XaiJu
啓太
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【短編】アサミちゃんの射精が撮影できない話

「私は毎日神に感謝しているんだ。彼女の…、性欲が、とても低いことにね」

そう言ってバーン博士は手に取った残骸をゴトリと置いた。

「これは惜しかった。いや、惜しいとは言えないかな。この時も、いや、いつだって、彼女はうんと手加減してくれただけだからね」

机には、ねじれたり、融けたり、割れたり、焦げたりしている残骸が何個も置かれている。

惜しかった、と言われた残骸は原形をとどめているので判別がつく。割れてはいるが、正面の丸いガラスはレンズ。これはカメラの残骸だ。



「白川アサミの射精を知っているか?」

そう聞かれれば、世界中のふたなり研究者がもちろん、と答えるだろう。

彗星のように現れ、古今東西のありとあらゆる射精に関する記録を塗り替えた(それも超圧倒的大差で、だ)アサミは、世界中のふたなり研究者たちを震撼させた。

そのあまりに現実離れした(ある研究者の言葉を借りるなら「ばかげている」)数値のせいで一笑に付されることも多かったアサミだが、世界的権威のひとりであるアメリカのバーン博士の目の前で射精を披露したことにより、徐々に界隈に知れ渡ることになる。


アサミの射精が信じられなかったのは数値のせいだけではない。誰も“見たことがない”からでもある。

精力が強いと言われるふたなりの中でも、特に人間離れした精力を持つ娘たち、俗にいう「超性能ふたなり」の射精は、その凄まじい熱量と衝撃に普通の人間は耐えられないため、主に強化カメラによって記録される。

アサミ以前に大量射精の記録を持っていた娘たちの射精は、核実験の記録用カメラを転用したものにより不鮮明ながらも記録映像が残されている。

しかし、アサミの射精はあまりにも強すぎるので映像は全く残っていない。ゆえに化け物じみた超大量射精は、射精後に残された精液の海と、推定値で記録された数値しかないのである。

そのアサミの射精を映像に残すべく、バーン博士が民間企業との共同で開発しているカメラ…の残骸がこの机の上に並んでいるものだ。



「あ、それ、こないだのですよね。ちょっと強めに出したら割れちゃいましたもんね」

話を聞いていると、噂のアサミがメディカルチェックを終えて部屋に入ってきた。もう博士とも旧知の仲なので、私も通訳しやすい。

私も研究者のはしくれとして何回か彼女の射精を見学したが(無論シェルター越しだ)、薄い緑の検査着に身を包んだスレンダーなその姿は、何回見ても世界一の絶倫娘には見えない。

カメラの残骸を手に取るアサミ。あの爆発的な射精中にカメラの様子まで認識できることがすでに超人的だ。

「アサミさんはこの動画、見たの?」

「いや、こないだは時間が合わなくて見れなかったんですよね。見せてもらえますか?」

私が伝えると、もちろん、君が来るのを待ってたんだ、と後ろの机からパソコンを持ってくる博士。


「英語、こっちに来ることも増えたからちゃんと勉強しなきゃなあって思うんですけど…、オフコースしかわからなかった…。こっちの人、発音凄すぎます…」

アサミが難しそうな顔をしているのでどうしたのか尋ねると、一生懸命博士の英語を聞き取ろうとしていたようだった。世界一のパワーを持っていても可愛らしい悩みはあるものである。


パソコンの画面にはこちらにニコニコと手を振るアサミが映る。撮られてるとつい手を振っちゃうんですよね。と言い訳するアサミ。

笑顔とは裏腹に股間から赤黒いペニスが伸びている。はち切れんばかりの血管までよく映っているが、血管がさらに膨らみ、鈴口がぱくぱくと動くと、画面は暗転。

次の瞬間、画面は真っ白に。オーバーだった露出が戻ってくると震えるペニスの先から極太の白いビームが放たれているのがかろうじで分かる。

超性能ふたなりの射精を撮影するのが困難なのは熱や衝撃だけではない。超高圧をかけられ、プラズマ化した精液は肉眼で見れば失明するほどの眩さ。カメラのいわゆる「白飛び」と言われる現象を避けてペニスの様子を録画するのはかなり困難だ。


