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送り狼お姉さんとの日常……4

「悪かったって……機嫌直せよ?」 「……」  朝食を食べ終えてからもずっとこの調子である。余程昨日の事がショックだったのだろう。 「ゲロと一緒かウンチと一緒かの違いじゃねーかよー」 「知りませんっ買い物行ってきます!」  そう言い残して家を飛び出していった結 人。取り残された彼女はため息をつくしかなかった。 (やりすぎたか?うーん、ちょっと反省しないとな)  その後しばらく考えた後、ある事を思いついた。 (そうだ、あいつのために料理を作ってやろう♪)  そうと決まれば早速準備に取り掛かる事にした彼女だったが、ここで重大な問題が発生した。 (しまった……オレ、料理出来ないんだった……)  今までの数百年の人生でまともに包丁を握ったことすらないのである。料理を作ろうにも食材を切る事も出来ずにまな板ごと切ってしまう始末だ。これではまともな物は作れないだろう。 「やーめた!なんでオレが少年の機嫌取りしねーといけねーんだ!」  開き直ったように叫ぶお姉さん。結局、何もせずに終わったようだ。1人プレイのゲームは飽きてしまい、かつ新作を買うお小遣いもない。 「出掛けっか……」  暇を持て余した彼女は散歩に出ることにした。パーカーを着て一応、尻尾と犬耳を隠す。少年が正体を隠せと喧しいのだ。家を出て歩きだす。目的地は特に無いので適当にぶらついてみる事にする。良い天気でポカポカと暖かい陽気が心地良かった。 (それにしてもあの昨日の少年は可愛いかったな……)  ふと結人の姿を思い出す。彼の怯えた表情を思い浮かべるだけで興奮してしまう自分が居た。そして何より自分の胃袋の中で消化されかけているというのに必死に抵抗しようとする姿を思い出して笑ってしまう 「はぁ……♡また犯してぇなぁ……」  そんな事を思っていると、子供達が向こうから歩いてくるのが見えた。いつも公園で遊んでいる子供達だ。 「おう、童共〜」 「あ、犬のお姉さんだ!」 「無職の犬のお姉さん!」 [いつも暇な犬のお姉さん!」 「ちっげーよ!オレは狼だ!喰っちまうぞ童共!ガオーッ!!」  お姉さんはふざけて吠えてみせる。すると子供達は楽しそうにキャイキャイ騒ぎ始めた。 「きゃははっ!怖い〜!」 「逃げろ〜!喰われるぞ〜!!」 「がおー!がおぉーん!」 「うるせえな……ほれ、飴玉やるから大人しくしろ」  ポケットから取り出したロリポップキャンディーを差し出すお姉さん。それを嬉しそうに受け取る子供達。 「ありがとー!」 「で、どうしたんだ?暗い顔しちまって」 「あのね、いつもの公園が閉鎖されちゃったのー」 「なんか工事してるんだってー」 「ふーん、そうなのか」  どうやら近所の公園の遊具が老朽化しているらしく、近々新しく立て直す事になったらしい。それで今日は遊ぶ場所が無くて困っていたのだろう。 「家でゲームしてたらどうだ?」 「えー、だってお母さんうるせーもん」 「そうそう、それにお金かかるんだもん」  確かに最近のゲーム機は高い物が多い。子供が簡単に買える値段ではない。親からすれば外で遊べと言うのは当然の事かもしれない。しかし、公園は閉鎖中、遊びたい盛りの子供達だ。家に閉じこもっていては退屈だろうし、なによりもストレスが溜まるだろう。 (うーむ……なんとかしてやれねぇかな)  少し考えて妙案が浮かぶ。 「お姉さんのお願い聞いてくれたら、秘密の場所を教えてやるよ」 「秘密の場所!?」 「なにそれ!?教えてよ!」  目を輝かせて食いついてくる子供達にニヤリと笑って答える。 「まあ待て、ちょっと目を瞑りな」  全員が目を瞑ったのを確認すると、手を合わせる。 「神域顕現……」  すると、辺りの景色が一変する。森の中の神社のような場所に変わる。境内は広く石畳が敷かれており、正面には大きな拝殿がある。その後ろには本殿があり、そこには御神体が祀られているようだ。 「うわあ!すごーい!!」 「なにこれ!すごい綺麗!!」  子供達は大はしゃぎだった。その様子を見て満足気に頷くお姉さん。 「ここはオレの敷地内だ。この中でなら何をしても良いぜ?」 