「……フェル、むり、してない、か」 ゆっくりとした動きでオレの腹の奥を穿つライカがそう問う。 「むりッじゃねッ…んあ゛ッ、ゔぐぅッ…ッゔ〜」 嘘だ。強がってみても初めてライカを受け入れたそこはズキズキと痛むし、いますぐ抜いてくれと泣き出したい。 「フェル……」 ライカがオレを呼ぶ。泣かないように固く瞑った目蓋を開けると、目があった。奥底に情欲を潜ませているのに心配そうな顔をしているのが気に食わない。 「まだ、さい、ごまで、はいってない」 わかってるよそんなこと。いつもはオレがライカに突っ込んでるんだから。 「ゆっくりで、いい」 いっそ無理矢理にでも押し入って掻きまわせばすぐ済むんじゃないか。腕っぷしだけではオレはまだライカには及ばないんだし。……いや、やっぱりそれはやめてほしい。痛いの嫌だし。 「フェル……」 やっぱりまだ臆病で我が儘な自分がいる。少しは強くなったし、ライカも褒めてくれたけど心はまだ全然ダメだ。現にオレを気遣ってくれるライカに素直になれない。 「きょう、は、もう……」 「ッ……ダメだッ、あ゛ゔッ、やめ、ない……ッあ」 リカンツ族は繁殖のために強い雄の種をもらい、子を成すのだとライカは言う。その方法は村の大人たちから教えてもらったと。オレはそんなの教わってない。同じ種族の大人なんて周りにいなかった。だからいつもオレはライカに翻弄され、思考がぐちゃぐちゃになるまで溶かされ、気がついたらライカはオレのことを奥まで受け入れている。そしたらなんだかたまらなくなって、そのまま子種を吐き出すんだ。 何度もそうしている内にオレもライカのことをそうしてやれないかと思った。ほんの出来心だ。決して強い雄の、ライカの子種が欲しいとかじゃない。オレだってライカをめちゃくちゃに気持ちのいい渦に突き落としてみたかった。 「これじゃ、むり」 「なんでだよッ」 無遠慮にもオレの下履きをずり下ろし、尻尾を掴みあげて、まだ排泄にしか使ったことのないそこを覗き込んだライカが言う。 「はじめ、いたいぞ」 「し、知ってるよバカ!そんくらい……」 「フェルには、むり…」 なんだよ、オレにはできないってか?ムカつく。 「うるさいッ……ライカのバーカ!!」 ライカの言葉の続きを聞きたくなくて、ろくに下履きを直しもせずにユルタを飛び出す。 「むり、させたくない……」 ライカの気持ちはその時のオレには届かなかった。 ライカが無理だと言うのなら本当なのだろう、アイツはバカ正直だから。まっすぐにオレのことをみてくれる……じゃなくて、ライカが教えてくれないなら自分で特訓するしかない。 「とはいってもどうすりゃいいんだ?リカンツ族なんてライカ以外知らねーし……」 “そういう店”があることは聞いたことくらいはあるが、敷居が高すぎる。金ねーし。そもそもオレ、修道僧なのにそういうところに行くのはまずい気がする……。 「そこのブラコ……スノーリカンツのお兄さん」 ふらふらと夜の灯りに照らされた街を歩いていると、薄暗い路地裏からいかにもあやしい身なりをした商人が声をかけてきた。というかテメェ勇者だな。 「んだよ?」 「何やらお困りのご様子、ご入用の物があればなんなりと」 そういっておもむろに荷物を広げだした。ふざけんなと声を荒げようとしたが少し冷静になる。そういやコイツ、この国にはない不思議なもんを時々持ってるよな。藁にもすがる思いってやつだ。 「めぼしい物がありましたかな」 「ん、……その、うう、はじめて、や…る、ときに、うまくいく道具、とかあんのか?」 「ほほう!ほうほう!!もそっとくわしく……」 「うるせッ言うかよバカエロ勇者!」 なんでバレたって顔すんじゃねえよ。バレバレだろ、リカンツの鼻舐めんな。 「いやぁ〜迷えるモフモフたちの愛のキューピッドになれればと……ね?」 そういってオレの手に何かを握らせてきた。なんだこれ、油? 「コレを使えばハジメテでも(プラ…なんとか効果で)ヌレヌレになるんだって!じゃあね、いい夜を!!」 「はぁッ!?ちょっと待ておいッ」 怪しげな商人……もとい勇者は脱兎の如く路地裏に姿を消してしまい、残されたオレの手にはこれまた怪しげな軟膏が一つ。 「マジかよ……」 一方的に吠えたてて飛び出してきてしまった手前、すんなりとライカの元へ帰るわけにもいかず、ぼーっとしながら歩いていると、いつも特訓に使っているオアシスに着いてしまった。夜の月明かりを湛えた水面は静かで、そこには誰もいないことがうかがえた。 「………」 ごくりと唾を飲み、手のなかで握りしめて温くなった容器を見やる。そうだ、いつも通りひとりで特訓をすればいい。 申し訳程度の岩陰に隠れるようにして装備をはずしていく。夜の砂漠は冷え込むが毛皮もあるし、雪山に比べたらどうと言うことはなかった。 〈続きは未定……〉