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ジグソーパズル 前編

「あ」 「え……きゃああああっ!」 付き合っている彼女と同棲を始めて3日目。 共同生活に慣れていないこともあって、俺はこの日、面倒なミスをしてしまった。 「……しまったなあ」 俺は一人、目の前の惨状にため息をつく。 彼女とぶつかっただけなら、まだ助け起こせばいい話だ。 だが、違う。 俺の厄介な特異体質のせいで、その理屈は通用しない。 「ごめん……最近めったにないから忘れてた。俺とぶつかって転んだら、ブロックかジグソーパズルになるんだったな……いやあ、お前を変身させるのはいつ以来だ? 懐かしいなあ、思えば最初に会った時は……」 『⁈ ~~~~~~!』 俺が昔を懐かしんでいると、ジグソーパズルがぶるぶると震える。 そんなことはどうでもいいから、早く戻せと訴えているのだろう。 「わかってるよ。えっと、これと、これがくっつくか……?」 そういって、とりあえず適当にピースを一つつまみ上げてみると、案の定、聞きなれた声が頭に響いてくる。 (ひ、ひいいっ! ど、どこ触ってんのよ、馬鹿あ!) 「あん? いや、このピースと、このピースがとりあえず……」 (ち、違うわよっ、そこがそこにくっつくわけが……あひいいっ!) 彼女……由衣の発言をいったんスルーして、俺は自分の直感を信じ、ピースをつなげてみるも…… (や、やめっ、わ、私のあそこ、あそこがあそことつながるわけ……んああああっ、やめっ、くっついてるっ、ああんっ、やっ、やめてえ!) 「……あれ? おかしいな。こっちかなあ」 (ま、待って! そのピースは……あひっ、だ、ダメ……さ、触らないでっ、そこ、汚いから……んあっ) 「どこのことを言ってるかさっぱり分かんないけど、はたから見てると結構面白いな。ほれほれ、ここが弱いのか?」 (ひぎっ、ダメっ、かき回さないで……ああっ!) 「汚いも何も、パズルのピースだから清潔だっての。ほれ」 俺がピースをつなげようとすると、 (だ、だめえっ! そことそこはつなげないでっ、お願いだからあ!) 命乞いのような態度で、全部のピースがびくびくと震える。 大してジグソーパズルが得意じゃない俺なので、いったいどこの何をつなぎ合わせようとしているかはさっぱりわからないが、今の反応は異常だ。 ひょっとすると、それなりにデリケートな部分同士をつなぎ合わせようとしているのかもしれない。 「おーい。俺がつかんでる2つのピース、どことどこなんだよ」 ピースをくりくりと指でつつきつつ尋ねてみる。 (あひっ、あっ、あっ、つ、つんつん、しないでえ……) 「正直に言うまで、しばらくいじめ続けてやる」 (そ、そんなあっ、かけるっ、やめてえっ、意地悪、しないでえっ……!) 「なにをいうか。どのみち全部正しくつなげないと元に戻れないんだぞ。正直に白状しろって言ってるんだ」 まったく。協力的じゃない彼女だ。変な組み合わせのまま完成させても変身は解けないし、元に戻れなくなったらどうするつもりだ。 ……まあ、そもそもの原因は俺だけどな!


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