坊主とのセックスは、物足りなさを感じよる。
儂と同じような雄獣人が交尾相手やったら、容赦なく魔羅をおめこにぶち込んでグチャグチャに出来るんやけど、ヒト族はどうも扱いが難しい。
柔こい肌は儂の爪が触れるだけで血が滲みよるし、平べっこい顔とキスするんは獣人と相性が悪く、儂の舌の根元まで絡められへんし。
テンバで出くわした時は初物やったし優しく前戯したんやけど、儂の魔羅を受け入れるためにはそれなりの時間がかかる。
せやのに伸し掛かって種付け出来るほど、頑丈に出来てない坊主の身体。
市販のオナホの方が無理やり腰を打ち付けても苦しまんし、儂の魔羅を気持ちようしてくれるから刺激だけやったら断然そっちを選ぶんやけど、儂が満たしたいんは征服欲。
せやから他の雄を儂のモンにしたったっていう実感が欲しゆうて、
雄交尾ありきの生活になっとるから他のセフレもおる。
坊主はその中でもどうでもええ部類に入る。
相手が見つからんかったら呼び出す都合のいい雄……。
儂がそう思っとることくらい、坊主もわかっとるんやろうけど、それでも苦しそうに儂の魔羅を小さなおめこで受け止めて、細い腕で汗ばんだ獣毛にしがみつく。
切なげな坊主の喘ぎ声に気持ちが昂るけども、儂自身の征服欲をなんとか抑えつつ、弱くて脆いこいつを傷つけんように犯し尽くした。
*
雄交尾中に気絶した坊主のおめこから儂の魔羅を引き抜くと、泡立つ黄ばんだ精液がドロリと零れ落ちよる。
もっと盛り合いたくても、気絶した相手を犯し続けるんは反応がなくてオモロない。
———雄獣人相手やったら引っ叩いても起こしてヤリあうんやけどな。
坊主相手やと、そこまでするつもりにならへん。
雄臭さが充満する部屋に溜め息を吐く。
気持ちも萎え、儂は生まれたまんまの姿でベランダに出ると、
真っ暗な街を眺めながらタバコを一本吹かした。
口ん中から鼻の孔へとウィンストンの甘い香りが通り過ぎる。
甘くて苦い、懐かしい元相方の味。
儂が唯一愛したおとこの味。
せやけどもう————会えんしなぁ。
くしゃりとタバコをバルコニーの手擦に押し付ける。
夜を照らす薄明かりの炎は消え去った。
*
シャワーで身体中の穢れを流し終えて部屋に戻り、坊主の身体に蔓延る体液をホットタオルで拭いてやった。
寝息をたてとる坊主は、あどけなさの残る未熟な雄やった。
儂とは違うて未来のある若人。
「———ホントにオレでよければですけど、セックス自体初めてですが宜しくお願いします」
……駄目や。
どうしてもあん時の坊主の言葉が頭をよぎる。
ホンマ、興味本位で抱くんやなかった。
「もっと、もっとオレの事を犯していいですよ。オレ、大丈夫ですから」
涙を滲ませて言う台詞じゃないやろ。
「好きですよ。だから、もっと、もっとオレを犯して———」
坊主の瞳に儂は映ってない。
どうでもいい相手のはずやのに、未だに儂のモノに出来ひん。
誰でもいいはずやのに、坊主に固執してしまっとる一面もある。
そこが歯がゆくて、苛立って、腹が立って———儂自身を見ているようやった。
雄交尾の時くらい儂のこと見て欲しいモンやけどなぁ……
*
畳の上で胡坐をかき、タバコの先端に火を灯した。
誰でもいいから今度雄交尾をする相手をマッチングアプリで探し始める。
雄交尾をすればすべて忘れられるはず、やから。
「ん……」
坊主が目を覚ました。
せやけどこんな部屋でむさくるしい儂といるより、坊主も夢の中くらい本命と幸せになりたいやろ。
「もう少し寝とき……疲れたやろ」
終