XaiJu
楓山金木犀
楓山金木犀

fanbox


【習作】ベッド交渉

 午後三時。  チャーリー・シェードは、シティホテルのロビーでその女に出会った。 「貴男が、ミスター・シェードかしら」 「ああ」  ブロンドの髪のしなやかな身体付きの女だ。目の覚めるような赤いシャツに、黒いレザーのミニスカートという格好である。紅い唇が煽情的だった。 「ねえ、ここでお話し出来るようなことじゃないわ。部屋を取ってあるの。そこへご一緒して下さるかしら」  シェードは頷くと、女の後に従う。  シェードは新聞記者だ。それもこの辺りの地方紙としては有力紙である。主に社会面を担当し、最近はこの辺りで起きている脅迫事件を追っていた。それは、実家に財力のある若い女をターゲットにし、モデルのスカウトだと称して近づき、撮影としてかなりきわどい写真を撮らせ、それを元に強請るというものだ。被害金額が多額ということもあり、大がかりな事件として警察でも捜査している。  そんなシェードの元に、ジェシカ・ブラックベリーを名乗る女から連絡があった。ブラックベリーとは明らかに偽名だろうと思ったが、彼女はこの事件に関して新しいいネタを提供してくれるという。その代わり、嘗てシェードが追っていたある事件に関しての情報提供を求めてきたのだ。  不審に思いながらも、シェードは会ってみることにした。シェードが依頼されたのは、ある詐欺事件の情報だ。小さな会社を経営していた男が、組織的詐欺に引っ掛かり、命を絶ったという、何度も悲惨な事件だった。  結局犯人は見つからず、シェードも取材を打ち切った。 「ここよ」  女が扉を開け、中へと招く。  シェードはホテルの一室へと入って行った。 「あんたが、ミス・ブラックベリーか」 「ええ、そうよ。ジェシカでいいわ」  落ち着いた声で女は言った。 「新しいネタとやらは、一体何だ」 「焦らないでよ。ここにあるわ」  そう言って女は大判の封筒を掲げる。 「ねえ、この部屋、暑くないかしら」  女は突然そう言って、シャツのボタンを外し始める。 「……」  マニキュアの塗られた美しい指が、ゆっくりとボタンを一つ一つ外していく。その焦らすような脱ぎ方は、まるでストリップショーのダンサーのようだ。  シャツを脱ぎ捨てると、下にはブラジャーしか身にまとっていなかった。  シェードはその姿にしばし釘づけになる。  白い肌に、豊満なバスト、そしてそれを支え隠す黒いレースのブラ……。男の欲望が嫌でも刺激される絵だ。 「君は、よくそんなことをするのか」 「ええ、わたしは私立探偵よ。交渉相手とは信頼関係が大切なの。手っ取り早く信頼を得るには、これが効率的な方法なのよ」  女は煽情的な笑みをもらすと、シェードに近づく。 「それに、わたしはビジネスも愉しみたいの。そちらは組織で地位もあるのでしょうけれど、わたしはフリーランスよ。ねえ、損はさせないわ……」  すると女は両手をシェードの首に回した。 「俺は、こんなことをしたら、社にいられなくなる。妻子もあるんだ」 「ふふ、だからここに商談場所を選んだんじゃない。ここなら貴男の会社からも離れていて、社員に見つかる可能性も少ないでしょう。勿論貴男の家からも」 「調べたのか、俺の家まで……」 「ふふ、わたしは探偵なのよ。ねえ、新しいビジネス相手との信頼関係を築きましょうよ……」  そう言って、女はキスによりシェードの口を塞いだ。  振り払おうとすれば出来た筈だった。  しかし、シェードはそれをすることなく、女の蕩けるようなキスを受け入れた。  女の色香が、男の思考を単純化し、理性を奪う。  柔らかな唇、そして舌を絡め合う感触……。  豊満なバストが、相手のブラと、自分の服越しに、シェードの胸板に自己主張をしている。  妻子持ちの新聞記者は、女の括れた腰に腕を回すと、更に唇を求めた。  それ以上のもをの期待して――。    ☆ (上手くいったわ。ふふ、ちょろいものね、男って……)  シェードに腰を抱かれて、濃厚なキスをしたまま、女――ジェシカ・ブラックベリーは思った。  ロビーで会った時から、男の視線が自分の何処に注がれているかをジェシカは敏感に感じ取っていた。それを存分に利用して、今までも男達をこうして誘い、彼女の言う信頼関係を築いてきたのだ。  一度関係を持ってしまえば、男は従順だった。  時には調子に乗って、何度も強引に迫ってくる者もいたが、そんな奴は跳ね付けてやればいい。それでも懲りなければ、強姦罪、または不倫で訴えると脅してやればいのだ。彼女は男と関係を持つ部屋に、事前に盗撮カメラを仕掛けていた。無論、それが非合法なのは分かっている。また、たとえそれを証拠に相手を訴えたとしても脅迫罪で訴え返される恐れのあることも。しかし、これは保険のようなものだ。  シェードは既に妻と上手くいってはおらず、職場でもハラスメントめいた言動の多い人物だ。場合によっては、手にした映像で少しお灸をすえてやってもいい。  濃密なキスの後、ジェシカは男からはなれる。  