出ず、一気に射精を余儀なくされる。異常なまでの射精感に身体をよじらせるも、その動きさえ肉厚なお尻に吸収され、このお尻の持ち主である巨人には一切響かない。 「「さて、今度こそお風呂いこっかな~♪」」 気楽な巨人の声が響き、凶悪なお尻の圧力がふっと離れていく。グゥンッ!グゥンッ!!と再びマットを激しく沈ませながら、女の子の巨体が遠ざかっていく。…俺はしばらくタンクトップの中で、仰向けの状態で動けなかった。顔も下半身も、様々な液体でびちょびちょになっていた。 …たかが、サイズが変わっただけで、こんなにも立場が違ってしまうのか。あの巨体には、指一本ですら絶対に敵わない。俺はこんなにも弱い存在として、このホテルで一泊を過ごさなければいけないのか。 縮小プランの危険さに恐怖し、体が身震いする。…このホテルには、あの女の子と同じサイズの宿泊客が何人もいるのだ。このカプセルルームが並んでいる女性部屋には、女性宿泊客が何人も泊まっているはずだ。…あの巨体が、何人も。このカプセルの横にも、上にも、いるはずだ。 「………」 何故か、気持ちが昂っている自分がいる。絶対に敵わない、圧倒的な女性の身体。自分よりも遥かに大きな女の子が、何人もこの部屋にいる。その女性たちに気づかれず足で踏まれたりしたら、先ほどの痛みどころでは済まない。車よりも大きな足。女の子の綺麗な素足が、自分を踏みつぶす映像を想像してしまう。 「なんで、そんな想像してるんだ…俺は……」 …俺は、完全に性癖をゆがめられてしまっていた。 先ほど大量の射精を行ったにも関わらず、俺は再びタンクトップの布に顔をうずめ、…そのまま自慰を始めたのだった。