アナコンダラミアプロローグ
Added 2021-05-10 07:35:34 +0000 UTC「あれ、どうしたんだろ……」 確か少年──祥太はアマゾンの渓流ツアーに参加していた筈だ。ボートには大勢の自分と同い年位の子供が乗っていた。 穏やかな流れの中、急にボートが加速して激しい揺れが起きた。何人かが途中で川に投げ出されるのを見た。その直後、ボート内の何かに頭をぶつけて気を失っていた。 周囲を見るとみんな不安そうな表情を浮かべる。 「す、スマホで助けを」 金髪の少年──キンパが頭を振る。見ると電波は圏外だった。 「流れが急に変わったんだ。僕らの船だけルートを外れた」 目隠れが特徴的な少年が、状況を説明する。大人が何故か居なくなり、ボートは現在流れるまま、救命信号も今は故障している。 「そんな、オレたちどうなるの……」 「うわあああん、ままぁー」 太った少年ガリーと痩せた眼鏡の少年ファトが泣きながら、電波の届かないスマホを弄る。 「うわああ!?」 再びボートが揺れる。何か障害物に引っ掛かりボートが止まったらしい。 「ちょっと見てくる。泳げる奴は手伝ってくれ」 みんなより年上の裕二がそう言うと、服を脱ぐ。 「祥太、行けるか」 「う、うん」 何か行動しなければ。祥太は不安を打ち消すように裕二の後を追う。短パンの少年ショパンも加わり川に飛び込んだ。 「ボートに草が絡まってる。しばらく作業するから、余裕のある奴は温かい飲み物を用意してくれ」 裕二は本当に頼りになる。みんなを安心させるように力強く指示を出す。 「そんなことしてなんになるんだよ!僕らはどうせ死ぬんだ!お腹ペコペコで死んじゃうんだ!」 ガリーが泣きながらヒステリックを起こす。無理もない。食料もどれほど持つか。 「そこまで悲観しなくても、大丈夫だよ。一応、この辺りに生えてるキノコとか、野草とか食べれそうなモノ結構あるかも」 「詳しいね……えと」 「ジョン・サローン、ジョンでいいよ。アマゾン昔から興味があって。サバイバルとか好きだし」 目隠れの少年は、少し照れたように名乗る。 「助けが来なければ意味ないじゃないか!」 「うるせーな!わめくなよ!」 未だにヒステリックな声をあげるファトの胸ぐらを掴むキンパ。 そんな絶望の中、褐色の少年が声をあげる。 「助けを呼んでみる」 「助けを!?どうやって!?」 「大丈夫、現地の人間はボクだけ。少しなら道分かる」 「だが、ジャングルで単独行動は……」 「大丈夫。必ず助け呼んでくる」 裕二な諌めるが、褐色の少年の決意は固いようだ。 「分かった。だが、日が暮れる前には戻れ」 「うん」 そう言うと食料と、水を持って褐色の少年は泳いで陸まで上がり、ジャングルの奥に消えた。 「昔はこの辺りは立入禁止と、言われてったけ」 ある部族が住んでるから、神聖な土地だから。あとなにかあった気がする。子供に言って聞かせるから御伽噺の類いだ。 「集落はあるハズ………う!な、なんだこの臭い」 草むらに悪臭が漂う。糞の臭いなど珍しくないが、この臭いは異常だ。異臭に鼻を塞ぎながら、進むとソレはどぐろを巻いて鎮座していた。 「な、なんの動物のフンだ……ジャガーやヒョウでもこんなウンチは……」 その排泄物はかなり長い。しかもまだ新しい。ほかほかと湯気を立てている。 「ひどい臭い……え、いや、そんな馬鹿な」 キラリと何が排泄物の中に光る。それは里にも最近普及してきたスマホであった。 褐色の少年は恐る恐る、ソレを掴み引っ張る。 ずりゅう!ずるん! 「う、うわあああ!?」 スマホと骨と筋繊維の残骸と化した、腕が引き抜かれた。握りしめた腕が僅かに原型を留めていた。 「ひ、ひいいいい!?」 よく見ると排泄物には大量の骨や、頭蓋骨が混ざる。さらに服の欠片、黄ばんだガイドブックの欠片、スマホなどが緩いウンチの中に埋まっていた。 「おえええ!!」 褐色の少年は嘔吐した。彼らは恐らく、投げ出された少年達。