二人の間には唾液が糸を引いて、ぷつりと切れた。 「ねえ、貴男も脱いでよ」  ジェシカの言葉に、シェードは上着を、ネクタイを、その場に脱ぎ捨てていく。  そんな男の様子を、ジェシカは挑発的な微笑と共に見つめていた。 「ふふ、凄いわね。本当、節操ないこと……」  パンツは既にテントを張っている。それを見て、ジェシカは舌で唇を舐める。  その仕草に、男のものが跳ねた。 「いいわ。早くその最後の布も脱ぎなさい。そうしたら、貴男のそれ、慰めてあげる」  女はスカートを脱ぐと、下着姿になりベッドへと上がった。  黒いブラとショーツで、女の姿は妖艶である。  そして膝立ちになり、男に背を向けるようにして、ブラを取り去る。 「さあ、始めましょうか。わたし達の交渉を……」  バストを露わにしてベッドの上にしどけなく横たわると、女はそう誘った。  男のパンツの盛り上がった頂きが、黒く滲んできている。  シェードはそれを焦るように下ろすと、ぶるんと膨張したペニスが姿を現した。毒々しくグロテスク形だ。腹に付かんばかりに反り返っている。 「ふふ、せっかちね。ムードもなにもあったものじゃないわ」 「お前も娼婦にしてはお世辞も一つも言えないみたいだな」 「あら、わたしを娼婦扱いするのね。もちろん娼婦も立派な職業じゃない。そういう差別的な意見って嫌いよ」 「うるさいな。ムードがないのはお前の方だろう」  シェードは強引にショーツ姿のジェシカを抱き、押し倒しながら唇を奪う。 「……ン、ンン、ぁン」  男の舌がジェイしかの口腔内に侵入してくる。男女の舌が絡まった。 「あぁンン……、ぅンン、あン……」  男の大きな手が、ジェシカの露わになった胸を揉む。 「ああンッ」 「ん、何だ。感じやすいのか」  貪るような口付けを終え、シェードは唾液に濡れた口を離した。 「ンっ……なかなか上手いじゃない。ふふ、楽しみだわ」  蠱惑的な表情でジェシカはシェードを見つめる。  髭の剃りの腰が目に付いたが、それもどこか野性的な男を演出している。  胸板は厚く、ジェシカの豊乳を揉む掌も大きく硬い。  ジェシカの言葉に得意になったように、シェードはやや乱暴に彼女の胸を揉む。  弾力ある乳房は男の手の中で、跳ねた。 (何よ、ただ力任せなだけじゃない。これじゃ女が満足する訳ないわ。夫婦でセックスレスになるのも当然よね)  シェードの手がジェシカのショーツに掛かる。  ジェシカは少し腰を浮かせ、ショーツを脱がせやすい格好を取った。  するりとショーツが脱げ、ジェシカの秘部が露わになる。  きちんと手入れされた女のデルタ、そこに男の熱視線が注がれる。 「女のそこが、そんなに珍しいのかしら」  くすくすと嗤いながら、ジェシカは訊いた。 「う、うるさい」  慌てたようにシェードが声を荒げる。 「ふふ、でも、わたしのアソコ、奇麗でしょう。いつもお手入れしているのよ。ねえ、入れる前にもっとよく見てよ」  ジェシカの言葉に誘われるように、シェードのギラギラとして視線が、女陰へと移る。  まるで視姦されているようだ。 (いえ、違うかしら。わたしが貴男の視界を犯しているのよ)  その証拠に、シェードの怒張したペニスからは、先走りの液が溢れてきている。  びくびく、とペニスは脈動するように震えた。 「刈り込んだ小さな茂みの向こうに、お待ちかねの女の花園があるのよ。貴男はそこに辿りつくことが出来るかしら」 「何を――」  するとジェシカは、その白魚のような指を突き出し、赤黒く怒張したペニスをそっと撫で上げた。 「――っっっ」  効果は覿面だった。  たったそれだけで、シェードの筋肉質の巨体は忽ち痙攣したように震え、反り返る。  そして――。 「あうっ、くうううっ」  男の何かが決壊した。  怒張したペニスの先端から、白濁が勢いよく噴き出した。  それはぼたぼたと、ジェシカの腹へと降り注ぐ。 「ふふふ、堪え性がないのね。ちょっと擽っただけなのに、もうイっちゃったの」  小馬鹿にするようにジェシカは嗤った。 「う、うう……」  シェードの鈴口からは、まだ白濁が滴っている。 (テクもない上に早漏だなんて、どうしようもないわね。こんな男が役に立つのか怪しくなってきたわ)  最後の一滴まで出し切って、シェードはベッドに沈むように倒れた。 「もう、ベタベタじゃない。どうしてくれるのよ」  自分の腹を触りながら、ジェシカは非難する。 「まあ、いいわ。わたしシャワーを浴びてくる。それまで休んでいなさい。そうしたら、続きをするわよ」  ジェシカはベッドから下りると、魅惑の肉体を惜しげもなく晒しつつ、シャワールームへと向かった。  しばらくすると、勢いよく湯の流れる音が響いてくる。  ベッドの上のシェードは、のっそりと置き上げると、椅子の上に置かれたバッグを手に取った。  それは、ジェシカの持ち物だ。シェードはその中を弄り、品物を一つ一つ点検していく。  彼は気づかなかったが、部屋の物陰に仕掛けたカメラが、シェードの行為の一部始終をはっきりと捉えていた。


More Creators