「う~ん…、やっぱり動画だとこういう感じになっちゃうんですね…」

「アサミさんにはちゃんと見えてるんだよね?」

「はい。もちろんちょっとは眩しいですけど、血管の感じとか…、精液の光ってる色とか、ちゃんと見えてます」

揺れる画面の中ではほとんどシルエットにしか見えないペニスも、本人にはよく見えているらしい。しかもこれはまだ序の口。

「もっと強めに出すときとか、私のふたなりさん、スゴイ迫力なんですよ。血管とか倍くらい膨らむし、皮とかも…」

だが、画面の中のペニスが震え、再び画面が真っ白になった次の瞬間、映像は途切れてしまった。

「あ~…、残念…」

かろうじで記録できているのは秒間射精量5000万リットルほどのところまで。成長を続けるアサミにしてみればウォーミングアップ程度。


「秒間100億リットル超えた時の、血管が膨らんだり、もっとたくさん出てくる感じとか、見てほしいんですけどね~…」

アサミ自身、視力はいい方だというが、それは視力検査の数値で言えば1.5程度。決して人間離れしているわけではない。

だが、射精中の本人の目には、核兵器以上の閃光に眩むことなくはっきりとペニスや精液の様子が見えているらしい。これもまた超性能ふたなりの解明されていない能力の一つ。

「確かに、アサミの勃起時の血管は特筆すべきものがある。さらに膨張するのかい?」

「はい!ちょっと勃起していいいですか?」


言うが早いがアサミが軽く力を込める。その瞬間。

バギィッ!!と爆発音じみた音と共に、一瞬で検査着の股間が持ち上がり、頭の上まで伸びる赤黒いペニスが出現する。5センチ弱の萎えている状態からここまでわずか0.2秒。

「よいしょ」

視界を遮り屹立するペニスを片手で抑え込むと、張り詰めた海綿体がバキバキと悲鳴を上げながら倒れていく。あの状態でも勃起力は1000トンは軽く超えているはず。超性能ふたなりの凄まじい怪力である。

そして、見慣れているとはいえ私とバーン博士にも緊張が走る。完璧な精力コントロールを誇るアサミに限ってそんなことは万に一つもないが、彼女の体内の精液が0.01%でも漏れ出た瞬間に我々の命はないのだ。


「じゃあ、ちょっと“勃起”しますね~」

そんな我々の緊張にお構いなしに、アサミは自慢のペニスに血液を送り込む。

ペニスが大きく震え、大蛇のような極太血管がのたうちながら太さと固さを増していく。

ドッグン!ドッグン!!と下腹に響く重低音はその血管に血液を送り込む強靭な心臓の心拍音が外に漏れ出ている音。

限界を超えて張り詰め続ける海綿体からはメキメキバギバギと悲鳴のような音。

そんな異常な音が響く中、わずかに微笑みながらペニスを見つめるアサミは汗ひとつかいていない。


「出さない状態の勃起だと、血管もこのくらいしか出ないじゃないですか」

1分弱で“勃起”を終えたアサミのペニス。

このくらい、という血管は太いものはアサミの腕並みの太さに膨れ上がり、不気味に動き回る。

強靭な心臓によりあまりの高圧で送り込まれた血液は100℃を軽く超えており、普通の人間が素手でペニスに触れれば大やけどは免れない。

頭より大きな亀頭は竿の赤黒さに比べれば明るい赤色で、周りの景色を映すほどパンパンに膨れ上がり、カリも凶悪に立ち上がっている。

確かに長さこそ1メートル10センチほどで、ほかの超性能ふたなりには劣るものの、十分すぎるほどの迫力を放っている。

これが本人曰く迫力不足の勃起。


「秒間10億リットル超えて、100億リットルとか出すと、血管はこれの倍くらいに膨らむし、支流みたいのが何十本も出てくるんですよ~」

不気味に蠢く血管を愛おしそうに撫でながらアサミが語る。

「先っぽのカリも、もっともっと立ち上がってかっこよくなるんです。見せられないのが残念ですけど…」

そう言いながら力を込めたのか、カリがメリメリと数センチ立ち上がる。


重低音の心拍音と共に蠢く血管とペニスの迫力。そして涼しい顔でそれを抑え込むポニーテールの美少女とのギャップは、二桁メートルクラスのペニスも見慣れている博士も見惚れてしまう。

いま彼女に血圧計を付けるだけで目を疑うような数値が計測できるだろう。


「あっ…すいません…、ついつい勃起させちゃいました」

ペニスの温度で汗ばむ我々に気づいたアサミは勃起したペニスを萎えさせる。

これもまた一瞬で萎んでいき、あっという間に検査着の下に隠れてしまう。そこにはもう赤黒さの面影もない肌色の皮に包まれた可愛らしいペニスがぶら下がっているだけだろう。


ちなみに今の勃起の間に、最低でも30000000000000リットル(30テラリットル)以上の精液がアサミの体内で生成され、しばらくすると吸収されるらしい(本人にも我々にも詳しいことはわかっていない)。

私はバーン博士と顔を見合わせた。


「まったく、神に感謝ですね」





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