「ほんと!?やったぁ!」 「ねえねえ、早く行こうよ!」  楽しそうに駆け出す子供達。お姉さんはそれを微笑ましく見守るのだった。 「おっと、お前たちも遊ぶか。ほら、おいでオレの子供達」  お姉さんの周りに小さな子狼が現れる。 彼らは彼女の眷属であり、使い魔のようなものでもある。普段は隠れて見えないが神域では現れるのだ。全部で5匹いるようだった。 「わんわんっ!」 「きゅいきゅいっ!」 「ぐるる……」 「わふわふっ!」  子犬のようにじゃれてくる彼らを見て苦笑するお姉さん。 「ほら、童共と遊んでくるといい」  そう言うとそれぞれ散っていった。 「わふわふ(あそぼあそぼ!) 「わあああ!犬さんだ!」 「あおーん(おおかみだよ!)」 「遊ぼう!わぷ……くすぐったい」  追いかけっこを始めた子供達と子狼達。その様子を優しい目で見つめるお姉さん。フリスビーやボールなどを使って楽しく遊んでいた。そんな様子を暫く眺めていると突然声を掛けられる。 「お姉ちゃんも一緒に遊ぼうよ!」 「ん?ああ、そうだな」  いつの間にか戻ってきていた子供達に手を引かれて遊びに加わるお姉さん。昔の遊びを教える。鬼ごっこをしたり、影踏みしたりして遊んだ。 「疲れたー!お腹空いたー!」  子供の一人がそう叫んだ事で休憩することにした一同。神社の縁側に座って休むことにする。おやつに持って来ていたチョコレートを子供達に渡してやる。それを受け取った瞬間、一斉に食べ始める子供達。美味しそうに頬張る姿を見て癒されるお姉さんだった。 『神域を子供達の遊び場にするなんて』  お姉さんの傍らに、狼が現れる。子供達には見えていないようだ。 「よぉ、リクお前が出てくるなんて珍しいな。別にいいだろ?童は元気に走り回ってるのが1番だぜ」 『それはそうだけど……妖力の消費かなり激しいでしょ?大丈夫?』 「これくらいどうってことねぇよ」  そう言いながら笑う彼女だったが、実際はかなりの消耗を強いられている状態だった。実はこの神域を維持する為に膨大な量の妖力を消費する必要があるのだが、彼女はそんな事はおくびにも出さない。 「それに代金はしっかり貰うさ。おつりがくるくらいな♡」 『え?……子供達が気の毒に思えてきたんだけど……』 「くふふ♡愉しみだぜ」  舌舐めずりをするお姉さん。これから起こるであろう出来事を想像してリクは溜息を吐いた。 「よし、ちょっと移動するぜ。付いて来い童共〜」  お姉さんは子供達の手を引き、屋敷に案内する。玄関を開けると中には入らず庭へと向かう。広い庭には様々な植物が生えていて色とりどりの花が咲き乱れていた。その光景を見た子供達から歓声が上がる。 「うわぁー!綺麗だね!」 「素敵……」 「きれー……」  そんな彼らを他所に、お姉さんは口を開く。 「さて、お姉さんからのお願いだ。今からオレとかくれんぼだ。鬼はオレだ。見つかったら罰ゲームあるからな」 「はーい!」  元気よく返事をする子供達。屋敷内は広く、隠れる場所に困らないためかくれんぼするには丁度良い場所だと判断したのだろう。しかし、子供達は知らない……これが地獄の始まりだと……  子供達の1人、リュウタは隠れる場所に困っていた。屋敷の中は広く隠れられる場所はいくらでもあったが、すぐに見つかってしまいそうな気がしたのだ。 (うーん、どうしよう……) キョロキョロと見回しながら歩いていると、時間になったのかお姉さんが歩いてくる。 「はい、10秒数えるぞ〜いーち、にーぃ、さーん」  慌てて近くの部屋に飛び込むリュウタ。急いで扉を閉めると同時にカウントダウンが終わる。部屋の中を見回すとクローゼットがあったので中に入る事にした。扉を開けると和風が並んでいるのが見えたのでその中に入って身を隠す事にした。 (ふぅ……これで安心だね)  安堵のため息をつくリュウタ。だが、それも束の間の事だった。 「み~つけた♡」  扉があっさり開き、あっという間に見つかってしまう。リュウタは苦笑いを浮かべる。 「見つかっちゃった……」  すると彼女は優しく頭を撫でてくれる。それが嬉しくて思わず笑みがこぼれた。そのまま抱き抱えられる。すると何が滴り落ちる。ねっとりとしていた液体でそれはお姉さんの唇から漏れていた。 