それは一人残らず平らげた怪物が居る。 彼は必死に吐き気を抑え、駆け出す。早く舟に戻らなくては。 「あう!?」 しかし、褐色の少年は何かに躓く。太く柔らかい感触。それはずるずると蠢いていた。 太い胴体は少年より大きく、体色は褐色黒い円形や楕円形の斑紋が入る。ヌラヌラと鱗が光るそれは、極めて長く9m級以上はある。大蛇、恐らくオオアナコンダ、しかし少年はさらに驚愕する。 「お、女の人……」 その上半身は女性の裸体そのモノだった。よく焼けた小麦色の肌色、弾けるような豊満な胸を惜しげなく晒す。 その顔は妖艶ながら、あどけなくも感じる。美しいエメラルドのような暗い翠の髪に、ルビーのような紅い瞳がじいーと少年を捉える。 「いぎぃ!?」 一瞬見惚れた少年の身体に、太く巨大な蛇体が巻き付く。ぎちぎちの骨が軋む。 獲物を捉えたルビーの瞳の瞳孔が開く。すると、蛇体が唸るような音を出す。 「あぐ……な、なにを」 蛇体の尻尾あたりが蠢くと、先端付近の穴が広がる。総排泄孔が、少年を呑み込めそうな程広がると、 んううう!!みちい!ぶりゅるるる!! まだ詰まっていたウンチを、少年の前で放り出し始めた。柔らかいウンチはスムーズに総排泄孔を抜けていき、そして頭蓋骨をブリュ!ブリュ!と一個ずつ排泄していく。綺麗に消化されたそれにはウンチがみっちりと詰まっていた。 やがて排泄が終わり、きゅっと肛門が閉じる。気持ち良さそうに、シューシューと舌を出すと、再び少年に顔を向ける。 貴方もこうなるのよぉ?そう言わんばかりに、にまりとアナコンダラミアは笑った。 彼女は、あーん♡と声を出して、ぐぱあああと巨大な口を開いた。 蛇の口腔内そのモノ。二股に分かれた長い肉厚な舌に、呼吸口が空いている。 「や、やだ、やだぁ……食べないで……うんちになんかなりたく……んうううう!?」 排泄を終えて空腹になったアナコンダラミアは、少年の頭にかぶりつく。そしてじっくりと呑み込む。極めて柔らかく出来た胸骨が収縮し、更に喉の筋肉で獲物を呑み込んでいく。苦悶の顔が、アナコンダラミアの喉に浮かび上がり、腹へと降りていく。 ごきゅん!!ごくん!ぼこん…… アナコンダラミアの腹部が膨らんでいく。やがて、足がシダバタ動いていたが、それも膨らんだ喉へと、送られてしまう。 ごきゅ!ごっきゅん……ぼこん!ぐるるるる〜 やがて全身を呑み込み、人間部分のお腹が歪に膨らむ。人型のシルエットに膨らんだ腹が激しくうごめき、アナコンダラミアは色っぽい吐息を吐き出す。 「や、だあ!せまい!あつい……だしてええ!!」 狭く暑苦しい胃袋に収まった少年は、必死に暴れている。しかし頑丈な胃袋は、グニグニと蠢くだけで、効いた様子はない。 「アヅ!あ、ぎゃああ!」 既に胃液が染み出してくる。長い時間をかけて消化する普通の蛇と違い、アナコンダラミアの消化力は極めて高い。人間部分の胃袋は保存も兼ねているが、それでも消化力の強い胃液を分泌出来る。人間部分も胃袋で搾精や、愛撫するのだが、今はとにかく腹が減っていて、気が回らない。 げぇえううふ!ごええっぷうう!! 膨らんだお腹を撫でてゲップを吐き出す。やがて膨らみは丸みを帯びて、妊婦のような膨らみへと変わった。そして、再びゲップをすると、蛇体へとどろどろになった獲物を送る。蛇体でさらに強力な胃液で骨すら残さず消化吸収するのだ。 先程放り出したウンチには大量の骨や遺留品が残っていた。一気に全員腹に収めてしまったからだろう。 がっつき過ぎた事を少し反省したアナコンダラミアは、 げぇえううふ! と巨大なゲップを放つ。するとお腹の膨らみはもう元に戻り、蛇腹が蠕き始めた。 褐色の少年は、都会を夢見ていたが、末路は禁域にてアナコンダラミアの食事として呑まれてしまった。後は他の犠牲者同様、アナコンダラミアの肛門から、放り出されるウンチになるだけである。 アナコンダラミアは、少年の来た方向にゆっくりと這い始めた。