「おねえ……さん?」  不審に思ったリュウタだったが次の瞬間、その理由を知る事になる。なんとお姉さんは口から唾液を垂らしていたのだ。そして、ゆっくりとリュウタの顔を舐め回し始める。 「な、なにするの……やめ、んん……!?」 生暖かい粘液を顔に浴びながら困惑するリュウタ。 「ん……はぁ♡」  やがて満足したのか口を離し、にっこりと微笑むお姉さん。その笑顔はとても美しく見えた。しかし、同時に不気味さも感じた。本能的に危険を察知したのか逃げようとするリュウタ。しかし、その前に捕まってしまった。手足を掴まれてしまい身動きが取れなくなる。 「捕まえたぁ……♡もうだめだ……がまんできねぇ……」  そう言って舌なめずりする姿はまるで獲物を見つけた肉食獣のようだった。身の危険を感じたリュウタは必死に抵抗する。 「やだっ…!お姉さん…!」  それでも拘束を解く事は出来なかった。むしろ暴れれば暴れるほど強く締め付けられてしまう。苦痛に顔を歪めていると、お姉さんが大きな口を開けた。ふとリュウタの脳裏に赤ずきんの一節が浮かび上がる。ああ、おばあさんの口はどうして大きいの? 「お前を食べる為だよ♡」  耳元で囁かれた瞬間、頭がヌルヌルした口腔に包まれる。息が出来ずパニックになるリュウタだったがどうする事も出来ない。 (苦しいっ……!!誰か助けて!!)  心の中で助けを求めるも誰も助けにくる事はない。その間にもどんどん飲み込まれていく。既に肩まで呑み込まれていて自力で脱出する事は不可能だろう。 「や……た、たべな……」 「んぐ……んぐ♡」  なんの容赦もなく、丸呑みにされていく。狭い喉を無理やり押し広げるようにして進む食道の感触を感じながら胃の中へと運ばれていった。お姉さんは膨らんだお腹を撫で回すと満足そうに微笑んだ。その腹はまるで妊婦のように大きく膨らんでいた。中で何かが蠢いているのがわかる。 「げぇぷうう♡美味かった……さて、残りの子はどこだ♡」  鬼ごっこ……いやお姉さんの狩りは始まったばかりだった。  残った子供達の内の、ケンタローはまだ隠れて居なかった。優柔不断な彼はどこに隠れたものか迷っていたのだ。 「どうしようかなぁ……」  迷いながら扉を開けると、運が悪い事にお姉さんが居た。 「あちゃ……見つかっちゃった……」  罰の悪さからうつむくケンタロー。 「おいおい……ちゃんと隠れねーとダメじゃないか……」 「ご、ごめんなさい……え?」  ケンタローが前を向くと、笑顔を浮かべたお姉さん。しかし、そのお腹が妊婦のように膨らみ、蠢いていたのだ。 「……え?えっと……」  困惑していると、お姉さんの手が伸びて来る。 「じゃあ、次はお前の番だな♡」  口を大きく開けて、指を指す。つまり…… 「ぼ、僕……た、食べられちゃうの!?」 「当たり前だろ?お前はオレに喰われるために来たんだよ」  逃げようとしたが、時すでに遅し。あっさりと捕まり抱きかかえられてしまう。ジタバタともがくものの逃れる事は出来なかった。そのまま頭から口の中に放り込まれる。ぬめっとした感触が全身を包み込んだかと思うと、全身がすっぽりと収まってしまった。  ごきゅ……ごくんっ……ぎゅく……ごくんっ!!  真っ暗で何も見えない恐怖に怯えていると、突然息苦しくなる。どうやら胃袋へと到達したようだ。肉壁が身体を圧迫してくる。 (やだ!出して!ここから出してよ!)  必死で叫ぶが全く効果はないようだった。それどころか激しく動き回ったせいで余計に苦しくなってしまう始末である。 「え?リュウタ……?」  先程丸呑みにされたリュウタが居た。気を失っているのかぐったりしている。 「もしかして君も……食べられちゃったの?」  返事はない。ただ苦しそうに呻き声をあげるだけだった。その様子を見て怖くなるケンタローだったが、更に追い討ちをかけるように。  ぐぎゅるるる……ぐげえええぷっうぅ!!  お姉さんのゲップの音が聞こえて、胃壁が狭くなる。もう限界だった。押し潰されそうになる感覚に耐えきれず意識を失ってしまったのだった……

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